これで増税の合意形成ができるのか。(中川秀直) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

これで増税の合意形成ができるのか。(中川秀直)


朝日新聞の世論調査で、内閣支持率は前回調査(12月10~11日)に比べ2ポイント減の29%に、不支持率は4ポイント増の43%、民主党支持率は1ポイント減の19%となった。

なぜ内閣支持率が反転上昇せず、逆に2ポイントも下落し、危険ラインの30%を割り込んだのか。その理由は、次の2つの設問の回答にある。「野田首相は、消費税引き上げの前に、国会議員の定数削減や、公務員の人件費削減を実施する考えです。野田首相は、こうした削減ができると思いますか。できないと思いますか」の回答は、できる19%、できない67%となっている。。

もう1つは「消費税を引き上げる場合には、景気の状況を考慮する必要があると思いますか」で、必要があるが80%、必要ない17%といなっている。

また、今朝の産経新聞に、田村秀男編集委員が「名目成長4%の脱デフレ条項を 消費増税災厄を避けよ」と書いている。田村氏はこの文の中で以下のように述べている。

「野田氏は深刻化する超円高デフレにお構いなく、消費税引き上げ法案という爆弾を抱え、いわば「自爆」してまで増税を実現する覚悟だというわけだが、国民が自爆の道連れにされてはかなわない。」
「(大和総研のリポートによると)子供が2人いる年収500万円の標準世帯では消費税分16万円など負担増で可処分所得が約31万円も目減りする。」
「少子高齢化が進み具合からみて、いずれ消費増税はやむをえないとしても、財政収支均衡化は脱デフレなくして達成できない。社会保障財源と財政健全化の同時達成のためには適正な物価の上昇と経済成長が欠かせないことを、政治家は再認識してほしい。」
「野田首相が本気で「日本再生」を達成したいなら、消費増税の発動条件として、名目成長率4%以上を明記した脱デフレ条項を盛り込むべきだ。」
「野田首相が耳を貸さなければ、与党内の批判勢力も政権奪回をめざす自民党も、明確な脱デフレ条項条件付きの消費増税法案を逆提案すればよい。政局の道具にするだけではなんにもならない。」

名目成長率4%以上を明記した脱デフレ条項を盛り込むことは、増税についての合意形成の上で極めて重要なポイントである。

今回の内閣改造で、財政再建には脱デフレが不可欠の条件となっていることの良き理解者も入閣している。今後の動向に注目したい。
(1月15日記)


(参考)朝日、共同、読売、日経(13,14日)、新報道2001(12日)の世論調査の結果

<朝日>(数字は%、<>内の数字は全体に対する比率、丸カッコ内の数字は12月11,12日の前回調査の結果)

1、野田内閣を支持しますか。支持しませんか。

支持する 29(31) 支持しない 47(43)

1、それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」29%、右は「支持しない」47%の理由)

首相が野田さん 22<6> 1<0>
民主党中心の内閣 22<7> 38<18>
政策の面 22<7> 38<18>
実行力の面 20<6> 38<18>

1、いま、どの政党を支持していますか。

民主19(20) 自民18(16) 公明1(2) 共産1(2) 新党きづな0(-) 社民0(0) みんな3(4) 国民新0(0) 新党大地・真民主1(-)    たちあがれ日本0(0) 新党改革0(0) その他の政党1(1) 支持政党なし44(50) 答えない・分からない12(5)

1、野田首相のこれからの仕事ぶりにどの程度期待しますか。(択一)

大いに期待する 8
ある程度期待する 35
あまり期待しない 42
まったく期待しない 15

1、野田内閣の改造についてうかがいます。野田首相は、参議院で問責決議を受けていた、一川保夫防衛大臣と山岡賢次消費者担当大臣を退任させました。野田首相のこの人事を評価しますか。評価しませんか。

評価する 51 評価しない 28

1、野田首相は、民主党の岡田克也さんを副総理に起用し、税と社会保障の一体改革や行政改革を担当させることにしました。野田首相のこの人事を評価しますか。評価しませんか。

