円高順応策ではなく円高是正策が必要なはずですが | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

円高順応策ではなく円高是正策が必要なはずですが

秘書です。

3次補正が衆議院本会議を通過しました。

3次補正には、円高対策として、産業の空洞化を防ぐため、企業が国内に新たな工場などを作る場合の補助金として5000億円を計上しています。

これは円高に順応するもの。

行きすぎた円高水準を是正する政策は?

海外移転加速を止めるには、円高順応策だけでなく円高是正策が必要なはずですが

政府・日銀の決心如何?現在、1ドル=77円70銭。


止まぬ円高が日本企業に迫る海外移転加速-国内空洞化の恐れ一段と
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920009&sid=aYiFC8HD0oSg

  11月9日(ブルームバーグ):歯止めの掛からない円高で日本の製造業が岐路に立たされている。すでに長期にわたる国内経済の停滞で企業は疲弊、従業員数は過去20年間に3分の1減少した。ここにきて急激に進む円高は輸出企業の為替差損を拡大し、生産立地の一段の見直しを迫る。世界第2位の経済大国の地位を失った日本の製造業の先行きには悲壮感も漂う。

  円相場の対ドル上昇率は過去5年間に50%にも及ぶ。野村ホールディングスの通貨調査担当マネジングディレクター、イェンス・ノルドビグ氏は、円相場が企業の経営判断に与える影響が格段に増しているとみている。

  日本企業は戦後最高値の更新が続く円高への対応力強化を急いでいる。トヨタ自動車は5年前に49%だった海外生産比率を58%に拡大。パナソニックは部品や資材の海外調達比率を2009年の43%から57%に引き上げる方針だ。

  「為替をチェックすると朝からいらいらしますね」-。国内有数の企業集積地である東大阪市。市役所で産業振興を担当する「モノづくり支援室」の長谷修一次長は、円相場の動きに日々、神経をとがらせている。「企業が生き残るには強すぎる水準」と不満を隠さない。

  日本と同様に自国通貨スイス・フランの上昇に悩まされていたスイスは今年9月、対ユーロ相場に上限を設定すると発表した。世界最大の食品会社、ネスレなど国内の輸出企業を保護する狙いがある。日本政府は国情の違いなどからこうした施策の導入には否定的だが、円高是正を求める圧力は強まっている。

             工場閉鎖

  東大阪市は、全国主要都市別の工場密度で全国1位。だが、工場数はピーク時から4割減少、40年前と同水準の6016に落ち込んでいる。雇用が減るとともに、同市の税収も1997年から2割減少。税収が減る中で公的債務の国内総生産(GDP)比率が200%に達する政府の状況と同じ構図だ。

  円相場の上昇に伴い国内での生産コストや人件費が割高になったのを受け、企業は生産の海外移転に注力している。日本政策投資銀行が8月に公表したリポートによると、国内設備投資に対する海外投資の比率(連結ベース)は前年度の39.5%から今年度は51.4%に上昇する見通しだ。

  日本国内で製造される5台の自動車のうち2台を占めるトヨタは今年8月、円高によって今年度の営業利益が1600億円減少するとの見通しを示した。同社は8日の決算会見で、タイ洪水の影響による生産調整を受け、今期(2012年3月期)の業績予想を白紙撤回した。

 崩壊の懸念

  トヨタ自動車の豊田章男社長は7日行われた自動車税制改革フォーラムの共同会見で、円高に関して、海外に生産が移転すると再生は不可能とし、日本のものづくりは空洞化でなく崩壊しかねないとの懸念を表明した。

  円相場は先月31日に1ドル=75円35銭の戦後最高値を付けた。今月10日午前は1ドル=77円台後半を推移している。円の対ドル相場は過去2年間に16%上昇。主要10通貨の中では最大の上昇率だ。スイス・フランが15%で円に次ぐ。円は対ユーロで同期間に25%上昇しており、こちらも10通貨で最大となっている。

  日本の隣国である韓国は昨年の年初来、円が対ウォンで13%上昇したことで、競争力を増した。韓国最大の電機メーカーであるサムスン電子の7-9月期(第3四半期)決算は、純利益が3兆4400億ウォンとなった。日本のライバル、ソニーの同四半期決算は円高を背景に270億円の純損失だった。

海外移転の加速

  歯止めの掛からない円高を背景に生産の海外移転が活発化している。エルピーダメモリは、円高進行やDRAM価格不振への緊急対策の一環として、主力の広島工場から台湾への生産移転を進めている。坂本幸雄社長は先月27日の決算発表会見で、「体制が整い次第、すぐ実行しようと考えている」と表明した。

  坂本社長によると、移転規模は直径300ミリウエハー換算で、全体の4割程度に相当する月間「5万枚レベル」を想定している。同社長は、現在の為替水準からすれば「問答無用でやらなければならない」と語った。

  パナソニックは、大阪に置く調達本部機能を12年4月より順次、シンガポールへ移す。国外からの資材調達を促進するのが狙い。また、同社の全額出資会社で、ファクトリーオートメーション(FA)事業を手掛けるパナソニックファクトリーソリューションズ(PFSC)は同月、中国・ 蘇州で新工場を稼働。同地の従業員を360人から650人に増やし、最大生産能力も月240台と3倍に高める計画だ。

  ベトナム日本商工会の小倉政則事務局長は「いったん海外に出てみると、日本の本当の問題点が見えてくる」と指摘。「根本的な問題は空洞化ではなく、日本にはこの先どう成長していくかという長期的な発想が全くないことだ」と話す。