「日銀は大量に国債を買い、流動性を潤沢に供給すべきだ」(榊原元財務官) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「日銀は大量に国債を買い、流動性を潤沢に供給すべきだ」(榊原元財務官)

秘書です。

「日本も米国を見習って激しい量的緩和をする時期にきている」

との榊原元財務官の意見が、財政当局の主流の見解になるといいですね。



最高値に迫る円高が日本経済に影-震災後の回復シナリオに狂いも
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=a5kQQ70dSBqI

 8月2日(ブルームバーグ):戦後最高値に迫る円高進行が、東日本大震災後の急激な落ち込みから回復しつつある日本経済に影を落としている。円買いの一因となっていた米債務上限引き上げ問題は妥結したものの、ドル・円相場は1ドル77-78円台でこう着。このまま円高傾向が続けば、年後半に見込まれる成長軌道への復帰にも影響が出かねないとの警戒感が強まっている。

  米債務上限をめぐっては、引き上げ期限の2日が迫る中、交渉が決裂し米国債のデフォルト(債務不履行)が起きかねないとの懸念からドル売り・円買いが進行。米民主・共和両党が1日に合意にこぎつけたことで一時円買いが緩んだものの、同日の海外市場では3月17日以来の高値となる一時76円30銭を付けた。2日の東京市場では9時4分現在、77円30銭付近を推移している。

  日本経済は震災の打撃から着実な回復を見せている。鉱工業指数は震災直後の3月に過去最大の落ち込みを示したが、翌月から3カ月連続で上昇。サプライチェーン(供給網)寸断の影響が大きかった自動車産業の回復も著しく、自動車やトラックを含む「輸送機械工業」の指数は6月に前月比18.5%上昇と業種別で最大の伸びをみせた。

  みずほ証券リサーチ&コンサルティングの宮川憲央シニアエコノミストは、日本経済が大震災から復興しつつある中、「円高は景気回復に水を差しかねない」と指摘。「80円台前半や70円台が長引けば、輸出の価格競争力に影響が出る」として、円高進行が景気回復の足かせとなると指摘する。

            空洞化加速も

  明治安田生命の小玉祐一チーフエコノミストは7月29日付リポートで国内経済の先行きについて、節電の影響に懸念を示しつつも、「生産・輸出の回復基調が続くと見込まれることに加え、震災からの復興需要も徐々に顕在化してくる」として、7-9月期の国内総生産(GDP)は4四半期ぶりにプラス成長へ復帰すると予想した。

  だが、円相場次第で成長率にも陰りが出そうだ。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは今年後半のドル円相場の平均レートが1ドル=75円となれば、今年度の経済成長率を0.8ポイント押し下げると試算。野村証券の木内登英チーフエコノミストは同水準で0.24ポイント、1ドル=70円では0.49ポイントまで押し下げるとみる。

  急速な円高に輸出企業関係者からも懸念の声が相次いでいる。日産自動車の田川丈二執行役員は7月27日の決算会見で円高を受け、個別企業で対応できる水準ではなくなっていると訴えた。最終的に日本での生産が難しくなり、雇用に影響が出てくるとの懸念も示した。

  バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは、現在の円相場水準が定着すると、「海外への生産拠点移転はさらに進む」と述べ、産業空洞化が加速する可能性を指摘。その上で、日本の政府当局の対応が物足りないとし、「政府が明確に企業を支援している韓国などとは大きな違いだ」と述べ、政府に具体的な対応策を求めた。

             介入の条件

  野田佳彦財務相は先月29日の国会答弁で、「国内の生産拠点を海外に移さざるを得ないという企業が増えていることは一番憂慮している」と表明。為替が1ドル=77円台と円高で推移していることを受け、「最近の市場の動きは日本経済の実勢からかけ離れて円が強くなり過ぎている。一方的に偏った動きになっている」と警戒感を示すとともに、「為替介入は一時的には一定の効果がある」と述べ、円高是正のための介入を否定しなかった。

  一方で、同相は「介入の条件」について「為替の過度な変動や無秩序な動き」とし、「水準の話ではない」との見解も示した。政府・日銀は今年3月18日、円相場が戦後最高値(1ドル=79円75銭)を突破し、76円25銭まで急伸したことから、11年ぶりにG7(主要7カ国)との協調介入に踏み切った。この際には1週間で5%近い円高となったが、今回は同じ期間で2%程度にとどまっている。

            日銀への風圧

  日銀に追加的な金融緩和を求める声も高まっている。元財務官の榊原英資青山学院大学教授は先月27日、日本の金融緩和は米国に比べて不十分とし、「日銀は大量に国債を買い、流動性を潤沢に供給すべきだ」と指摘。その上で、「日本も米国を見習って激しい量的緩和をする時期にきている」と述べ、日銀に対しさらなる金融緩和を求めた

  昨年10月、日銀は円高・株安進行による景気の下振れ懸念を受けて政策金利を「0-0.1%程度」にまで引き下げた。大震災後の3月には、リスク性資産を中心とする金融資産買い入れ額を10兆円に倍増。日銀の亀崎英敏審議委員は先月27日の会見で政策運営について「あらゆる選択肢を排除せず、主体的に必要な施策を講じていく」と強調する一方で、追加緩和は「考えていない」と述べるにとどめた。

  「日銀が追加緩和に踏み切るのは円高進行そのものではなく、海外経済の停滞感の強まりによる需要の不振が日本の景気を下押しする公算が高まる場合ではないか」-。大和証券SMBCの野口麻衣子シニアエコノミストは、日銀がじっくり情勢を見極める公算が大きいとみている。次回の日銀政策決定会合は4、5の両日に予定されている