民間事故調報告書→最大のリスクについての4号機について当時何が語られていたか? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

民間事故調報告書→最大のリスクについての4号機について当時何が語られていたか?

秘書です。
最大のリスクは福島第一原発4号機だったと民間事故調。
そして、米国の原子力規制委員会も同様に認識し、4号機のリスクから米国人の80キロ圏からの退避勧告になった。
しかし、当時、4号機についてそれほど重大なリスクにあったという記憶がないですね。
当時、4号機については官邸はどのように国民に報告していたのか?
政府高官の間では最悪のシナリオが口にされていた3月14,15日に、官房長官は何を国民に伝えていたのか?

まずは、気になる過去の記事より。


半径250キロ圏内を避難対象 政府の「最悪シナリオ」
2012年1月6日22時39分 朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0106/TKY201201060501.html
 東京電力福島第一原発で事故が起きた2週間後の昨年3月25日、事故が拡大すれば、東京都も含む半径250キロ圏内の住民が避難対象になるという「最悪シナリオ」を政府が想定していたことを、6日の閣議後会見で細野豪志原発担当相が明らかにした。
 シナリオは、当時首相補佐官だった細野氏が菅直人首相の指示を受け、近藤駿介原子力委員長に依頼、委員長が個人的に作成して政府に提出した。
 資料では、最悪のシナリオとして、原子炉2炉心分の1535体もの燃料が貯蔵されていた4号機の使用済み燃料プールの燃料が溶けることを想定した。プールは3月15日の原子炉建屋の爆発でむき出しになっており、さらに1号機の原子炉が水素爆発を起こして作業員が退避、復旧作業が止まると、14日程度でプールから放射性物質が大量に放出されると推定した。

→そして、民間事故調。

政府、原発の「最悪シナリオ」想定していた=民間報告書
2012年 2月 28日 15:48 JST
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_400055?google_editors_picks=true

 【東京】福島第1原発事故を調査してきた民間の「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」は、政府首脳陣が首都圏から3000万人が避難するといった「最悪シナリオ」を示された際の懸念と緊迫を浮き彫りにした。

 内閣府の近藤駿介原子力委員長が3月終盤に作成し、菅直人首相(当時)に提示したこのシナリオは、使用済み核燃料プールの崩壊を想定している。現実になっていれば、コンクリートの基盤に連鎖反応を引き起こし、大量の放射性物質が放出。その結果、首都圏を含む原発250キロ圏の住民が避難を余儀なくされていただろう。

 このシナリオは、船橋洋一理事長(元朝日新聞社主筆)率いる財団、日本再建イニシアティブが28日に発表した報告書に記載されている。

 民間事故調の委員長で科学技術振興機構の前理事長である北澤宏一氏は、事故調が菅前首相や閣僚をはじめとする政府高官など約300人に対して行った聞き取り調査の結果、これまで国民にはっきり知らされていなかった事故の詳細がわかったと述べた。

 たとえば枝野幸男経済産業相は、政府首脳陣が近藤氏の報告書の作成前から「最悪シナリオ」を懸念していたと語った。この言葉は、地震と津波による事故が悪化しメルトダウンの恐怖が高まっていた3月14、15日に、頻繁に政府幹部の口にのぼったという

 民間事故調は枝野氏の発言として、「1(福島第1原発)がダメになれば2(福島第2原発)もダメになる。2もダメになったら今度は東海もダメになる、という悪魔の連鎖になる」と書いている。同氏は「そんなことになったら常識的に考えて東京までだめでしょう」と思っていたという。

 こうした懸念のなか菅氏は、福島第1原発に関する最悪のシナリオと、住民の安全を確保するために必要な措置を報告書にまとめるよう近藤氏に指示した。菅氏に提出されたのは3月25日。政府首脳陣と当局者の懸念をおおむね確認する内容だった。

 近藤氏は同報告書で、福島第1原発最大のリスクは4号機の使用済み核燃料プールだと結論づけている。4号機建屋の上にあるプールは、水素爆発により屋根が吹き飛ばされたことから野ざらし状態だった米政府の原子力専門家も、プール内の燃料が露出し、急速に過熱するとの懸念を抱いていたが、航空写真でプールに水があることがわかり懸念は和らいでいた。しかし、近藤氏は3月終盤時点でなお、新たな水素爆発など追加的な事象でプールの底が崩壊し、燃料が危険にさらされることを恐れていた。

