21世紀アジアの中世化?「レッドバック・アジア」の可能性 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

21世紀アジアの中世化?「レッドバック・アジア」の可能性

秘書です。

人民元=レッドバック(赤いドル)、第二の米ドル、小米ドルの域外流通の状況は?

下記は、2009年の報告書で、数字もかなり古いものです。現状はどうなっているのでしょう?

中世、日本でもアジア諸国でも、国内で中国の貨幣が流通していました。今でいえばドル札を輸入して貨幣にしていたようなもの。さて、21世紀のアジアは人民元がアジア化するのか。すなわち、貨幣的側面におけるアジアの中世化をするのか?TPP参加是非にもかかわる問題ですね。


(財務省委託調査)中国の人民元国際化に向けた動きに関する調査
平成21年(2009年)12月
株式会社 野村資本市場研究所
http://www.mof.go.jp/international_policy/research/fy2009tyousa/2112chinatyousa_00.pdf.pdf

3.中国域外(香港を含む)での人民元の流通状況

一方、他の国々における人民元の流通量については、ベトナム約64億元(2004年)、モンゴル約8億元(2004年)(以上 劉・劉(2009))、ミャンマー50億元以上(2004年)(以上 呂(2006))等がある。その他の研究者によれば、シンガポール40億元、タイ5億元、インドネシア5億元といったイメージで、また、マレーシア、ラオス、カンボジア、北朝鮮でも流通している。最近では、ブラジルでも、中国企業による人民元建ての借入れが行われているといった話もあり(現地インタビューに基づく)、アジア地域以外にも人民元がある程度蓄積されている可能性がある。
金融当局も、主に国境貿易に起因するこれらの人民元の国外流通に関心を持っている。しかし、これらの取引は現金取引であり、上述のように流通規模も小さい。現時点では、国境貿易に関連する人民元の国外蓄積・流通は、香港における人民元とは異なり、様々な政策を考慮する上で無視しうるものであろう。

図表 中国大陸外での人民元の流通状況

【全体】人民銀行の調査によれば、2004年末時点で、中国に国境を接する国々及び香港・マカオ地域の人民元保有額は約216億元。2004年、国境を超えた人民元の流出入総額は7,713億元、ネットの流出額は99億元(*1)。

【香港】2004~2006年、①香港は累計で22億元を中国内地に送金。②内地銀行カードの香港での消費・現金引出は合計206億元。③一方、香港の銀行カードの内地での消費・現金引出は合計7.5億元。香港の小切手の内地での消費金額は1,282万元(以上*2)。(2003年11月、中国人民銀行と香港金融管理局は香港の個人向け人民元決済における業務提携に合意、2004年2月開始)。

【マカオ】(2004年11月、中国銀行のマカオ支店が個人向け人民元決算業務を開始、マカオの5銀行も人民元預金、両替、送金業務を開始)(*1)

(2004年、人民元(現金)の内地と香港・マカオ間の流通規模は約7,522億元。うち、内地から香港・マカオ地域への流出は約3,798億元、香港・マカオから内地への流入は約3,724億元(以上*1)。)

【北朝鮮】「第二の米ドル」と呼ばれる。概算によれば、人民元(現金)の流出入金額はそれぞれ約3.07億元、3.2億元。輸出における人民元決済金額は4,149万元で、輸出全体の約7.54%(以上*2)。

【モンゴル】モンゴル国内で流通している通貨の約50%は人民元であり、中国国境に接する省区では80-90%に達する。概算によれば、中国からモンゴルへの人民元流入金額は年間で約13億元、モンゴル国内の人民元保有額は約8億元である(以上*2)。

【ベトナム】主に「地下金融(非正規金融)」が人民元両替業務を行う。国境地域での「地下銀行」は600社余りで、1社当たりの人民元取引金額は年間で100万元以上。人民元は既に両国間の貿易における主要な決済通貨となった。2004年末時点で、ベトナム国内の人民元(現金)の残高は64億元に達し、海外で保有される人民元(現金)の約30%を占める(以上*2)。2004年、中国広西省・ベトナム間の小額貿易における銀行決済金額は5億2666万ドルで、うち人民元決済金額は88.18%を占める(*1)。

