「負担増・給付減」か「更なる増税」かという袋小路(中川秀直) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「負担増・給付減」か「更なる増税」かという袋小路(中川秀直)

民主党内の議論で、厚生労働省が示した消費増税の前提となる社会保障改革案の「負担増・給付減」に異論が続出し、消費増税論議が遅れる見通しとなったようだ。

政府・与党が6月にまとめた一体改革成案では、社会保障充実を3・9兆円とし、負担増・給付減で1・2兆円を捻出し、それに消費税率1%強の2・7兆円を充てるとなっている。負担増・給付減の1・2兆円が捻出できなければ、消費税率引き上げは5%を超える仕組みになっている。

民主党議員は、「負担増・給付減」か「更なる増税」か、という袋小路に追い込まれている。

このような袋小路の入り口は、「社会保障と税の一体改革」という問題設定の仕方そのものにある。この問題設定では、最後は「負担増・給付減」か「更なる増税」かに追い込まれる。

2006年の財政再建指針である「骨太の方針2006」は、「経済財政一体改革」だった。経済成長による自然増収を活かし、歳出の無駄に聖域を設けることなく切り込みを行なった。この方針に基づき、名目成長率4%を続けることができたならば、社会保障充実のための制度改革を議論する余裕も出てきていたことだろう。

民主党は、経済成長に冷淡な態度をとり、「社会保障と税の一体改革」という問題設定を受け入れた段階で、「負担増・給付減」か「更なる増税」か、という袋小路に追い込まれるのは時間の問題だった。

民主党は意思決定できずに結局、政府にサジをなげ、野田政権は来春以降、国民を「負担増・給付減」か「更なる増税」か、という袋小路に追い込むことになるだろう。

(12月8日記)