4年間増税はしないとの約束を反故にする民主党(中川秀直)
下記の世論調査結果から次のことが読み解ける。
朝日調査で、復興増税反対49%、賛成40%、消費増税反対46%、賛成45%となっている。野田首相の「増税ありき」路線に、民意はNOを明示している。
理由は、同調査の「民主党政権の行政のムダを減らすこれまでの取り組みをどの程度評価しますか」の設問の答えにある。評価する33%、評価しない65%。その評価する人では復興増税賛成54%、反対38%、評価しない人では賛成33%、反対56%となっている。行政のムダの削減なしに増税を強行しようとする政治姿勢に民意はNOを突きつけているのである。
事実、同調査の「増税をするなら、その前提として、国会議員の人数や報酬を減らすべきだ」に賛成91%、反対5%、「増税をするなら、その前提として、国家公務員の人件費を大幅に減らすべきだ」に、賛成75%、反対17%となっている。
問題は、にもかかわらず、昨日、安住財務相が主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、財政再建に向けて、消費税率を10%に引き上げるための関連法案を来年の通常国会に提出する考えを表明したことである。
結果、消費税10%引き上げは国際公約となった。しかし、これ自体が政権公約違反ではないか。4年間増税はしないとの約束で民意は民主党に政権を任せたからである。それが2年で約束を反故にするのだから、国民に信を問わねばならない。増税の是非をである。
(10月17日記)中川秀直
(参考)朝日(15,16日)と新報道2001(13日)の世論調査の結果
<朝日>(数字は%,丸カッコ内は前回9月2,3日調査、< >内は全体の比率)
野田内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持する 48(53)
支持しない 26(18)
それはどうしてですか。(択一。左は「支持する」48%、右は「支持しない」26%の理由)
首相が野田さん 32<15> 1<0>
民主党中心の内閣 17<8> 27<7>
政策の面 20<9> 30<8>
実行力の面 19<9> 38<10>
いま、どの政党を支持していますか。(丸カッコは9月3、4日の調査結果)
民主25(20) 自民19(17) 公明2(3) 共産1(2) 社民1(0) みんな2(1) 国民新0(0) たちあがれ日本0(0) 新党日本0(0) 新党改革0(0) その他の政党0(0) 支持政党なし45(49) 答えない・分からない5(8)
野田首相のこれからの仕事ぶりにどの程度期待しますか。(択一)
大いに期待する 14 ある程度期待する 48 あまり期待しない 28 まったく期待しない 8
政府は、震災復興のために、所得税や法人税を中心に増税する案をまとめました。政府のこの案に賛成ですか。反対ですか。
賛成 40 反対 49
復興のための増税では、たばこにかかる税金も、1本あたり2円増税する案が検討されています。たばこにかかる税金の増税に賛成ですか。反対ですか。
賛成 63 反対 29
復興のための増税とは別に、政府は、社会保障の財源にあてるために、消費税を段階的に引き上げて2010年代なかばまでに、10%にする方針です。社会保障のために消費税を10%に引き上げることに賛成ですか。反対ですか。
賛成 45 反対 46
民主党政権の行政のムダを減らすこれまでの取り組みをどの程度評価しますか。(択一)
大いに評価する 2 ある程度評価する 31 あまり評価しない 47 まったく評価しない 18
「増税をするなら、その前提として、国会議員の人数や報酬を減らすべきだ」という意見があります。この意見に賛成ですか。反対ですか。
賛成 91 反対 5
「増税をするなら、その前提として、国家公務員の人件費を大幅に減らすべきだ」という意見があります。この意見に賛成ですか。反対ですか。
賛成 75 反対 17
民主党の小沢一郎さんの政治資金問題についてうかがいます。小沢さんは政治資金の問題について国会で説明するべきだと思いますか。それとも、裁判の場で説明すれば十分だと思いますか。
国会で説明するべきだ 60 裁判の場で説明すれば十分だ 30
原子力発電を利用することに賛成ですか。反対ですか。
賛成 34 反対 48
この夏の企業や家庭の節電で、どの程度、不自由を感じましたか。(択一)
大いに感じた 3 ある程度感じた 20 あまり感じなかった 51 まったく感じなかった 26
この夏、節電をどの程度心がけましたか。(択一)
大いに心がけた 21 ある程度心がけた 62 あまり心がけなかった 14 まったく心がけなかった 3
この夏の程度の節電なら、電力不足かどうかにかかわらず、これからも続けようと思いますか。節電を気にせず生活しようと思いますか。
これからも続けようと思う 86 節電を気にせず生活しようと思う 9
<新報道2001>(カッコ内は前回10月6日調査)
問1 あなたは次の衆院選でどの党の候補に投票したいですか。
民主党 23・4%(22・2) 自民党 23・4%(26・2) 公明党 3・2%(4・0) 共産党 2・4%(1・8) 社民党 0・4%(0・8) 国民新党 0・0%(0・4) 新党日本 0・0%(0・4) みんなの党 6・6%(5・2) たちあがれ日本 0・4%(0・4) 新党改革 0・0%(0・0) 無所属・その他 3・4%(2・2) 棄権する 3・4%(3・0) まだきめていない 33・4%(33・8)
問2 あなたは野田内閣を支持しますか。
支持する 58・6%(54・4) 支持しない 32・2%(38・2) その他・分からない 9・2%(7・4)
問3 野田政権に最も期待することは何ですか。
震災復興 31・0% 景気・雇用対策 21・0% 税制改革など財政再建 14・8% 社会保障改革 8・8% 原発・エネルギー政策 9・2% ムダ削減 11・0% (その他・わからない)4・2%
問4 政府は、11月上旬までに、TPP(環太平洋連携協定)の交渉の参加するかどうか結論を出すとしています。推進派は「GDPを押し上げる」と主張し、反対派は「農業や医療が壊滅する」と主張しています。あなたはどう考えますか。
交渉にも、その後TPPにも参加すべき 27・0% 交渉には参加し、TPP参加はその後決めれば良い 54・8% 交渉にも参加すべきではない 8・4% (その他・わからない)9・8%
問5 TPP(環太平洋連携協定)について、反対派からは、「国民に対して説明不足だ」という批判が強まっています。あなたは政府のTPPに関する説明についてどう考えていますか。
説明は充分している 2・0% ある程度説明しているが分かりにくい 35・2% 説明は不充分 59・2% (その他・分からない)3・6%