菅政権の総括②―2011年8月17日の福島県の子供たちとの意見交換会に首相はなぜ欠席したのか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

菅政権の総括②―2011年8月17日の福島県の子供たちとの意見交換会に首相はなぜ欠席したのか

秘書です。

菅政権については、色々な総括があるでしょう。

私は、8月17日に福島から来た小中学生との会合に、菅首相が欠席したのは、菅政権総括のうえでとても重要なことだと思います。(日程があわないのであれば、別の日で再調整できなかったのでしょうか)

首相がいちいち、子供たちに会えない?いや、将来、放射能による症状が発生するリスクをかかえていくていく子供たちの面会要請に、菅首相には面会する道義的な義務があったはず。

放射能物質が拡散している中、子供たちの集団疎開をやらない決断をくだし、大規模除染作業をやる決断をさきのばしにしたのは、菅首相、文科省政務3役でしょう。それなのに、政治家は欠席して、若手官僚にやらせた。これはひどいですね。

おいしいところは自分で、いやは仕事は官僚で、というのでは国は動きません。

下記の子供たちの質問に、菅首相はどう答えるのですか?今からでも遅くない。子供たちの質問に首相在任中に答えたらいかがですか?官僚を矢面にしないで、自ら表に立つ。それが市民運動あがりの首相としての最後の務めではないですか?


子どもたちの政府交渉「大人は私たちの声きいて」
http://www.foejapan.org/energy/news/evt_110817.html

本日、福島の小中学生4人が政府に自分たちの思いを届けようと、衆議院第一議員会館に集まりました。政府側は、原子力災害対策本部被災者支援チームや文科省、保安院など合計10名が出席しました。要請していた菅首相、高木文科大臣などは欠席でした

子どもたちのストレートな質問に、政府側出席者は誰一人としてきちんと答えることができませんでした。
いま、私たち大人のひとりひとりが、子どもたちがメッセージしてくれたことを真剣に受け止め、行動していかなければなりません。

以下は、今日の子どもたちの声の抜粋です。子どもたちのメッセージをぜひ聞いてください!

●子どもたちが読み上げた手紙より
・友達と離ればれになって、みんなバラバラになって、どうしてこんな思いをしなくてはいけないのか。
・大人は命よりお金が大事なのですか。
・私たちの家族、友達誰一人傷つけないでください。
・もともとの基準を何十倍にも引き上げて、安心といわれても中学生にも信じられない。大人は責任をとってください。
・こんなことになるなら原発がないほうがよかった。

●政府の答えを聞いた子どもたちの一言
・除染しても安心できない。どうしてもっと早くやらなかったんですか。
・集団疎開についてきいたのに、答えてくれていない。
・「最大限」ってどうなることが政府の方々にとって最大限なんですか。

●記者会見で今日の感想を問われて
・何で大人なのに、ちゃんと子どもの質問をきいていないのかと思った。
・大人なのに、子どもの言葉がちゃんと伝わらないのは、子どもの頃ちゃんと勉強していないのかなと思った。
・もう少しちゃんときいてほしかった。
・集団疎開が決まっていないなら決まっていないと言ってくれればいいのに、ずっと黙っていて、質問の内容も変えられていてがっかりした。

誰に一番きてほしかった?と問われて
・総理大臣、文科省の一番えらいひとなど


●みんなと一緒だったら、福島ではなくても集団疎開したい?と聞かれて
・一番は福島だけれど・・・学校中の誰もが安全じゃないと思っている。みんなと一緒にいたい。みんなと一緒だったら・・・

●生中継を見ている2万5000人の方へのメッセージ
・福島県の人たちだけが真剣に考えているだけではダメ。福島は東京の電気を作っていた。東京の人たちや、他の全国の人たちにも今どういう状況で、私たち福島の人たちがどんな目に遭っているのかをしっかりと考えてほしい。よろしくお願いします。

●東電に対するメッセージ
・福島の人たちを被ばくさせて、将来ガンとか白血病とかにならさせる東電が許せない。
・今年生まれた赤ちゃんがガンになっちゃったりしたらかわいそうなので、そういうことした会社がちゃんと直してあげてほしい。
・失業した人もいるのに、東電の社長は5億円ももらって、それについて東電がすごく憎い。

●泊原発再開することについて
・原発再開をめざすのはすごくおかしい。放射能でガンになるとか、そういうことが見えているのに、またガンになるものを自分たちの手で再開するというのは。こういう事故があるのは、原発はいけないっていうことを教えてくれるものだと私は思うので、この事故でどういうふうになっているのかというをちゃんと考えて、これからの原発をどういうふうにしていくかをちゃんと考えていくべき。
・子どもは大人じゃないけれど、子どもが大人に言うんだから、大人はちゃんと考えて、営業をしないでほしい。
・今回の事故で日本中の人が困っているのに、また再稼動するって言うことは、また何かあったときに、また人間に有毒なものをばら撒くってことなので、再稼動しないほうがいいと思う。
・福島第一原発の事故が起きているのに、北海道で同じような事故が起きたら、北海道の人も被ばくしちゃうし、日本中の人たちが大変で悲しいです。

●最後に
・事故後、原発はあってはならないものだと思った。
・これから疎開する人もいると思う。私たちが大人になったら原発のない社会を作れるように今から協力していきましょう。

→このころ、菅首相は、脱原発に関心がいってしまっていたのか?

