注目のワード→目標・展望・事実上のor実質的な | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

注目のワード→目標・展望・事実上のor実質的な

秘書です。

今日の金融政策決定会合で、物価目標をどう表現するかが注目です。

高橋洋一さんはツイッターに書いています。

「日銀は前から「目標」だったといい、FRBは「目標」でないと言い張るのは、酷いものいいです。中央銀行は信用されないといけないのに」
posted at2012年02月13日(月) 14:22:25

注目は、

①「目標」というのか


目標には期限と責任が伴います。「核廃絶が望ましい」のような期限を伴わない規範的宣言のたぐいで終わるのかどうか、FRBのように「長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定される」「日銀にはインフレの長期的な目標を具体的に定める能力がある」という考え方で責任を明確にするのかどうか。これは物価水準に対する日銀の責任意識の問題です。僕らには物価水準を決める能力なんてありません、ということではFRBと同じ思いなどと言えません。

②物価安定が「展望」できるまで金融緩和を続けるというかどうか

展望ってなんですかね。物価安定を展望できたら金融緩和をやめるということは、物価安定の前に予防的に金融政策を変える余地を残しているというなのでは?ハイパーインフレをフォワードルッキングして金融政策を転換するということですね。2006年の金融政策転換のように、物価上昇率ゼロの段階で金融緩和をやめて正常化することもできるようにしたいのでしょう。それをやめるのか。そうした裁量を持ちたいなら、フォワードルッキングが失敗した場合の責任をとるべきでしょう。展望を見誤りました、と。

③事実上のゼロ金利(または実質的なゼロ金利)をゼロ金利と言い換えるか


今の金融緩和政策は、完全なゼロ金利ではありません。事実上のゼロ金利とゼロ金利は違います。短資会社にとって大きな意味のあることです。ここも注目です。

為替介入にこだわるのは短資会社に日銀から天下っているからなのか(衆院本会議で柿沢未途議員)
テーマ:秘書ひしょ
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11081158793.html

物価の目安、説明見直しへ=「分かりにくい」批判受け―日銀
2012年 2月 14日 0:06 JST
http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_392123

 日銀は13日、金融政策運営の目安となる望ましい物価水準について、表現方法を見直す方針を固めた。海外の有力中央銀行が掲げている物価目標に比べて分かりにくいとの批判を受けたもので、早ければ14日の金融政策決定会合で結論を出したい考えだ。

 日銀は、政策委員が考える望ましい物価水準を示した「物価安定の理解」を公表。消費者物価指数(CPI)上昇率を「前年比2%以下のプラスで中心は1%」とし、この物価水準が展望できるまで事実上のゼロ金利政策を継続することを約束している。

 日銀は、「物価安定の理解」について、金融政策で目指す中長期的な目標としての位置付けをより明確化し、デフレ脱却への姿勢を鮮明にする。 

[時事通信社]



追加緩和の是非、慎重に検討へ…日銀決定会合
(2012年2月13日19時18分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120213-OYT1T00790.htm

 日本銀行の金融政策決定会合が13日、2日間の日程で始まった。2011年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が2四半期ぶりのマイナス成長になったことを受け、日本経済が足踏み状態にあることを確認したとみられる。

 急激な円高の進行は一服しているものの、製造業を中心に企業業績は悪化しており、日銀は追加金融緩和の是非について慎重に検討する見通しだ。

 追加緩和に踏み切る場合は、国債や社債を買い入れる基金の買い入れ額の上限(55兆円)を引き上げるとみられる。政策金利は現状の「年0~0・1%程度」を据え置いて実質的なゼロ金利政策を維持する公算が大きい。

 ただ、ゼロ金利政策を続ける期間については、より明確に説明する方法を議論する見通しだ。日銀は、これまで物価上昇率が安定的に「1%程度」になるまで続ける、と表明している。これに対して米連邦準備制度理事会(FRB)は「2014年終盤」までと明示しており、日銀の説明については「分かりにくい」との声が国会審議などで相次いでいる。

