地方主権改革、先送りへ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

地方主権改革、先送りへ

秘書です。
報道によると、国の出先機関改革が先送りへ。
これは、9月13日の野田首相の所信表明演説で、地方主権改革がとってつけたようなたった1行になった時点で分かっていたことなのでしょう。できないことは言わない、ということで。


出先機関移管、制度決定先送りへ=通常国会への法案提出、困難に―政府
時事通信 10月7日(金)2時36分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111007-00000010-jij-pol
 政府は6日、国の出先機関の地方移管に向け、今月中を予定していた制度の大枠の決定を先送りする方針を固めた。関係府省や地方側との協議が進まなかったためで、調整のめどは立っていない。政府は、12月に移管機関や事務・権限を閣議決定し、来年の通常国会に関連法案を提出する計画だったが、予定通りの実施は困難になった。 

→野田首相は、地方主権改革の扱いがたった1行になった理由について、万感の思いが込められているかのような答弁をされていましたが、むしろ、法案提出ができないことから逆算して、ああいう表現をされたのでしょう。

→2010年6月22日に閣議決定した地方主権戦略大綱にはどう書いてあったか?


地域主権戦略大綱
平成22年6月22日閣議決定
http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/doc/100622taiko01.pdf

第4 国の出先機関の原則廃止(抜本的な改革)

2 改革の枠組み

(1)進め方の基本
国の出先機関の抜本的な改革に当たっては、改革の理念に沿って、「原則廃止」の姿勢の下、ゼロベースで見直すこととし、地方自治体側を始め制度の利用者など広く関係各方面の意見等をも踏まえつつ、国と地方の役割分担の見直しに伴う事務・権限の地方自治体への移譲等を進めた上で、それに伴う組織の廃止・整理・合理化等の結論を得る。

(6)今後の改革の進め方

(「アクション・プラン(仮称)」の策定)
上記の事務・権限仕分けの結果を踏まえ、個々の出先機関の事務・権限の地方移譲等の取扱方針及びその実現に向けた工程やスケジュール並びに組織の在り方について明らかにする「アクション・プラン(仮称)」を年内目途に策定する。その際、地方自治体への移譲等については、地方自治体側の要望をも踏まえ、重点的に取り組むべき事項の速やかな実施を検討し、平成23 年通常国会への法案提出も含め、可能なものから速やかに実施することを基本とする。

→地方分権推進に伴う地方移管が遅れると、国家公務員総人件費削減の目標達成も困難になりますね。そうすると、給与水準引き下げしかないですね。

衆 - 予算委員会 平成23年09月27日

○野田内閣総理大臣 国家公務員総人件費の削減については、地方分権推進に伴う地方移管、各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、労使交渉を通じた給与改定などなど、さまざまな手法を組み合わせることによって、御指摘のように、平成二十五年度までにめどをつけるというこの二割削減目標を、私どもはまだその旗をおろしてはおりません。引き続き努力をしていきたいと思います。
 その前に、特に国家公務員の給与については、去る六月三日に給与のおおむね八%を減額する法案を国会に提出したところでありますので、まずはこの法案の成立に御協力をお願いしたいというふうに思います。

→鳩山首相、菅首相は地方主権改革に1項目たてていた。それが野田首相は増税項目の中の最後の1行になってしまった。

第174回国会における鳩山内閣総理大臣施政方針演説
平成22年1月29日
http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/201001/29siseihousin.html

(地域主権の確立)
 地域のことは、その地域に住む住民が責任をもって決める。この地域主権の実現は、単なる制度の改革ではありません。
 今日の中央集権的な体質は、明治の富国強兵の国是のもとに導入され、戦時体制の中で盤石に強化され、戦後の復興と高度成長期において因習化されたものです。地域主権の実現は、この中央政府と関連公的法人のピラミッド体系を、自律的でフラットな地域主権型の構造に変革する、国のかたちの一大改革であり、鳩山内閣の改革の一丁目一番地です。
 今後、地域主権戦略の工程表に従い、政治主導で集中的かつ迅速に改革を進めます。その第一弾として、地方に対する不必要な義務付けや枠付けを、地方分権改革推進計画に沿って一切廃止するとともに、道路や河川等の維持管理費に係る直轄事業負担金制度を廃止します。また、国と地方の関係を、上下関係ではなく対等なものとするため、国と地方との協議の場を新たな法律によって設置します。地域主権を支える財源についても、今後、ひも付き補助金の一括交付金化、出先機関の抜本的な改革などを含めた地域主権戦略大綱を策定します

