一人の現役が一人の高齢者を支える時代に退職金の官民格差温存は不可能でしょう! | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

一人の現役が一人の高齢者を支える時代に退職金の官民格差温存は不可能でしょう!

秘書です。
退職手当の給付水準の官民格差の報道記事に、国際比較をすると日本は少ないので、

「国家公務員も退職手当や年金が下がれば士気が下がるかもしれない。長期的には、良い人材が集まらないかもしれない」(読売新聞記事にある専門家の指摘)

といったコメントが見受けられます。


そもそも、公務員を志す人は、退職金目当てなのでしょうか。もっと高い志があるのでは?

それでは、官よりも低い退職手当や年金の民間企業の士気はどうなるのでしょう?
民間の退職手当や年金が低いまま、国家公務員だけが国際比較を口実にさらにアップしたら、民間企業には良い人材が集まらないことになりませんか?

停滞している地方の中には、良い人材が県庁に集中しすぎて民間に人材がまわっていないところがありませんか。それは官民待遇格差の結果でしょう。全国的にそうなったときに、誰が付加価値を生むのでしょうか?

しかも、政府は一人の現役で一人の高齢者をささえる肩車型の社会保障の時代がくるといっている。そうした時に、官民格差をさらに拡大して民間現役労働者にどれだけの負担をかけるつもりか。

官の優遇策を支えるだけの民の力が疲弊していることが分からないのでしょうか。


みんなで負担を分かち合おう、税金を負担してくださいという官が、なぜ、地域ごとの民間並みの給与と年金があればそれで結構です、と率先して言うことで負担を分かち合わないのでしょうか?年金をもらえないかもしれない国民から税金をとりあげてなお老後の優遇措置を維持しようとするのか?

→国際比較をするならば、『「道州制下における公務員制度」に関する調査研究報告書』(平成23 年3月、愛知県総務部)が指摘しているようなことにも目を向けましょう。

まず、増税派にとってのモデル国家のスウェーデン。スウェーデンの公務員の年金制度を日本に入れてはどうですか。公務員特権をなくすことが重税国家の第一条件ではないですか?


「○ スウェーデンにおける公務員の採用は、日本のように一斉試験を実施する形
ではなく、民間企業と同じように応募者を随時に雇う形で行われる。
○ スウェーデンでは、年金は公務員であるか民間労働者であるかにかかわらず
国に一括管理されており、所得に応じて掛け金が一律に決められているため、
民間から公共部門へ、あるいは公共部門から民間へと異動しても、そのことで
年金額に影響が及ぶようなことはない。したがって年金制度の相違が異動の障
害となることはないと言える。」(pp.20-21.)

「フランスやドイツにおける公務員の年金制度は、どちらも退職一時金はごく
わずかで、ほとんどが恩給であるため、どこに異動しても保障されるという性
格がある。また、スウェーデンでは、公務員と民間労働者の労働法制上の相違
がなく、年金制度も公務員であるか民間労働者であるかにかかわらず一括管理
されているため、人材の異動が非常に容易な社会構造となっている。これに対
し、わが国の制度は年金受給額に比べて退職一時金の額が大きく、その額が勤
務先の勤続年数によって左右されるため、異動に伴い勤続年数が途切れると退
職金が大幅に目減りしてしまうことが問題となる。」(P.21)

『「道州制下における公務員制度」に関する調査研究報告書』(平成23 年3月愛知県総務部)
http://www.pref.aichi.jp/kikaku/bunken/torikumi/pdf/honbun.pdf

→たとえば、退職一時金をごくわずかにして、民間労働者と同じ年金制度にすることを検討してはいかがですか?一人の現役が一人の高齢者を支えるのに、おれの特権も含めて支えてくれというのは不可能でしょう?(なんとしても官民格差の特権を維持したいのであれば、これまで増税のためのちょっとオーバーに不安をあおっているだけで本当はそれほど深刻ではありません。経済成長で税収があがれば特権を維持してもみなさんの負担にはなりませんという成長派に転向してはいかがでしょうか?)そうでなければ、官民格差温存のための増税になります。