東電への公的資金注入は早い方が少なくていいですよと政府試算はいいたいようですが | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

東電への公的資金注入は早い方が少なくていいですよと政府試算はいいたいようですが

秘書です。
結局、国民負担。早いほうが少なくていいですよ、という論理。
でもその前に・・・


東電への公的資金注入、最低1.2兆円=早期出資で負担極小化―政府試算
時事通信 10月14日(金)2時32分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111014-00000015-jij-pol
 福島第1原発事故の賠償責任を負う東京電力の再建で、最低1.2兆円の公的資金の注入が必要だとする政府内の試算が13日、明らかになった。国の第三者委員会が3日公表した調査報告を基に算定しており、早期の資金注入により「事業の円滑な運営を早期回復することが社会負担を極小化する」としている。
 東電は、国の原子力損害賠償支援機構とともに賠償金支払いと経営再建に向けた特別事業計画を策定する予定。経費削減と並行し、財務基盤の強化が課題となる。政府は機構を通じた優先株購入による公的資金注入を検討しているが、注入額が膨らむ見通しが強まる中、政治的合意や国民の理解を得られるかが焦点となりそうだ。 

→枝野大臣の発言をふりかえってみましょう。

東電給与「公務員並みに」 枝野経産相が徹底リストラ強調
2011.9.26 14:43 産経新聞

 東京電力福島第1原発事故の賠償を確実に進めるための「原子力損害賠償支援機構」(理事長、杉山武彦一橋大前学長)が26日、東京都港区のオフィスビル内に事務所を開き、本格的に業務を開始した。

 枝野幸男経済産業相は開所式で、東電の役員報酬や社員の給与について「公務員や独立行政法人と横並びで当たり前」と述べ、徹底的なリストラが不可欠との認識を示した。開所式後に記者会見した杉山理事長は「機構は日本の浮沈にかかわる責務を担うことになる。力不足の身だが、難局に立ち向かう覚悟だ」とあいさつ。「人件費を象徴とする東電の改革徹底が基本。厳しさを持って臨む」と述べた。

 政府は12日に支援機構を発足させた。機構は東電と共同で、政府から同社が資金援助を受けるために必要な特別事業計画を10月末にも策定。政府による認可後、東電に資金援助を実施する。

→そもそも、公務員の給与が高いのですから、公務員並みではリストラになりませんよね。

平成22年の人事院勧告後の給与:

係員
(25歳、独身) 月額 17万7300円(年間 281万7000円)
(30歳、配偶者)月額 22万5700円(年間 357万円)

係長
(35歳、配偶者、子一人)月額 28万5200円(年間 455万8000円)
(40歳、配偶者、子二人)月額 32万1500円(年間 513万3000円)

本府省課長補佐
(35歳、配偶者、子一人)月額 44万8660円(年間 717万3000円)

本府省課長
(45歳、配偶者、子二人)月額 73万5140円(年間1191万4000円)

本府省局長 月額108万2000円(年間1733万9000円)

事務次官 月額142万 720円(年間2276万5000円)


(「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント」人事院、平成22年8月)
http://www.jinji.go.jp/kankoku/h22/pdf/22setumei.pdf

→これ以上もらっていて、なお、国民負担はありえませんが、これでも国民負担?

枝野経産相、東電支援で再び「債権者・株主負担」発言
2011/9/14 17:04 J-CASTニュース
http://www.j-cast.com/2011/09/14107268.html
福島第一原発事故の損害賠償をめぐって枝野幸男経済産業相は、東京電力が公的資金を使った資金支援を受けるためには取引銀行など債権者や株主も一定の負担をすることが前提との考えを改めて示した。2011年9月13日の記者会見で述べた。

政府と電力業界は原子力損害賠償支援機構を設立。東電を資金支援するが、枝野経産相は「原発事故の収束、被害者への賠償、電力供給の確保という公的な目的のために支援スキームを決めた。債権者や株主の保護が目的ではない」と強調した。

枝野経産相は官房長官だった4月の時点で同様の発言をして、大手銀行の反発を招いた経緯がある。その時は、発言をきっかけにメガバンクなどの株価が急落した。

→しかし、最初から公的資金注入の可能性はおっしゃっていました。

枝野氏:東電への公的資金投入排除せず-さまざまな可能性を検討(1)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aF2Zh.OVfxFI
 4月1日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は1日午前、閣議後の記者会見で、政府による東京電力への公的資金投入について、「否定された選択肢の中には入っていない」と語り、可能性を排除しないことを明らかにした。同時に「さまざまな可能性について検討している」と述べた。

