97年消費増税の教訓―野田首相が橋本首相からアドバイスを聴けないことが残念でなりません | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

97年消費増税の教訓―野田首相が橋本首相からアドバイスを聴けないことが残念でなりません

秘書です。

(消費増税を)デフレ不況が続く中で実施すれば、日本経済が沈没する

そうです、家計も大変です。デフレで給料はのびない、物価は消費税分だけあがる。消費は落ちる(女性の6割が消費増税に反対するのは当然です)。翌年の税収は落ちる・・・こうして、97年増税失敗の繰り返し。増税をした人の満足感と人事評価以外には何も残らない。そして、橋本首相同様、野田首相の「後悔」が残ることでしょう。野田首相が橋本首相からアドダイスを聴けないことが残念でなりません。橋本首相がご存命なら、なぜ97年増税に失敗したのか、誰が何を首相に伝え、何を伝えなていかったのかを教えてくれたことでしょう。


社会保障と税、一体改革 消費増税 「景気弾力条項」が焦点
産経新聞 12月6日(火)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111206-00000088-san-pol

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 ■数値目標、政府後ろ向き

 野田佳彦首相は5日開いた政府・与党による「社会保障改革本部」の初会合で、消費税率引き上げの具体論の年内取りまとめを指示した。野党だけでなく与党内にも増税反対論は根強い。経済情勢に応じて引き上げを停止できる「景気弾力条項」の導入や低所得者対策の充実で反対派を説得したい考えだが、取りまとめは一筋縄ではいきそうもない。

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 増税反対派の最大の論拠は、「デフレ不況が続く中で実施すれば、日本経済が沈没する」というものだ。このため、政府・民主党は、「景気弾力条項」を設けることを検討している。ただ、野田首相や財務省にとって悲願である消費税増税の手足を縛られることになるため、成長率など具体的な数値目標を明記することには後ろ向きだ。反対派との調整が難航するのは避けられない。

 6月にまとめた一体改革の政府・与党案では、消費税率について、「2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げる」と明記した。

 政府内では平成25年に第1弾として3%引き上げ、27年に2%を引き上げる案が有力だ。五十嵐文彦財務副大臣は先月の講演で、「25年10月以降に1回目の引き上げをして7~8%にする。残りの2~3%を27年4月か10月に上げることになる」と述べ、個人的見解として具体的なスケジュールに言及し、安住淳財務相から注意された。

 ただ、欧州債務問題に端を発した世界的な経済危機が現実味を帯びるなか、増税時期をあらかじめ確定することには、「景気後退と重なる最悪のタイミングになる恐れがある」(民主党議員)と反発が強い。

 25年1月からは、東日本大震災の復興財源を賄う所得税増税も実施されるため、「ダブル増税」で消費マインドが大きく冷え込む恐れがある。

 弾力条項については、消費税増税を念頭に「23年度末までに必要な法制上の措置を講じる」と定めている改正所得税法の付則で、「経済状況の好転」を条件として明記している。また、6月の政府・与党案では経済状況の好転について、(1)名目・実質成長率など種々の経済指標の数値の改善状況を確認しつつ、総合的に判断する(2)予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとする-と規定した。

 このため、年内にまとめる大綱の素案でも、何らかの弾力条項が盛り込まれるとみられる。民主党内では成長率のほか、消費者物価指数などの数値目標設定を求める声が出ている。

 これに対し、民主党税制調査会の藤井裕久会長は当初、政府の新成長戦略で掲げる実質2%の国内総生産(GDP)成長率を条件にする考えを示していたが、ここにきて、「条件というのは間違い」と、トーンダウンしている。

 「あくまで反対派を説得するための手段である条項に縛られたくない」という本音が透けて見える。

 だが、増税を強行し、デフレ不況が深刻化すれば、「結局、税収も減り、財政再建も頓挫しかねない」(民間エコノミスト)。 実効性のある弾力条項を盛り込むことは不可欠だ。