第177回国会における菅内閣総理大臣施政方針演説
平成23年1月24日(月)
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201101/24siseihousin.html

五 地域主権改革の推進と行政刷新の強化・徹底

(地域主権改革の推進)
 以上、国づくりの三つの理念を推進する土台、それが、内閣の大方針である地域主権改革の推進です。改革は、ことし大きく前進します。地域が自由に活用できる一括交付金が創設されます。当初、各省から提出された財源は、わずか二十八億円でした。これでは地域の夢は実現できません。各閣僚に強く指示し、来年度は五千百二十億円、平成二十四年度は一兆円規模で実施することとなりました。政権交代の大きな成果です。そして、我々の地域主権改革の最終目標はさらに先にあります。今国会では、基礎自治体への権限移譲や総合特区制度の創設を提案します。国の出先機関は、地方による広域実施体制を整備し、移管していきます既に、九州や関西で広域連合の取り組みが始まっています。こうした地域発の提案で、地域主権に対する慎重論を吹き飛ばしていきましょう。

第百七十八回国会における野田内閣総理大臣所信表明演説

平成23年9月13日
http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/201109/13syosin.html
(経済成長と財政健全化の両立)
 大震災前から、日本の財政は、国の歳入の半分を国債に依存し、国の総債務残高は一千兆円に迫る危機的な状況にありました。大震災の発生により、こうした財政の危機レベルは更に高まり、主要先進国の中で最悪の水準にあります。「国家の信用」が厳しく問われる今、「雪だるま」のように、債務が債務を呼ぶ財政運営をいつまでも続けることはできません。声なき未来の世代に、これ以上の借金を押し付けてよいのでしょうか。今を生きる政治家の責任が問われています。

 財政再建は決して一直線に実現できるような単純な問題ではありません。政治と行政が襟を正す歳出削減の道。経済活性化と豊かな国民生活がもたらす増収の道。そうした努力を尽くすとともに、将来世代に迷惑をかけないために更なる国民負担をお願いする歳入改革の道。こうした三つの道を同時に展望しながら歩む、厳しい道のりです。

 経済成長と財政健全化は、車の両輪として同時に進めていかなければなりません。そのため、昨年策定された「新成長戦略」の実現を加速するとともに、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、年内に日本再生の戦略をまとめます。

 こうした戦略の具体化も含め、国家として重要な政策を統括する司令塔の機能を担うため、産官学の英知を集め、既存の会議体を集約して、私が主宰する新たな会議体を創設します。

 経済成長を担うのは、中小企業を始めとする民間企業の活力です。地球温暖化問題の解決にもつながる環境エネルギー分野、長寿社会で求められる医療関連の分野を中心に、新たな産業と雇用が次々と生み出されていく環境を整備します。また、海外の成長市場とのつながりを深めるため、経済連携の戦略的な推進、官民一体となった市場開拓を進めるとともに、海外からの知恵と資金の呼び込みも強化します。

 「農業は国の本なり」との発想は、今も生きています。食は、いのちをつなぎ、いのちを育みます。消費者から高い水準の安全・安心を求められるからこそ、農林漁業は、新たな時代を担う成長産業となりえます。東北の被災地の基幹産業である農業の再生を図ることを突破口として、「食と農林漁業の再生実現会議」の中間提言に沿って、早急に農林漁業の再生のための具体策をまとめます。

 農山漁村の地域社会を支える社会基盤の柱に郵便局があります。地域の絆を結ぶ拠点として、郵便局が三事業の基本的なサービスを一体的に提供できるよう、郵政改革関連法案の早期成立を図ります。
また、地域主権改革を引き続き推進します。