海上警備行動についての与党時代と野党時代の発言の比較(野党時代編) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

海上警備行動についての与党時代と野党時代の発言の比較(野党時代編)

秘書です。
野党時代に、海上警備行動等について民主党は何といっていたのか?

「我が国周辺海域を想定し、かつ恒常的活動とは考えていない海上警備行動を根拠として、海上自衛隊を泥縄式にソマリア沖に派遣したことは、極めて問題であると言わざるを得ません」

しかも、海上警備行動の武器使用は警察に準ずるものですね。それを戦場と化したホルムズ湾でできるのか?

そして、憲法9条が禁止する武力の行使とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為との解釈との関連ではどうなるのか?

まず、民主党政権で防衛大臣をやることになる一川さんは野党時代に何といっていたか?


参 - 本会議 - 平成21年06月19日

○一川保夫君 民主党の一川保夫でございます。
 民主党・新緑風会・国民新・日本を代表いたしまして、政府提出の海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案について、反対の討論を行います。
 民主党は、海賊行為は人類共通の敵であり、国連海洋法条約においても、旗国主義の例外として、すべての国に取締りの権限を与えております。主権の枠組みを超えて、各国が連携をして対策を講ずる必要があると強く認識をいたしております。
 特に、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策については、累次の国連安保理決議も発出され、各国に積極的な取組が要請されており、同海域に艦船等を派遣して海賊対策に係る活動を行うことは、我が国関係船舶の保護のみならず、国際社会への大きな貢献であると考えております。
 民主党は、我が国における海賊対策は、一義的に海上保安庁の責務であると考えております。そのため、海上保安庁がしかるべく対応できるように体制の整備を図る必要があると考えております。
 海上保安庁のみで対処が困難な場合には、シビリアンコントロールを徹底する見地から、国会の事前承認を得るとともに内閣に設ける海賊対処本部の一員とする仕組みの中で、自衛隊を派遣することも認めるものであります。
 また、武器使用基準の拡大についても、海上における警察活動であることから、警察官職務執行法に認められた武器使用に加えて、海賊行為を未然に防ぐための危害射撃を行うこともその必要性を認めるところでございます。
 しかし、政府から提出された海賊対処法案は、海賊対処は海上保安庁が一義的とされながら、防衛大臣が特別の必要がある場合を判断をし、閣議を経て、自衛隊を出すことが可能となっております。判断の主体が海上保安庁ではなく防衛大臣になっていることに問題があります。
 また、法案提出前に、まず自衛隊の派遣ありきで、海上保安庁では本当に対応が困難なのかどうかという検討を先送りしたまま、我が国周辺海域を想定し、かつ恒常的活動とは考えていない海上警備行動を根拠として、海上自衛隊を泥縄式にソマリア沖に派遣したことは、極めて問題であると言わざるを得ません
 特に、ソマリア沖・アデン湾へ海上保安庁の巡視船を派遣できないとした理由として、日本から遠距離にあること、海賊の所持する武器に対応できないこと、各国が海軍の軍艦を派遣していることを挙げておりましたが、委員会の審査を通じて、それらの理由が必ずしも絶対的なものではなかったことが判明いたしました。
 まず、他国は軍艦や軍用機を派遣しており、コーストガードはいないとの主張については、アメリカの沿岸警備隊の巡視船が既に派遣されていたことが当該ホームページに掲載されていたにもかかわらず、我々の指摘するまで全く誤った答弁を繰り返していたことが明らかになりました。
