原子力災害対策本部会議議事概要1-4回分を読む | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

原子力災害対策本部会議議事概要1-4回分を読む

秘書です。
作られなかった議事録の議事要旨が公表されました。やはり正式な議事録が欲しいですね。
取り急ぎ、議事録の1-4回までのポイントを。


○原子力災害対策本部会議の議事概要、配布資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/

第1回原子力災害対策本部会議議事概要
平成23年3月11日(金) 19:03~19:22
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/pdf/gensai_gaiyo_01.pdf
・・・
○それまでに報告されている経緯について説明があった。
・炉を止めて冷却用の緊急ディーゼル発電機を動かす必要があるが、津波でこれが動かない。
電池で動く冷却等だけ動いている。これで8時間はもつ。
・8時間を超え炉心の温度があがるようなことになると、メルトダウンに至る可能性もあり。
陸路及び空路でディーゼル発電機の代わりになるものを輸送中。
・10km範囲の人をどこかの時点で避難させる必要があるかもしれない。その準備のため
に宣言を、と経産大臣から上申。日本で初めてのことで波紋も呼ぶ。
○海江田万里経済産業大臣からこれまでの経過を含めて原子炉の状況について報告。
・最初は非常用電源が立ち上がったが、その後停止し全電源が喪失した。
・炉は当初制御棒が挿入され停止したが、現在、冷却できなくなっている。
・・・

→誰の発言か分からない前者の発言と後者の発言をみれば、メルトダウン発生の可能性はかなり高いことを理解していたのではないか?枝野さんに聞けば、記者会見で可能性については言及していましたというでしょうが。

第2回原子力災害対策本部会議議事概要
平成23年3月12日(土) 9:15~(9:34までには終了)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/pdf/gensai_gaiyo_02.pdf

第3回原子力災害対策本部会議議事概要
平成23年3月12日(土) 12:08~(12:41までには終了)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/pdf/gensai_gaiyo_03.pdf

○菅直人内閣総理大臣より下記のとおり挨拶。
・今朝6時から自衛隊のヘリコプターで現地を視察した。まず福島第一原子力発電所を訪れ、
既に10km圏の待避を行っているが、その対処方について現地の責任者・行政の皆さん
と話をした。その後、仙台から石巻の方向まで上空からも視察した。
・大変強く感じたのは、今回の地震は津波地震であるということ。多くの海岸沿いで住宅地
であったところがほとんど流失している。さらには海岸沿いでまだ火災が続いている。そ
ういう地域が沢山あり、その一方で、上空から見る限りは津波以外の家の倒壊はあまり目
立たない。まず津波による被害を含めて、この一日、どこまで救出作業が進むか大変重要
な一日であると感じている。
・食料、水はもちろんだが大変寒い。たぶん今日の朝も零下になった地域も多かったと思う
が、それに加えて毛布、海岸沿いも多いということで、仮設トイレも大変重要と思う。既
に自衛隊は8,000人からさらに20,000人態勢を組んで頂いているが、先ほど防
衛大臣と話をし、更に全国から総動員を頂き、まずは50,000人態勢ということでや
っていく。警察、消防、海上保安庁の全ての皆さんに、特に今日こそ最大限の力で生存者・
孤立者を救っていく活動をぎりぎり頑張りぬいていただきたい。
・今、原子力発電所は(福島)第一発電所は既に10km圏の待避を進めているところであ
る。1号機などから住民には健康被害を及ぼすことはない微量な放射能が流出しているが、
この10km範囲の皆さんに待避いただくことで国民の健康を守るという体制をとって参
りたい
福島第二原発については、放射能の漏れは現在までまだ出ていない。しかし、既
に3km圏の住民には念のため待避をするよう、今作業を進めているところである。
・いずれにしても国民の命、生活、財産を守るのが私たちの使命であるから、全力を尽くし
て頑張り抜いて頂きたい。このことを申し上げてこの回の皆さんへの私からの指示とさせ
ていただく。

○海江田万里経済産業大臣から原子力発電所の現状について下記のとおり報告。
・福島第一原子力発電所の1号機については、ベント作業を開始。二つの弁のうち、一つ目
の弁は開放したが、もう一つの弁の周辺の放射線量が高く、近づけないため、作業手順を
見直しているところ。
・福島第二原子力発電所についても、ベントに向けた準備作業を開始した。
・避難状況について、大熊町は集合場所に集まっている町民の3分の2程度が終了、双葉町
については8割程度が終了、富岡町、浪江町、楢葉町については現在人数を把握している
段階だが、渋滞がひどい状況。
・モニタリングポストの指示値については、福島第一原子力発電所周辺においては、事業者
の測定により、周辺監視区域境界近傍の結果について、12日11時現在、上昇傾向にあ
ることを確認。福島第二原子力発電所については、モニタリングポストの測定結果には特
段の変化はみられない。
・電源について、川崎火力発電所及び東京から、バッテリーを福島第二原子力発電所付近の
福島Jビレッジに搬送済みであるが、さらに福島第一原子力発電所に搬送しているところ。
到着次第、発電所内設備に接続する予定。
・引き続き、安全確保に向け、万全を尽くして参りたいのでご協力よろしくお願いしたい。

○中野寬成国家公安委員長から、警察官により福島第一原子力発電所周辺住民の避難誘導、
交通整理活動を実施している旨発言。

○菅直人内閣総理大臣から「楽観はできない」との発言。

○玄葉光一郎国家戦略担当大臣から「メルトダウンの可能性がある。避難地域は10kmで
いいのか。考え直す必要はないのか。」との発言。

○枝野幸男内閣官房長官から閉会を宣言。

→冒頭の菅総理発言は、次の海江田大臣の報告や玄葉大臣発言と比較しても、原発事故についての切迫感が感じられませんね。

第4回原子力災害対策本部会議議事概要
平成23年3月12日(土) 22:05~(22:28までには終了)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/pdf/gensai_gaiyo_04.pdf

