政府が円高対策を決めた直後の円史上最高値の意味(中川秀直) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

政府が円高対策を決めた直後の円史上最高値の意味(中川秀直)


21日のニューヨーク外国為替市場で円相場が一時1ドル=75円78銭まで急騰し、8月19日に付けた史上最高値(75円95銭)を約2カ月ぶりに更新した。円が最高値を更新したのは今年3回目であり、歴史的超円高水準が、3・11後、半年以上続いている。政府が21日に決めた円高対策の直後の史上最高値であるのだから、市場が政府・日銀の無為無策を嘲笑し、このままでは超円高は長期化するとしたのである。

問題は、政府・日銀の円高対策が、世界標準の為替決定理論である「マネタリー・アプローチ」に拠っていないことにある。米ドルと日本円で、日本が金融引き締めを行って、相対的に米ドルが多い場合、ドル安・円高になるとの説である。事実、98年のリーマンショック後、FRBは、ドル札を増刷し3倍増やしているのに比べれば、日銀の円増刷はゼロに等しいのである。

肝心なことは、リーマンショック後、ドル以外の世界主要通貨も全て通貨供給量を大幅に増やしているのに、日本のみがゼロなのだから、超円高であり、デフレなのである。

超円高とデフレはコインの裏表である。超円高・デフレの元凶が日銀の金融政策の間違いなのだから、そこを正すことが、野田首相の最優先の政策課題なのである。

具体策は、日銀の国債引き受け枠残り18兆円を復興財源に充てることである。超円高是正・デフレ脱却・復興財源の一石三鳥となる。
(10月22日)中川秀直