ミハエル・A・ヴィット教授の連邦国家のススメ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ミハエル・A・ヴィット教授の連邦国家のススメ

秘書です。
連邦国家のススメです。


日本にとって必要なのは、環境的条件の変化にうまく適応するチャンスを増やすために多様化を促進することだ

権限が分散化された政府は、結局のところ、閉塞(へいそく)状態により強い。過去20年のほとんどで日本がそうであったように、もし中央集権的な政策決定プロセスで前に進むことができなくても(または進む気がなくても)、地方政府が自ら改革を実行することができる

変化には常にリスクが付き物だが、結局のところ、人間社会はあまりに複雑すぎるため、政策の最終的な結末を予測することはほとんどできない。その意味で、異なる場所が異なる政策を導入することは、様々な制度実験を行うことに等しい。ある実験が失敗しても、別のものが成功する。この後者のケースが、中央政府による全国的な改革の基礎として、また地方政府がお互いの政策をまねる際に利用できる


地方主権をスローガンで唱えながら、上記の意見に反対する人は、形を変えた中央集権主義者ではないでしょうか?


日本は連邦国家になるべきだ=ミハエル・A・ヴィット教授
2012年 03月 13日 11:17 JST
http://jp.reuters.com/article/jpopinion/idJPTYE82C00L20120313?sp=true
世界トップクラスのビジネススクールとして知られるINSEADのミハエル・A・ヴィット教授は、日本再生の条件として、連邦国家まで視野に入れた多様化の促進やリスクに挑む個人の育成、結果を出さない政治家の淘汰、脱原発と再生可能エネルギー普及を柱とするエネルギー政策転換の必要性を指摘する。

同氏の提言は以下の通り。

<地域の多様性は中国に学べる>

日本にとって必要なのは、環境的条件の変化にうまく適応するチャンスを増やすために多様化を促進することだ

マクロレベルにおいては、政策決定や実行プロセスを幅広く地方に移管する方向に進むことが日本政府に求められる。突き詰めると、日本は連邦国家となるべきだろう。

この提案の理由は2つの要素から成る。1つ目は、権限が分散化された政府は、結局のところ、閉塞(へいそく)状態により強い。過去20年のほとんどで日本がそうであったように、もし中央集権的な政策決定プロセスで前に進むことができなくても(または進む気がなくても)、地方政府が自ら改革を実行することができる

2つ目は、政府権限の分散化は、どの改革政策が機能するかといった情報の進化を支援する。変化には常にリスクが付き物だが、結局のところ、人間社会はあまりに複雑すぎるため、政策の最終的な結末を予測することはほとんどできない。その意味で、異なる場所が異なる政策を導入することは、様々な制度実験を行うことに等しい。ある実験が失敗しても、別のものが成功する。この後者のケースが、中央政府による全国的な改革の基礎として、また地方政府がお互いの政策をまねる際に利用できる。この点では、地域の多様性を意識的に改革を推進するために利用する中国から学ぶことは多い。

またマイクロレベルで言うと、日本にはリスクに挑み、実験的試みをしようとする、より多くの個人が明らかに必要だ。順応への圧力は社会秩序を保つために有効だが、リスクを負って挑戦する人や指導者を増やすことにはつながらない。それは米国モデルへの収斂(しゅうれん)を意味するわけではない。それよりも、日本社会にとっては、デンマークやドイツ、オランダ、スイスといった北ヨーロッパのようにうまく運営され秩序だった国により近づくことが目標であるべきだ。

<結果を出さない政治家には選挙で制裁を>

日本国民は、適切な措置を講じない政府や過度に妨害しようとする野党に制裁を加えなくてはならない。しかし、よくあるように選挙で投票をしないという手段によってではない。最良の方法は、たとえ党の綱領に完全に同意はできなくても、対抗する主要政党に票を投じることだ。

究極の目標は、何もしない政治家は仕置きされるという明確なパターンを構築すること。政治家は頭のいい人たちだ。パターンを見抜き、次第に慣れていくだろう。時の経過とともに、政治的ガバナンスの質に向上がみられるはずだ。

<一刻も早い脱原発を>

日本は原子力開発プログラムを中止し、なるべく早く原子炉を廃炉にするべきだ。福島第1原子力発電所はもちろんのこと、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」や茨城県東海村での事故など日本の原子力の安全性は恐ろしく低い。

特に監督官庁との癒着など、日本の原子力セクターは本質的に改善不可能なように見える。このような状況において、日本が取り得る最善策は、他のより安全なエネルギー、特に再生可能エネルギーに移行することだ。

また、エネルギーを節約する努力がいっそう必要となるのは明白だろう。しかし、現在のエネルギー不足が軽減されたら、そのような措置は単に省エネの観点からだけでなく経済コストの観点からもより厳しく評価される必要がある。

たとえば、節電のため夏に奨励されている「クールビズ」は生産性を低下させ(そもそも28度以上の気温でまともに働ける人はいない)、結果として日本の国内総生産(GDP)をも低下させているという研究結果がある。

日本が可能な限りの成長を必要としていることを考えると、エネルギーの節約にはエアコンや二重窓など省エネ分野のテクノロジーに投資するのがより良い道だと言える。

(3月13日 ロイター)

(タグ:日本再生への提言 Politics1 Energy1 Decentralize1)