 北澤氏は、「情報隠蔽(いんぺい)、すなわち『国民がパニックに陥らないように』との配慮に従って行政の各階層が情報を伝えないという情報操作」があったこともわかったとしている。科学者、医師、弁護士、ジャーナリストなど30名以上からなる民間事故調は、政府の調査委が見逃したり避けたりした恐れのある事故の側面を調べる使命を帯びていた。

記者: Yuka Hayashi

→米国側が懸念していたのも4号機だった。

米原子力規制委、福島原発事故巡る記録文書公開
(2012年2月22日12時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120222-OYT1T00533.htm
 【ワシントン=山田哲朗】米原子力規制委員会(NRC)は21日、福島第一原発事故の対応を巡る議論を記録した内部文書3000ページを追加公開した。
 それによると、NRCのヤツコ委員長は、東京に派遣した職員から、4号機の使用済み燃料プールの水が喪失しているとの情報が伝えられたため、米議会で「プールの水が干上がっている」と証言。米政府は水がないことを前提に、昨年3月16日、在日米国人に対し、日本政府が出した避難範囲(半径20キロ・メートル)を大幅に上回る、半径50マイル(約80キロ・メートル)の退避勧告を出した。NRCのボーチャード事務局長も同日、ヤツコ委員長に「これがもし米国で起きたら、50マイルにするだろう」と助言したという。


東電の手に余る事態=米原子力規制委員会の日本調査団トップ
2012/2/22 17:18 WSJ
http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/9508/

米原子力規制委員会(NRC)の日本調査団責任者、チャック・カスト氏 米原子力規制当局のベテランスタッフ、チャック・カスト氏は2011年3月16日、日本に降り立った。福島第1原発の現状を把握し、その問題解決を手助けするという極めて難しい任務を負っていた。

米原子力規制委員会(NRC)の本部と現場スタッフとの電話会議の内容が21日、公表されたが、その中で主役を演じていたのがカスト氏だ。

東京に派遣されたNRC調査団を統括していたカスト氏は、ほぼ寝る間もなく、しばしば厳しいコメントを交えながら上司に東京電力の初動対応に関する報告を行った。

「東電の手には負えない状態だ。東電の手に余る事態だ」と、カスト氏は米国時間3月16日遅くにこう述べた。

カスト氏とその他米当局者は、使用済み燃料プールに自衛隊ヘリで注水するという東電の初期の試みを、最初から成功の見込みはなかったと批判した。米国時間3月17日、カスト氏は本部に「彼らのようにやみくもに解決策を講じるようなことはしたくない」と述べた。

カスト氏は、福島第1原発4号機の燃料プールの水がなくなり、放射性物質が放出される公算が大きいと繰り返し主張し、米政府が原発から50マイル(約80キロメートル)圏を避難区域に指定する上で中心的役割を果たした。

カスト氏は21日にジャパン・リアル・タイムの取材に応じ、燃料プールの水位を示す証拠として日本が唯一提示できたのは、日本サイドが引き渡しを拒んだビデオの静止画数枚だけだったと語った。静止画は燃料プールに水が光っていることを示すもののようであったが、カスト氏は納得できなかった。

「わたしは『見えない』と言ったし、実際に見えなかった」と、カスト氏は当時を思い出しながらインタビューでこう述べた。カスト氏は、燃料プールが破壊されているようみえる米国側が示した証拠の方をより信頼していた。

会議記録の中でカスト氏は「私はプールには水がないと一段と確信している。職を賭してもいい」と述べている。

2月20日、福島第1原発で原子力安全・保安院による安全検査を受ける東電当局者 最終的に日本は燃料プールには常時水があったとの結論を出した。カスト氏はその点に関して部分的に認めたものの、4号機の問題は東電がとらえているよりもずっと深刻であった可能性があると今も考えていると語った。