 さらに、海上保安庁の船舶では他国の艦艇と秘匿通信ができないとしておりましたが、現在、派遣されている護衛艦は一般の通信で行っているということでございます。
 さらに、日本からの距離があるとの理由にしましても、アデン湾までは途中給油をすることで問題なく到着することが可能でございます。
 現地での護衛活動に当たっても、二千キロを往復する任務であり、実際には護衛艦が洋上補給ではなく、ほとんどジブチの港で給油を受けていることからも、海上保安庁の巡視船で十分実施することが可能であります。
 また、政府は海賊が重武装であることも主張しておりますけれども、質疑の中で海上保安庁は、日本海で対処している北朝鮮の工作船の方がより強力で重武装であることを認めており、これも説得力のある理由とは言えません。
 このように、政府の海上保安庁の巡視船を派遣できないという理由は、初めに海上自衛隊の護衛艦の派遣ありきの発想で考えられたものであり、全く説得力がありません。その理論構成がもはや破綻しているものであるということが本院の審議の過程で明らかになったものであります。
 また、現在ソマリア沖・アデン湾で実施されている海上警備行動に基づく自衛隊の護衛活動についても、その実施前に政府は、年間二千隻、一日当たり四ないし五隻の船舶が護衛対象であると盛んに述べておりました。しかし、これも過大な表現であり、実際の護衛船舶数は一日当たり一ないし二隻という、そういう実態でもございます。
 民主党は、我が国周辺を越える海域での海賊対処に当たっては、国際協力の観点からも、海賊対処のための本部を設置し、我が国が持つ海賊対策のノウハウを一元的に集約することで、オールジャパンの体制で機動的に活動を行うことが必要と考えております。
 また、海上保安庁の対処のみでは対応困難な場合の判断は海上保安庁が行い、国土交通大臣が海賊対処本部の設置を内閣総理大臣に要請する仕組みを整えることで、海上保安庁に説明責任を果たさせ、自衛隊という実力部隊を遠洋に派遣することでありますから、国会の事前承認が必要であります。
 以上の認識に立ち、衆議院で提案した事項について、本院においても真摯に与党との修正協議に臨んでまいりました。残念ながら、衆参の修正協議を通じて、与党からは、修正の必要なしとの事の本質を全く理解しない的外れの回答しかありませんでした。
 さて、本院における参考人質疑においても明らかになったように、自衛隊によるソマリア沖・アデン湾における海賊対策は相当の長期にわたる活動が必要であるとの認識を述べております。また、浜田防衛大臣ですら、一般論としつつも、自衛隊の海外派遣には国会の承認が必要であるとの認識を示しておりました。
 その上で、このような長期にわたる海外における自衛隊の行動について、国会の事前承認を行い、大多数の国民の理解を得るという政治の責任を明確にせずにして、現場で重い任務を課せられる隊員を送り出すことは残念でなりません。単に国会報告で事足りるという政府・与党の姿勢は、物事の本質から完全に目をそらすに等しいものでございます。
 民主党が求めた海賊対処本部の設置にせよ国会の承認にせよ、国会によるシビリアンコントロールを徹底する見地から提案をいたしております。与党の対応は、民主党が承認行為を必要とするとした趣旨を全く理解をしていないと言わざるを得ません。
 以上、海洋国家日本の姿勢として、政府のなし崩し的な、とにかく自衛隊を派遣すればよいのだという対応にしっかりとした歯止めを掛けて、本法案が真に海賊対処に役立つように、そして海賊がいない平和な海になるように、また多くの国民の理解が得られるよう修正案を提案してきました。
 麻生内閣の支持率の劇的な低下の下、与党の修正協議に対するしゃくし定規な対応と、自衛隊での対処を安易に先行させているその姿勢は、国民に対する謙虚さを失った自民党、公明党の姿勢にこそ大きな問題があります。
 与党はその本質を全く理解しないままゼロ回答であったということに抗議の意を表するとともに、修正協議の決裂を受けて、本法案には反対せざるを得ないということを申し上げて、私の反対の討論といたします。(拍手)

