国家戦略会議の古賀連合会長VS白川日銀総裁の「デフレ脱却論争・日銀法改正」論争に期待 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

国家戦略会議の古賀連合会長VS白川日銀総裁の「デフレ脱却論争・日銀法改正」論争に期待

秘書です。

「国家戦略会議」で唯一楽しみに期待できるのが、連合の古賀会長と日銀の白川総裁のデフレ脱却論争ですね!

日銀総裁が入るならば、日本の製造業が劣化しているからデフレなんだ、劣化している企業の退場を促すために円高でいいんだ、円安にしてはいけないんだ、という根本思想が金融政策にあるのか、ないのか議論していただきたいですね。行きすぎた円高なのに製造業が劣化しているとはどういうことなのか?行きすぎた円高だから製造業が劣化していくのではないか?労働者の努力が報われないという価値観の蔓延は行きすぎた円高にあるのではないか?90年代後半からはじまる行きすぎた円高放置こそが非正規労働者の拡大につながっているのではないか?これを放置する金融政策の根本思想は何なのか?マネタリーアプローチの有効性を若かりし日に認識する論文を書いているのに、なぜ、やらないのか「国家戦略会議」で是非議論してください。このテーマで期待できるのは、連合の古賀会長ですね。


(1)2010年4月6日の「デフレ脱却議連」における古賀連合会長の発言  

・デフレによる物価下落を好ましいことと考える人々が年を追うにつれて減っていることは注目すべき。
・社会的セーフティネットを整備して、将来不安をなくす必要がある。これが消費の喚起につながる。
・世界的に見ても、雇用されている人の割合が高いのが日本。雇用の現場の安定が日本社会の安定につながる。
・FRBには、雇用の最大化が政策目標に掲げられている。英国でも、雇用が掲げられている。ところが日銀法には雇用への配慮が掲げられていない。世界の標準からみると日銀ももっと雇用を重視していく必要がある。 
 


(質疑応答)

(問)「物価が下落することと失業率が上がることはフィリップス曲線にみられるように関係があるが、会長の講演の内容は要するに『デフレは許せないことだ』というふうに解釈させていただいてよろしいか。」
(古賀会長の回答)「そうだ。一時的に物価が下がることはいいことだが、現在のような状況は困る。」

(問)「日銀法に雇用の重視が入っていないのはおかしいということか」
(古賀会長の回答)「我が日銀も雇用に対する一定の責任を果たすことを明文化すべき。これはグローバルスタンダードである。」 


以上、金子洋一議員の「エコノミスト・ブログ」より
http://blog.guts-kaneko.com/2010/04/post_512.php

(2)日銀総裁が政府に異例の注文-市場安定のため「中銀の姿勢尊重」を

■日銀総裁が政府に異例の注文-市場安定のため「中銀の姿勢尊重」を

2月19日(ブルームバーグ):「インフレ目標を採用しているかどうかは意味のある論点ではない。むしろ財政の持続可能性に不安が高まる中で政府は財政再建の道筋を示し、財政ファイナンスと一線を画す日銀の姿勢を尊重すべきだ」-。18日の金融政策決定会合後の会見で日銀の白川方明総裁が政府に対し、異例とも言える注文を付けた。
昨年10-12月の実質国内総生産(GDP)は前期比1.1%増(年率4.6%増)と3期連続プラスだったが、総合的な物価を示すGDPデフレーターは前年同期比3.0%低下と過去最大の落ち込みとなり、デフレが一段と深化していることを印象付けた。12月のコア消費者物価指数(生鮮食品除く)も前年同月比1.3%低下と依然水面下だった。
菅直人副総理兼財務相は16日の衆院予算委員会で物価の安定について見解を求められ、「大体1%からもうちょっとかな、と個人的には思わないではない」とした上で、日銀との間で「その辺りで目標としての認識は一致している」と述べた。バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは「ここに来て、物価をめぐる政府と日銀の対立構造が一層鮮明に見えてきた」と指摘する。
日銀は18日開いた同会合で、政策金利を0.1%前後に据え置くことを決定。景気は「持ち直している」として前月の情勢判断を据え置いた。会合の終了時間は、白川総裁が2008年4月に就任して以来、2日間にわたって開催された定例会合では2番目の短さだった。しかし、その後の会見で白川総裁はいつも以上に能弁だった。