「結果はまだ分からない。燃料を取り出してみるまでは、何が起こっていたかは判断できない」とカスト氏は述べた。

また、燃料プールの損傷への懸念を生じさせる原因となった3月15日の4号機建屋の爆発についても、3号機の水素漏れを原因とする東電の説に疑問を呈した。

「わたしからしてみれば依然証拠がない」と、カスト氏は述べ、4号機の燃料棒の損傷が爆発の引き金となった可能性もあるとした。

カスト氏は、事故発生から10日目以降の東電の対応については、はるかに高い評価を示した。米国側は3月22日ごろからは日本政府の高官級当局者と日々の会議で連絡を取り合えるようになった。

カスト氏によると、NRC調査団は日本の事故収束に向けたロードマップ(工程表)作りを手助けし、そのおかげで、ようやく昨年12月に冷温停止状態を宣言できるまでに至った。

「彼らは一時は打ちのめされ立ち上がれないような状態だったが、再び立ち上がり、歩いたり、走り回ったりし始めた」と、カスト氏は述べた。

カスト氏は、数回にわたる短期間の帰国を除いて、2月2日まで日本に常駐し、国際原子力機関(IAEA)による日本の原子炉に対する「ストレステスト(耐性評価)」の評価を手伝った。カスト氏は先日、NRCのトップ職の1つ、リージョンIIIのシカゴ在勤の行政官に任命された。

カスト氏は今回の経験から次の教訓を学んだ。
「トップとできるだけ早く話をすること」

記者: Peter Landers


→「最悪のシナリオ」を政府高官が頻繁に口にしていた3月14、15日、官房長官会見では何が語られていたのか?

平成23年3月14日(月)午前
東京電力福島第一原子力発電所第3号炉について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/14_a3.html
 東京電力福島第一原子力発電所3号機については、昨日来、断続的に海水を炉心に注入してきたところでございます。その3号機において、先ほど11時01分、爆発が発生いたしました。爆発の状況等から見て、1号機で発生をした水素爆発と同種のものと推定されております。現地の所長と直接、連絡を取りまして確認をいたしましたが、現地の所長の認識としては、格納容器は健全であるという認識を、一番直近のところで専門家として担当している現地の所長は、本日11時30分ごろ報告をいたしております。したがいまして、放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低いと認識をいたしております。ただ、1号炉で同種の水素爆発が生じましたときと同様の放射能レベルの上昇というものは推測をされるところでございますので、現在20㎞圏内からの退避の途上であったごく少数の皆さんに、残っておられましたが、こうした皆さんに直ちに建物の中に、念のため退避をするよう指示を下したところでございます。現在、圧力容器の圧力、あるいは注水が継続をしているというデータが届けられておりまして、こうした状況が確実なデータであれば、現地の所長の報告を裏付けるものであるというふうに思っております。今、鋭意、放射線濃度など現場周辺の情報・データを収集をいたしているところでございますので、よろしければ引き続き、情報収集と分析に戻らせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。1問だけ、では、はい。


平成23年3月14日(月)午前
東北地方太平洋沖地震について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/14_a2.html