○菅直人内閣総理大臣より下記のとおり挨拶。
・・・
・この会議の終了に引き続いて、原子力災害対策本部会議を開催する。特に福島第一原発で
は、本日午後新たな事象が発生し、経産大臣、官房長官らとともに現在最善を尽くしてい
るところである。先ほど20時20分から現地では第1号機に海水を注入するというある
意味異例ではあるが、原子炉による住民への被害を最小限、あるいはこれを抑えるために
最も有効で、東電、安全委員会、保安院に「これでいい」と言われたことを海江田大臣が
「それでいこう」と決断していただいた措置がスタートしている

・・・

→この表現も注目されますね。12日18時からの御前会議の結果、みんなが大丈夫といったから海江田大臣が決断した、ということで結果責任が発生した際に、自分の決断ではないことを強調したかったのか?

○玄葉光一郎国家戦略担当大臣から「最悪の事態想定を。」との発言。

○海江田万里経済産業大臣から、「福島第一2号機・3号機、福島第二1号機・2号機・4号
機でベントを準備している。」との報告。
 ○菅直人内閣総理大臣から「チェルノブイリ型はありえるのか。スリーマイルの様なメルトダウンがありえるのか。」との発言

○枝野幸男内閣官房長官から閉会を宣言。

→菅首相の「チェルノブイリ型はありえるのか。スリーマイルの様なメルトダウンがありえるのか」との問いに対しては、誰が何と答えたのか。そこがこの議事要旨では分からない。

→以下は、ニュース記事より。


初日に炉心溶融の指摘 対策本部の議事公開 福島第1原発事故
2012.3.9 11:33 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120309/dst12030911340008-n1.htm

 政府の原子力災害対策本部の会議の議事録が作成されていなかった問題で、事務局を務める経済産業省原子力安全・保安院は9日、昨年3月11日以降23回分の会議の議事概要を公表した。東京電力福島第1原発の事故が起きた同日夜に開催された初会合で、炉心溶融(メルトダウン)に至る可能性もあると指摘されていたことが判明した。

 議事概要は関係省庁の出席者らが作成した議事メモなどを基にして作成された。昨年3月11日午後7時3~22分にかけ、官邸4階で開催された第1回会議では、菅直人前首相が原子力緊急事態を宣言した。発言者は不明だが、「(冷却できない時間が)8時間を超え炉心の温度が上がるようなことになると、メルトダウンに至る可能性もある」との報告があった。

 政府が避難指示区域を福島第1原発から10キロ圏内に拡大した後の、同12日昼すぎから開催された第3回会議では、玄葉光一郎国家戦略担当相(当時)が「メルトダウンの可能性がある。避難地域は10キロでいいか考え直す必要はないのか」と指摘していたことも判明。

 16日の第9回会議では、菅前首相が「4号機プールは温度が上昇し、懸念される状況。5、6号機、福島第2原発も含めて同じことが懸念される」と述べた上で、「(東京電力の)撤退なんてあり得ない。量からいうとチェルノブイリよりも多い物質がさらされることになる」などと発言していた。

17日の第10回会議では、大畠章宏国土交通相(当時)が「外国人が一斉に日本から退出している」と指摘し、玄葉氏が「これは戦争だ。勝つか負けるかだ。既に局地戦では負け、これから先、いかに負けを少なくするかだ。3つのスリーマイル事故が重なっているようなもので、最悪の事態を想定して住民を避難させるべきだ」などと発言していたことも明らかになった。


当日にメルトダウンの可能性認識
3月9日 12時8分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120309/t10013599751000.html
記録が残されていなかった政府の「原子力災害対策本部」の議事概要が作成され、緊急事態が宣言された去年3月11日夜の第1回の会議で「メルトダウンに至る可能性もある」という発言があり、政府が、事故発生直後から重大事故に至る可能性を認識していたことが分かりました。

政府の原子力災害対策本部は事故が起きた去年3月11日に設けられ、避難区域の設定など重要な決定を行ってきましたが、議事録が残されていなかったことが分かり、事務局の原子力安全・保安院が、当時のメモや聞き取りを基に議事概要を作成し、9日、公表しました。
それによりますと、当時の菅総理大臣が緊急事態を宣言した3月11日午後7時3分からの第1回の会議で、発言者は分かりませんが、「バッテリーで冷却装置が動く8時間を超え、炉心の温度が上がるようなことになると、メルトダウンに至る可能性もある」という指摘があり、政府が事故発生直後から重大事故に至る可能性を認識していたことが分かりました。
このとき政府は、まだ避難指示を出していませんでしたが、「10キロの範囲の人をどこかの時点で避難させる必要があるかもしれない」という発言もありました。
さらに翌日の12日昼すぎに開かれた第3回の会議では、当時の玄葉国家戦略担当大臣から「メルトダウンの可能性がある。避難地域は10キロでいいのか。考え直す必要はないのか」という発言があったと記されています。
当時、避難区域は原発から10キロの範囲で、その後、1号機で水素爆発が起きたあとの午後6時25分に20キロに拡大されていました。
ただ、公表された議事概要には、避難区域の見直しなどの重要な決定が誰のどのような判断で行われたのか、詳しい経緯は記されておらず、政府の意思決定の過程を検証することは困難な内容になっており、議事録を残していなかった政府の対応が改めて問われることになりそうです。