衆 - 本会議 - 平成21年06月19日

○平岡秀夫君 民主党の平岡秀夫でございます。
 民主党・無所属クラブを代表いたしまして、いわゆる海賊対処法案を再議決すべしとの動議に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 海賊行為は犯罪行為であり、国連海洋法条約においても、旗国主義の例外としてすべての国に取り締まりの権限が与えられていることから、民主党としても、各国が連携して対策を講じる必要があると強く認識しています。特に、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策は、累次、国連安保理決議も発出されており、我が国としても我が国にふさわしい取り組みを行っていくことが必要であると考えます。
 しかしながら、本来、犯罪行為への対処であるべき海賊対策についての政府の対応は、初めに自衛隊の派遣ありきであったと言わざるを得ません。そのため、多くの国民の皆さんは、大きな不安を感じているのです。
 その不安は、大きく分けて三つあります。
 その第一点は、今回の政府の対応が、安易な自衛隊の海外派遣への道を開くことにならないかという点です。
 麻生総理は、二年前の著書で、ネイビーを五年半の長い間遠方に展開したことは我が国の歴史始まって以来のことですと誇らしげに書いています。
 民主党は、法案修正で示したとおり、海賊対策は第一義的に海上保安庁の責務と考えていますが、麻生政権は、本法案提出前に、海上保安庁では対応ができないのかという検討を先送りにしたまま、海上警備行動として、遠方での終わりなき任務に海上自衛隊を泥縄式に派遣いたしました。海上警備行動は、本来、我が国周辺海域を想定し、かつ恒常的活動とは考えられていない活動です。極めて遺憾なことです
 不安の第二は、ソマリア沖で自衛隊が武力抗争に巻き込まれることはないのかという点です。
 我が国が今回自衛隊を派遣している海域近くのソマリアは、内戦状態にあり、昨日も自爆テロで治安大臣を含む二十五人が死亡しています。既に、米軍は、一昨年、昨年と、ソマリア領内で軍事攻撃を行っており、国連の安保理決議千八百五十一号では、ソマリアにおける必要なすべての手段をとることができるとされています。米軍のソマリアでの軍事行動など、ソマリアでの武力抗争に自衛隊が巻き込まれるおそれが懸念されます。
 不安の第三点は、自衛隊を海賊対策として海外派遣することにシビリアンコントロールが確保されているのかという点です。
 ことし三月から始まった海上警備行動が、海上自衛隊の艦船の派遣に加えて、今や、国会関与が全くないまま、海上哨戒機P3Cの派遣や陸上自衛隊の派遣へと拡大しています。本法案が成立すれば、海賊対策という名目のもとで、単に国会報告だけで、ソマリア沖・アデン湾近くでの自衛隊の活動が拡大されていきます。我々が法案修正を求めた国会の事前承認は、自衛隊に対するシビリアンコントロールの確保から不可欠のものです。
 このような不安を残したまま、本法案の成立を認めることはできません。また、本来であれば国会の衆参両院での議決による承認に基づいて行われるべき自衛隊の海外派遣について、とにかく自衛隊を派遣すればいいんだという法案を再議決すべしとして、憲法第五十九条第二項の規定を軽々に使うことは、参議院の意思を踏みにじることとなります。再議決を求める本動議には、到底賛成することはできません。
 民主党は、海洋国家日本の姿勢として、海賊がいない平和な海をもたらすための根源的な対策に努力すべきと考えます。その意味で、海賊行為への対処にとどまらず、海賊発生の原因の一つであるソマリアの混乱や貧困を克服するための努力こそ我が国が行うべきことです。
 ソマリアのいわゆる海賊ビジネスでの収入は年間約三十億円、これに対し、自衛隊の派遣にかかる費用は平成二十一年度で約百四十五億円計上されているにもかかわらず、今の自公政権には、平和な海をもたらすための根源的な努力をしようとする姿勢はうかがえません。
 速やかに解散・総選挙を行って国民の信を問い、国民が望んでいる海賊対策を図るべきであり、その任にこたえられるのは我々民主党であることを申し上げまして、私の反対討論といたします。(拍手)