 今日はこの後、危機管理センターを主に中心となって指揮していただいてきております、松本防災担当大臣の方からも記者会見がございます。私の方からは包括的な部分の雑感と原子力発電所の件、そして、計画停電の件を中心に御報告をさせていただきます。
 まず冒頭、関係機関の情報提供の中には必ずしも適切ではない部分が見受けられます。そのために、必要以上のご不安を国民の皆様にお与えをしているのではないかと危惧をいたしております。政府の立場から、より適切にこうした点は注意するべきであると考えておりまして、こうした状況を皆様にお詫びを申し上げます。迅速に、しかし、正確な情報のみをしっかりと御報告をするようにということを、関係機関にしっかりと更に徹底して指示をしてまいりたいと思っております。東京電力福島第一原子力発電所について、保安院からの御報告と重複する部分が多いかと思いますが、私(官房長官)からも改めて御報告を申し上げます。第一原子力発電所については、本日午前1時10分に排水ピットの水量が減少したため、これを補強、補給するための措置として、1号機及び3号機の原子炉への給水を一旦停止をいたしました。その後、補給ができたことから3時20分に3号機への給水を再開いたしております。その後、本日午前6時50分、3号機の原子炉格納容器の圧力が上昇したため、東京電力は屋外作業員に対して一時退避命令をかけました。しかし、その後、格納容器の圧力が下がり、現在は屋外作業を再開しております。この間も給水は継続をいたしております。なお、1号機については格納容器圧力が安定をしており、本日1時10分の停止後、現在は状況を見ておりまして、この状況を判断しながら必要に応じて給水を再開する予定であります。
 計画停電に関連して御報告を申し上げます。本日から東京電力管内において、計画停電が実施されております。実際の電力供給のストップはありませんが、計画停電のプロセスの中に入っております。計画停電の実施は、多くの国民の皆さんに大変な御不便をかけるものであり、御不便を最小限に止めるよう、全力で取り組んでいるところでございます。この計画停電の実施に当たりましては、各方面から周知のためにできるだけ長い時間がほしいという声を多くいただいてまいりました。これを踏まえ、東京電力に対しましては電力供給予測の再精査、そして、大口需要家の皆さんに対する需要削減の更なる努力の要請を求めてきたところでございます。また、私からも本日午前5時過ぎ、改めて国民の皆さんへの節電の御協力のお願いをさせていただきました。多くの皆さんの節電への御協力の結果、現時点では電力の需給の状況から実際の送電の停止は行なわれておりません。しかしながら、そう遠くない時期に実際の電力供給のストップを実行せざるを得ないと認識いたしております。なお、計画停電に備えて鉄道の運休等がなされているのに、実際の停電が行なわれていないのでは混乱をさせただけではないかという御批判があろうかと思っております。多くの国民の皆さんに御不便をおかけする計画停電でございまして、その点についてはお詫びを申し上げ、御理解をお願いするしかないと思っておりますが、今回の事態は鉄道事業者の皆様の御理解による運休の結果として電力使用量が抑えられ、停電の実行を猶予できているという、こういう状態であると認識いたしております。逆に計画停電がなされていない、あるいは運休等がなければ、より早く電力不足の状況に陥り、何らかの形での停電に至る可能性が高まっていた、言わば裏表の関係にあるということを御理解をいただければと思っております。重ねて、計画停電については国民生活に多大な御負担をおかけいたしております。しかしながら、現実の電力供給量に限界がある中で、不測の停電という最悪の事態を防ぎ、なおかつ、可能な限りのそれに対する事前の周知、準備をお整えいただく中で、最小限に御不便を止めるための全力を尽くしておりますので、是非とも節電への御協力を始め、御理解をお願い申し上げます。


平成23年3月14日(月)午後
東京電力福島第一原子力発電所第3号炉について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/14_p1.html

 本日11時01分に爆発が確認されました東京電力福島第一原子力発電所3号機の件について御報告を申し上げます。
 皆さん、映像等をご覧になっていらっしゃる方々、大変御心配をされているかというふうに思いますが、その後入手した、あるいは確認したデータから結論を申し上げれば、先ほど申し上げたとおり、格納容器の健全性は維持されているものと思われます。格納容器の圧力は11時13分に380kPa、11時55分に360kPaで、内部圧力が安定しております。先ほどの会見で申し上げたとおり、現地所長の報告にあった健全性がある程度裏付けられたものと思います。また、放射線量のモニタリングの結果を見ますと、発電所内サービスホールで11時37分、50μSv/h、発電所正門付近で11時44分時点で20μSv/hとなっており、特段の変化は確認をされておりません。なお、若干距離のあります、約5km離れておりますオフサイトセンターの11時36分のデータも1μSv/h、昨日とほぼ同じ数値を示しておりまして、いずれも大量の放射線量を示すものではありません。なお、いずれのポイントにおいても中性子線について問題あるデータは出ていないと報告されております。また、中央制御室も維持されていることが確認されました。3号機に対する注水活動でございますが、実施中のまま作業員が退避をいたしたというのが正確な報告でございます。ただいま注水継続を目視確認するための努力、作業をどの段階でできるか、状況を把握をしているところでございます。なお、現地からは6名の負傷者が出たとの報告がございました。一部報道がありますが、東京電力の本店と現地の所長と、両名に確認いたしましたが両者からも、どちらからも行方不明の報告はございません。なお、避難の状況でございますが、先ほど「わずかな方が」という表現で報告をいたしましたが、若干、「わずかな」というのは適切でない表現であったかもしれません。12時30分現在、500名ほどの方が避難の途上にあります、20km圏内からの退避の途上にございます。以上のデータから、繰り返しになりますが、今回の事象は1号機での過日の水素爆発と同種のものと考えられ、現時点で格納容器の健全性は維持されており、放射性物質が大量に飛び散る可能性は低いと専門家を含めて認識をいたしております。先ほどの500名ほどの20km圏外への退避をまだされていない方々については、先ほど同様、屋内で待機をされるようお願いしているところでございますが、もう少しデータ等の経緯を見た上で、退避の行動を続けていただくタイミングを判断をしたいというふうに考えているところでございます。
 失礼いたしました。先ほど、オフサイドセンターの計測時刻を「11時36分」と申しましたが、「12時36分」であります。


