課長→課長の異動がなぜ「事実上の降格人事」?←国家公務員法で降任が制限されているから | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

課長→課長の異動がなぜ「事実上の降格人事」?←国家公務員法で降任が制限されているから

秘書です。

放射能汚染に関する問題の責任の取り方として、閣僚の任期中の大臣給与全額返納というのは適切な対応なのか疑問ですが、ここでは、降格人事が「課長→課長」となっていることの制度的問題について。

「課長→課長」が事実上の降格人事なんていうのは、霞が関でしか理解されないでしょう。

日本では法律上、普通の意味での降格人事ができないのです!この身分保障体系を変えようよしたのが、2009年夏の自民党内改革派の幹部公務員法制定運動であり、そして、2010年自民党・みんなの党共同提案の国家公務員法改正案(民主党等により強行否決)です。

2010-05-12 20:25:17
ついに強行採決!(動画10分48秒)
テーマ:秘書ひしょ
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/day-20100512.html

あのとき、民主党が自民党・みんなの党案に賛成していれば、せめて幹部公務員だけでも降任人事ができたはず・・・


大臣給与を全額返納=福島の土壌廃棄で―細野環境相
時事通信 11月18日(金)10時8分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111118-00000040-jij-pol
 細野環境相は18日、環境省職員が福島から送り付けられた土壌を空き地に捨てていた問題の責任を取り、任期中の大臣給与を全額返納することを明らかにした。 

環境省職員、送り付けられた汚染土を空き地に投棄
スポーツ報知 11月18日(金)8時2分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111117-00000335-sph-soci
 細野豪志環境相(40)は17日、省内で緊急会見を行い、東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染されたとみられる土壌が同省に送付され、職員が埼玉県内の空き地に投棄処分していたことを明らかにした。細野氏は「あってはならない事案」と処分を指示した総務課長を更迭。投棄された土は、この日、回収された。

 ほかに考えつかなかったのか…。環境省職員が、環境を無視した方法で汚染土を処分していた。

 同省や細野氏によると、問題の土は8日朝、宅配便で一般市民から省に送付された。段ボール箱入りで、あて名は「環境省」。土はビニール袋詰めだった。同封の紙には「福島市の自宅で採取した土であり、環境省で保管、処分されたい」との旨が書かれていた。自宅周囲の放射線量データも添付されていた。

 郵便物などを取り扱う同省官房総務課の職員が開封し、線量計で測定すると、袋に計器を接触させた状態で毎時0・6マイクロシーベルトの数値が出た。同課職員らは顧問弁護士と相談し、開封したため受け取り拒否は難しいと判断した。

 11日に弥元伸也総務課長が「送ってくる住民の気持ちもわかる。他方、その線量なら関東地方でも多くみられる低いレベル。(千葉県)柏の自分の自宅の庭で処分しようか」と課内の打ち合わせで話した。同課長は仙台市常駐で、直前に「15分間で1週間分の案件」の相談を受けていたこともあり、土については「少量かつ低線量の土という程度の認識」で判断を下したという。

 このため柏市と同方向で、埼玉県在住の同課職員が土を持ち帰り、13日に自宅近くの空き地に投棄処分した。細野氏は16日にこの事実を把握。17日朝に職員らが土を回収した。なお16日も、品名「灰」と書かれた同様の段ボール箱が届き、箱に計器を接触させた状態で同レベルの線量を計測した。これは未開封のまま。筆跡から土と同一送り主とみられるという。

 細野氏は「(投棄は)あってはならない事案。監督不行き届きがあった。対策を徹底させたい」と国民に謝罪。弥元総務課長を自動車環境対策課長に降格させる人事を17日付で発令。政務三役も含めた関係職員の処分を18日にも行う考えを示した。

 来年1月に全面施行の放射性物質汚染対処特別措置法では、除染対象地域の土壌の不法投棄を禁じており、同省では、施行後なら職員の行為は同法に抵触する可能性がある、としている。原発事故に絡む除染を担当している環境省としては、あまりにも、お粗末で無責任な対応だった。


官房総務課長を降格=職員の汚染土廃棄で―環境省
時事通信 11月17日(木)19時43分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111117-00000124-jij-pol
 環境省は17日、福島市内から同省に送り付けられた放射性物質に汚染された土壌を、職員が空き地に捨てた問題に関連して、弥元伸也官房総務課長を同日付で自動車環境対策課長に異動させる人事を発表した。事実上の降格人事となる。細野豪志環境相は自身を含めた関係者の処分も検討している。 

→なぜ、制度上、降格人事ができないのか?

国家公務員法55条は、内閣総理大臣・各省大臣に官僚の任命権があると定めています。

しかし、同法78条は本人の意に反する降任・免職を制限しています。


国家公務員法第78条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一  人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二  心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三  その他その官職に必要な適格性を欠く場合
四  官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

そして、同法58条で降任を制限しています 。

国家公務員法第58条第2項「任命権者は、職員を降任させる場合には、当該職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる官職に任命するものとする。」

だから、横移動という「事実上の降任人事」はできても、上から下への「降任人事」はできないのです。