日本経済を悪化させる増税推進派こそ無責任政治そのものである。(中川秀直) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日本経済を悪化させる増税推進派こそ無責任政治そのものである。(中川秀直)


東京新聞に三浦耕喜氏の「野田政権100日」「安全運転もう限界?」「増税に民主反発、問責で野党と溝」という記事が出ている。この中で、三浦氏は野田首相の『安全運転』路線はもはや限界に近づいており、「安全運転からギアチェンジ」(官邸筋)して強気路線に転じるとの予測もあると指摘している。

野田首相の強気路線を支えるのは、増税でぶれない姿勢を『日本の財政史上で画期的』と評価する官僚たちであろう。今や、野田政権は増税推進勢力と官公労の2つの軸によって支えられる政権であり、公務員ボーナスを増額して増税に突き進む以外に政権維持の方法がないのだろう。

その官僚たちは、自民党が最終的には消費増税法案に賛成するとの情勢予測を伝えているのではないだろうか。ねじれ国会の現状を考えると、野田首相が増税強行を決断する際、自民党が消費増税法案に賛成する見通しがなければ、強気路線に転ずることはできない。自民党内の一部に、民主党に増税をやらせて話し合いで衆議院を解散すればいいという声もあるようだ。こうした声が官僚を通じて野田首相に伝わり、強気路線につながっているのかもしれない。

自民党がよく考えるべきなのは、民主党にとって有利な時以外、野田首相が衆議院の話し合い解散に応ずることはありえないということだ。民主党内でも「消費増税は政権公約違反だ」という声がでている消費増税法案に自民党が加担して成立することになった場合、国民は自民党をどうみなすか。

消費増税に関して、景気が悪化すれば税率引き上げを凍結する『景気条項』導入で妥協する動きが出るだろう。多分、政府の解釈によっては不況のどん底でも増税ができるような曖昧な表現になるだろう。こんな「毛ばり」条項に騙されて、日本経済を底割れさせることは、無責任政治そのものである。

消費増税で日本経済が悪化しても、増税推進派は欧州危機のせいで自分たちは悪くないと、決して結果責任をとらないだろう。これは、今さえ良ければいいという無責任政治そのものである。

(12月11日記)