官僚主導政権による正常化が進んでいますが | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

官僚主導政権による正常化が進んでいますが

秘書です。

鳩山・菅政権は政治主導だから混迷したという誤った歴史認識が、野田政権の運営と評価に影響していますね。鳩山・菅政権は政治主導を放棄したから混迷した、と認識しないと、民主党はどんどん昔の自民党になっていきますよ。

①鳩山・菅政権は政治が官僚の実質的人事権の掌握するという真の政治主導体制を放棄する見返りとして財政当局の全面協力を得て政権基盤の強化を図った。
②政治主導は大臣一人で考えることから政務3役で考えることだけに矮小化し、世論向けには財政当局の全面支援で事業仕分けを行って政治主導のイメージを維持した。
③政務3役の思いつき発言で、政治主導はダメだというイメージが定着する。そもそも、自前のスタッフをもたない政務3役は思いつき発言になるのは当然で、官僚主導と政治家の思いつき発言は表裏一体。しかし、政治主導=思いつき発言というイメージの定着がこの2年間に図られた。
④事業仕分けによる政治主導の演出協力と政権基盤維持の見返りとして、増税に踏み込む。2009年の総選挙で民主党が打倒したはずの小泉・安倍・福田・麻生政権で常に経済財政運営の中枢で増税路線の旗振り役だった与謝野さんを菅政権が迎え入れた段階で、政権交代の意義は白紙になって、官僚主導政権に正常化されていた。
⑤こうのように政治家の思いつき発言と官僚主導の政治がすでに菅政権の時点で確立しており、現在は政治家の思いつき発言が減って、安定しているように見えるだけ。

官僚主導政権でも野田政権の支持率が高いのは、前政権の思いつき政治がひどすぎたのと、野田首相のお人柄なのでしょう。


地方分権も期待はずれ
2011年11月6日 ドクターz
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/25018

菅内閣で総務大臣を務めた片山善博元鳥取県知事が怒っている。10月25日付朝日新聞朝刊で地方分権について〈 状況証拠からすると野田内閣は「分権お休みシフト」で、あまり熱心ではない。官僚組織の要である事務の内閣官房副長官に国交省の現役次官を起用しました 〉〈 (抵抗の)頭目を起用するというのは、進める気がないということでしょう 〉とこき下ろしている。

民主党政権は地域主権=地方分権を改革の「一丁目一番地」と唱えてきたが、一向に進んでいない。改革の試金石となる国の出先機関を地方に移管する「出先機関改革」については、野田佳彦首相が来年の通常国会に法案を提出する意向を表明したが、この方針は昨年12月に片山前総務相が敷いたもの。アリバイ的に持ち出しただけで、野田首相に実現への意欲はまるで感じられない。

 実は、野田首相は出先機関改革の最大のチャンスを既に逃している。菅政権との違いをアピールするためにも、東北に東日本大震災からの復興を担う「復興院」を設置すべきだったのだ。具体的には、「東北州」を作るぐらいの意気込みで、東北地方にある国の出先機関(国土交通省の東北地方整備局と東北運輸局、経済産業省の東北経済産業局、農林水産省の東北農政局、厚生労働省の東北各県労働局など)から人間、権限、財源の「3ゲン」を東北に移管するべきだった。それだけでも8000人程度の地方移管ができただろう。

 最近、震災から7ヵ月以上も経過して、ようやく復興庁の内容が明らかになりつつある。だが、復興庁の姿は、期待された「スーパー官庁」とはほど遠い「総合調整官庁」にとどまっており、事業を進める権限は持たされない。権限がないところには財源もない。各省から派遣された役人が出身省庁の窓口の役割を果たすだけだ。これでは地方分権とはほど遠い。

 震災復興という地方分権の好機を逃した野田首相が出先機関改革のターゲットとして絞り込んでいるのが、ハローワーク(公共職業安定所)だ。ハローワークは各都道府県労働局管内に設置された厚労省の出先機関で、職員は国家公務員。野田首相は、「希望する地方自治体から順次、移管する」方針のようだ。

 ハローワークの仕事は県や市町村でも行っているので、「国と二重行政になっているのは無駄だ」という批判にこたえられる。しかも、ハローワークは約1万2000人もの職員を抱えているので、これを地方に移せれば数の見栄えもいい。政権にしてみれば、一応の仕事をしたと言えるという魂胆だ。

 ただし、厚労省は徹底抗戦するだろう。反論理由は「職安事業は国が行う必要がある」。根拠とするのが「国が公務員により運営される全国規模の職業安定機関を組織しなければならない」という国際労働機関(ILO)条約だ。アメリカなどは地方に移管しているのだが、ドイツでは国が担っているなどと好都合の例を出してくるだろう。実際、過去の民営化論はこうした理屈で乗り切った。

 ハローワークはまた、市場化テストの試練も潜り抜けてきた。市場化テストとは、公共サービスの提供主体として官と民のどちらが優れているかという官民競争入札制度のことで、民間業者の油断に乗じて勝ち残った実績があるのだ。

 厚労省はこうした解体論をはねのけてきた海千山千の官僚組織だ。覚悟の見えないどじょう総理に、役所の抵抗をはねのけるパワーがあるとは思えない。