「増税は、知恵なき政治の末路である」(伊藤達也元金融相) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「増税は、知恵なき政治の末路である」(伊藤達也元金融相)

秘書です。


昨日、伊藤達也元金融相の「納涼の集い」にいってきました。

伊藤達也さんは、95年の阪神淡路大震災の復興需要で日本経済は拡大に向かった。しかし、その後の増税で一気に日本経済は下り坂に入った、自分はそのときの反省、教訓を橋本龍太郎から学んだ、といっていました。そして今、阪神淡路大震災後、再び、復興需要をつぶすような増税と行きすぎた円高が日本経済と国民生活を襲おうとしています。国民は被災者のために負担を分かち合おうとしている、そのことに頼ろうとする政治の貧困を嘆いてました。
 


2011-07-27 23:51:53
増税は、知恵なき政治の末路である
http://ameblo.jp/tatsuyaito/entry-10967344040.html

7月25日産経新聞朝刊 田村秀男編集委員 の記事「増税は、あきらめの政治」 にわが意を得たりの思いでヒザを打ちました。
「知恵なき政治の末路が増税」であることを私は松下政経塾で教えられました。いま政経塾出身者の閣僚から、そうしたメッセージが発信されないことを非常に残念に感じます。
もちろん菅政権ばかりがひどいのではなく、自民党執行部もだらしがない。経済の動向を見誤って消費税を増税し、その後デフレを慢性化させた橋本政権の失敗を自民党は総括できていません。当時とおなじ過ちを犯しつつある現政権の方向性を正すことが自民党の果たすべき役割です。つまり、政策を打つ「手順」を間違えるなという教訓を引き出せていないということです。
橋本さんが小泉さんと総裁選で競った2001年春、私は橋本さんの陣営でその政権公約である「200日プラン」の経済財政分野を担当しました。増税を急ぎ経済を失速させた苦い反省に基づき、政策の優先順位として、まずは経済の建て直しが必要だと訴えました。不良債権問題を解決し、産業再生を実現する、証券市場や不動産取引も活性化させる、雇用不安を払拭するためのセーフティネットを構築する、こうした政策をパッケージとして掲げて総裁選を闘いました。結果は、小泉さんの勝利だったわけですが、このとき橋本さんが掲げた政策の大半は、小泉構造改革として引き継がれたいきました。
社会保障を充実するためにも、被災者を救うためにも、結局は経済がしっかりしていないければならないのです。税収を増やすためにも、まずは景気を回復軌道に乗せなければなりません。
「無策の結末」としての増税に安易に流れる永田町の風潮とは、一線を画す政治を目指したいと強く思います。

→この集いにいらしていた平成研の党幹部の発言を聴いて、自民党執行部は伊藤さんの考え方と同じだな、大丈夫だなと安心しました!

しかし、残念なるかな自民党は野党です。

与党民主党を通じて、歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。

阪神淡路大震災から何の教訓も学ばず(いや、正確には政官財学労報の主流では、橋本元首相の反省に耳をかさず、学者を総動員してあの景気後退は増税のせいではない、外的要因だと誤った歴史総括をおこない!)、東日本大震災後、日本が政策的に、自らの意思で日本経済を壊滅させていく、国民生活を窮乏化させる、我が国周辺諸国からみれば喜劇的な、あまりに喜劇的な、笑いが止まらない、国をあげてのエリート総動員で自らの手で国家を衰退させる、その共同正犯・共同謀議の戦犯としての罪!そのことを後世問われないようにするには、増税と行きすぎた円高に反対するしかありません。


「増税」表現の抹消を要望へ 民主党
産経新聞 7月29日(金)1時14分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110729-00000507-san-pol

→これから、政府をあげて、民主党のみなさんに山のようにとどくであろう橋本政権下の景気後退についての「増税派史観」は以下のようなものになることでしょう!

「与謝野大臣ご指示による報告案件」 より。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai9/siryou3-2.pdf

消費税増税のマクロ経済に与える影響について 

1997年の消費税率引上げについて、マクロ経済に与えた影響は未だに見解が分
かれる。ただし、最近の研究結果から考えると97~98年の景気後退の「主因」とは考えられない。

○1997年の消費税引上げの評価・教訓

• 消費税が3%から5%に引き上げられた1997年の景気動向については、アジア通貨危
機(7月)、金融システムの不安定化(11月)という大きなショックに日本経済が見舞われ
たため、消費増税そのものの影響だけを析出するのは容易ではない。
• さらに消費増税は、消費の「駆込み需要」とその後の「反動減」を生み出すため、マクロ
の所得効果を見るためにはこうした消費の変動をも取り除かなければならない。
• 消費税増税が消費の落込みを通して日本経済にマイナスの影響を与えたという見方も
ある。
• 「家計調査」のミクロのデータを用いた最近の研究によれば、マイナスの所得効果は0.3
兆円、対GDP比0.06%と推計されている。
⇒推計結果に幅を持たせるとしても、消費税増税は97~98年の景気後退の「主因」
であったとは考えられない。


→上記の結論が、8月末に内閣府から出される増税レポートの基調をなすことでしょう。

橋本元首相がご存命なら、さぞお怒りだったことでしょう!