天災を人災に変えた首相 「歪んだ原発政策」垂れ流し
産経新聞 8月26日(金)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110826-00000096-san-pol
 ■「浜岡」停止 おいしいとこ取り

 東日本大震災で起こった東京電力福島第1原子力発電所の事故は、事故そのものへの対応だけでなく、原発政策の迷走となって日本を揺さぶった。円高とともに日本の産業を空洞化に追い込んできた菅政権の失政を検証する。(小雲規生、坂本一之)

 「それでいこう」

 首相の菅直人はあっさりゴーサインを出した。福島第1原発事故発生から2カ月近くたった5月6日夜。菅は緊急記者会見で、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止を宣言した。

 菅は2つ「おいしいとこ取り」をした。1つは、発表役を経済産業相の海江田万里から奪ったこと。これはいい。だが、もう1つは重大だ。菅は政府内部で決めた浜岡停止の「前提条件」にはほとんど触れず、「歪(ゆが)んだ原発政策」を垂れ流し始めたのだ。

 「前提条件」はその1カ月前に動いていた。3月30日、政府は全国の原発を対象に「緊急安全対策」を指示。これで津波による事故発生を防ぐ当面の手立ては整い、定期点検中の原発は安全性を確保したはずだった。ただ、海江田は浜岡を例外中の例外と位置づけていた。東海大地震で大津波を受ける可能性が高い。だから浜岡だけ「さらなる安全性確保のため運転を停止すべきだ」と、菅に説明したつもりだった。だが、菅は「浜岡は危ない」というメッセージを垂れ流し、浜岡以外にも危ない原発があるとにおわせ、衝撃となって日本を包みこんだ。

 ◆信用失墜

 「到底、国民の理解が得られるものではない」

 13基の原発を抱える福井県知事の西川一誠は、この首相会見に不満を爆発。原発建設に積極的だった福井県は態度を百八十度変えた。以来、西川は「具体的な安全基準を国が早急に示すべきだ」と、国を突き放した。福井の変化は他の自治体にも波及し「電力不足」は全国に拡大した。

 この会見と前後して菅は「福島第1原発」への関心を失い、「脱原発」路線に突き進んだかに見える。

 第1原発での失敗を「脱原発」でごまかそうとしているのではないか-。そんな臆測も飛び交った。

 結局、菅が「安全宣言」を無視したことで、原発再稼働に向けた環境はもろくも崩壊。再稼働で夏場の電力需要を乗り切ろうとした対策に影を落とした。

 ◆追い打ち

 菅の独り相撲はその後も続く。7月7日。資源エネルギー庁幹部は国会の首相答弁を聞き、天を仰いだ。

 「ストレステスト(耐性検査)も含めて基準を設け、それをチェックすることで国民の皆さんに理解をいただける」。テレビで菅は自信満々に答弁した。

 ストレステストは、原発がどの程度の災害まで耐えることができるかを確かめるための検査手法。原子炉強度のデータをもとに計算で結果を出すため、原発が稼働中でも実施可能だ。

 だが、菅はあえて再稼働の前提条件とすることにこだわった。この過程で、原発事故対策の中枢であった首相と経産相は、対立関係に落ち込んでいく。

 「原子力安全委員会と話をしているのか!」

 6月29日。菅は携帯電話で海江田を怒鳴り付け、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働にストップをかけた。海江田が玄海原発の地元自治体に出向き、再稼働の見通しがたったところだった。だが菅は「脱原発」を政権の成果にしようと必死で、海江田の話を聞く姿勢はなかった。

 翌日、ストレステストを実施せよとの唐突な指示が菅から海江田に下された。

 「ストレステストが必要なら、浜岡停止発表の時点で指示を出すべきだ。誰かに吹き込まれて、急に言い出したんじゃないか」

 経産省幹部は菅の無軌道ぶりに驚き、あきれた。

 ◆続く迷走

 「政府の方針がフラフラしている以上、原発再稼働の検討は進められない」

 佐賀県知事の古川康は記者団に菅への不信感をあらわにした。古川は浜岡停止後も再稼働の道を探っていた数少ない知事。海江田は玄海原発再稼働を狙い、6月末に古川や玄海町長の岸本英雄と面談し、岸本からは同意を引き出していた。

 それを菅が壊した。

 「菅は電力不足を解消するつもりがない」(メーカー幹部)と産業界は一斉に態度を硬化。経団連会長の米倉弘昌は、訪問中の英国で語気を荒く批判した。

 「企業の協力が否定されている。海外移転がますます加速するのではないか」

 ◆心ない謝罪

 「1千万戸の家屋に太陽光パネルを設置する」「電力会社に全量買い取りを義務付ける固定価格買い取り制度をやる」。菅が「脱原発」を言えば言うほど、福島第1原発事故への積極的な言動は影を潜めた。

 27日、菅は福島県に出向き、土地借り上げなど原発周辺住民への支援策について説明する予定だ。

 おそらく菅は頭を下げるだろう。だが、「脱原発」でパフォーマンスを繰り広げてきた菅の陳謝が単なるポーズであることを、被災住民たちも十分に理解している。(敬称略)