参 - 外交防衛委員会 - 平成21年06月18日

○白眞勲君 民主党・新緑風会・国民新・日本を代表しまして、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案につきまして、反対の討論を行います。
 民主党は、海賊行為は人類共通の敵であり、国連海洋法条約においても旗国主義の例外としてすべての国に取締りの権限が与えられており、各国は連携して対策を講じる必要があると強く認識しております。
 民主党は、我が国における海賊対策は一義的に海上保安庁の責務と考えております。他方で、海上保安庁のみで対応困難な場合には、シビリアンコントロールを徹底する見地から、国会の事前承認等の条件など一定の仕組みの下で自衛隊を派遣することも認めるものであります。
 しかし、政府提出の海賊対処法案は、海賊対処は海上保安庁が一義的に実施するとされながら、防衛大臣が特別の必要がある場合を判断し、自衛隊を出すことが可能であり、判断の主体が海上保安庁ではない点が問題であります。また、まず自衛隊の派遣ありきで、海上保安庁による対応の検討を十分に行わず、海上警備行動規定を拡大解釈して海上自衛隊を泥縄式に派遣したことは極めて問題であります
 特に、ソマリア沖・アデン湾へ海上保安庁を派遣できない理由として、日本からの距離、海賊が重武装、各国が軍艦を派遣していることを挙げましたが、委員会の審査を通じて、それらが不適切であったことが判明いたしました。
 まず、他国は軍艦を派遣しておりコーストガードはいないとの理由については、アメリカの沿岸警備隊の巡視船が派遣されていたことが明らかになりました。また、この巡視船の概要について外務省は、同船の排水量を三百二十五トンと一けた小さく記載して提出しましたが、私の指摘に対し梅本北米局長は、資料を印刷したりいろいろしているうちにここが取れてしまったと、その場しのぎの答弁を行いました。このような政府の態度は到底納得できるものではありません。
 さらに、他国の艦艇と秘匿通信ができないとしておりましたが、現在派遣されている護衛艦は一般の通信を行っていることも分かりました。
 さらに、日本からの距離にしても、自衛隊の掃海艇がペルシャ湾に赴いたように、アデン湾までは途中給油をすることで問題なく到着できます。現地においても護衛艦がほとんどジブチの港で給油を受けていることからも、海上保安庁の巡視船で十分実施することが可能であります。
 また、政府は海賊が重武装であることも主張しておりますが、質疑の中で海上保安庁は、日本海で対処をしている北朝鮮の工作船の方がより強力で、重武装であることを認めており、これも説得ある理由とは言えません。
 このように政府の海上保安庁を派遣できないという理由は、初めに海上自衛隊の護衛艦の派遣ありきの発想で考えられたもので、全く説得力はなく、その理論構成が破綻しているものでもあるということが委員会の審議を通じて明らかになったのであります。
 また、護衛対象船舶について、政府は当初、年間二千隻、一日当たり四、五隻と盛んに示していましたが、実際には一日当たり一、二隻という、実に全体の二五%程度しか護衛されていなかったという事実も判明しております。
 民主党は、我が国周辺を超える海域での海賊対処に当たっては、海賊対処のための本部を設置し、我が国の海賊対策のノウハウを一元的に集約し、オールジャパンで機動的に活動を行うことを必要と考えております。また、対応困難な場合の判断は海上保安庁が行い、国土交通大臣が海賊対処本部設置を内閣総理大臣に要請する仕組みを整備することで海上保安庁に説明責任を果たさせ、自衛隊という実力部隊を派遣する重大性にかんがみ、国会の事前承認を必須とするものであります。
 以上の認識に立ち、衆議院及び本院においても真摯に与党との修正協議に臨んでまいりました。残念ながら、与党からは、海賊対処本部の設置や国会承認は必要ないとの、まるで木で鼻をくくったような対応しかありませんでした。民主党が求めた海賊対処本部の設置にせよ、国会の承認にせよ、たとえ法的な活動の性質が警察活動である、武力行使ではないとしても、国会によるシビリアンコントロールを徹底する見地から提案しているものであり、与党の対応は、民主党が承認行為を必要とした趣旨を全く理解していないと言わざるを得ません。
 以上、民主党は、海洋国家日本の姿勢として、政府のなし崩し的な、とにかく自衛隊を派遣すればよいという対応にしっかりとした歯止めを掛けて、本法案が真に海賊対処に役立つように最高最良の修正を提案したにもかかわらず、与党はその本質を全く理解しないままにゼロ回答であったということに抗議の意を表するとともに、修正協議の決裂を受けて、本法案には反対せざるを得ないということを申し上げ、私の反対の討論といたします。

参 - 外交防衛委員会 - 平成21年05月28日

○谷岡郁子君 民主党の谷岡郁子でございます。
 本日の質問に掛かります前に、私の基本的なこの問題に関する認識とスタンスを申し上げておきたいと思います。
 私は、世界の海が平和で安全なものであるということについて強く望むものでありますし、そのための国際協調ということは大切なことであるというふうに一つに思っております。その一方で、我々、憲法の擁護義務を持つ者として、今の憲法というものが厳正に守られるということ、同時に、日本が平和な社会であり続けること、世界の軍縮が行われることということを強く望んでおります。
 その立場から申し上げまして、現在、海上警備行動として本来日本の沿岸地域を守るということで作られていた法律の拡大解釈によって自衛隊がソマリアに行っているということ、これは私は大変危うい状況であると思っておりますし、むしろ法律がきちんと作られることによってこの状況が解消されること、必要であるというふうに思うものでございます。つまり、これは苦渋の選択であると思いますし、我が党の選択でもあるわけですけれども、海賊に対する抑止のためにきちんとした法律を作って、その上でこの問題に対処するということはまず必要であるという考え方ということでございます。
 同時に、この法律は修正が必要であるということもまた強く申し上げたいというふうに思います。
 我々は、この間、この法案が提出されましてから修正のための努力をずっと行ってまいりました。そして、残念ながら、衆院の質疑の中では修正は行われませんでした。何とか参院の中でやはり修正を実らせて、そしてより整合性のある、より国民にとって安心のできる、そして国際社会にとって理解のできる法案にしてまいりたいということが私の願いであり、今日の私の質問はその立場に立ってさせていただくということを初めに申し上げておきたいと思います。
 さて、私は、どんな派兵であり派遣であり、始めることは簡単だと思いますけれども、終えることは難しいというふうに思う立場であります。この法案におきまして私どもが理解できないのは、一体、いつ、どういう要件で引き揚げてくることができるのか、それが海上保安庁なり自衛隊なりどちらであろうとしましても、海外、日本から離れた遠くの海へ日本の力を派遣しているという状況は、だれが、いつ、どういう形でその撤退を決めるのか、まずこれについて御質問いたしたいと思います。

