ナチスへの抵抗の教訓――①端初に抵抗せよ②結末を考えよ⇔それとも「おのれの安全性」優先で服従? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ナチスへの抵抗の教訓――①端初に抵抗せよ②結末を考えよ⇔それとも「おのれの安全性」優先で服従?

秘書です。

最近、色々な人がナチスの時代に言及しています。
そこで、当時の雰囲気を学びましょう。民主党政権下の今の雰囲気、しのびよる郵政改悪との関係を比較してみましょう。

引用は丸山真男「現代における人間と政治」『増補版 現代政治の思想と行動』より。

ゆうちょ・かんぽのなしくずしの官営肥大化に内心、心配している生保、信金・信組、農協のみなさん!ぜひ、読んで教訓を見出し、行動に生かしてください。

下記の言葉は、ミルトン・メイヤー氏の『彼らは自由だと思っていた』に出てくる、メイヤーが聞きとりをしたある言語学者の告白です。


「一つ一つの措置は極めて小さく、極めてうまく説明され、”時折遺憾”の意が表明されるという次第で、全体の過程を最初から離れて見ていないかぎりは、――こうしたことすべての”小さな”措置が原理的に何を意味するのかということを理解しない限りは、――人々が見ているものは、ちょうど農夫が自分の畠で作物がのびていくのを見ているのと同じなのです。ある日気づいてみると作物は頭より高くなっているのです。」

「一つ一つの行為、一つ一つの事件はたしかにその前の行為や事件よりも悪くなっている。しかしそれはほんのちょっと悪くなっただけなのです。そこで次の機会を待つということになる。何か大きなショッキングな出来事がおこるだろう。そうしたら、ほかの人々も自分と一緒になって何とかして抵抗するだろうというわけです。」

「・・・大学で、おそらく自分と同じような感じをもっていると思われる同僚たちに内々に話してみます。ところが彼らは何というでしょう。”それほどひどい世の中じゃないよ”あるいは、”君はおどかし屋だ”というんです。そうです。たしかに脅かし屋なんです。何故って、これこれのことは必ずこれこれの結果を招来するといったって、照明することが出来ないんです。なるほどこれらはもののはじまりです。けれど終わりがわからないのに、どうして確実に知っているといえますか。」

「・・・もしナチ全体の大勢の最後の最悪の行為が、一番はじめの、一番小さな行為のすぐあとに続いたとしたならば――そうだ、そのときこそは何百万という人が我慢のならぬほどのショックを受けたに違いない。・・・」

「気がついてみると、自分の住んでいる世界は、――自分の国と自分の国民は――かつて自分が生まれた世界と似ても似つかぬものとなっている。いろいろな形はそつくりそのままあるんです。・・・けれども精神はすっかり変わっている。にもかかわらず精神をかたちと同視する誤りを生涯ずっと続けてきているから、それは気づかない。・・・誰も彼もが変っていく場合には誰も変っていないのです。」

そして、ルター派教会ン牧師のマルチン・ニーメラーの言葉。

「ナチが共産主義を襲ったとき、自分はやや不安になった。けれども結局自分は共産主義者でなかったので何もしなかった。それからナチは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。けれども依然として自分は社会主義者ではなかった。そこでやはり何もしなかった。それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、というづうに次々と攻撃の手が加わり、そのたびに自分の不安は増大したが、なおも何事も行わなかった。さてそれからナチは教会を攻撃した。そうして自分はまさに教会の人間であった。そこで自分は何事かをした。しかしそのときにはすでに手遅れであった。」

この体験から引き出したニーメラーの原則は、

①「端初に抵抗せよ」
②「結末を考えよ」 
 


では、なぜ端初に抵抗できないのか?丸山真男さんは、正統の内側の世界と異端の世界との境界に高く厚い壁がつくられ、正統の内側にいる大衆は以下のような心理状況にあったとしています。

「内側の住人の多数は「上」のプロパガンダに行動的に適応したが、それは必ずしもイデオロギー的にナチやファシストになったのではなくて、「おのれの安全性」のためにそうしたのであり、・・・大衆は大衆なりの日々の生活と生活感覚を保持した。それが保持されているという実感があればこそ、異端者あるいは外部からの「イデオロギー」的批判が彼らの耳に届いたとしても、それは平地(!)に波瀾を起こし、彼らに事を好むかのような異和感を生んだのである。」

→日本の戦前・戦中は、一人の独裁者が精神的に呪縛していったというよりも、行政機構による統制がじわじわきた点がナチスと異なりますね。

→そしていま、監督官庁の担当大臣の郵政民営化に対する政治姿勢をみれば、「おのれの安全性」を意識せざるをえないでしょう。民主党政権下では一貫してそうしたメッセージが発信されてますね。それでもなお、日本の自由主義経済の原則や自らの職場を守るために、「端初に抵抗せよ」「結末を考えよ」の原則を貫くことができるかが問われています。

→日本が官製社会主義で衰退していくのかどうか。まさに、

日本の興廃この一戦にあり!各員一層奮励努力しましょう!