評価する 50 評価しない 33

1、政府は、社会保障の財源にあてるために、消費税を2014年4月に8%に、2015年10月に10%に引き上げる案をまとめました。この政府の案に賛成ですか。反対ですか。

賛成 34 反対 57

1、野田首相は、消費税引き上げの前に、国会議員の定数削減や、公務員の人件費削減を実施する考えです。野田首相は、こうした削減ができると思いますか。できないと思いますか。

できる 19 できない 67

1、消費税を引き上げる場合には、景気の状況をどの程度考慮する必要があると思いますか。(択一)

大いに必要がある 32
ある程度必要がある 48
あまり必要はない 13
まったく必要はない 4

1、野田首相は、消費税を引き上げる法案を国会で成立させる前に、衆議院を解散して、総選挙を実施するべきだと思いますか。その必要はないと思いますか。

実施するべきだ 49
その必要はない 38

<共同>(数字は%、カッコ内は前回1月7,8日調査)

問1、野田首相は内閣を改造しました。あなたは、この内閣を支持しますか、支持しませんか。

支持する35・8(35・7)、支持しない47・8(50・5)、分からない・無回答16・4(13・8)

問2、(問1で「支持する」と答えた人に聞く)支持する最も大きな理由を1つだけお答え下さい。
首相を信頼する22・4(15・6)、民主党、国民新党の連立内閣だから8・4(5・1)、首相に指導力がある2・2(1・9)、経済政策に期待できる3・2(8・0)、外交に期待できる0・0(1・6)、政治改革に期待できる6・2(6・0)、税制改革に期待できる8・3(9・4)、行政改革に期待できる5・5(2・8)、他に適当な人がいない41・8(47・1)、その他1・6(1・6)、分からない・無回答0・4(0・9)

問3、(問1で「支持しない」と答えた人に聞く)支持しない最も大きな理由を1つだけお答え下さい。

首相が信頼できない7・2(9・8)、民主党、国民新党の連立内閣だから11・9(15・2)、首相に指導力がない15・1(13・2)、経済政策に期待が持てない20・6(24・3)、外交に期待が持てない5・5(4・8)、政治改革に期待が持てない11・9(9・2)、税制改革に期待が持てない10・5(9・6)、行政改革に期待が持てない6・0(4・8)、首相の人柄が好きになれない2・0(2・9)、その他8・2(5・2)、分からない・無回答1・4(1・0)

問4、あなたは、どの政党を支持しますか。

民主党19・3(20・7)、自民党19・6(22・4)、公明党2・7(3・7)、共産党3・0(3・1)、新党きづな0・1(-)、社民党0・7(0・9)、みんなの党6・3(6・0)、国民新党0・2(0・4)、新党大地・真民主0・2(0・4)、たちあがれ日本0・8(1・0)、新党日本0・0(0・1)、新党改革0・1(0・2)、その他の政党・政治団体0・4(0・6)、支持政党なし43・6(38・5)、分からない・無回答3・0(2・0)

問5、野田首相は内閣改造で岡田民主党前幹事長を副総理兼一体改革・行革担当相として起用しました。あなたは岡田副総理に期待しますか。

期待する59・4、期待しない37・7、分からない・無回答2・9

問6、野田首相は参院で問責決議を受けた一川防衛相と山岡消費者行政担当相を内閣改造で留任させませんでした。あなたは、この人事を評価しますか。

評価する67・1、評価しない21・8、分からない・無回答11・1

問7、あなたは改造内閣が優勢して取り組むべき課題は何だと思いますか。2つまでお答え下さい。

景気・雇用対策30・8、年金制度改革など社会保障27・0、税金の無駄遣い一掃など行財政改革43・7、消費税増税など税制改革16・7、天下り禁止や給与削減など公務員制度改革23・7、国会議員の定数削減24・1、政治とカネの問題7・0、外交や安全保障8・0、その他4・4、分からない・無回答1・8