インフレ目標は意味のある論点ではない

総裁はまず、デフレは「比喩(ひゆ)的に答えると、経済の体温が低下した状態だ」と指摘。その克服には「基調的に体温を上げていくための体質改善」が必要だと述べた。体質改善とは「生産性の向上」であり、それには「民間企業と政策当局双方の努力が必要だ」と強調。政府は「企業が現在、熾(し)烈なグローバルな競争環境に置かれていることを踏まえて、さまざまな制度や仕組みを見直すことが重要だ」と訴えた
日銀にインフレ目標の導入を求める声に対しては「今回の金融危機を通じて、インフレ目標という枠組みについても反省機運が生まれてきているように思う」と指摘。低インフレ下で金融緩和が長期化し、世界的なバブル生成と崩壊につながったとの見解を示し、「インフレ目標を採用しているかどうかは現在、金融政策の枠組みを議論する上で、意味のある論点ではなくなってきている」と断言した。
・・・

(3)「マネタリー・アプローチによる国際収支・為替レートの実証分析―わが国のケースを中心に―」白川方明(現日銀総裁、1978年4月、1979年5月加筆修正) 
http://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/shiryou/kks3-2.pdf

「・・・前述のような実証結果は「国際収支不均衡や為替レート変動はすぐれて貨幣的現象である」というマネタリー・アプローチの基本命題を実証的に明らかにするとともに、次のような政策的インプリケーションを示すものといえよう。

すなわち各国通貨当局の政策スタンスは国際収支、為替レート変動に極めて大きな影響を及ぼすということである。例えば、わが国が外国に比し相対的に引き締め的な金融政策をとると、わが国の国際収支は黒字となり、円レートは上昇する。

また、米国が相対的に拡張的な金融政策をとると、米国において通貨の超過供給を発生させることにより米国の国際収支赤字(その他諸国の国際収支黒字)、ドル・レートの低下を惹起する。・・・」

(4)「金融引き締めが円高招く」若き日に論じた白川日銀総裁 恩師は「歌を忘れた…」と嘆く 
2010.11.08 ZAKZAK 高橋洋一

 日本銀行は5日の金融政策決定会合で、金融政策の「現状維持」を決めた。

3日に米連邦準備制度理事会(FRB)が決めた追加金融緩和が「予想の範囲内」と市場から受け止められたからである。

 この日の決定会合はもともと15、16日に設定されていたものを、4、5日に設定し直したのだ。

もちろん、3日にFRBが追加金融緩和を打ち出すことが予定されていたからだ。

5、6日に京都でアジア太平洋経済協力会議(APEC)財務相会合が行われ、13、14日に横浜で首脳会談が行われるので、政府が動きにくいから、3日のFRBの政策によっては、日銀が出るということも想定されたのだろう。

 日銀は市場の動きを見て、何もしなくてもいいと判断したようだ。

しかし、海江田万里経済財政担当相は「米国と比べると随分小さいので、これから議論になると思う」と指摘している。

 これは、白川方明日銀総裁自らよく知っていることだ。

実は、白川総裁は31年前、日銀の研究誌に、「マネタリーアプローチによる国際収支・為替レートの実証分析-わが国のケースを中心に-」という論文を寄稿している。

 そこでは、「わが国が外国に比し相対的に引き締め的な金融政策をとると、わが国の国際収支は黒字となり、円レートは上昇する。また、米国が相対的に拡張的な金融政策をとると、米国において通貨の超過供給を発生させることにより米国の国際収支赤字(その他諸国の国際収支黒字)、ドル・レートの低下を惹起する」と書かれている。

 若き日の白川総裁は、円高は引き締め的な金融政策で起こると言っているのだ。

簡単にいえば、米ドルと日本円を考えると、日本が引き締めを行って相対的に米ドルが多い場合、ドルの希少性が薄れてドル安・円高になるのだ。

 現時点で、為替は短期的な動きを除くと、このマネタリーアプローチで8~9割方説明できる。

投資家のジョージ・ソロス氏もこの手法を使っていることは有名である。

 この白川総裁の論文は、今でもかなり妥当している。

日銀がいくら緩和したといっても、為替に対しては米国との相対的な関係が重要だ。

そうであれば、今は市場がおとなしいが、いつ何時、再び円高へ向かうかもしれない。

 日本と米国を比べると、日本の方はデフレで米国はまだデフレになっていないのであるから、金融緩和の余地は日本の方が大きいはずだ。

それなのに、米国の追随では情けない。

 白川総裁のことをかつての恩師である浜田宏一エール大学教授は「歌を忘れたカナリア」というが、そのとおりだ。

(嘉悦大教授、元内閣参事官・高橋洋一)