ブルームバーグのエコノミスト21人調査によると19人が物価上昇率などの目標には不十分と回答 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ブルームバーグのエコノミスト21人調査によると19人が物価上昇率などの目標には不十分と回答

秘書です。

日銀の物価上昇率1%という「目処」達成に、日銀の手段は適切なのか?
手段については日銀の独立性がありますので、永田町は手段についてコメントする立場にありませんが、目的と手段のつりあいがとれているのか、もっと言えば、本気で目的を達成しようとしているのか、そもそも「目途」とは何かをみるため、マーケットの声を聞いてみましょう。


日銀の金融緩和、物価1%達成には「不十分」-基金拡大や外債購入を
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZH4LB1A74E801.html
2月17日(ブルームバーグ):日本銀行がデフレ脱却へ1%の物価上昇率を目指すと宣言し、10兆円の国債買い入れ増を決定した。しかし、エコノミストの多くは今回の金融緩和では目標実現には不十分とみている。資産買い入れ等基金を一気に100兆円規模まで拡大したり、外貨建て債券の購入に踏み切ることが必要だとの指摘が出ている。

  意表を突く追加緩和により、ひとまず金融市場は株高・円安に反応した。信州大学の真壁昭夫教授は「10兆円の増額は短期的にポジティブサプライズをもたらしたことは間違いない」と指摘する。しかし、ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト21人を対象に実施した調査によると、19人が物価上昇率などの目標実現には不十分と回答した

  日銀は14日の金融政策決定会合で、これまでの「物価安定の理解」に替えて「物価安定の目途(めど)」を導入。当面、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率で「1%」を目指し、それが見通せるようになるまで「強力に金融緩和を推進していく」と表明。同時に、資産買い入れ等基金を「55兆円」から「65兆円」に拡大し、増額分の10兆円は全て長期国債を対象とすることを全員一致で決定した。

  JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「事実上のインフレ目標と10兆円の国債購入増額で、1%のインフレが視野に入る可能性は極めて小さい」と指摘する。白川方明総裁が「『目途』と『理解』という、その言葉の違いだけで、私ども自身の政策が変わるということではない」と述べたこともあり、日銀のデフレ克服の姿勢に対し、なお疑問を抱く向きもある

        2年以内の国債購入を増やしても

  モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミストは「日銀は政治圧力をかわすために取りあえず動いているものの、本気でデフレ脱却を望んでいるのかは疑問だ」と指摘。「今回、『物価安定の理解』という判りにくい表現を『物価安定の目途』と言い換えたのも、米連邦準備制度理事会(FRB)のアクションを受けて、国内の政治家が日銀批判を強めたからだ」という。

  日銀が買い入れ対象の長期国債を残存期間1-2年程度に限定していることへの批判もある。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「既に国債利回りの水準は極めて低く、今回の措置による追加的な低下余地は限られている。買い入れ対象国債の年限を2年以下に限定していることを鑑みると、なおさらそうだろう」という。

  佐藤氏も「2年物国債の金利はたかだか0.11%弱。これが日銀買い入れで下がったとしてもせいぜいあと0.01%が限度だ。0.01%の2年金利低下でデフレを脱却できるほど足元の日本経済を取り巻く状況は甘くない」と語る。

          金融政策では困難か

  今回、日銀はリスク資産などの買い入れを20兆円から30兆円に拡大したが、エコノミストの間では、いくら流動性を追加してもデフレ脱却は難しいとの見方が根強い。

  SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「包括緩和のスタートから1年4カ月も経過したが、CPIがプラスに転じたのは資源高の影響を受けた昨夏の3カ月間のみ。日銀の追加緩和による、物価押し上げの効果があるとは思えない」と語る。

  菅野氏はデフレの原因は「将来への不安を背景とする消費の低迷と企業による海外投資シフトを背景とする国内の設備投資不足」であり、政策金利が0%、長期金利が1%割れと、市場には潤沢な流動性があふれている状況では、「金融政策だけでデフレ脱出することは困難」とみる。

  一方、デフレ脱却の奥の手として外貨建て資産の購入を挙げる向きもある。佐藤氏は、日銀が財務省に代わって外貨の購入を行えば、介入資金を市場に放置する「非不胎化介入も可能であり、効果は大きい」と指摘。「物価低迷の主因である需給ギャップに働きかける効果も期待できる」という。

           介入は財務省の権限

  野村証券の松沢中チーフストラテジストも「海外債券の購入により円安を促進すれば、1%の達成は早まる可能性がある」とみる。しかし、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「1%を達成するためには外債購入が有効」としながらも、「政府の介入権限との関係で、日銀が外債購入を無制限に行うことはできないし、現実的な選択肢ではない」として、1%の達成は現実的に難しいとみる。

  1%の物価上昇を実現するには、資産買い入れ等基金を100兆円か、それ以上に拡大させる必要があるとの声も出ている。農中総研の南武志主任研究員は「全体で100兆円程度まで拡大する必要がある」と指摘。三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストも「為替市場の参加者は結局そういう絶対額を見ている」という。

  菅野氏は「国内の資金需要が低迷している現実を前提とすると、1%のインフレ目標へ早期に到達するために残された手段は『日銀による財政赤字ファイナンス』と『財政支出の増大』の組み合わせしかない」と指摘する。

        財政ファイナンスに一歩近づく

  2012年度予算案の新規国債発行額は約44兆円。今回の決定で日銀は年間約40兆円と、その大半の国債を買い入れることになる。菅野氏は「日銀の決定は、今後の新規発行国債のほぼ100%を日銀が購入し、しかもこの間財政赤字は増大するので、白川総裁は否定したが、日銀による財政赤字ファイナンスに一歩踏み込んだ政策と位置づけることが可能だ」という。

  菅野氏はその上で「この政策により1%のインフレ率を達成できた場合、問題は出口政策だ」という。「インフレ率が2%となることが視野に入った段階で、日銀が金融引き締め、すなわち国債購入を減額する、あるいは止めることができるだろうか。歴史を振り返ると、こうした政策は政治的な理由から選択できない可能性が高い」と指摘。この点に関する「国民的議論が必要だ」としている。

→歴史を振り返ると、高橋是清さんが暗殺されなければ出口政策はしっかりできたことでしょう。是清さんが暗殺されようがされまいが、日本政治には出口政策ができないから、デフレのほうがいい、という極一部の方の歴史観(※)は、今の長期デフレを生きている国民の犠牲に対して、あまりにも無責任だと思います。

(※)極一部の方の高橋是清さんについての歴史観

2011-07-21 07:13:00
高橋是清に暗殺後のことも責任を負わせてまで日銀引き受けを否定する極一部の論調
テーマ:秘書ひしょ
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10960220111.html