欧州中央銀行の量的緩和に踏み込む可能性 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

欧州中央銀行の量的緩和に踏み込む可能性

秘書です。

欧州中央銀行も、量的緩和に踏み込んだ場合、わが国は?
もうやってます、ですまされるのか?


ECB、イタリアへの危機拡大で債券買い入れ5―6倍拡大の必要も
2011年 11月 10日 15:00 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-24099620111110?sp=true

[フランクフルト/ロンドン 9日 ロイター] イタリアに波及してきた欧州債務危機に対処するには、欧州中央銀行(ECB)が債券買い入れ規模を現在の5―6倍に拡大せざるを得なくなるとの見方が広がっている
 イタリアではベルルスコーニ首相が退陣要求を受け入れる意向を表明したものの、2月に実施される予定の総選挙まで政治的空白が生じることになる。その期間は危機に対する効果的な政治対応が期待できないため、世界各国の首脳からECBに対して積極的な行動を求める圧力が高まりつつある。

 市場関係者によると、ECBは9日もイタリアの2年および10年債を買い入れたが、イタリアの10年債利回りは危機的水準とされる7%を上回る水準に張り付いている。

 ベルルスコーニ首相の辞任表明を受け、経済改革が進むとの楽観的な見方が広がる場面もあったが、それもあっという間に打ち消される形となった。

 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)から実際に救済資金が拠出されるのは早くても12月以降になるとみられるため、市場関係者は、ECBが債券買い入れの拡大を強いられると予想している。

 ECBはこれまでにユーロ圏のソブリン債を総額1830億ユーロ購入している。

 PIMCOのシニアポートフォリオマネジャー、アンドリュー・ボソムワース氏は「必要な買い入れ額は現在の5―6倍に達するだろう。スペインやイタリア、次の標的となる恐れがあるベルギーやフランスの安定を維持するには、1兆ユーロ程度の債券購入が必要だ」との見方を示している。

 ロイター・ブレーキングビューズの計算によると、イタリア国債の利回りが9日につけたユーロ導入後最高の7.50%前後で推移すれば、イタリアは現在の対国内総生産(GDP)比債務比率を維持するだけでも6%の基礎的財政黒字が必要となる。

 さもなくば、イタリアは財政支出を著しく削減する必要が生じるが、政治的リーダーシップが期待できないことを考えれば、それは困難を伴う。
 欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)によるつなぎ融資も、ドイツによる抵抗が予想されるため実現は容易でない。

 <腰が重いECB>

 債務危機の深刻化にもかかわらず、ECBは大規模な介入に消極的なスタンスを崩していない。

 先週は債券買い入れ規模を95億2000万ユーロに拡大したが、それでも8月の220億ユーロに比べれば控えめで、イタリアに対する市場の圧力を和らげるには力不足だ。

 ECB総裁にイタリア出身のドラギ氏が就任したことも事情を複雑にしている。ドラギ新総裁が積極的な行動に出れば母国に甘いと受け止められ、ECBの独立性に疑問が生じかねないからだ。

 実際、9日にはドイツの5賢人委員会(経済諮問委員会)から、ECBが債務国の債券を買い入れれば信認失墜のリスクにさらされると警告された。

 ウェーバー独連銀総裁の辞任や、ドイツ出身のシュタルクECB専務理事が辞任を表明したことも、ECBの債券買い入れプログラムをめぐる対立が原因と考えられている。

 ユーロ圏各国の中銀総裁が参加するECB理事会では、創設後13年間で最大の内部対立が生じている。
 ドラギ総裁は就任後初めてとなった先週の記者会見で、債券買い入れプログラムは一時的な措置で、制限があるとの認識を表明。外部からの介入によって債券利回りの低下が持続すると考えるのは根拠がないと指摘した。

 だが、ECBは以前にも一線を越えた前例がある。

 ECBは当初、債券買い入れプログラムに断固として抵抗していたが、トリシェ総裁(当時)はユーロ圏各国からEFSFを設立するという言質を取ったことを受け、買い入れに踏み切った。

 イタリアに対する圧力がかなり高まっていることを考えれば、今回も同様の妥協を強いられる可能性は十分考えられる。

 <量的緩和に踏み込む可能性>

 今のところ、ECBは自身の政策について、米連邦準備理事会(FRB)や英イングランド銀行による「量的緩和」と明確に区別している。

 つまり、ECBは毎週のオペで買い入れた債券と同じ額の資金を吸収する「不胎化」を行っているため、量的緩和とは異なるという理屈だ。

 ECBが買い入れた債券を完全に「不胎化」できなかったケースはわずかしかないが、十分な資金を市場から吸収できないケースが重なれば、実質的に「量的緩和」を行っていることになる。
 ラボバンクのシニアエコノミスト、エルウィン・デ・グルート氏は、ECBはこれまでに1850億ユーロの債券を買い入れており、「不胎化」を続けるためには、残された買い入れ余力は1150億ユーロしかないと指摘、「過去2カ月の間、毎週55億ユーロ程度ずつ買い入れを続けていることを考えれば、来年第1・四半期には限界を迎えるだろう」とみている


(Paul Carrel、Ana Nicolaci da Costa記者;翻訳 長谷部正敬)