ISD条項は「毒素条項」か?←この議論自体が「根拠のないISD怪談」なのか? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ISD条項は「毒素条項」か?←この議論自体が「根拠のないISD怪談」なのか?

秘書です。

昨日のTPP国会論戦でも話題になったISD条項。
韓国ではどのように議論されているのでしょうか?
「毒素条項」か?←この議論そのものが「根拠のないISD怪談」か?


コラム:TPP参加は避けて通れず、公平な仲裁手続き不可欠
2011年 11月 11日 10:19 JST
田巻 一彦  [東京 10日 ロイター]

http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-24100120111111?sp=true

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<TPPの性格決めるISD条項>
 しかし、一部で強い批判が出ている政府と投資家の紛争を処理する仲裁手続き(ISD条項)に関しては、今後の交渉次第で、日本国民の安全や健康が侵害されるリスクが存在すると指摘したい。TPPに入ると、政府は国内企業と海外企業を同等に取り扱う義務(内国民待遇の付与)を負う。例えば、米国企業が米国内の規制に合わせて、日本国内で事業展開しようとしたところ、日本政府が国内法規を前提に事業を認めない場合、「公正な競争が阻害された」として訴えられる可能性がある。

 このようなISDにおける仲裁機関の1つとして、世界銀行の傘下にある国際投資紛争解決センター(ICSID)を活用した手続きが、TPPにおいて想定されている。ICSIDには仲裁手続き規定があり、企業が政府を訴えた場合は、その規定に従って判断が下される。判断を下すメンバーは、企業と政府が1人ずつ推薦し、もう1人を両者の合意で選任することになっている。

 また、判断には強制力があり、上訴できないルールも明確化されている。このほか国連には、国際商取引法委員会規則というルールがあり、このルールに則って判断が下されるという選択肢も存在している。先に示した例で米企業が日本政府に勝った場合、損害賠償金を得ることができるが、日本の国内法を改正することはできない。

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歴史の分水嶺にどう立ち向かうか?  今こそ、TPPの本質を見極める
11月12日 農業協同組合新聞
http://www.jacom.or.jp/news/2011/11/news111111-15367.php

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◆投資家が国を訴える!

 これが韓国で現実になりかねない理由として、柳准教授は韓米FTAに投資家と国家の間で紛争解決手続き(ISD)条項が合意されたことにある、と指摘する。
 この条項は、かりに韓国政府が国民健康保険制度を強化する対策を打ち出した場合、米国の民間保険会社が「医療保険市場を縮小させるもので民業圧迫だ」と主張して、韓国政府に損害賠償を請求できるものだ。
 しかも提訴先は世界銀行のもとに設置されている国際投資紛争センターである。韓国で裁判を行うことはないばかりか、この提訴は韓国だけに適用されるという。
 この条項が「毒素条項」といわれるもので現在、韓国で大問題になっている。
 考えてみれば分かるようにISDは何も医療分野で提訴が可能になるだけではない。米国の投資家が不利益を被ったと判断すれば広範な分野で提訴が起きる可能性もある。
 さらに毒素条項には「非違反申し立て」条項(Non-Violation Complaint)というものもある。これは韓米FTA発動後に米国企業が期待していた利益を得られなかった場合、韓国がFTA条約に違反していなくても、米国政府が米国企業に代わって韓国を提訴できるという条項である。そのほか、韓国政府が行う何らかの規制についてもその必要性が立証できなければ、さらに市場開放を要求することができるという条項もある。

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外交部「盧政府FTA草案にもISDが含まれている」
NOVEMBER 10, 2011 04:11 東亜日報
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2011111031248
外交通商部の通商交渉本部は9日、野党が「米国の要求で、投資家・国家訴訟制度(ISD)を韓米自由貿易協定(FTA)協定文に入れた」と主張したことと関連して、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時代に作った韓米FTA草案にもISDが含まれている」と反論した。通商交渉本部は、「野党と市民団体が韓米FTAに反対する名目として掲げるISDは、FTA交渉が始まった06年、韓国と米国いずれもこの制度の必要性に共感し、それぞれの協定草案に挿入した」と明らかにした。当時、韓国が締結したすべてのFTAと多くの2国間投資協定(BIT)にもISDは含まれており、98年にスクリーンクォーター問題で中断した韓米BITでも、両者の合意事項だったため、協定文草案に含まれていたという。