  政府は公的資金による出資を通じて管理下に置く方針を固め、公的債務保証も検討すると1日付の毎日新聞朝刊が報道。枝野氏は会見で、さまざまな可能性の中には政府による出資も入るのか、との質問に、「『可能性がある』と言えばそれが有力であるかのような報道がされる」と説明し、「否定された選択肢の中には入っていないというのが正確な言い方かもしれない」と答えた。

  枝野氏は「支援の具体的なやり方について今の時点でどれか確定的にこういうやり方をやるということを決めていることはない」と言明。東電は原発事故の収拾、周辺住民対策、管内への電力供給の面で大きな責任を担っているとして、「政府としてもしっかりと支援をしていく」と強調した。

  その上で、政府として東電への支援策を決定する時期に関しては、「さまざまな状況の落ち着き方、進行の仕方を見ながら、検討、具体化していかなければならない」と言及。「現時点でも関係部局でさまざまな可能性について検討しているが、政治的に方向性を決めていくというのはそうした状況を見ながら進めていくことになる」と述べるにとどめた。

→公的資金注入といえば、破綻銀行への対応と今回の対応はどうなのでしょうか。竹中平蔵さんはこう語っていました。

慶応大学教授・竹中平蔵 負担を国民につけ回す東電救済
2011.6.3 03:02 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110603/plc11060303020005-n1.htm

モラルなき経営・株主責任不問


 福島第1原発からの放射能汚染で、農業や漁業に甚大な被害が生じている。損害賠償のため、東京電力は政府に支援を要請していたが、5月13日、その枠組みが関係閣僚間で合意された。実に驚くべき内容である。関係者の責任を問うことなく、全てを国民の負担に求めている。モラルなき東電救済策は根本的な見直しが必要だ。

 まず、基本問題を確認しておこう。しばしば、東電の負担はどこまでで政府の負担はどれだけか、という議論がなされる。実務上の問題として当然、線引きは必要である。しかし、決して本質的な問題ではないとあえて主張したい。東電負担なら電力料金を通して住民(国民)が負担し、国なら税金を通して国民が負担するからだ。要するに範囲や形態の違いこそあれ、全て国民の負担になる。問うべき本質は、いかに国民全体の負担を最小化できるか、である。

 東電賠償問題の基本は、公的な性格を負った民間企業が経営破綻のリスクに直面したとき、政府はどう対応すべきか、という点に尽きる。最大8兆円ともいわれる賠償金額は到底、民間企業で負担できるものではない。だが、債務超過に陥った事業者が破綻して清算されれば、二重の意味で大問題が生じる。住民が電力供給を受けられないこと、および被害者が賠償を受けられないこと、である。


破綻銀行への公的介入に倣え


 こう考えると、東電の問題は債務超過に陥って破綻した金融機関への公的介入と類似している。2003年の足利銀行一時国有化を思い出せばいい。この時、預金保険機構を通じて公的資金が活用された。今回の賠償でも、預金保険機構と同様の機能を果たす「機構」が設けられ、そこに全事業者(電力会社)がお金を出し合い、不足分を国が負担(交付国債を交付)する仕組みである。ただし銀行のスキームとは1点で異なる。関係者の責任が一切追及されず、当事者(株主、債権者など)の負担が求められていないことだ。

 閣僚合意の文書を読むと、こうした問題点が実に素直に記述されている。まず、「すべてのステークホルダーに協力を求める」とある。求めるのは、責任ではなく協力だ。そして「電力事業者を債務超過にしない」と記されている。しかし現実問題として、東電は債務超過になると考えられる。だからこそ、国の支援が必要なのであり、さもなければ、そもそも国が心配する必要もない。電力事業者の場合、こうした政策措置は現行法では定められていないので、今回、預金保険法を参考に法律の枠組みを作らねばならないのだ。

 預金保険法では、ルールは明確だ。債務超過で株式価値がゼロ以下になったのを確認したうえで、一時国有化し、経営責任を求めて経営陣を替えて、株主も権利を失うことで責任を果たす。国から送り込まれた新経営者(実質管財人)がリストラなどを徹底し、新経営主体に売却する。足利銀行も約2年間の国有化を経て無事、別の民間経営主体に売却された。したがって、東電はなくなるが、関東の電力会社はなくならない。賠償は、国有化した段階で政府が全責任をもって行えばよいのだ。