問8、東日本大震災から10カ月が過ぎました。あなたは野田首相の震災復興の取り組みについて評価しますか。

大いに評価する2・6、ある程度評価する33・6、あまり評価しない45・1、全く評価しない16・9、分からない・無回答1・8

問9、政府、与党は社会保障と税の一体改革大綱素案に「消費税率引き上げまでに国会議員の定数削減と国家公務員の給与削減に取り組む」と明記しました。あなたは消費税率を引き上げる場合、これらが実現しなければ増税すべきでないと思いますか、実現しなくても増税してよいと思いますか。

実現しなければ増税すべきでない79・5、実現しなくとも増税してよい17・2、分からない・無回答3・3

問10、野田首相は、すべての物品の関税を原則撤廃する環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加に向けた事前協議のための準備を進めています。あなたはTPPに参加した方がよいと思いますか、思いませんか。

参加した方がよい41・2、参加しない方がよい40・6、分からない・無回答18・2

問11、あなたは、次の衆院選の比例代表ではどの政党に投票するつもりですか。

民主党20・3(20・5)、自民党24・8(27・5)、公明党3・5(4・2)、共産党3・6(3・5)、新党きづな0・1(-)、社民党1・1(0・7)、みんなの党8・9(8・3)、国民新党0・2(0・5)、新党大地・真民主0・2(0・4)、たちあがれ日本0・9(0・9)、新党日本0・0(0・1)、新党改革0・0(0・1)、その他の政党・政治団体0・7(0・7)、分からない・無回答35・7(32・6)

<読売>(数字は%、カッコ内は前回12月10,11日調査結果)

1、あなたは、野田内閣を支持しますか。

支持する37(42)、支持しない51(44)、その他6(8)、答えない6(6)

1、今、どの政党を支持していますか。

民主党25(22)自民党17(19)、公明党3(2)、共産党2(2)、社民党1(1)、みんなの党4(4)、国民党0(0)、たちあがれ日本0(0)、新党日本0(0)、新党改革0(0)、その他の政党1(1)、支持政党なし45(47)、答えない2(1)

1、野田首相は、社会保障と税の一体改革を進める態勢を強化するとして、内閣改造を行いました。今回の内閣改造を評価しますか。

評価する35、評価しない49、答えない16

1、岡田克也さんが、副総理で、社会保障と税の一体改革を担当する大臣に起用されたことを、評価しますか。

評価する52、評価しない35、答えない13

1、田中直紀さんが、防衛大臣に起用されたことを、評価しますか。

評価する19.評価しない51、答えない30

1、政府・与党が、年金など社会保障制度の財源として、消費税率を2014年4月に8%に引き上げ、2015年10月に10%にまで引き上げる案をまとめました。この案に、賛成ですか、反対ですか。

賛成39、反対55、答えない6

1、【前問で賛成と答えた人だけ】賛成の理由を、1つだけ選んで下さい。

社会保障制度が安定するから26、財政再建につながるから22、国民が広く薄く負担すべきだから31、無駄な予算の削減には限界があるから17、その他0、答えない3

1、【前問で反対と答えた人だけ】反対の理由を、1つだけ選んで下さい。

景気に悪影響を与えるから11、無駄な予算の削減が不十分だから46、家計の負担が増えるから29、民主党の政権公約の明記していないから12、その他1、答えない2

1、首相は、消費税率を引き上げる法案が成立し、引き上げを実施する前に、衆議院の解散・総選挙を行うとしています。これに対し、自民党は、法案を国会に出す前に、解散・総選挙を行うように求めています。衆議院の解散・総選挙は、どちらで行うのがよいと思いますか。

