福島原発についての情報公開請求に基づくWSJの記事(2月22日) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

福島原発についての情報公開請求に基づくWSJの記事(2月22日)

秘書です。
情報公開請求に基づくWSJの記事がこれです。


日本の原発事故で米の情報に混乱=NRC文書
2012年 2月 22日 9:47 JST WSJ
http://jp.wsj.com/Japan/node_396776/?tid=nuclear

 原発事故からほぼ1年たった現在、米国当局者のやりとりの模様の記録が公表され、どのようにして、使用済み燃料棒がむき出しになっているかどうかに関する少なくとも部分的に不完全な情報に基づいてこうした措置が取られたのかを、これまでになく明確に示した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルとその他の組織が情報公開法に基づいて請求したこの文書は、米原子力規制委員会(NRC)オペレーションセンター(メリーランド州ロックビル)からの、福島第1原発事故発生後10日間の関係者のやりとりを記録している。

 それによると、米国の原子力当局者は7000マイル以上離れた所で起きた危機の重大さを把握するのに苦闘し、日本側からの情報の欠如に不満を漏らし、一部のケースでは放射能リスクを評価するために独自の情報を使おうとした。

 NRCは日本が認める数カ月前に、福島第1原発は3重のメルトダウンに見舞われる可能性があることを正しく予測していた。

 しかし、避難範囲に関するやりとり―おそらくは差し迫った危機への対応におけるNRCの最も重要な役割―は、ヤツコ委員長が事故発生第1週に「戦場の霧」と呼んだところのものを示している。

 NRC当局者は当初から状況を重大に受け止め、3月12日には50マイル圏内からの避難が必要かどうか、また折に触れて、日本全体からの「全般的避難」が正当であるかどうかについても話し合った。

 NRCのボーチャード運営部長は同16日、ヤツコ委員長に対して、「これが米国での事故なら、50マイル圏内から避難する」と述べた。同委員長は、米当局者が使用済み核燃料棒を貯蔵している4号機のプールには水がなくなっていると信じていたことから、このアドバイスを受け入れた。燃料棒から放射性物質が出ないようにするには水が必要なことから、このままでは大量の放射性物質が大気中に排出される公算が大きいことになる。

 4号機は同15日に爆発した。日本にいたNRCのジョン・モニンガー氏は「この爆発でプールの壁や構造物は破壊され、水は燃料棒の底部にまで下がった。よってプールには水がなくなった」とNRCのスタッフに伝え、これがヤツコ氏に伝達された。

 ヤツコ氏はこれを受けて16日、日本の避難範囲をはるかに上回る規模での避難を勧告すると米議会に通告した。この時日本では、12マイル圏内からの避難と18マイル圏内での屋内退避が呼び掛けられていた。

 この相反する避難範囲が日本で恐怖を引き起こした。これはヤツコ氏の議会証言よりも前に日本の当局者はプールには水があるとの結論に至っていたからだ。

 モニンガー氏は続いてNRCスタッフに対して、日本の当局者は「これらの壁が破壊されれば、放射能レベルは急激に高まると信じている」と伝えた。ヤツコ氏は自分の「信頼性」を心配して、議会証言の内容を撤回すべきかどうかNRCスタッフに尋ねた。

 同氏は日本におけるNRC代表団のトップ、チャック・カスト氏に、「では現在ではプールに水がないとは考えていないのか。私が聞いていることはそういうことなのか」と尋ねた。これに対してカスト氏は「昨日5時の時点ではプールにいくらかの水があったということになるだろう」と答えた。

 しかし、その直後にカスト氏は、プールには水がないと自分が納得したいくつかの新しい情報を報告。他のNRCスタッフに対して、「私はプールには水がないと一段と確信している。建物に大きな被害が出ている。職を賭してもいい」と述べた。これはヤツコ氏に伝達され、同氏は証言内容の撤回は不要と判断した。

 記録文書ではこの情報源は明記されていないが、米国は当時原発上空に無人偵察機を飛ばしていたことを明らかにしている。

 日本は数カ月後、写真やその他の分析からプールは「ほとんど無傷」だったとの判断を下した。東京電力は12月の報告で、使用済み燃料が水に満たされていたと述べている。

 ヤツコ氏は最近、この点を認めながらも、広範な避難を命じたのには他の理由もあると指摘した。日本はその後、原発から25マイル以上離れた一部地域も含めて避難範囲を拡大した。

 福島原発とは関係はないが、同氏のNRCでの評価はしばしば極端に分かれる。NRCの4人の委員は、同氏の怒りやすく専横的なスタイルは安全を追求するNRCの使命を脅かすと話している。これに対して同氏は、自分の管理スタイルには何ら問題はないと述べた。