スイスがマイナス金利導入の可能性探る←ユーロ圏が解体された場合に備えて非常対策準備? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

スイスがマイナス金利導入の可能性探る←ユーロ圏が解体された場合に備えて非常対策準備?

秘書です。
自国通貨高を抑制するには、ここまでやる、ということで。



マイナス金利導入の可能性探るスイス、実現性薄く口先介入が目的か
2011年 12月 13日 16:25 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE7BC03E20111213?sp=true

[チューリヒ 12日 ロイター] スイス政府はフラン高抑制策の一環として、オフショアの銀行預金にマイナス金利の導入を検討する姿勢を示している。だが、実施に向けては課題も多く、実際に行動の構えを示したというよりも、フラン高抑制を目指した口先介入と言えそうだ。
スイスには債務危機に苦しむ欧州諸国から多額の資金が流入し、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が9月6日にフランの対ユーロ相場に1ユーロ=1.20フランの上限を設定するまで、フランの高騰が続いていた。

それを受けてフラン高は一服したが、スイス経済が景気後退(リセッション)入りする懸念が強まる中、政治家や関係者の間では、フランは依然として高すぎる水準にあるとして、上限の引き下げなどさらなる措置を求める声が高まっている。

ビドマーシュルンプフ財務相は先週、そうした訴えに対応し、オフショア預金への課税などを含む資本規制策やマイナス金利の導入について、作業部会で検討していると明らかにした。

しかし、アナリストは、マイナス金利は金融センターとしてのスイスの評価を傷つけるもので、実行は難しいと指摘。財務相のコメントはフラン相場の押し下げを狙った口先介入に過ぎないと受け止めている。

プライベートバンクであるヴォントベルのチーフストラテジスト、Thomas Steinemann氏は「マイナス金利は最後の手段だ」とした上で、「心理戦争もゲームの一部で、市場を自分の望む方法に動かすには圧力を加える必要がある」と語っている。

ヒルデブラント総裁やジョルダン副総裁らSNBの幹部は、11月初め以降、SNBが何らかの措置を講じる可能性を示唆することを通じ、フラン相場の押し下げを目指してきた。今回のビドマーシュルンプフ財務相によるコメントも、政府がフラン高抑制のため最善を尽くす方針を強調する戦略のようだ。

<実行へのハードル>

だが、スイス政府が1972年7月に資金流入抑制のため預金に対する課税策を導入した際も、大きな効果はなかった。むしろ、1978年に対独マルク相場の上限を設定した時の方が、フラン高抑制に成功した。
SNBのヒルデブラント総裁も、スイスへの資本流入は多くがデリバティブを通じたものであるため、マイナス金利はフラン高を抑える効果をさほど期待できない、との認識を示している。

サラシンのエコノミスト、Ursina Kubli氏は「(マイナス金利は)魅力的なアイディアだが、それほど簡単ではない。1970年代と異なり、現在はグローバル化が進んでおり、実行するのははるかに困難だ。スイスの銀行センターとしての評価も損なわれる恐れがある」と懸念している。

SNBのロート前総裁も2009年に、いかなる資本規制を導入しても、フランの取引がスイス当局の手が及ばない海外に逃げるだけで、逆効果になりかねないとの見方を示している。

スイスのシンクタンク、アベニール・スイスによると、現在はフラン取引の約60%が海外で行われている。東欧諸国の住宅ローンも多くがスイスフラン建てとなっているが、それはスイスの銀行が提供したものではない

しかも、預金に対する課税策は世界最大の金融センターであるスイスの地位を損ないかねないとして、UBS(CSGN.VX: 株価, 企業情報, レポート)やクレディ・スイスUSBN.VXなどが強硬に反対を唱えている。

アベニール・スイスのバイスディレクター、Boris Zuercherも「それは金融センターの『死』を意味する」と警告する。

また、預金税導入に必要な銀行法改正を行うには議会の承認が必要だが、直接民主制を採用するスイスでは、その手続きに長い時間がかかる。

ユーロ圏の債務危機に出口が見えない中、ビドマーシュルンプフ財務相は、ユーロ圏が解体された場合に備えて非常対策を準備していると明らかにした。万が一そういった事態が起きれば、SNBが設定したフラン相場の上限は維持不可能となり、実際にマイナス金利の導入を迫られかねない。

(Catherine Bosley記者;翻訳 長谷部正敬)