参 - 本会議 - 平成21年05月27日

○風間直樹君 民主党・新緑風会・国民新・日本の風間直樹です。会派を代表し、議題となりました海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案に関し、質問を行います。
・・・
総理は、衆議院審議において国会報告にとどめた理由を問われ、次のように答弁されています。海賊に対しては軍艦がそこに存在するだけで抑止力になり得るのではないか、よって基本的には海上警備行動というもので対応できると考えている、ただ、日本国籍以外の船舶から救助を求められた場合のために本法案を提出したと。つまり、総理は、海上自衛隊が海賊に対し武器を使用する可能性を極めて楽観的に認識されているようです。
 そもそも、政府がこの法案を提出されたのはなぜか。突き詰めれば、海上警備行動に基づく警職法に準じた自衛隊の武器使用基準では、自衛隊が重武装の海賊に対しその任務を全うできる保証はないと考えたからではないのでしょうか。ソマリア沖における海賊重武装の現実を受けて取りまとめられた法案内容、一方で武器使用の可能性はほとんどないという総理の楽天的な御認識、この両者の矛盾は深く大きく、そして危ういと言わざるを得ません。総理、防衛大臣、武器使用の可能性についての明快な御見解を求めます。
 さて、我が国会は、武器を所持し、他者に意志を強制し得るという自衛隊の本質にかんがみ、これまでその活動に様々な制約を課してまいりました。それらを一覧すれば、自衛隊が武器を使用する可能性とその活動が国民の権利を制約する可能性に応じて国会関与の程度が決められていることが分かります。以下、順を追って指摘いたします。
 まず、自衛隊の防衛出動の場合。これは武器使用の可能性が高く、国民の権利を制約する可能性も高いため、事前の国会承認が定められています。次に、治安出動の場合。武器使用の可能性は高くありませんが、国民の権利を制約する可能性は高いので、国会の事後承認となっています。さらに、PKOの場合。国民の権利を制約する可能性はありませんが、武器使用の可能性は若干あるため、国会への報告のみ。次に、二〇〇二年に凍結解除されたPKFの場合は、部隊が休戦直後の現場にも立つことから武器使用の可能性が高くなるので、国会の事前承認。そして、武力攻撃事態と周辺事態の場合。いずれも武器使用、国民の権利を制約する可能性共に高いため、厳格な国会事前承認の手続が規定されています。
 さて、このように見た場合、海賊対処行動の場合には国会関与の程度をどう考えるべきなのでしょうか。武器使用の可能性が極めて高い今回のケースは、PKFの事例に準ずるべきと思われますが、果たして報告と事前承認のどちらがふさわしいのでしょうか。
 軍の活動に対する議会関与は、民主主義国においてはいずれも真摯な議論の対象となっています。例えば韓国では、憲法で国軍の外国派遣に対する国会の同意権を定め、今回のソマリア沖派遣でも、派遣部隊の規模、所要費用、期間を始め、海賊の奇襲攻撃を想定した交戦規則の整備に至るまで広範囲に及ぶ議論が国会で交わされています。その結果、同意案は賛成多数で可決されました。
 同僚議員の皆様に訴えます。
 恒久法の下、海上自衛隊による海賊対処行動が長期にわたって行われれば、将来、日本人船員が海賊に拉致されるなどの事件が発生し、自衛隊が予想外の危機に遭遇するおそれは否定できません。それでは隊員の合法的活動基盤は脆弱になります。よって、国会は、派遣の都度海賊対処行動の内容を精査し、不測の事態発生に備えなければなりません。したがって、私は、本法案を修正し、国会事前承認を規定する必要性を強く呼びかけたいと思います。
 さきに挙げた各法律で国会の事前承認が政府原案の段階から規定されていたものは、武力攻撃事態法とイラク特措法のみでした。その他の国会承認はすべて法案修正により国会の意思を反映させたものであります。本院で協議し、意思形成し、修正を図ろうではありませんか。総理大臣並びに防衛大臣にも御見解をお尋ねします。
 さて、現在、参議院議員のうち、昭和二十年以前に生まれた方は七十二名、二十一年以降に生まれた方は百七十名です。この本会議場でも戦後生まれの国会議員が多数となりました。ちなみに、最年長は昭和三年生まれの草川昭三議員、続いて昭和八年の亀井郁夫議員。一方、最年少は川田龍平、外山斎、吉川沙織の各議員でいらっしゃいます。私の計算に間違いがなければ、草川議員は終戦当時十七歳、亀井議員は十一歳でいらっしゃいました。シビリアンコントロールと国会関与、いずれの制約もなかった戦前の軍の暴走を知る方が少なくなられたということは、留意されていい事実かと思います。
 ところで、海賊対処においては、商船保護の目的に照らし、海自、海保の艦船行動の効率性も重視しなければなりません。私は、国会事前承認の必要性を訴えると同時に、議員として迅速な海賊対処を可能にすることにも十分留意し、法の制定と運用を行わなければならないと確信いたします。
 さて、海上において常に海賊船の見分けが付くとは限りません。そこで、海賊行為認定前の武器使用の可能性についてお尋ねします。
 本法案成立後、商船に付きまとう船に艦船隊員が乗り込み、検査を行って単なる漁船だと分かった場合、事前に行った警告射撃や船体射撃はさかのぼって違法と判断されるのでしょうか。明確な御答弁を防衛大臣にお願いします。
 続いて、艦船等が航行中に海賊行為に出会う、いわゆる遭遇型海賊への対処について取り上げます。
 本法案では、七条二項ただし書により、海上自衛隊が遭遇した際は、防衛大臣は必要となる行動の概要を総理に通知すれば足りるとされています。この報告は対処前に行われるのでしょうか、それとも対処後に行われるのでしょうか。総理にお尋ねいたします。
 最後に申し上げます。
 民主党案と政府案の最大の相違は、国会関与規定にほかなりません。海賊対処上、自衛隊でなければできない任務があるならば、国会で議論し、承認の是非を決定すべきです。議論を通して国民に包み隠さず根拠を示すことが国会の責務であります。その過程において、自衛隊の任務、規模、費用や派遣期間などがより明らかになるでしょう。さらに、それは危険を顧みず現地に赴く隊員の活動を国民が見守る契機ともなります。衆議院では加えられなかった国会事前承認規定を本院で特に検討し、法案を改善しようではありませんか。そこに国会二院制の意義が発揮されると信じます。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わります。
 なお、政府の答弁が不十分である場合は、再質問をさせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