東電には約3兆円弱の自己資本がある。賠償額が8兆円として、株主が3兆円を負担すれば、国民の負担はその分軽減される。これが、銀行の例から分かるように普通の処理方法といえる。菅内閣のスキームはしかし、関係者の協力は求めても責任は求めない。負担は全て国民につけ回しされる。


協力、お願いで逃げる菅政権


 こんな、責任を曖昧にした案がほとんど明示的議論もないまま決まった。東電関係者の責任を求めないのは、原子力政策に関する政府・経済産業省の責任に話が及ぶのを避けんがため、と勘ぐられても仕方あるまい。内閣自身にある種の後ろめたさがあるからこそ、官房長官が、とってつけたように銀行の債権放棄に言及したのだろう。もっともその場合も、法律論の常識として、債権者以前に株主責任をまず求めるべきである。

 責任を明確にせず、「協力」や「お願い」で曖昧な決着をするのは、現内閣の特徴ともいえる。浜岡原発の操業停止も、首相が中部電力に「お願い」した。節電では経済団体に「協力」を呼びかけ、原発周辺の避難ももとは「自主避難」だった。誰も責任を負わず、なし崩し的に事態が進み、全てが政府の責任回避につながる。東電を一時国有化すれば、情報開示も全て政府の責任になる。現状のように、不都合を何でも東電の責任にすることもできなくなろう。

 いま必要なのは、賠償を可能にし新たな民間経営主体に引き継ぐための一時国有化である。これは非常時の対応策として有効だ。そして、新たな民間主体に売却する際に「送電」と「発電」を分離すればよい。いずれも政治の意思で可能なことばかりなのである。

 放射能汚染の被害者を人質にとる形で、露骨な東電救済が行われようとしている。東電に甘く国民に厳しい、こうした仕組みは、根本的に修正されねばならない。(たけなか へいぞう)

→では、高橋洋一さんは東電への公的資金については?


東電の徹底追及はムリ!“名ばかり”ヌルヌル第三者委
2011.10.11ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20111011/plt1110110815000-n1.htm
連載:2011「日本」の解き方
東電問題の第三者委員会「経営・財務調査委員会」が報告書を提出したが、東電の問題にどこまで切り込めたのか。

 はっきりいえば、今の東電救済法(原子力損賠賠償支援機構法)がある限りは、何も切り込めない。

 実は、第三者委員会といっても、政府内の審議会と同じだ。そもそも、第三者委員会というのが誤解を招く表現だ。5月24日の「東京電力に関する経営・財務調査委員会の開催について」(閣議決定)によれば、「調査委員会は、企業の財務・経営に関し識見を有する者により構成し、原子力経済被害担当大臣が開催する」とされ、「調査委員会の委員長は、原子力経済被害担当大臣が指名する」となっている。これは、独立性が法律に保証されている「第三者委員会」でなく、普通の審議会である。

 「調査委員会の庶務は、経済産業省その他関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する」とされているが、調査委員会の議論をリードしているのは、西山圭太タスクフォース事務局長で、彼は経産省キャリアである。

 これで、第三者委員会といわれる「経営・財務調査委員会」が経産省の息がかかった「審議会」であることがわかるだろう。

 次に、いかなる政府の機関でも、現行制度の枠内でしか対応できない。東電救済法でなく法的整理であれば、株主や債権者は大きな損失をかぶる。そのため、ない袖は振れないという意味で、経営者はもちろんのこと、労働者に対しても雇用や年金カットなどの荒療治が行われる。

 しかし、今の東電救済法が、株主や債権者を守ることになっているので、それと横並びで経営者や労働者に対しても厳しいことは言いにくい。しかも、公的資金提供や電力料金の値上げが予定されているので、ない袖は振れないという論法が使えない。このため、不要資産の売却や普通の合理化しかできない。

 調査委は今後10年間で2兆5455億円のコスト削減が可能としたが、1年間では2500億円。東電の営業費用は5兆円なので、その5%にすぎない。この程度のコストカットなら、厳しい環境にいる企業なら誰にもいわれなくてもできる程度だ。

 電気料金の値上げがなく原発再稼働がなければ今後10年間に約8兆6000億円の資金不足が発生するとかいう国民に対する脅しのような文言まで書かれている。法的整理しないと、いかに生ぬるい対応しかできないことがわかる「審議会報告書」に仕上がっている。

 国会に事故調査委員会を設置しても、事故原因は追究できても、東電に責任を負わすなどの切り込みはできない。東電救済法で東電は守られるからだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)