テレ朝系モーニングバードが明らかにした民主党原発行政にお済付きを与える有識者会合運営の問題点 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

テレ朝系モーニングバードが明らかにした民主党原発行政にお済付きを与える有識者会合運営の問題点

秘書です。
今朝のテレ朝系モーニングバードで、原発コスト問題についてとりあげていました。

インタビューで出演したのは、

①エネルギー・環境会議に設置された「コスト等検証委員会」の大島堅一立命館大教授
②原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の伴英幸氏
③そして元改革派官僚の古賀茂明氏

この番組で明らかになったのは、民主党政権では原発行政に批判的な有識者をごく少数、有識者委員会に入れることで反原発世論に対応する姿勢をみせながら、実際の委員会運営においては、自民党政権下において伝統的な事務局主導の有識者会議運営で、原発行政に反対する少数派意見を封じこむ手法を用いることで封印し、政府の原発行政に対して、原発行政に批判的な有識者も含めてお墨付きを与えたかのような形をとることです。

菅前首相が遠い将来の脱原発を掲げたことで自民党よりは原発に慎重と思われている民主党政権において、原発行政な批判的な有識者をいれた会合のお墨付きを得た形をとって、原発行政を推進していく。そんな構造がみえてきます。有識者会議に参画した原発行政に批判的な有識者の責任は極めて重いものとなります。今後の動向に注目しましょう。

ここで、番組を視聴したみなさんのために、参考資料をまとめておきましょう。


原発コスト 異論次々
2011年11月16日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011111602000024.html?ref=rank

 政府のエネルギー・環境会議に設置された「コスト等検証委員会」が十五日開かれ、東京電力福島第一原発の事故を受けた原発の発電コストについて議論した。国の原子力委員会は事故によるコスト上昇分を一キロワット時当たり最大一・六円と試算したが、議論ではさらに高くなるとの指摘が相次いだ。各エネルギー源で原発が一番安いとしてきた政府の根拠は揺らいでいる。 (関口克己)

$中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba
(東京新聞より引用)

 検証委では原子力委の鈴木達治郎委員長代理が試算を報告。政府がこれまで原発の発電コストとしてきた一キロワット時五・三円に、事故で最大一・六円が加わる可能性を示した。
 これに対し、大島堅一立命館大教授は「試算では除染費用が過小に評価されている」と、コスき上げるよう求めた。
 除染をめぐっては、環境省は放射線量が五ミリシーベルト以上の地域の費用を二〇一二年度までに約一兆一千億円と見込んでいる。だが、試算では、国が除染の対象に含めている一~五ミリシーベルト未満の地域の除染費用や、汚染土の中間貯蔵施設の建設費用を度外視。関連する行政費用も盛り込んでいない。
 議論では、試算で原発一基当たりの事故発生率を「五百年に一回」と「十万年に一回」が記されたことも争点になった。
 京都大原子炉実験所の山名元教授は「事故を起こさない安全強化が前提だ」とした上で、国際原子力機関(IAEA)が安全目標とする「十万年に一回」を主張した。これに対し、独自のコスト計算を行う経営コンサルティング会社「A・T・カーニー」の笹俣弘志氏は「十万年に一回とは国民が批判する(虚構の)安全神話。この数字を出せば、検証委の信頼を損なう」と反論した。
 一方、政府はこれまで発電コスト試算で、原発の稼働率を60~80%と想定してきたが、検証委では、実態を考慮して10%とした場合の計算を行う案が了承された。各電力会社が事故後に実施した追加の安全対策については、最新型の原発一基当たりで百九十四億円との試算も示された。
 検証委では議論を重ね、年内に原発を含めた各エネルギーのコストを取りまとめる。