→実質的なゼロ金利とゼロ金利は違いますよ!このことは量的緩和の量にかかわり、そして、たぶん、短資会社との関係にかかわります。

目標の物価水準 どう示すか議論へ
2月13日 7時3分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120213/t10015971031000.html
13日から開かれる日銀の金融政策決定会合で、政府側は、日銀はデフレからの脱却に向け物価の上昇をより意識してほしいという見解を示す見通しで、会合では、金融政策で目指す物価の水準を分かりやすく示す方法について意見を交わすものとみられます。

日銀は、現在のゼロ金利政策を解除できるような物価水準について、「消費者物価の伸びが2%以下のプラスの領域で、1%程度が中心」となるのが望ましいとしていますが、物価の上昇率を政策運営の明確な目標には位置づけていません。
これに対し、アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会は、先月、2%の物価上昇率を金融政策の長期的な目標と明示する新しい基準を打ち出し、日銀の説明は分かりにくく、デフレ脱却を強く意識したものになっていないという批判が強まっています。
こうした状況のなか、13日から2日間の日程で開かれる日銀の金融政策決定会合で、政府側は、日銀はデフレからの脱却に向け物価の上昇をより意識してほしいという見解を示す見通しです。
古川経済財政担当大臣は、12日に放送されたNHKの「日曜討論」で、「政府と日銀は、緩やかな物価上昇を目指す政策を財政・金融両面からとっているが、国民に伝わっていない。もうちょっと分かりやすい伝え方がないのか、日銀で検討してもらいたい」と述べました。
会合では、政府の指摘を踏まえ、金融政策で目指す物価の水準を分かりやすく示す方法について意見を交わすものとみられますが、日銀内部には、金融政策が物価の上昇率にしばられれば政策運営の機動性を損なわれかねないという意見もあり、議論の行方が注目されます。

→このニュースでは、ゼロ金利の前に「事実上の」「実質的な」がなく、見出しが「目標の物価水準」として大きな意味で物価目標の中に物価安定の理解が入ることを示唆しています。

→最後に、日銀の円高についての認識について、昨年11月20日の読売新聞の日銀総裁インタビューを思い出しましょう。小見出しには、「超円高にはメリットも」とありましたね。

2011-11-20 09:44:00
日本再生のカギは日銀法改正にあり←11.24シンポジウム、自民・民主の元総理も立ち上がる!
テーマ:秘書ひしょ
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11083776788.html

(日銀総裁)「メリットを実感しにくいのは、内需型産業などに元気がなく、円高のメリットを生かし切れていないからだ」

(日銀総裁)「なお、海外進出は、基本的には需要の伸びる海外市場に対応するための企業戦略であり、そうした大きな流れの中で、為替相場の動向は進出のタイミングに影響を及ぼす。、2000年代半ばにかけて円安に振れた影響もあって国内回帰が起こった後だけに、足もとの円高の進行により企業の戦略が再び海外進出に戻るのだとすると、それだけ調整負担は重くなる。」

(日銀総裁)「これだけの金融緩和にもかかわらず、日本の物価があがらないのは、低成長が長く続き、将来の所得が増える期待が小さいからだ。問題の本質は、労働力の減少と生産性の伸び悩みによって低下している成長力を、どう高めるかにある。体温を上げるには基礎体力を高める必要があるのと同じだ」 

→この認識こそ、徹底的に国会で論戦すべきでしょう。この認識を野田首相が共有しているのか。そうすると、野田首相がいうところの、円高の克服、デフレの克服の、克服の意味は「デフレに耐えろ、円高に耐えろ」ということになりますね。上記の日銀の円高・デフレ論と野田政権の問題意識が全く一致しているという前提で、野田政権が2011年10月21日に閣議決定した『円高への総合的対応策~リスクに強靭な経済の構築を目指して~』を読みなおしてください。
http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2011/1021_endaka_saishu.pdf
 具体的対応策は、
  
  円高による痛みの緩和
  リスクに負けない強靭な経済の構築
  円高メリットの徹底活用


 つまり、円高が前提じゃないですか!政府・日銀は確信犯的な円高路線であり、ただ急激な変化は為替介入する、というだけでは?そして、おまけとして、その介入資金は借金として積み上がり、増税キャンペーンに使われる・・・