野党時代の野田首相の経済認識②97年増税と円高についての問題意識 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

野党時代の野田首相の経済認識②97年増税と円高についての問題意識

秘書です。
続いて、野党時代の野田首相の97年増税に対する認識です。


「将来、アジアの”奇跡”経済を荒れ地にしてしまった大恐慌についての歴史が書かれるとしたら、一人の男が二通りの書き方をされるだろう。ひとつは、へまを犯した被告人として、もうひとつは、・・・・ヒーローとして。その男は日本の首相・○○○○である」

「金融危機の連鎖反応を大きくした触媒は、○○年○月、○○政権によって行われた大増税である。この増税政策は、一九三〇年のスムート・ホウリー関税法以来、先進資本主義国で行われたもっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策といわれることになろう」


おどろくべきことは、野田首相がこの英国タイムズを引用していることです。この○○は誰でしょう?ご自身にならなければいいのですが・・・



衆 - 財務金融委員会 - 平成17年02月28日

○野田(佳)委員 
・・・
 私事で恐縮ですけれども、事務所はずっと当然置いておかなければいけないんですが、五階建てのビルで三階に入っていました。一階の布団屋はつぶれ、二階のマッサージ屋は夜逃げし、四階、五階もみんな倒産という中で、辛うじて自分の事務所が維持できたというのが奇跡に近いなと思っているぐらい厳しい経済状況でございました
 それをたどると、やはり橋本内閣の景気認識がどうだったのか、それを踏まえて一挙に財政構造改革に転換したあのやり方はどうだったのかということを厳しく総括することが、今回の定率減税の半減、その先にある廃止ということに踏み切っていいのかどうかという大事な議論ではないのかなと私は思っています。
 そこで、当時、これは私の言葉で言うともっと過激な言葉になってしまって、本会議でも議事録削除の要求が橋本さんについては出ていますので言いませんで、イギリスのタイムズに出た論文をちょっと読み上げたいと思います。タイムズの九八年一月十三日付なんですね。「日本がアジアにもたらした新しい混乱 方向転換だけが崩壊を食い止められる」という論文なんですけれども。
  「将来、アジアの”奇跡”経済を荒れ地にしてしまった大恐慌についての歴史が書かれるとしたら、一人の男が二通りの書き方をされるだろう。ひとつは、へまを犯した被告人として、もうひとつは、アジア大陸から政治的・社会的腐敗を一掃したヒーローとして。その男は日本の首相・橋本龍太郎である」という非常に皮肉めいた書き出しから始まりまして、「アジアの金融危機の連鎖反応を大きくした触媒は、九七年四月、橋本政権によって行われた大増税である。この増税政策は、一九三〇年のスムート・ホウリー関税法以来、先進資本主義国で行われたもっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策といわれることになろう」というところで、これは読み上げればずっとこういうばり雑言的な批判なんですね。まさに、国民経済に与えた影響を含めると、それぐらい厳しい総括が必要だったろうと私は思います。当時の閣僚として、大臣はどのように総括をされているんでしょうか。 


○野田(佳)委員
・・・
橋本内閣当時は、まだ景気の回復軌道は、体操でいえば平均台を渡るぐらいの、細いかもしれないけれども軌道はあったはずなんです。だけれども、大増税の路線にしてしまったから、平均台からおっこちたんですね
 今回は、もっと細いタイトロープを綱渡りしているときなんです。そのときに、例えば、平年度ベースで定率減税の半減で一兆六千億円、そのほかの、先ほどから出ていた、その他の税の控除とか社会保険料の引き上げなどを含めると、タイトロープを渡って綱渡りをしているときは、ちょっと押しただけでバランスを失しておっこちちゃうわけですね、という非常に慎重な景気判断をしなければいけないのではないかと私は思いますが、改めて大臣の御認識を問いたいと思います。