平成23年3月14日(月)午後
東京電力福島第一原子力発電所第3号炉について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/14_p2.html

 私の方からここまでに入っております状況等について、御報告を申し上げます。まず先般から御報告をいたしております、東京電力福島第一原子力発電所3号機における水素爆発のその後の状況でございます。周囲のモニタリングを注視をしているところでございますが、今のところ特段の観測値の上昇などは見られておりません。爆発の影響で給水作業が中断をしていたところでございますが、現在、復旧に向け、努力をしているところでございます。今のところ、各原子炉のデータなどは安定をいたしておりますが、長期の給水再開に向けて努力をしているところでございます。なお、これまで給水をしておりました1号機、3号機に加えまして、2号機につきましても、3号機の爆発後、原子炉の冷却装置が停止をして、水位が低下をしつつありますので、これについても海水注入の準備を進めております。それから、この爆発でけがをされた皆さんでございますが、自衛隊関係の4名の皆さんについては、けがの程度は軽く、既に隊の方に戻られているという報告を受けております。残りの7名の東京電力関係の皆さんについては、それぞれのけがの状態はございますが、1名が重傷の模様であるものの、意識はあるという報告が初期の段階で入っておりまして、その後の新しい情報は入っておりません。それから、20km圏外への退避過程にあられた皆さんについては、屋内退避を14時12分に解除いたしまして、可能な方から移動を再開するよう促しているところでございます。

平成23年3月14日(月)午後
福島第一原子力発電所の件について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/14_p3.html

 私の方から原子力発電所の件、そして計画停電の件、それぞれ当事者である東京電力からも発表・報告がなされておりますが、細かい具体的なところは直接当事者の方からも発表されていると思いますが、私ども政府としての認識について、改めてしっかりと御報告をさせていただこうということでこの場をセットさせていただきました。
      
 まず、福島第一原子力発電所の件について御報告を申し上げます。この原子力発電所の、まず本日午前11時過ぎにいわゆる水素爆発を起こした3号機を始めとして、第一原子力発電所の各機については大変御心配をおかけいたしております。3号機につきましては、水素爆発の後も注水再開の努力を行い、8時過ぎに注水が再開をされました。第1号機につきましても同様に注水を開始いたしました。これら2つの機につきましては、本日午前11時過ぎの水素爆発によって、建物の屋根、外壁等が飛散をしていて、その取り除き作業等によって再開をするのに若干の時間がかかりまして、御心配をおかけいたしましたが、この会見場に下りてまいりますタイミングでは、注水が再開をし、水位の上昇も見られております。これによって、しっかりと冷却をするという行為が再開をいたしておりますので、この状態が続けば安定的な状況に向かっていくものと思っております。2号機につきましては、原子炉を冷却する装置が停止し、こちらも水で冷却をする、そのための作業に入っておりました。この作業については、一時、ポンプの燃料の不足等がございまして、想定より時間がかかってしまいまして、一時水位が低下して、いわゆる燃料棒のところが水面から出る状態が若干継続したものと見られております。しかし、やはり20時過ぎに、そうした問題を解決して注水を開始することができまして、水位の上昇も観測をされております。いずれも水を注ぎ込むことによって原子炉を冷却するという作業が再開をできておりますので、このままこの水を流し込む作業でしっかりと冷却を進めることができれば、安定的な状況に向かっていくものと思われますが、引き続きこうした状態を継続し、安定した状況に向かわせるべく、現地の作業の皆さんは全力を挙げていただいておりますが、安全確保に向けて最大限の努力を進めてまいります。