そのほかの国家とFTAを締結する際に、韓国の投資家を保護するためにISDが必要だという現実論も作用した。韓米FTA交渉からISDを除けば、韓国とASEANのFTA交渉で同制度に否定的な立場を示すASEAN諸国を説得することができず、今後、そのほかの交渉でも同様のことが起こるためだ。通商交渉本部関係者は、「当時、両国がISD制度を草案に入れたのは、この制度が安全な相互投資のための基本だと考えたからだ」と説明した

このような内容は、07年7月に民主党が提出した「韓米FTA交渉結果評価報告書」でも確認できる。報告書は、「この制度のために韓国政府が投資家に提訴される恐れがあることは事実だが、外国人投資の拡大や海外進出の韓国投資企業を保護するために必要な制度であることを考慮すると、採択することが望ましい」と記されている。

さらに、通商交渉本部は、韓米FTA交渉を経て、韓国に有利な条項も多く作られたと付け加えた。米国の投資家が公共政策で被害を受けた場合に補償から除外される分野として、保健、安全、環境以外に「不動産価格安定化政策」が含まれたほか、課税措置の受け入れ除外、外国為替取り引き短期セーフガード条項の新設なども、米国が結んだ他国との協定にはない部分だ。

→この韓国に有利な条項は十分に学習する必要がありますね。

朴元淳ソウル市長、FTA問題で反対意見表明
NOVEMBER 08, 2011 08:53 東亜日報
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2011110888158

朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が韓米自由貿易協定(FTA)に、事実上反対するという意見を政府に提出した。ソウル市は7日、「朴市長名義の『韓米FTAソウル市意見書』を外交通商部と行政安全部に書面で提出した」ことを明らかにした。野党が主張するように、投資家・国家訴訟制度(ISD)の条項を再検討しなければならず、米国系の大手スーパーマーケット(SSM)の無差別進入に備え、小規模店舗のための対策づくりが必要だという内容を含んでいる。民主党と民主労働党の支持を受けて当選した朴市長が、政府と本格的に対立するのではないかという分析が出ている。料金引き上げが緊急な交通分野では、与党ハンナラ党所属の金文洙(キム・ムンス)京畿(キョンギ)知事と異なる見解を示している。

朴市長は政府に、△ISD条項の再検討、△自動車税の税率引き下げによる260億ウォン減収対策、△SSMの進入による小規模店舗保護対策、△ISD実務委員会への地方自治体の参加、の4事項を要求した。

朴市長は意見書で、「FTAが発効されれば、資本力を前面に押し出した米国の企業と政府が、韓国の中央、地方政府に対して、国際仲裁機構に提訴することができるようになることが憂慮される」と書いた。また「多くの誤訳があるうえ、さらなる誤訳の疑惑も提起されている状況下で、韓米FTAと地方自治体の自治法規の衝突についても深い検討が必要だ」と主張した。

このような要求に対して政府は直ちに反論し、不快感を示した。通商交渉本部関係者は、「朴市長の意見は、野党が根拠なく提起してきた水準であり、事実関係も合っていない」とし、「政治攻勢の主張にすぎない」と一蹴した。

2006~2010年の韓国の対米投資規模は203億ドルで、米国が韓国に投資した88億ドルの2倍を上回る。米国に進出した韓国企業が損害を被る場合、ISDを通じて米国ではなく国際仲裁機関に提訴できるので、相対的に韓国の方が有利だというのが政府の説明だ。また、SSM規制条例が無効になるという主張も根拠がないと反論した。韓国と欧州連合(EU)のFTA締結後も有効に運営されており、米国最大手の流通会社ウォルマートがすでに国内企業に押されて撤収している状況では、再び韓国市場に進入するのは無理ということだ。