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 ■低所得者対策 軽減税率の導入困難

 消費税増税に対する国民の不満を和らげる上でも、低所得者対策が今後の議論のカギを握る。ただ、欧州で広く導入されている食品など生活必需品への軽減税率は設けない方針。消費税の納税分の一部を所得税から控除したり、給付金を支給したりする「給付付き税額控除」も、平成25年10月以降の第1弾の増税時には、導入が間に合わない。政府はまず基礎年金の給付の上積みなどで対応したい考えだ。

 消費税は食料品や交通費など節約が難しい生活必需品全般にかかり、支払う額も所得水準では区別されない。このため、低所得者は高所得者に比べて負担感が重くなる「逆進性」の問題が指摘されている。

 第1弾の増税時には、低所得者には基礎年金を加算したり、生活保護費を上乗せしたりするなど、既存の社会保障制度の枠内で対応する方針だ。

 一方、給付付き税額控除については、古川元久経済財政担当相は、「税率10%にする際には間に合わせたい」としており、27年4月以降の増税第2弾で実施することを明言している。

 所得税額から一定額を控除するほか、納税額が少なくて控除しきれない人や所得税を払っていない低所得者には、給付金を支払う制度だ。ただ、導入には、対象者の所得を正確に把握できる「共通番号制度」が不可欠。番号制度の創設は早くとも27年1月までかかり、増税第1弾には間に合わない。

 また、食料品のほか、新聞や書籍など生活必需品の税率を下げる軽減税率の導入を求める声もある。

 ただ、英国では温かいテークアウト食品は標準税率だが、スーパーの総菜は軽減税率にするなど、線引きが複雑なうえ、高所得者も恩恵を受ける。

 欧州を中心に低所得者対策を導入している国のほとんどは、税率が20%前後で、10%の日本には必要ないとの指摘もある。ただ、政府は増税実現には、「何もしないわけにはいかない」(五十嵐文彦財務副大臣)との立場だ。

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 □社保改革厚労省案「検討」ずらり

 ■歳出削減「骨抜き」避けられず

 厚生労働省が5日にまとめた社会保障制度改革案には、ほとんどの歳出削減項目に「引き続き検討」という表現が並ぶ玉虫色の内容となった。この案をたたき台に民主党が素案を策定する予定だが、多くの議員が給付カットに慎重な姿勢を示しているだけに、さらに骨抜きになるのは避けられない見通し。毎年1兆円超のペースで増加する社会保障費を抑制し、制度を安定的に維持するという改革の理念は色あせつつある。

 「できるだけ6月の一体改革成案の枠組みを守った案を提示してほしい」

 改革案策定に向け、小宮山洋子厚労相はこう事務方にハッパをかけてきたが、目新しいのは、生活保護制度見直しに向け、「生活支援戦略」(仮称)策定方針を明示したことぐらい。国民負担と直結する年金、医療、介護などの大型案件では、負担増への「踏み込み不足」が目立った。

 5日の野田佳彦首相の指示を受け、民主党の「社会保障と税の一体改革調査会」(会長・細川律夫前厚労相)は7日から議論を始め、年内に一体改革素案を取りまとめる方針だが、道は険しい。党内には次期衆院選を見据え、国民負担増につながる制度改革への反発が強いからだ。同調査会では、厚労省の改革案と、党厚労部門会議(長妻昭座長)がまとめたワーキングチーム案をたたき台とする段取りだが、さらに骨抜きになる公算が大きい。

 厚労省案は医療費の窓口負担に100円を上乗せする制度も「来年の通常国会への法案提出に向けて引き続き検討する」と明記したが、長妻氏は早くも「党内の議論では非常に難しい方向性になっている」と先送りする考えを表明。70~74歳の医療費窓口負担を2割に引き上げることも党側は凍結を求めており、先送りされる公算が大きい。