平成23年3月15日(火)午前
(5:35~)福島原子力発電所事故対策統合本部の設置について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/15_a.html

おはようございます。朝早くからお集まりいただきまして、大変恐縮でございます。

 先ほど総理の方から、福島原子力発電所事故対策統合本部の設置を御報告させていただきましたが、この件について私から補足的に御説明させていただきます。

 この間、福島第一原子力発電所の事故に対しましては、事業者である東京電力、そして、そこから報告を受け、必要な支援や指示を出す政府の立場とで連携をして行なってまいりました。未曾有の地震と、そして津波という事態に対して、国民の皆さんにも大変御心配をおかけする状況になっておりますが、被害の拡大を抑えるという観点から一定の対応を進めてきたところでございます。現時点では、3つの原子炉がございますけれども、1号と3号については、冷却の機能が一定の役割を果たしている。そして2号炉についても、冷却の作業は、水を入れる作業という一定の効果を上げておりますが、必ずしも安定した状態ではありません。この状態を一刻も早く安定できる状況にしていくこと。そして、まさに時々刻々変わる状況に対して、1つには、その対応を適切に行なうとともに、国民の皆さんにもしっかりと正確かつ迅速な情報をお伝えをする必要があること。こうした観点から、政府と東京電力とが場所的・物理的にも一体化し、現地の情報を同時に、一体に受け止め、それに対する対応を一体的に判断し、かつ指示を出していく。こういう態勢を取ることが、現在の状況を安定化させ、そして、事態の収束に向かわせていく上で、そして国民の皆さんの必要以上の不安を生じさせないために重要であるということを考えて、統合連絡本部を設置することといたしました。

 この対応につきましては、一例で申し上げますと、原子炉の詳細な設計図面等の基礎情報は東京電力の方にありますので、物理的な本部の場所は東京電力内に設置をいたしまして、海江田経済産業大臣、原則的にそちらで東京電力社長とともに、同時に情報を受け、そして一体となって対応方針を出していく。そして、それを菅内閣総理大臣が全体をしっかりと統一的に動かしていく。こういう体制で正確な迅速な情報を国民の皆さんにお伝えをするとともに、時々刻々と変化をする対応の一体化を進めようとするものでございます。こうした体制を確立することによって、現在の状況を安定化させ、そして、解消に向かわせていく。そうした方向への体制がより強固なものとなるものと考えております。

 なお、こうした本部の設置に対応して、政府の個別の具体的な機関をどう動かしていくのかという対応については、私(官房長官)が、ここ首相官邸の場におきまして、総理、そして、海江田経産大臣と密接に連絡を取りながら、行政関係機関等に対して指示を下していくとともに、国民の皆さんへの情報発信、説明をさせていただきます。こうした体制でしっかりと国民の生命、健康を守る。この対応をこの原子力発電所事故に対しては基より、今回の地震全体の救助、そして被災地対策を含めて進めてまいりますので、国民の皆さんにはこの大変厳しい状況の中にありますけれども、しっかりと力を合わせて、そして、この難局を乗り切っていただきますよう、御協力をお願い申し上げます。

平成23年3月15日(火)午前
(6:45~)原子力発電所の件について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/15_a2.html
 原子力発電所の件について、総理が東京電力に入りまして、改めて現状の把握を行いましたところ、先ほどの私(官房長官)の会見での時点では把握できていなかった事象が認識をされましたので、まずは国民の皆さんに速やかにご報告をさせていただこうというふうに思っております。第一原発の二号炉の中の格納容器に繋がるサプレッションプールと呼ぶそうでありますが、水蒸気を水に変える、少し出っ張っている部分だそうであります。その部分に欠損が見られている模様であると。繰り返します、格納容器に繋がるサプレッションプールと称する水蒸気を水に変える部分、少し出っ張っている部分のようであります。その部分に欠損が見られるということであります。ただし、周辺の放射線濃度の測定値は急激な上昇等は示していない。国民の皆さんの健康に被害を及ぼすような数値を示したり、急激な上昇等を示したりはしていないということであります。しかしながら、こうした事態に対して、迅速な対応を取らせていただきたいと思いますので、私自身は東電の方から総理等のご指示を受けたいと思いますので、この後戻らせていただきたいと思いますので、ご質問、1問か2問ございましたらどうぞ。