行政安全部は、「FTA締結による地方税の減収分は年間1388億ウォンになるが、全額政府が補填する。ソウル市や各地方自治体にすでに通知した内容だ」と述べ、「よく知らないようだが、国家の重要政策に意見をするなら、もう少し慎重で正確でなければならない」と指摘した。

韓国地方自治学会の李周熙(イ・ジュヒ)顧問(60)は、朴市長の意見書提出について、「自治体首長が中央政府との疎通を試みたという点で肯定的であり、自治体首長が十分にできることだ。誤解があるなら、政府が十分に説明し、理解を求めればいい」と指摘した。

一方、ソウル大学行政大学院行政学科の全泳漢(チョン・ヨンハン)教授(45)は、「選出職の政治家として十分に可能だが、ソウル市を代表する行政管理者の立場としては、雇用創出に必要なFTAに反対する行動が望ましいか疑問だ」と述べた。


【社説】根拠のないISD怪談で国民を惑わすな(2)
2011年11月03日13時13分中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/229/145229.html?servcode=100&sectcode=110

ISDは韓米FTAだけにある別種でない。私たちの司法的主権を米国に丸ごと譲り渡す毒素条項ではない。米国の投資家と企業だけに有利なものではない。グローバルスタンダードだ。外国に投資した企業が現地で不利益にあった場合、国際機構の仲裁で紛争を解決できるようにした制度にすぎない。これがなければ投資家は常に不安を感じる。そのために作られたシステムだ。世界147カ国がISDを採択している

韓国もすでに40余年前にこのシステムを受け入れた。チリ、シンガポール、インドと締結したFTAにすべて入っている。FTAを締結しない日本や中国など81件の投資協定にも含まれている。国際投資紛争で米国が勝つことより負けるケースがもっと多い。米国人の対韓国投資より、韓国の対米国投資が多いため、むしろ韓国にとって利益だ。

ISDによる提訴の可能性が全くないわけではない。ただし、確率は非常に低い。準備さえ徹底的にしておけば恐れることはない。この際、韓国の制度や政策レベルを問題点がなくなるよう先進化させればよい。危機をチャンスにしようということだ。「交通事故が怖いから運転をやめよう」というような怪談に今回は絶対にだまされてはいけない。


【社説】根拠のないISD怪談で国民を惑わすな(1)
2011年11月03日13時13分 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/228/145228.html?servcode=100&sectcode=110

また怪談が飛び交っている。韓米自由貿易協定(FTA)にまつわる怪談だ。特に投資家・国家訴訟制(ISD)関連の怪談が大半だ。事実を歪曲し、偽りの主張であるにもかかわらず、惑わされる人が多い。08年のBSE(牛海綿状脳症)事態でもそうだった。当時も怪談が乱舞した。「米国人はほとんど自国産の肉を食べない」「米国人が食べる牛肉と韓国に輸出する牛肉は違う」「ラーメンのスープや化粧品、おむつでもBSEに感染する」などの話だ。事実ではないがすぐに広まり、事実と信じる国民が多かった。

今回のFTA怪談も同じだ。偽りの主張と噂だが、急速に広まっている。ネットユーザーのほか、高位公職者、国会議員、学者など事理をわきまえている人たちも積極的に加わった。「韓米FTAを締結すれば韓国の歴史と文化はなくなる」という怪談もある。米国の弁護士にスキを見せないためには言動が米国式に変わらなければいけないためという。乙巳FTAという言葉も出ている。FTAを締結すれば、乙巳条約(第二次日韓協約)当時のように米国に主権を奪われるということだ。「韓国に投資した米国企業は過ちを犯しても処罰を受けない」というあきれるような主張もある。公党の資料に堂々と載っている内容だ。私たちの実定法に反すれば、私たちの法に基づいて処罰を受けるということを知らないはずはない。「社会保険はISDの紛争対象にならない」と耳が痛くなるほど説明しても、相変わらず「米国保険会社が韓国健康保険を提訴する可能性がある」と主張する。目をつぶって耳をふさいでいる傍証だ。反米や党利党略に没頭しているという意味でもある。国益はこの人たちの眼中にはない。