補習を子供の義務から子供の権利に変えては? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

補習を子供の義務から子供の権利に変えては?

秘書です。
スウェーデンでは義務教育9年で足りない子供には10年目に教育を受ける「権利」がある。
そして、その後飛び級でおいつくこともできるとか。
そろそろ、日本でも、補習を子供の権利と考えるようにしてはどうでしょうか?
同じ年に新卒者にならないとかわいそうだという発想自体が、かわいそうな状況をつくっているのではないか。同じ年に新卒者になることへの社会、企業、学校、親等こだわりが、こんな結果を生んでいるのではないか。


4人に1人「平均」分からず=ゆとり世代大学生―数学会調査
時事通信 2月24日(金)17時5分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120224-00000127-jij-soci

 入学して間もない大学1年生を中心に数学的素養がどの程度身に付いているか調べた結果、4人に1人が「平均」の意味を正しく理解していないことが24日、日本数学会の「大学生数学基本調査」で分かった。
 調査対象は、学校週5日制が導入され、学習指導要領で学ぶ内容が減らされた「ゆとり世代」の学生。同会は「科学技術立国を目指す国として由々しきことだ」と懸念している。
 昨年4~7月、国公私立48大学の1年生を中心とした5934人を対象に、統計や論理など5分野の基礎的数学力を調査。偏差値ごとに国立3、私立4の計7グループに分けて正答率を比較したほか、偏差値は関係なく学部別でも分析した。
 その結果、身長を題材に平均の定義とそこから導かれる結論を求めた設問の全体の正答率は76.0%だった。東京大など最難関国立大グループの正答率は94.8%と高かったが、偏差値50以下の私立大グループは51.2%。理工系学生でも82.0%にとどまった。
 文章を読ませて確実に言えることは何か、と論理力を問う問題の全体の正答率は64.5%。最難関国立グループは86.5%だったが、偏差値50とそれ以下の私大2グループは50%を切った。



「大学生数学基本調査」に基づく数学教育への提言
2012年2月21日 社団法人 日本数学会
http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/


「大学生数学基本調査」の狙い

日本数学会は、2011 年 4 月から 7 月にかけて全国の大学生約 6000 人を対象 に、テスト形式の「大学生数学基本調査」を行いました。目的は、高等教育を 受ける前提となる数学的素養と論理力を大学生がどの程度身につけているのか、 その実態を把握し、大学教育の改善に活用するとともに、初等中等教育に対する提言の材料とすることでした。

基本調査に至る経緯

日本数学会に所属する約 5000 名の大学教員の間では 1990 年代初頭から、大学初年次における数学の学力低下が言われていました。それを受けて日本数学会は 1994 年に大学基礎教育ワーキンググループを立ち上げ、1996 年に大学教員を対象とする「大学基礎教育アンケート調査」を実施しました。この調査 によって、 (1)読解・表現など国語力 (2) 抽象的・論理的思考力 (3)知識に対する意欲や忍耐力といった、ごく基本的な能力が学生の間で低下しつつあるという現実が浮き彫りにされました。次いで 1998 年には同ワーキンググループを解散し、代わりに設置した日本数学会教育委員会で、より広汎な数学教育全般について調査・提言を行うことといたしましたが、その後も学生の学力低下は深刻化しております。2000 年代になると多くの大学では、大学本来の数学教育を始めるための前提条件として、高校数学の補習授業を行うことが必要となりました。ここ数年に至っては多くの会員から、「入学試験や1年生の期末試験における数学の答案にまったく意味の通じないものが増え、どう対処したらよいか当惑している」という声が寄せられています。教育委員会メンバーがさまざまな大学の教員から意見を集めたところ、論理的文章を理解する力、論理を組み立て表現する力が学生から失われつつあるのではないか、との危惧が教育現場に広がっていることがわかり、今回「大学生数学基本調査」を実施することとなりました。

基本調査の内容

問題は別紙にある通り、3問からなっています。基本的に、問1は文章に含まれる論理を的確に読み取れるか、問2は論理的に正しい記述ができるか、問3は数学の基本である比例と作図を理解しているか、をテストしています。

基本調査の結果とその分析

問1では「平均の定義と定義から導かれる初歩的結論」、「少し複雑な命題 の論理的読み取り」のどちらも誤答率が高く、論理を正確に解釈する能力に問題があることを示しています。
問2。記述式入学試験を課している難関国立大学の合格者を除くと、「偶数と奇数の和が奇数になる」証明を明快に記述できる学生は稀、という結果になりました。二次関数の性質を列挙する問題では、意味不明の解答が多く、準正答のなかにも、すでに挙げた性質と重複する性質を再度挙げる解答が目立ちます。論理を整理された形で記述する力が不足しています。
問3では、平面図形を定規とコンパスで作図するということが何を意味するのか理解していない解答が多く見られました。高校までの教育で、こうしたことがきちんと教えられていない可能性もあります。
日本数学会からの提言
基本調査によって明らかとなった問題点を踏まえ、日本数学会は以下の提言をいたします。

中等教育機関に対して:充実した数学教育を通じ論理性を育む。証明問題を解かせる等の方法により、論理の通った文章を書く訓練を行う。
大学に対して:数学の入試問題はできるかぎり記述式にする。1年次2年次の数学教育において、思考整理と論理的記述を学生に体得させる。

将来へ向けて

日本数学会は基本調査の結果を会員に周知させ大学教育に活かしていくとともに、今後とも調査を継続したいと考えております。資源に恵まれず災害の多い日本は、国民一人一人の知的水準を上げなければ生き残ることができません。 数学は科学・技術を支える基盤です。また数学教育が育む論理力は、国際交渉 のなかで不可欠です。日本数学会は数学と数学教育を通じて、国民生活の向上 に寄与できることを願っております。

添付文書

1.「大学生数学基本調査」に基づく数学教育への提言(この文書のPDF版)
http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/recommendation.pdf

2.「大学生数学基本調査報告書(概要版)」
http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/report2_21.pdf

3.「大学生数学基本調査報告書(FAQ)」
http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/FAQ2_21.pdf

4.「大学生数学基本調査 正答例」
http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/answer.pdf