引き上げを実施する前30、法案を国会に出す前49、その他3、答えない18

1、首相は、消費税率の引き上げに関する与野党の協議を呼びかけています。自民党は協議に応じるべきだと思いますか。

応じるべきだ73、そうは思わない19、答えない7

1、首相は、自らの政策や考えについて、国民に十分に説明していると思いますか。

十分に説明している10、そうは思わない85、答えない5

1、民主党が政権公約で建設中止を掲げた群馬県の八ツ場ダムについて、政府が建設の継続を決めたことは、適切だと思いますか。

適切だ28、そうは思わない55、答えない17

1、衆議院の解散・総選挙は、いつ行うのがよいと思いますか。

できるだけ早く行う27、今年の夏までに行う22、今年の秋以降に行う11、来年夏の任期満了まで行う必要はない32、その他1、答えない7

1、次の衆議院選挙の比例代表選挙では、どの政党に投票しようと思いますか。

民主党18(20)、自民党23(23)、公明党3(2)、共産党3(2)、新党きづな―、社民党1(1)、みんなの党7(7)、新党大地・真民主0、たちあがれ日本0(0)、新党日本0(0)新党改革0(0)、その他の政党1(1)、決めていない34【37】、答えない9(8)

1、大阪市の橋下市長が代表を務める大阪維新の会が国政に進出することを期待しますか。

期待する66、期待しない23、答えない11


<日経・テレビ東京>(数字は%、カッコ内は前回12月23~25日調査結果)

1、あなたは野田内閣を支持しますか、しませんか。

支持する37(36)、支持しない53(53)、分からない10(11)

1、あなたは今どの政党を支持していますか。

民主党28(28)、自民党29(26)、公明党4(4)、みんなの党7(8)、共産党3(4)、社民党1(1)、たちあがれ日本1(0)・・・支持政党なし20(22)

1、あなたは、内閣改造の顔ぶれを評価しますか。

評価する31、評価しない45

1、岡田克也氏を副総理に起用した人事を評価しますか。

評価する55、評価しない27

1、消費税率引き上げの時期や幅を明記した法案を3月まで国会へ提出する政府の方針を支持しますか。

支持する36(38)、支持しない53(52)

1、消費税率引き上げ方針を打ち出した野田首相の判断を評価しますか。

評価する42、評価しない46

1、消費税率引き上げの方針が公約違反だとして与野党協議を拒否している自民党の対応について、納得できるか。

納得できる30、納得できない58

1、解散・総選挙の望ましい時期は。

通常国会会期末の6月まで30、秋から年末まで14、解散を急ぐ必要はない43


<新報道2001>(数字は%、カッコ内は前回1月5日調査)

【問1】あなたは次の衆院選でどの党の候補に投票したいですか。

民主党16・4(20・4)、自民党20・6(18・8)、公明党2・4(2・8)、共産党2・6(3・0)、社民党0・6(0・4)、国民新党0・2(0・4)、新党日本0・2(0・0)、みんなの党10・4(9・4)、たちあがれ日本0・2(0・4)、新党改革0・0(0・4)、新党気綱0・0、新党大地・真民主0・0、無所属・その他5・2(4・0)、棄権3・3(2・0)、また決めていない37・2(37・8)

【問2】あなたは野田内閣を支持しますか。

支持する35・2(32・8)、支持しない59・6(61・4)、分からない5・2(5・8)

【問3】野田政権は消費税率を2014年に8%、翌2015年に10%へ引き上げる方針ですが、あなたはこれについてどう考えますか。

賛成11・4(14・0)。どちらかと言えば賛成32・0(33・8)、どちらかと言えば反対29・8(24・4)、反対24・2(25・4)、分からない2・6(2・4)

【問4】野田首相は、消費税率を引き上げる社会保障と税の一体改革について野党に事前協議を呼びかけていますが、自民・公明の幹部は現時点で与野党協議には応じない構えです。あなたはどう思いますか。

野党は事前協議に応じるべき37・8%、事前協議ではなく国会審議の場で議論すればよい35・8%、協議より解散・総選挙すべき22・0%、分からない4・4%

【問5】少子高齢化に伴って、年金・医療・介護などの社会保障費が年々膨張し財政を圧迫しています。あなたはどう考えていますか。

社会保障費を削減すべき21・8、現状の水準を保つべき48・0、社会保障費を増額すべき23・4、分からない6・8.