税収弾性値について | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

税収弾性値について

秘書です。

税収弾性値問題について。


増税ありき…「税収弾性値」ゆがんだ結論
2011.10.24 ZAKZAK 高橋洋一
.連載:2011「日本」の解き方
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20111024/plt1110240826000-n1.htm

 内閣府の経済社会構造に関する有識者会議(座長・岩田一政元日銀副総裁)が17日、「インフレによる物価上昇によって名目成長率を高めて税収を増やしても財政再建はできない」とする中間報告をまとめた、という報道が新聞各紙であった。

 名目GDP成長率が1%の場合に税収が何%伸びるかを示す「税収弾性値」の過去15年間の平均が「4」であることは、元内閣府職員でOECDへの出向経験もある金子洋一参院議員らが主張していた。

 つまり、名目GDP成長率を高めれば財政再建ができるので、増税は不要とのロジックだ。これは世界的に通用するまっとうな話であるが、何が何でも増税したい政府にとっては不都合な事実であったようだ。

 毎年度の税収増加率をその年度の名目GDP成長率で割って各年度の税収弾性値を算出し、その単純平均をとればいいので、計算は簡単だ。ところが、この方法では各年度の税制改正がそのまま反映されてしまうので、税制改正なしの場合への補正が必要だった。

 その方法はそれほど難しくないが、どの時点から補正するかで答えがやや異なるので、私の場合はいつも「税制改正を織り込まず」と注記して、過去15年間の税収弾性値が4だと指摘していた。

 今回の内閣府研究会の報告書では、結論部分は「1980年代のデータから算出される税収弾性値は1・3前後である。(中略)現在の税収弾性値は1・3を下回っている可能性が高いと考えられる。したがって、高い税収弾性値を前提に、インフレや名目成長によって大きな自然増収を期待することは適当ではない」とされている。

 それを裏付ける本文15ページには、「1980年代以降を通してみた弾性値は2・41から1・61となる」とし、「回帰分析を行えば、税収弾性値はさらに低下し、(中略)1・61から1・25となる」と書かれている。

 ただし、16ページの表をみると、1981年から2009年の期間で税制改正なしの場合、税収弾性値は1・61(回帰分析を使って1・25)ではあるものの、2001年から09年の税収弾性値をみると、実績で4・04、税制改正なしでは3・13という数字もある。

 財政再建を検討する期間はせいぜい10年間である。その場合、直近の10年間の税制改正なしの税収弾性値として、有識者会議の報告書自身が認めている「3・13」をまったく無視して、「1・3を下回る」というのは妥当な結論だろうか。

 第三者の目から見れば、増税したいから結論を歪めたのではないかと思えるほど、報告書の分析と結論がずれている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)



2011-10-18 11:50:00
2001-2009年の税制改正がない場合の税収弾性値は3.13(←1ではない)
テーマ:秘書ひしょ
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11051622686.html

→過去の国会での税収弾性値についての言及。

衆 - 予算委員会 - 平成19年02月02日

○杉浦正建委員・・・
いろいろな数字を財務省の方からもらっておるんですが、税収弾性値というのがあります。これは名目GDPと税収の伸び率をやったんですが、名目GDP伸び率が低いのに税収は上がっていますから、このところ弾性値が上がっているわけです。平成十六年度の弾性値を見ますと五・九です。平成十七年の税収弾性値を見ますと七・八であるというふうに聞いております。十八年の補正予算の弾性値は三・五であります。だから、もう少しこの税収が伸びるんじゃないかということを言う根拠はこれでございます。

・・・だんだんよくなる経済でございますので、私は、上へ振れるんじゃないだろうかと。
 財務省の税収の試算というのは、あのなべ底のときには高く見積もって実は入らなかったということで、当たったためしがないんですね。これだけ上へ振れてくると過小に見積もるということがあるわけでして、私の勘は割合当たってきたわけでございまして、そういうふうに思っておるわけでございます。・・・


参 - 予算委員会 - 平成20年03月14日

○国務大臣(大田弘子君) そのNモデルが内閣府が作っているもので、Dモデルですけれども、このDモデルとNモデルの一番の違いは乗数と税収弾性値です。Dモデル、先生がお示しのモデルは公共投資の乗数が一・九ですので、一兆円公共投資をしたらGDPが一・九兆円上がるという推計になっております。それから、税収弾性値が三・四ですので、GDPが一%上がれば税収が三・四%上がると。これはかなり強めの推計になっております。
 私どものモデルでは、過去の実績値を踏まえて、そして変数間の関係を精査した上で乗数を出しております。その乗数も税収弾性値も、他の計量経済モデルですとか研究結果から見て決して小さ過ぎるものではありません。

