日銀の政策現状維持で失望の円買いも(ロイター) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日銀の政策現状維持で失望の円買いも(ロイター)

秘書です。

失望の円買いか?



ドル77円前半、日銀の政策現状維持で失望の円買いも
2011年 09月 7日 15:42 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-23065320110907?sp=true
 [東京 7日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べて小幅安の77円前半。午前の取引では、輸出企業や個人投資家の売りを受けドルは77円後半から徐々に下落。
 午後に入って、日銀が全員一致で金融政策の現状維持を決定したことで、失望感から円が買い進まれドルは一時77.06円まで下落した。 
 ドルは朝方の高値77.71円から次第に下値を切り下げた。前日スイス中銀が対ユーロでのスイスフラン相場に上限を設定し、通貨高阻止に強い姿勢を見せた後とあって、市場ではにわかに日銀による追加緩和期待が高まっていた。しかし、日銀は全員一致で金融政策の現状維持を決定。ドルは決定会合の内容発表直前の77.40円付近から、一時77.06円まで下落した。
 ドル/円の軟化に連れて、ユーロ/円も108円後半から一時108.30円付近まで下値を伸ばした。
 市場では「週末にG7を控え、G7メンバーに日本の単独介入の了解を得るためにも、日銀が追加的緩和を実施する可能性があるとみていた。新政権になって円高対策をしっかりやるとのことだが、意外と弱腰でがっかりした」(FX業者)との声が出ていた。
 個人の証拠金取引では、76円台でドル買い意欲が強く、ユーロ/円では現行水準の108円前半で、買いが売りに勝っているという。
 この日は輸出勢によるドル売りに加え、個人の証拠金取引のドル売りも出ていたという。ただ「ドルの水準が上がった局面を取りたいという淡々とした売りで、それほど積極的ではない。売りが厚みを増すのは、もっと上の水準だ」(大手銀行)との声が上がっている。

 <スイス中銀>

 この日のスイスフランは、1ユーロ=1.2049/51フラン付近での一進一退が続いた。
 スイス中銀は6日、スイスフランの対ユーロ相場に1ユーロ=1.20フランの目標を設定し、達成のために無制限に介入すると発表し、スイスフランが急落した。
 スイス中銀は1978年に対ドイツマルクでスイスフランの上限目標を設定した経緯があるが、今回は「当時とは、為替市場の規模もスイスフランの流通規模も全く異なる。今回の措置の効果がどれほど持続するか疑問だ」とJPモルガン・チェース銀チーフFXストラテジストの棚瀬順哉氏は言う。
 さらに、1978年の措置は1年間継続し、その間インフレ率が1%から5%まで上昇した。「上限設定に伴い、超緩和的な金融政策が具現化することになるが、過度の金融緩和がもたらす副作用として、今回もインフレリスクが高まる可能性がある」と棚瀬氏は指摘している。
 スイス中銀が自国通貨高阻止に向けて強い姿勢を示す一方、日銀が政策発動を見送ったことで、両国の姿勢の強さの違いが意識され、リスク回避地合いの逃げ場が円に集中する可能性も指摘されている。ただ、住友信託銀行マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は「日銀が追加緩和の期待を残すことで、円への集中にはある程度歯止めがかかるだろう」とみている。

 <ドル調達コスト>

 通貨フォワード市場では、一部の欧州銀がドルを調達する際に上乗せされる金利(プレミアム)が高止まりしている。
 この日は、ユーロLIBOR(銀行間取引金利)とドルLIBORの金利差が、ユーロ・ディスカウントの113.94ベーシスポイント(bp)であるのに対し、3カ月物フォワードスプレッドから計算されるスプレッドは、ユーロ・ディスカウントの23.71bpで、ユーロのディスカウント幅が狭くなっている。ディスカウント幅の差はドル調達の上乗せコスト(プレミアム)を表す。3カ月物でみたプレミアムは90bp付近。前日は96bp付近だった。「きょうはプレミアムが高止まりしているが、動き自体は拡大方向にはなっておらず、落ち着いている」(外銀)という。

 <豪ドル>

 豪ドルは1.0600米ドル付近。株高を背景に市場のリスク・センチメントが改善する中、午前に発表された予想を上回る第2・四半期豪実質国内総生産(GDP)伸び率を受け、豪ドルが堅調さを維持している。豪GDPは前期比プラス1.2%と、市場予想を上回る好結果となった。
 需要項目で見た場合、機械・設備投資(前期比プラス4.9%)、輸出(同プラス2.6%)がけん引役となっているが、「洪水の影響がはく落する中、復興需要等が徐々に顕在化し始めたこと、また石炭や鉄鉱石など資源輸出が持ち直していることが主因と考えられる」と野村証券金融市場調査部・外国為替ストラテジストの高田将成氏は言う。
 また、「この結果は、オーストラリア準備銀行(RBA)の国内景気に対する前向きな判断を裏付けており、直近の政策決定を支持する内容となった」と同氏は述べた。
 前日の決定会合でRBAは、市場の一部が予想していたようにハト派に傾斜することはなく、景気判断におけるリスク・バランスを均衡させた。豪州景気のカギを握る中国経済の状況認識については、8月は「only a mild slowdown」と表現したが、前日の会合では「solid」とし、「中国に対する景気判断を前回に比べ改善させていた」(高田氏)。

 <外準増加で米金利低下に寄与した可能性指摘する声>

 朝方発表された、日本の8月末外貨準備高は1兆2185億0100万ドルと前月末から676億2400万ドル増加し、2カ月連続で過去最高を更新した。政府・日銀が8月に実施した4.5兆円規模の介入で、外貨が大きく増えたことが主因。増加額は、米量的緩和第2弾(QE2)の1割以上の規模になる。8月は米金利も急低下しており、米2年債券が0.2%を大きく割り込んで過去最低を更新したほか、米10年債も2%を割り込み、金利面からドル/円に下落圧力をかけたという。
 外準増加額のうち、証券の増加分は474億ドル。「過去の例で言えば、米国の短・中期債で保有することが比較的多かった。今回も同じように米債を買い入れたとすれば、米2年債の利回り低下に寄与した可能性がある」(邦銀)との声が出ている。
 なお、財務省は、月次の外準の詳細な資産別構成比は発表していない。

  (ロイターニュース 森佳子)