りそなのケース?足利銀行のケース? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

りそなのケース?足利銀行のケース?

秘書です。

枝野経産相は、東電資本注入は「りそな銀の例が基本的な考え」といっていました。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20120214k0000e010165000c.html
しかし、りそなホールディングスに公的資金を投入したときの竹中平蔵元金融相は、

「よく、りそなの例を出されるが、東電はりそなのケースではなくて、完全に足利銀行のケースだ」

と語っています。


【インタビュー】東電処理は足利銀行モデルに、完全国有化が必要=竹中平蔵慶大教授
2012年 3月 8日 18:25 JST WSJ
http://jp.wsj.com/Japan/Companies/node_404849

東京電力と原子力損害賠償支援機構が今月まとめる「総合特別事業計画」に、東電の財務基盤強化を目的とする1兆円の公的資金注入申請が明記される。これに伴い、東電の経営形態や経営トップの人選をめぐる駆け引きが交錯している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版は8日、小泉政権で金融機関の再生を目指した政策案「金融再生プログラム」を立案した元金融担当相の竹中平蔵慶応大学教授に、東電の処理について話を聞いた。

──金融担当相当時、経営難に陥った金融機関に公的資金を注入し、大胆な不良債権処理を進めた。今回の東電の処理をどうみるか。

 よく、りそなの例を出されるが、東電はりそなのケースではなくて、完全に足利銀行のケースだ

 金融の場合は特殊だ。預金保険法102条に基づき、自己資本が不足したら公的資金を注入する。債務超過、つまり資本金がゼロ以下になった場合は、一時国有化する。(注釈:前者はりそなホールディングス、後者は足利銀行に相当する)

 電力会社にはこういった法律はない。それを現行の法律の枠組みでできるかどうかは微妙な法律判断になる。それがもしできないと判断するなら、新しい法律を作ればいい。法律はすぐできる。預金保険法102条に準じた、公的な機能を持った電力会社に関する法律を作ればいい。

──国はどの程度の議決権を握るべきか。

 東電の場合は銀行ではないので、資本が少なくなってもかまわない。債務超過になるまでは放っておけばいい。債務超過になれば、価値がゼロになるわけで、一時国有化する必要が生じる。その場合、議決権は100%国が持つべきだ。

 「実質的」国有化という言葉がよく使われるが、これはおかしい。名目的に、完全な国有化が必要だ。要はこのような問題を起こしてしまったが、電力を供給するという機能は公的に必要だから、国が一時、それを肩代わりしましょう、ということだ。国有化している間、つまり議決権を100%持っている間に経営者に責任を取らせ、新しい経営者を入れ、必要なリストラを全部行う。その上で、それを民間に売ればいい。ストラクチャーは非常に簡単だと思う。まさに足利銀行の時にそうした。

 (現在のプロセスは)東京電力という会社を残すためのものだ。国民からみれば、電力会社は必要だが、それが東京電力という会社である必要はまったくない。別の会社でもいい。その機能を一時国が担って、きちっとした形にして民間に売ればいい。こんな問題を起こしたのに、公的資金で生き残るというのでは国民が納得しない。

──東電の経営を担える人材を外部から登用するのは困難との見方もある。

 だからこそ、100%国有化する必要がある。そうすれば、政府が任命責任を完全に握ることができる。政府が全責任を負うということだ。全面的に責任を負っている国が人選をして、(登用した人材が)ダメだったらクビにして、いい人材が出てくるまでそれを続けるということだ

今のような形だと、いったいだれが責任を負っているのか分からない。最終的な責任は東京電力にあるわけだが、責任の所在は非常に不明確だ。公的な機能を負っている以上、電力会社そのものをなくすわけにはいかないのだから、今回は国が全部責任を持つ。そのような形で責任の所在を明確にしなければならない。

──国有化後の東電の姿はどうあるべきか。

 東電を民間に売るということが極めて重要だ。国有化はするが、それは一時的なものだ。ただし、その間は政府がすべて責任を持つ。リストラをできるだけ行い、価値を高める必要がある。

 売却の際には、発電の部分と送電の部分を分ける必要がある。送電については規模の経済性があるから、これは1社でやる方がいい。これは公的な機能を持った民間会社になる。しかし発電に関しては規模の経済性はない。むしろできるだけ競争してもらう方がいい。それを商社が買っても関西電力が買っても、どこが買ってもいい。実際、足利銀行は野村証券を中心とするグループが買った。そういう形で、きれいにしてできるだけ高く売ればいい


 1つ問題になるのが原子力発電所だ。原発については国の方針がまだ決まっていないのでこれは当分、国の組織が持ち続けるというのが選択としてはあり得るものだと思う。

 東電をモデルケースにして、同じような枠組みを全国の電力会社にあてはめていく。10年前、小泉内閣のもと、経済財政諮問会議ですでに、電力の新規参入や発送電の分離に関する議論を散々行った。それに最も強く抵抗したのが東電だった。あの時、もっと発電に競争原理を導入し、たくさんの発電業者を入れていれば、電力不足にはならなかった。

記者: 山口 肇