○野田(佳)委員 為替もあるいは原油高の問題も、この後少し議論をしたいと思っているんですね。外在的な要因が日本の経済にどんな影響が出てくるか、これは景気の先行きの問題に絡んで質問したいと思っていたんですけれども、今の大臣の御答弁の中で、景気がよくなりつつあるという判断材料として、例えば不良債権処理が進んできているとか、企業の収益について触れられました。それは、確かにそうだと思うんです。
 ただし、今問題になっている定率減税の問題に絡めていいますと、定率減税を導入した目的はそもそも何だったのかなんです。定率減税導入の目的というのは、これは経済活動の回復に資すること、著しく停滞した経済活動の回復ですよね。でも、ここで言っている経済活動の回復というのは、不良債権処理であるとかあるいは企業の収益を伸ばすということではないと思うんです。なぜならば、所得課税における減税ですから。ということは、これは家計の消費に刺激を与えて、国民の可処分所得をふやそうということがこの定率減税の導入の目的であったはずなんです。
 不良債権処理が云々とか企業収益がどうのと言われても、この定率減税のそもそもの目的とかみ合わない議論でありまして、問題は、今、家計がいずれにしても厳しく、個人消費が二期連続マイナスである、そもそもの定率減税導入の目的を達していない、実現していないと私は思うわけです。にもかかわらず、なぜ半減、廃止へと向かうのか、これについて改めて整理してお答えをいただきたいと思います。

○野田(佳)委員 景気認識については、せんだってもそうでしたけれども、今回もなかなか埋まらないようなんですが。
 そこで、先行きにかかわる問題なんですが、先週のいろいろ国際経済の動きというのは、随分気になるものがありました。先ほど大臣もちょっと触れられました、為替の問題、それから原油高の問題、これについて大臣のお考えをお聞きしたいと思うんです。
 まず一つは、先週末のドル安の動きです。
 私は、これは、かなり投機的ないろいろな動きがあって、双子の赤字で苦しいあの今のアメリカ経済に対して、やはり心配なマーケットのいろいろな動きなんだろうと思います。それで、円高・ドル安傾向というのがこれからも流れとして定着していってしまうのかどうか。例えばブッシュの経済報告の中でも、ドル安というのは、輸出であるとかあるいは景気という意味において比較的評価をするような発言が入っていました。ドル安が心地よいんじゃないかというような感じなんですね。ということを踏まえると、円高・ドル安傾向が流れとして定着していくということは、私は、まだ景気回復ができていないという中で、しかもデフレも脱却していないという中で、日本経済にとって大きなマイナスになっていくだろうと思いますが、この辺の見通しについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

○野田(佳)委員 先行きの話は慎重だということで、お立場はわかるんですが、逆に言うと、過去の検証というのはしっかりやらなきゃいけないと思っていまして、大臣も触れられていたとおり、過去に大変多額の介入をしたことがありました。二〇〇三年の一月から二〇〇四年の三月ぐらいまでで三十五兆円規模ですね。途中で、二〇〇三年の九月に財務大臣に就任されていると思いますので、その部分の中では相当に関与をされてきたはずだと思うのです。
 当時の為替の介入というのは、要は円高・ドル安を歯どめをかけていこう、それはデフレから脱却できていない中でこの傾向が強まれば日本経済に大きなマイナスであるという意味で、あれだけ、なりふり構わず、三十五兆円というのは史上最大の作戦ですね、という介入をしたはずなんですね。私はそのよしあしというか成果というのはわからないんですが、その三十五兆円介入の意味というか、あるいはその総括といいますか、効果があったのかどうか。その点だけ、先行きのことは言いにくいということでしたから、その総括をお尋ねしたいと思います

○野田(佳)委員 私は、日本経済に影響があるとすると、価格が上がる分、その分は要は産油国の所得に移転をする話ですから、その分マイナスであるということ、上がった分が製品価格に転嫁されれば、それは企業の収益を圧迫して設備投資などに陰りが出てくる、これを価格に転嫁した場合は消費者に出ますよね、転嫁しない場合は企業に出ますね、いずれにしても、これはマイナスだと思うんです。加えて、がぶ飲みをしているアメリカや中国みたいなところが失速をすれば、当然輸出にも影響するということで、大変私は心配事だと思っていますので、注意深く見守っていきたいと思います。
 と言っているうちに時間が来てしまいましたけれども、なぜこういう原油の問題とか為替の問題を言ったかというと、景気の先行きについて極めて不透明感が漂っているわけであって、原油とか為替の今言ったような懸念が本当に現実のものになってしまうと日本の輸出は減少し、これまで輸出主導で景気回復の軌道をつくろうとしていましたけれども、残念ながらそれはしぼんでしまうわけです。一方で個人消費についても、今伸びる芽というのは感じられません。という中で、やはり定率減税の半減、廃止という方向は非常に日本経済にマイナスであるという認識を示して、もっとこの定率減税の話をしたかったわけでありますけれども、改めて、私どもが修正案で出していますように定率減税の部分は少なくとも削除して、延期ないしは撤回すべきだということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。