平成23年3月15日(火)午前
(11:07~)東京電力福島第一原子力発電所第4号炉について
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201103/15_a3.html
 それでは、総理からの発言に続きまして、私(官房長官)の方から若干申し上げたいと思います。今朝ほど来の、前回、私がここで会見をさせていただいた以降の主な生じている事象について、まずは御報告を申し上げます。なお、詳細な時間・数値等については、これは正確なものを東京電力において発表をさせるようにいたしたいと思いますので、全体の大きな流れ、状況について、私(官房長官)の方から御説明をさせていただきます。

 1つは、4号炉についてでございます。4号炉については、現在、火災が生じているという状況でございます。こちらの原子炉は、震災発生時において休止中の原子炉でございました。しかしながら、この間の流れの中で、炉そのものには、いわゆる燃料等はございませんが、使用済み核燃料がこの大きな意味での4号炉の中にございまして、そちらがこの間の経緯の中で熱を持って、そして、そこから水素が発生をして、いわゆる水素の爆発、これまで1号機、3号機等で生じてきたような事象が起こったものと推察をされております。現在、燃えておりますのは、その1号炉と3号炉の場合は上空まっすぐに吹き飛んだものが内側に崩れたといいますか、燃えているという状況であると推察をいたしているところでございます。なお、念のためでございますが、核燃料そのものが、いわゆる火災になるということはございませんので、この点は是非とも御理解をいただきたいと思っております。その結果としては、水素が出ている状態でありましたから、同時に放射性物質もその時点から排出をされていたものと思われますが、全体が建屋で覆われている状況ではなくなりましたので、これが大気中に出ているという状況になっております。何とか火災を早期に消火をし、あるいは鎮火をし、その上でこの使用済み核燃料の冷却を進めることで、事態を収束させたいと考えているところであります。

 一方、2号炉の方で「ポン」というような音がしたという事態が生じました。その方が時間的には30分程度遅れた6時半過ぎだったかと記憶をしておりますが、これは従来から申し上げておりましたが、2号炉については上空に穴も開いておりましたので、少なくとも大きな水素の爆発の起こる可能性は低いということを申し上げてまいりました。そうした中でありますが、小規模の水素の爆発が起こったか、何らかの爆発的事象が起こり、その結果として、これは朝の時点の丁度会見で御報告を申し上げたような圧力部分の一部が若干の破損をしたのではないかと思われております。ここから若干の放射性物質が気体として流出をしていることが推察をされている状況でございます。2号炉から煙が若干見えるというような報告もございますが、これは先ほど私が御説明をした欠損のあると思われる部分が、水と水蒸気の交換をする部分でございますので、ここから水蒸気が出ているものと推測をいたしております。

 こうした状況の中、現在、少なくとも、この会見に下りてまいります直前の情報として、1号機、2号機、3号機とも注水作業を継続いたしております。今のところ、順調に3つの原子炉とも注水が進んでおりまして、冷却の効果が生じているものと思われますが、こうした状態をどうやって維持していくのかということが、4号機との関係で、今、早急に取り組まなければならない、取り組んでいる課題でございます。放射性物質、放射性濃度の状況でございますが、若干時間が経っておりますが、10時22分時点のモニタリングの結果として、2号機と3号機の間で30mSv/h、3号機付近で400mSv/h、4号機付近で100mSv/hがそれぞれモニタリングの結果として出ております。従来の「μ」と単位が1つ違っております。従来の数値と異なりまして、身体に影響を及ぼす可能性のある数値であることは間違いありません。なお、是非冷静に受け止めていただきたいのは、これはまさに放出がされていると思われる部分近くの数値でございますので、距離が遠ければ遠いほど、この数値は落ちていくというものでございます。こうした状況の中でございますので、こうした事象の生じているプロセス、6時台の時点で、当該周辺におられた職員800名のうち、注水要員の50名を残し、一旦退避をいたしておりますが、先ほど申しましたとおり、この会見に下りてくる時点で、注水作業を続けているという報告を受けているところでございます。