プレスクラブ (2011年11月15日)
識者委員会が原発コストをめぐり対立
エネルギー環境会議のコスト等検証委員会第4回会合
http://www.videonews.com/press-club/0804/002154.php
 福島第一原子力発電所の事故を受け、新しいエネルギー政策を策定する作業が進んでいるが、その一環として行われている電源種別の発電コストを検証する識者の会議が15日開かれ、原発のコストの試算をめぐり意見が対立した。
 この日開かれたエネルギー環境会議の第4回コスト等検証委員会では、原子力委員会から今回の事故によるコスト上昇分を1キロワット時当たり1.6円とする試算が報告された。これに対し、大島堅一立命館大教授は除染費用が過小に評価されているとしてし、コストの見積もりを引き上げるよう求めた
 大島氏らの反論にもかかわらず事故コストをキロワット時あたり1.6円とする案が検証委の答申で採択されれば、政府がこれまで原発の発電コストとしてきた1キロワット時あたり5.3円に、今回の事故コスト分の1.6円を加えた6.9円が、原発の発電コストとして認定されることになる。しかし、大島氏らはそもそもこれまでの政府の原発コストの試算も、揚水発電や土地の収容費用、使用済み核燃料の処理コストなどが含まれていないため、安すぎると反論している
 また、今回の事故費用の試算には、今後広い地域で健康被害を受けた被害者たちが起こすことが予想される損害賠償請求の賠償金額も、含まれていない。
 除染コストについては、政府が5ミリシーベルト以上の地域の除染費用を約1兆1千億円と見込んでいることから、今回の委員会の事故のコストにもその数値が含まれているが、この試算には5ミリミリシーベルト未満の地域の除染費用や汚染土の貯蔵施設の建設費用などは含まれていない。事故コストを試算する原子力委員会の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会では、事務局が事故の賠償コストを3.8兆円と提示したことに対し、一部の委員が反発。委員の一人伴英幸原子力資料情報室事務局長は、事故コストは48兆円にのぼるとの試算を提示したが、最終的に委員会が3.8兆円案を採用したために、今回のキロワット時あたり1.6円という数字が決まった
 検証委では11月25日に再度原発コストを議題に議論を続ける予定。


議事次第 第4回 コスト等検証委員会平成23年11月15日(火)の大島委員御提出資料
原子力のコストに関する 質問事項(抜粋)
大島堅一
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20111114/iinsiryo.pdf

除染費用について(1)

•土地家屋の財産価値の損害賠償額として、除染費用が考慮されていると書かれている(第2回小委員会議事録、p.10)。

•だが、ここで含まれるとされる除染費用は、以下の3点で過小評価されている。

1.財物価値を固定資産税評価額とすることによる過小評価がある。(スライド1のとおり)

2.農地は時価以上の除染が認められる(中間指針p.31)。つまり農地の除染費用が過小評価されている。

除染費用について(2)
3.そもそも、政府の方針では、一定水準以上の被曝の可能性がある場合(1ミリシーベルト以上)に除染するという考え方をとっている。つまり、環境の質が基準となっている。したがって、原子力委員会による試算は現在の政府の方針に準じていない。東京電力経営・財務委員会報告書(および中間指針)によるのではなく、国の方針に基づき、概算すべきではないか。環境省では除染面積の推計が行われているから、面積あたり単価をかければ概算は可能である。
※5ミリシーベルトで1兆1000億と試算(環境省)
※報告書(p.91)は「財物価値の喪失又は減尐等」で5707億円と評価。したがって、最低でも2分の1に過小評価している。

行政費用について

•最終的に東京電力が賠償することになるのであろうが、国に追加的な行政費用が発生している。

•その額は、23年度補正(2次)1554億円(補償金除く)、23年度補正(3次)3294億円、24年度概算要求4492億4900万円の合計1兆540億4900万円に上っている。(※補償契約や損害賠償仮払金等は除く)

•今回の事故により、行政費用も顕在化していることから、行政費用も事故コストに含めるべきではないか。

再処理費用に関する質問(1)

•MOX使用済燃料を再処理、でてくるプルトニウム燃料をまた再処理するという無限リサイクル(第1回小委員会議事録、P.20)は現実的なのか。

•無限にリサイクルと言っているが、2回目以降の再処理施設の扱いや再処理される燃料のフローの内容が把握できないので、示していただきたい。(第3回小委員会資料、p.7)

•再処理のコストに関する年度展開のグラフがある(第3回委員会資料1-1,p.11)が、計算式や仮定、費用の内訳を示していただきたい。(現状モデル、再処理モデル、直接処分モデルのそれぞれについて)。

•計算過程が全くなく検証できないので詳細を示していただきたい(第3回委員会資料1-1、p.11以降)。

•感度分析1.5倍は上限と考えてよいか。ラ・アーグのケースの当初見積もりと実際の価格の差をみれば現実的な価格になるのではないか。

–MOX燃料加工施設の建設費はすでに1200億円から1900億円に上昇、つまりすでに1.5倍以上になっている[第3回小委員会資料1-1,p.17]。

•第3回小委員会資料1-1,P.25のFaの中身の説明をしていただきたい。

•第3回小委員会資料1-1,P.31の直接処分の試算モデルはどのようなものか。

•再処理によって得られるMOX燃料の量と価値をしめしていただきたい。

•再処理の電源三法交付金の額について計算根拠を示していただきたい。

再処理費用に関する質問(3)

