「英国経由で日本国債の保有を増やしている可能性がある」 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「英国経由で日本国債の保有を増やしている可能性がある」

秘書です。


中国は円短期債10ヵ月ぶり買い越し、英国は過去最大-逃避需要か(2)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920011&sid=av6281cSnliU
 10月11日(ブルームバーグ):外貨準備の多様化を進める中国は8月、米国債の格下げや欧州債務危機の拡大を背景に、日本国債など円短期債を10カ月ぶりに買い越した。国際的な金融取引の中心地である英国の買い越しも過去最大となっており、中国が英国を経由した円債投資も増やしているとの見方が出ている。

  財務省が11日発表した8月の国際収支状況(速報)の対内証券投資によると、短期債はデータでさかのぼれる2005年1月以降で最大となる6兆761億円の流入超。うち、中国は3456億円と昨年7月以来の大きさだった。英国は9兆9721億円と前月の1.5倍に急増。年間で最大だった昨年の38兆118億円の4分の1強に相当する大きさだった。

  みずほコーポレート銀行国際為替部の唐鎌大輔マーケット・エコノミストは、中国の円短期債投資が日本で話題になり始めた昨夏以降、同国は売り越し基調に転じる一方、英国の買い越し額が「明らかに」増えていると指摘。「英国経由で日本国債の保有を増やしている可能性がある」と述べた。

  財務省の統計によると、債務危機で経済情勢が悪化している欧州18カ国のうち、13カ国は円短期債を8月に売り越し、4カ国はゼロだった。地方自治体向け融資業務で世界有数の金融機関デクシアの解体に直面するベルギーの売り越し額は07年6月以来、デフォルト(債務不履行)懸念が根強いギリシャは07年12月以来の大きさ。英国も先週末、大手銀行が格下げされるなど、厳しい金融情勢が続いている。

            歓迎と警戒

  中国の対日証券投資は昨年初めから7カ月間の買い越し額が2兆3159億円と過去最大だった05年通年の約9倍に達したが、翌8月からは売り越し基調に転じていた。しかし、日本銀行の統計によると、中国の対日証券投資残高は昨年末時点で13兆8360億円。1年間で4倍に増えた。うち、債券は同3倍の10兆4852億円。短期債が6兆3983億円、中長期債は4兆869億円となった。

  中国による対日投資の急増は昨年、政治的な緊張をもたらした経緯がある。野田佳彦財務相(当時)は同年7月には、国債保有者の多様化につながる中国の対日投資を肯定的に受け止めていた。ただ、急増ぶりが鮮明になった直後の9月9日には参院で、中国の「本当の意図は分からない」「動向を注目している」などと説明に追われた。

  民主党の前原誠司政調会長は先月28日のインタビューで、日本国債の国内消化は限界に近づいていると指摘。中国などからの投資は将来の売却による金利上昇(価格下落)のリスクを伴う一方、海外資金の流入が助けになる面もあるとの認識を示した


            分散の改善

  中国の外貨準備高は6月末に3兆1975億ドルで世界最大。人民元相場の上昇を抑える為替介入などによって1年間で30.3%増え、2位の日本の約2.7倍となった。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は4月、同国の外貨準備は「実際に必要とする合理的な水準」を超えており、運用・投資の分散を改善すべきだと発言した。

  国家外為管理局(SAFE)は昨年7月、ドルとユーロ、円が主要な準備通貨だと説明。共産党の機関紙、人民日報の日本語サイトは先月15日、ドル建て資産が外貨準備の「およそ70%以上」だと指摘した。人民銀の李稲葵貨幣政策委員は8月、外貨準備の米債投資比率を徐々に引き下げるべきだと、中国紙で主張した

  大和証券投資情報部の亀岡裕次担当部長は、中国をはじめとする海外当局にとっても、外貨準備を「ドル一辺倒から分散していく大きな流れ」に加え、欧州発の金融不安の中で「円資産が1つの逃避先になっている」と指摘した。

          円が逃避先に

  国際通貨基金(IMF)によると、世界の外貨準備は6月末に前年比19.8%増の10兆804億ドル。通貨が判明している額に占める円の比率は3.9%と、05年3月末以来の高さとなった。金額は38.6%増加。特に新興国による保有が62.4%も増えた。ドルの比率は60.2%と過去最低を更新。ユーロも26.7%と2四半期続けて上昇した。

  8月は世界的な株安と円高が進行。政府・日本銀行は為替介入と金融緩和を実施したが、米国の格下げや景気減速懸念と金融緩和強化、欧州の債務危機拡大を背景に、円・ドル相場は戦後最高値を記録した。日本国債の格下げや首相交代にもかかわらず、国庫短期証券の利回りは低位安定(価格は高止まり)。海外勢にとっては、為替・債券価格の両面で保有価値が保たれる状況だった。

取材協力:広川高史、 坂巻幸子--Editor:Joji Mochida,Hidenori Yamanaka