円高対策に予備費の使用などの予算措置は不要であり、単に日銀が金融緩和すればいい(高橋洋一氏) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

円高対策に予備費の使用などの予算措置は不要であり、単に日銀が金融緩和すればいい(高橋洋一氏)

秘書です。
円高対策を是非論点に。



現代に蘇った妖怪…“中身カラっぽ”円高対策
2011.08.26 連載:2011「日本」の解き方
高橋洋一 zakzak
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110826/plt1108260602000-n1.htm

 政府は24日、円高対応緊急パッケージを発表した。外為資金を活用して1000億ドル規模の「円高対応緊急ファシリティ」を創設するとともに、外国為替および外国貿易法に基づき、為替トレーダーが保有する外国為替持ち高の報告を主要金融機関に求める。

 民主党の岡田克也幹事長も円高を受けた経済対策を実施する方針を打ち出している。3次補正を待たずに予備費を使って前倒しするといい、その内容は「中小企業への低利融資」や「省エネ企業への補助金」といったものだ。

 果たしてこれらが円高対策といえるのか。本来政府・与党がやるべきことは何か。

 まず、これらの対策は根本的な円高対策ではない。このコラムで繰り返して主張してきたように、円ドルレートは円通貨ストックとドル通貨ストックの比でほぼ決まる。そうである以上、円通貨ストックを増やす金融緩和しか円高対策として日本政府がとるべき有効な対策はない。

 1000億ドルのファシリティ創設も新たに外債を購入するわけでなく、短期的な需給にすら影響を与えない。為替トレーダー報告徴収にいたっては、業者への嫌がらせでしかない。ダーティフロート(過度な介入による恣意的な相場形成)時代の1980年につくった超規制主義の外為法という妖怪を現代に蘇らせたものだ。

 また、予備費を使って行うなど、単なる予算のムダ遣いだ。実は、過去にも円高対策とかいうと、アリが蜜に集まるように予算に官僚が群がってくる。要するに、円高対策を口実とする官僚による予算ぶんどりでしかない。岡田幹事長はかつて通産官僚だったので、その当時のクセなのか、今の官僚からの入れ知恵なのか、経産省関連の予算ぶんどりに協力しているかのような発言はちょっと疑問だ。

 第2次補正予算に予備費は8000億円計上しているが、それを使っても企業の国際競争力強化にならない。23日の本コラムで言及したように、戦後の大部分において円安であったからこそ国際競争力があったわけで、政府の産業政策の結果ではない。意味のない官僚の予算ぶんどりに加担しているようでは情けない。そのようなムダ遣いを慫慂(しょうよう)しながら、一方で復興増税を唱えるようでは、官僚の言いなりである。

 円高対策に予備費の使用などの予算措置は不要であり、単に日銀が金融緩和すればいい。8月12日の消費者物価改定で▲0・4~▲0・9%の下方修正により、6月のインフレ率(除く生鮮食品)は0・4%が▲0・2%となって、デフレ傾向が一層はっきりとした。

 円高対策といわずに、デフレ脱却のためにも数十兆円の量的緩和は当たり前の金融政策だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)