•過去のフランスやイギリスの再処理等の工程における事故事例および事故の損害状況について整理していただきたい。

•実際の積立金には保険料が含まれるが、コスト試算の中では保険料積み立てを想定していないようことが、第3回小委員会で指摘されているようである。コスト試算において、保険料を加えるべきであるし、保険料率がいくらかなのかも明記すべきではないか。

→エネルギー・環境会議コスト等検証委員会は、原子力委員会に(1)原子力発電の核燃料サイクル費用の算出、(2)原子力発電の将来リスク対応費用の算出を依頼。そして、原子力委員会は、原子力発電・核燃料サイクルの総合評価に資するデータ等の整理を行うことを使命とする「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」を9 月27 日に設置。そして、以下の見解をまとめました。

核燃料サイクルコスト、事故リスクコストの試算について(見解)
平成23 年11 月10 日
原子力委員会
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20111114/siryo3-1.pdf


原子力委員会(以下、「委員会」という。)は、原子力発電・核燃料サイクルの総合評価に資する
データ等の整理を行うことを使命とする「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」(以
下、「検討小委」という。)を9 月27 日に設置し、委員会がエネルギー・環境会議コスト等検証委
員会から依頼された(1)原子力発電の核燃料サイクル費用の算出、(2)原子力発電の将来リス
ク対応費用の算出を付託した。検討小委は、10 月11 日より4 回の会合を開催してこれらについ
て検討を進めてきた。本日、委員会は、その結果について添付資料とともに以下のように報告を
受けた。

(1) 原子力発電の核燃料サイクル費用の算出について
モデルプラント(120 万キロワット、過去7 年間で建設された軽水炉プラントを基準)
に係る核燃料サイクルコストを試算した結果、割引率3%のケースにおいては、軽水炉使
用済燃料を全量再処理する再処理モデルが約2 円/kWh、軽水炉使用済燃料の直接処分モ
デルが約1 円/kWh である(表1、表2)。
使用済燃料の一部を中間貯蔵したのち再処理する現状モデル(再処理50%、中間貯蔵後
に再処理50%)のコストはそのほぼ中間(約1.4 円/kWh)に位置する。
前回(平成16 年)試算では、再処理モデルは試算していないため、現状モデルで比較す
ると、今回の結果は、フロントエンド側のウラン燃料コストが上昇したが、バックエン
ド側で再処理時期を3 年から20 年としたことによる現在価値換算の結果、コストが多少
低くなった。
感度解析の結果、核燃料サイクルコストを支配するコスト成分は再処理コストとウラン
価格であり、埋設処分コストはそれほど大きな影響力をもたない。
再処理を行う場合では再処理等及びMOX 燃料の単価が1.5 倍になると、核燃料サ
イクルコストが約20%上昇する。直接処分を行う場合ではウラン価格が2 倍になる
と、核燃料サイクルコストが約35%上昇する。

(2) 原子力発電の将来リスク対応費用の算出について
将来リスク対応費用として事故リスクコストを算出した。事故リスクコストの試算とし
ては、モデルプラントについて、まず単位発電量当たりの事故による損害期待値(=損
害費用×事故発生頻度[1]/総発電電力量)を試算した。
[1] 一年あたりの事故発生確率
損害費用は、現在までに公表され検証可能なデータとして、東京電力に関する経営・財
務調査委員会報告書を参考として、モデルプラントに換算して約5 兆円と仮定した。た
だし今回の事故損害額も今後さらに増加する可能性があり、それに応じて損害額の見直
しが必要である