→民主党にも、下記のように指摘している方がいます。

参 - 国民生活・経済・社会保障に関する調査会 平成23年05月18日

○金子洋一君 民主党の金子洋一でございます。
 特に、将来の財源につきまして所見を述べさせていただきたいと思います。
 五月の十一日に小黒一正さん、あるいは土居丈朗さんといった方々からヒアリングがあったということでございますけれども、私はこういった方々と将来の財源について随分と意見を異にいたしますので、その点について申し上げたいと思います。
 まず、現在、確かに国と地方の債務残高が一千兆円を超えるというひどい状況になっているという、これは確かであります。そして、毎年毎年、社会保障関係費用が一兆円自然増をしている、これも確かであります。
 しかし、この状況がどういうことで起きたのかということを考えてみますと、特に今、我々が意識をしなければならないのは、一九九八年の日銀法の改正以降、デフレが本格化をいたしました。そして、同じ一九九八年以降、これまで民間企業というものは借入れ主体であったものが、逆に手元資金を余すようになってしまった、貯蓄の主体になったということが大きな要因として挙げられると思います。そして、それ以降、民間企業の手元資金あるいは預金の合計、昨年末は二百兆円以上になっております。こうした形で、一方では資産が積み上がる、一方では国債という形、地方債という形で借金が積み上がるという状況になっている。これは、世界各国を見ましても我が国だけ、ギリシャの危機などは借入れだけが一方的に積み上がるものですから、そういったものとは本来性質が違うと。性質が違う問題に同じ処方箋を使っても有効なわけがないというふうに私は考えておりますので、五月十一日の先生方の御発言には私は賛成をしません。
 具体的にどういった点で意見が違うのかということでございますけれども、例えば財務省は平成二十三年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算というものを発表しております。そのペーパーを見ますと、増税がやむなしというような書きぶりになっておるんですが、この試算は次の二つの点で完全に誤っております。一つには、税収弾性値の取り方が極めて低い。もう一つには、景気が回復をした場合、あるいは名目GDPの伸びが上がった場合の金利の上昇が極めて早い、成長率が上がったのと同時に金利が上がるという取り方になっております。
 まず第一の税収弾性値の取り方が低過ぎるという点につきましてですが、財務省は常に税収弾性値を一・一で計算をしております。ところが、私が過去の十五年の平均を計算を、計算といいましてもエクセルで足し算割り算で出せるんですが、やってみますと四・〇ございます。過去五年間の平均でも三・八です。一・一と四・〇では四倍違います。つまり、名目GDPが一%伸びたとしても税収は一・一%しか伸びませんよというのが財務省の計算。ところが、過去十五年の平均で見ますと、名目のGDPが一%伸びますと税収が四%伸びますというのが過去十五年間の平均です。これだけ違う数字を取っておりますと、どう考えましても、経済が回復をしたとしても増税をしなければ財政再建が不可能であるという五月十一日の先生方の御意見、これが明らかであることは言うまでもないと思います。
 第二点ですが、金利の上昇を早くこの財務省の試算が置き過ぎているということであります。
 つまり、金利の上昇と名目GDPの上昇が一遍に、同時に起きるという計算をしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、企業の手元には預貯金が、現金と預金の合計が二百兆円ございます。その場合、例えば物価が上昇をした場合に企業がその二百兆円から手を付けるはずでして、ところが、銀行の貸出しは物価が上昇しても増えませんから、その場合に銀行の預金金利は上がらない。一方で、物価上昇率が上がるということで、実質的にマイナスの銀行金利、預金金利になります。そうなりますと、企業はそこから、自分の現預金からお金を引き下ろして投資をすると、あるいは実物資産、土地や株を買うということになりますので、何を申し上げたいのかと申しますと、名目GDPの上昇のスピードと金利の上昇のスピードは違うということです。恐らく三、四年、金利の上昇のスピード、これはすなわち企業が銀行から借りるということがそれまで起きないでしょうから、ですから貸出金利が上がらないわけですけれども、そのタイムラグがあるわけです。