2004年、人民元(現金)の内地と香港・マカオ間の流通規模は約7,522億元。うち、内地から香港・マカオ地域への流出は約3,798億元、香港・マカオから内地への流入は約3,724億元(以上*1)。

人民銀行の調査によれば、2004年末時点で、中国に国境を接する国々及び香港・マカオ地域の人民元保有額は約216億元。2004年、国境を超えた人民元の流出入総額は7,713億元、ネットの流出額は99億元(*1)。

【ミャンマー】人民元は「小米ドル」と呼ばれハード・カレンシーとして使用されている。人民元の流出入は年間で数億元(以上*2)。2004年末時点で、ミャンマー国内の人民元保有額は50億元(以上*1)。

【ラオス】ラオスの東北地域では人民元でラオス通貨を代替可能。首都地域でも人民元が流通(*2)。貿易決済通貨として広く使用され、且つ外貨準備通貨でもある(*2)。

(出所)*1 (呂 2006)、*2(劉・劉 2009)より野村資本市場研究所作成


「人民元経済圏」は出現するか?
2009.1.12 チャイナネット
http://j.people.com.cn/94476/6572490.html

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人民元は長年にわたり価格の安定を保ち、東南アジア地域では日本円を抜いて「第二の米ドル」と呼ばれるようになった。中国経済の実力が急速に高まり、貿易や金融分野の開放レベルがますます向上し、金融をめぐる環境が段階的に改善されるのに伴い、人民元の地域化・国際化の条件が一層整ってきた。将来的に国際通貨システムにおける重要な通貨となることは確実で、中国もより積極的かつ主体的に国際金融システムの改革に参与するようになり、世界経済の安定的成長にふさわしい貢献をするようになることが予想される。

 2008年12月24日に開催された国務院常務会議では、広東省、珠江デルタ地域と香港澳門(マカオ)地域、広西チワン族自治区、雲南省と東南アジア諸国連合(ASEAN)との貨物貿易で、人民元決済を試験的に行うことを決定した。今回の試験的決済は規模が1千億元を超えており、限られた範囲での試験的決済ではあるが、中国政府が人民元の国際貿易決済ツール化を推進する上で、重要かつ実質的な一歩を踏み出したことを示している。
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域外で流通する人民元は300億元を上回る
2003.4.3チャイナネット
http://japanese.china.org.cn/news/txt/2003-04/03/content_2067202.htm
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中国人民銀行副行長、国家外国為替管理局の郭樹清局長はこのほど、「域外で流通している人民元はすでに300億元を上回り、周辺の国と地域に限らず、アメリカ、フランス、ドイツなどの先進諸国でも人民元の両替店がある。人民元の海外での大量流通は、中国と周辺の地域と国の経済の一体化が深まっていることの結果であり、中国の経済が持続的かつ急速に発展し、人民元の為替レートが長期にわたって安定を維持していることの結果でもある。これは、内外の中国経済、人民元に対する信頼感の現れである。このような信頼感を支えているのは、もちろん中国の外貨準備がすでに3000億ドルに達したという確固たる基盤であろう」と語っている。
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ヒラリー・クリントン国務長官のフォーリン・ポリシー誌(2011年11月号)への寄稿
http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20111104-01.html
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また米国はモンゴル、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国といった多様な国々と新たに3カ国で連携する機会も追求し始めている。さらにアジア太平洋地域の3大国である中国、インド、米国の連携と関与の強化も目指している。
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またわれわれは、先進国、途上国を問わず太平洋全域の国・地域の経済を集めてひとつの貿易圏をつくる環太平洋パートナーシップ協定(TPP)でも前進している。われわれの目標は、より大きな成長だけでなく、より質の高い成長の実現である。貿易協定には労働者、環境、知的財産権、イノベーションを保護する強力な規定が必要と考える。また情報技術の自由な流れとグリーン技術の普及に加え、規制制度の一貫性とサプライチェーンの効率性を促進すべきである。最終的には、われわれが前進したかどうかは人々の生活の質によって測られる。つまり男性も女性も尊厳を持って働き、相応の賃金を得て、健康な家庭を築き、子どもたちを教育し、自らと次世代の生活を向上させる機会をとらえられるかどうかである。質の高いTPPが今後の協定の基準となり、より広範な地域の交流、そして最終的にはアジア太平洋自由貿易圏の基盤としての役割を果たすようになることを願っている。
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