衆 - 本会議 - 平成21年04月23日

○川内博史君 民主党の川内でございます。
 民主党・無所属クラブを代表いたしまして、まず自衛隊派遣ありきの政府提出の海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案について、反対の討論を行います。(拍手)
 民主党は、海賊行為は犯罪であり、国連海洋法条約においても、旗国主義の例外として、すべての国に取り締まりの権限が与えられており、主権の枠組みを超えて、各国が連携して対策を講じる必要があると強く認識をしております。
 特に、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策は、累次の国連安保理決議も発出をされており、各国に積極的な取り組みが要請されており、同海域に艦船等を派遣して海賊対策に係る活動を行うことは、我が国の船舶保護のみならず、国際社会への大きな貢献であると考えます。
 それがために民主党が、前国会における本院での審議の上廃案となったテロ根絶法案の中に、公海における航行の自由の確保のため国際社会の取り組みに積極的かつ主導的に寄与することを規定したところからも、皆さんにもおわかりいただけると存じます。海洋の安全を重視することについては、政府・与党に先んじて提案をしてきたのであります。
 しかるに、今回、政府から提出された海賊対処法案の中身はいかがでございましょう。法案提出の前に、本来、日本近海を想定しているはずの海上警備行動を根拠に海上自衛隊を泥縄式に派遣をしたことを初め、我が国の海賊対策は海上保安庁の任務であると知りながら、自衛隊の派遣ありきで、本当に海上保安庁では対処できないのか否かを全く検討した痕跡もないままに本法案の提出に至ったのであります。
・・・
自衛隊の対処を安易に先行させている姿勢こそが大変な問題でございまして、与党のしゃくし定規な対応は、大きな柱としての国際協力の必要性を強調するためにあえて法律事項にした民主党の姿勢に対する本質的な理解をこれまた欠いていると言わざるを得ないのであります。
 以上、民主党は、海洋国家日本の姿勢として、政府のなし崩し的な、とにかく自衛隊を派遣すればよいのだという対応にしっかりとした歯どめをかけて、本法案が真に海賊対処に役立つように、真に海賊がいない平和な海になるように、最高、最良の修正を提案し、真摯に協議を要請し行ったにもかかわらず、与党はその本質を全く理解しないままにゼロ回答であったということに抗議の意を表するとともに、修正協議の決裂を受けて、本法案には反対せざるを得ないということを申し上げ、さらに、本法案の修正は最後までシビリアンコントロールを徹底するという観点から絶対にあきらめないということを申し添えて、反対の討論といたします。(拍手)