事故発生頻度については意見が分かれた。今後建設を想定するモデルプラントのコスト
を算定するとの前提からはIAEA の安全目標である1×10-5/炉年に基づき試算すべきと
の意見があったが、この目標を達成しない限り既存の原子炉の稼働を認めないことを前
提にすべきとの指摘があった。
一方、我が国において約1,500 炉年の運転経験で3 つの過酷事故を経験したことから、
こうした事故の発生頻度を2×10-3/炉年に基づき試算すべきとの意見があったが、これ
は今回事故以降に施される安全対策を考慮しないことを前提にしているので、この数字
をモデルプラントの事故発生頻度とするのは現実的ではないとの指摘がされた。
試算の結果、稼働率80~60%の条件で、前者では0.006 円~0.008 円/kWh、後者では
1.2 円~1.6 円/kWh の範囲となった(表3)。
また、損害保険料が将来リスク対応費用に該当するのではないかとの指摘があった。 し
かしながら、原子力事故のように大数の法則に乗らない「極めて稀な事象で巨大な損害」
をもたらす対象に対しては、実社会において損害保険は成立していない(例:船舶油濁
損害賠償保障法)。
そこで、米国プライスアンダーソン法の考え方に倣い、事業者負担の上限を定め、事業
者間相互扶助の考え方に基づいて事故リスクコストを試算した。
その結果、総損害額を5~10 兆円、支払期間を40 年とし、国内の原子力による発電電
力量で除した場合、0.45 円/kWh~0.89 円/kWh となった(表4)。
以上の報告内容を、当委員会は適切と考える。なお、この結果を利用する際には以下の点に留意
することが適切である。
核燃料サイクルを含めた原子力発電に関する今後の方針の検討に際しては、現実的な前
提のもと、政治・経済情勢の影響及び技術開発の動向も含めた総合的な観点での議論が
必要である。
試算結果のみならず、前提条件、計算手法などすべて公開し、透明性の高い検証可能な
議論とすること。特に試算された将来リスク対応費用は、短期間の検討結果であるから、
不確実性の高いものであることを明記すること。なお、計算手法も合わせて提示してい
るので、前提条件を変えての再試算も可能である

将来の電源選択の参考としては、モデルプラントにおける発電コスト試算がふさわしく、
その場合は同じ条件で利用されうる電源を同じ条件で比較することが望ましいことを明
記すること。例えば、原子力発電に事故リスクコストを含めるのであれば、他の電源に
ついても将来リスク対応費用を試算して含めるべきであること。
事故リスクコストの算定に当たっては期待値の考え方が基本であると考える。これに使
う事故発生頻度については、表3のように日本が最低限達成すべきであるIAEA の安全
目標に基づくものと、世界及び日本の原子力発電所の運転経験に基づくものがありうる
が、その利用に当たってはその数値の持つ意味を勘案し、慎重を期すべきと考える。
一方、原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)などの国際的な動向を考えると、
相互扶助の考え方による損害賠償制度に基づく事故リスクコストの考え方にも一定の合
理性があると考えられる。その際、民間と国の負担の考え方については検討が必要にな
る。
以 上__

→この見解をとりまとめた委員会の伴英幸氏ら少数意見は、下記の資料にあります。この少数意見は今後民主党政権のもとで消えて、数字だけが一人歩きする可能性がありますので動向に注目しましょう。

原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会 資料集3

原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会メンバーからの提出資料
平成23年11月10日
原子力委員会事務局編
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/seimei/111110_3.pdf

→この委員会のメンバーは下記の通りです。

原子力委員会技術等検討小委員会の設置について(案)
資料第3号
平成23年 月 日
原子力委員会決定
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo37/siryo3.pdf

1.目 的
原子力発電・核燃料サイクルの総合評価に資するデータの整理を行う。
2.構 成

① 委員は、原子力委員会専門委員若干名をもって構成する。(別紙)

② 小委員会の座長は原子力委員会委員長代理をもって充てる。

③ 検討課題に関して専門的知見を有する日本原子力研究開発機構等の専門家は、事務局の一員として参加し、座長の求めに応じて発言することができる。

3.整理内容
原子力委員会の指示に基づき以下の事項を整理する。

① 直接処分方法等の概念

② 原子力発電・核燃料サイクルの経済性試算

③ 原子力発電・核燃料サイクルオプション

④ その他の専門技術的な事項

4.スケジュール
第一回小委員会は10月中に開催し、整理結果を原子力委員会に適宜報告することとする。
5.運営

① 運営については、原子力委員会専門部会等運営規程(第二条第一項、第四条第一項及び第九条を除く。)を準用する。

② 構成員の過半数が出席しなければ、議事を開くことができないものとする。また、構成員の代理出席は認めないものとする。

③ 付託された事項の整理が終了した段階で解散する。

(別紙)
原子力委員会 技術等検討小委員会 構成員名簿
(座長) 鈴木達治郎 原子力委員会委員長代理
田中知 東京大学大学院工学系研究科教授
伴英幸 特定非営利活動法人原子力資料情報室 共同代表
又吉由香 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社
ヴァイスプレジデント
松村敏弘 東京大学 社会科学研究所 教授
山地憲治 財団法人地球環境産業技術研究機構 理事・研究所長
山名元 京都大学原子炉実験所教授