 こうした残念な状況、国民の皆さんに大変御心配をおかけする状況となっておりますが、こうした事態にも備えて、20km圏内からの退避をこれまでお願いしてまいりました。更に、実際にこうした事態に陥りましたことから、更に万全を期す観点から、総理から御報告いたしましたとおり、20~30kmの圏内にいらっしゃる皆さんには、外出することなく、建物など内部にいていただきたいということをお願い申し上げます。是非その折には窓を閉めていただき、機密性を高めていただきたい。換気はしないでいただきたい。洗濯物は屋内に干していただきたい。先ほど申しましたとおり、距離が遠くなれば、それだけ放射性物質の濃度は低くなってまいります。20kmを超える地点では、相当程度薄まって、身体への影響が小さい、あるいはない程度になっていることが想定されておりますが、万が一にも備え、なおかつ、こうしたものは気象条件にも影響されますことから、こうした圏内の皆様には、こうした大気にできるだけ触れることのないよう、屋内等におられることをお願いする次第でございます


→14日の記者会見の中で、こんな発言があります。

「関係機関の情報提供の中には必ずしも適切ではない部分が見受けられます。そのために、必要以上のご不安を国民の皆様にお与えをしているのではないかと危惧をいたしております。政府の立場から、より適切にこうした点は注意するべきであると考えておりまして、こうした状況を皆様にお詫びを申し上げます。迅速に、しかし、正確な情報のみをしっかりと御報告をするようにということを、関係機関にしっかりと更に徹底して指示をしてまいりたいと思っております」

→2011年11月27日の東京新聞記事は以下のように伝えていますが、このことでしょうか?

官邸横やりで迷走 「炉心溶融」発表
2011年12月27日 東京新聞

事故発生直後、経済産業省原子力安全・保安院が「炉心溶融(メルトダウン)が起きている」と説明しながらその後、見解が二転三転したのは官邸の横やりが原因だった。
三月十二日午後二時ごろ、作業着姿で記者会見した中村幸一郎審議官は
「(1号機は)炉心溶融の可能性がある。炉心溶融がほぼ進んでいるのではないか」と説明した。
 報告書によると、中村審議官は原発周辺の放射線量上昇や、1号機が冷却機能
を失って時間がたつことから炉心溶融が進んでいると判断。会見直前に寺坂信昭院長
(当時)に報告。寺坂氏は「(事実がそうなら)そのように言うしかない」と、公表を了承した。
 その後、官邸で保安院の広報に懸念が出ており、発表前に官邸に情報提供するよう
求める声があったと知った寺坂氏は、複数いた広報担当者に「発表の際は事前に
官邸の了解を得るように」と指示した。中村審議官には人を介し、発言に気を付けるよう注意した。
 一、二時間おきに開かれていた保安院の会見はこれ以降、官邸の了解を得るため
数時間に一回に減った。広報官は中村審議官の申し出により交代。以後の広報官は
「炉心の状況は不明」などと言葉を濁し、四月まで炉心溶融を認めなかった。
 官邸は東京電力にも横やりを入れていた。東電の福島事務所は十二日夜、
報道関係者が傍聴できる会議で爆発後の1号機の写真を公表した。官邸側は翌十三日、
事前連絡なしに公表したと東電の清水正孝社長(当時)に注意。清水氏は現場に、
発表や資料の公表は事前に官邸の了解を得るよう指示した。この影響で、重要な
情報の広報が遅れた。
 十四日早朝、3号機の格納容器の圧力が異常上昇。東電は官邸詰めの社員を通じ、
発表の了解を求めた。しかし、官邸内で調整がつかず、東電は広報を見送った。この
情報は同日午前九時十五分、保安院が説明した。