衆 - 海賊行為への対処並びに国債テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会
平成21年04月17日

○三日月委員 民主党の三日月大造です。
・・・
 まず、幾つか確認をさせていただきますが、防衛大臣にお伺いいたします。
 今行われている海上警備行動及び、どういう内容になるかは別にしろ、海賊対処法案が成立した場合、新たに武器使用基準を定めることになるのか。現状、武器使用基準を定めてあると思うんですけれども、その確認と、法制定後の武器使用基準を定めるか否かについて、まず端的にお答えをいただきたい。
○徳地政府参考人 お答えを申し上げます。
 今、海上自衛隊の護衛艦二隻が、ソマリア沖・アデン湾に海上警備行動として派遣をされております。そして、これにつきましては、武器を使用せざるを得ない場合、自衛隊法によって準用をいたします警察官職務執行法第七条によって武器を使用することになるわけでございますけれども、当然、これにつきましては、細部の武器使用基準につきましては、部隊の判断に迷うことのないように、関係省庁と協力をして作成して示しております
 それから、新法に基づいて派遣がなされる場合にも、その新法に基づく武器使用の考え方について具体的に部隊に対して示すということと考えております。
○三日月委員 きょうは、内閣法制局長官も御出席をいただいております。
 ちょっと確認をさせていただきたいんですが、憲法九条で、「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ことになっている「武力による威嚇又は武力の行使」、この「武力の行使」に該当する場合の要件として、まず一つ、第一に、国家の物的・人的組織体が、第二に、国または国に準ずる者に対して武器を使用するという二つの要件が必要であると理解をしておりますが、よろしゅうございますでしょうか。
○宮崎政府特別補佐人 お答えいたします。
 憲法第九条第一項に規定しております 「武力の行使」とは、御指摘のとおり、基本的には我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうというふうに考えておりまして、このような武力の行使は、我が国自身が外部から武力攻撃を受けた場合を除いて禁じられているものと解しております。
○三日月委員 済みません、今ちょっと抜けていたんですけれども、それを行使する相手の部分が、国または国に準ずる者に対して武器を使用するということは要件になるんですか、ならないんですか。
○宮崎政府特別補佐人 御指摘のとおり、先ほど申し上げました場合の国際的な武力紛争につきましては、国家または国家に準ずる組織の間で生ずる武力を用いた争いをいうものであるというふうに考えてきております。
○三日月委員 せっかく法制局長官に御出席いただいておりますので、もう一点確認をいたしますが、その武力の行使に該当するか否かを判断する場合において、武器を使用する物的・人的組織体は、これは軍隊に限定されるんですか。具体的に申し上げれば、海保はそれに当たるのですか、当たらないのですか。
○宮崎政府特別補佐人 お答えいたします。
 これまでも答弁をいたしておりますけれども、一般論として申し上げますと、憲法第九条第一項に言う「武力の行使」とは、基本的には国家の物的・人的……ちょっと済みません。(三日月委員「それは前の答弁です」と呼ぶ)ごめんなさい。国家の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうというものでございますので、行為の主体が自衛隊以外の機関であるということのみをもって当該行為が我が国による武力の行使に当たらないとされるものではないと思いますので、海上保安庁もそこから排除されるものではないと思います。