「98年度経済白書」の下記の分析は下記の通り。
http://wp.cao.go.jp/zenbun/keizai/wp-je98/wp-je98-00101.html
「1997年度年次経済報告で指摘したように,日本経済は96年半ばから景気回復が本格化し,景気回復期にみられる好循環が現れて,それまでの景気刺激策に支えられた不安定な回復過程から,民間需要中心の自律的回復過程に移行しつつあった。97年度に入ってからの消費税率の引き上げ,特別減税終了などによる国民負担増,およびある程度の駆け込み需要の反動減については,政府経済見通しでも織り込んでいたが,89年の消費税導入時と比べて所得増加期待が小さくなったなかで消費者の反応は大きく,駆け込み需要とその反動減は予想以上に大きく,消費支出や住宅投資の動きに大幅な振れをもたらした。」

→内閣府がこの白書を否定するレポートをどのように書くのか、注目です。

→民主党のみなさん!橋本政権、阪神大震災後の増税の歴史をいまこそ学ぶときです!国民生活第一!党内での自己保身は劣位に!

しかし、民主党内への98年景気後退についての、「増税派史観」の浸透は、今にはじまったことではありません。菅財務相時代から、着々と進んでいます。

財政制度分科会(平成22年5月18日開催)記者会見
財政制度等審議会 財政制度分科会
記者会見平成22年5月18日
財政制度等審議会
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/conference/zaiseia220518.htm

〔大串大臣政務官〕ありがとうございます。政務官の大串でございます。

きょう、財政制度等審議会財政制度分科会の、2回目の会を行いまして、お手元に資料がいっていると思います。きょうは井堀先生から「財政健全化・消費税とマクロ経済活動」ということで、お手元の資料を見ていただければ、ざっとご理解いただけると思いますけれども、平成9年の消費税率引上げ等々の例を見ながら、消費税の引上げ、財政健全化というものが景気に本当に悪影響を与えたのかということの議論をいただきました。流れとしては、平成9年の経済指標等々を見ても、駆け込み需要、いろいろな消費のでこぼこはあっても、ネットで見ると当時の影響としては金融危機の影響や、あるいはアジア危機の影響等々の方が大きかったのではないか。諸外国、ドイツやイギリスでの付加価値税の引上げのときの例を見ても、そういうことではなかったかということ、さらには、13ページ以降ですけれども、増税した場合に、どのような経済効果があるのかといったこと、これは基本的には、現在の増税が将来の減税ということと等価ということになるのであれば、それは中立的なことになるとか、あるいは増税して、それが使い道の問題も大きい問題なのだという議論等々が紹介されたところでございます。

これに関していろいろな議論がございましたけれども、技術的な質問以外では、幾つかの質問がございましたけれども、基本的には、ここに井堀先生から紹介されたように、平成9年の消費税率引上げ等々が景気に大きなマイナス要因、主たるマイナス要因ではなかったのではないかという議論が多かったと思います。

かつ、吉川会長からも、今回は財政健全化、あるいは消費税等々に関する副作用の分析のことを、今これで議論しているのだけれども、今の財政の極めて厳しい状況が平成9年とはかなり異なってきているので、この点も含めて財政健全化のことをよく考えるべきではないのかというような議論がございました。

以上のような点がきょうの議論でございました。私からは以上でございます。

〔吉川分科会長〕私の方も今言っていただいたとおりです。

〔幹事〕きょう、ヒアリングをしたということなんですが、先ほどの財政健全化のお話ということなんですけれども、今、ギリシャの問題とか出ているんですが、そういった最近のトピックスみたいなところの議論というのはありましたでしょうか。

〔大串大臣政務官〕先ほどご紹介しましたように、財政健全化を行う、あるいは消費税の引上げを行うといったことの、ある意味副作用の議論も今回、井堀先生からも提示していただいているわけですけれども、やっぱり平成9年と比べて今の財政状況はかなり厳しくなってきているという現状を踏まえる必要があるのではないかと。ですから、財政健全化の必要性、ニーズ、緊要性みたいなものも平成9年とはかなり違って、高まってきているのではないか、こういうふうな現状認識での議論はありました。

〔幹事〕あと、すいません、増税が中立的というお話があったと思うんですが、これ、どういった理由で増税が、そんなに景気に悪影響を与えないのではないかというような議論があったんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕いわゆる中立性の命題、中立命題と言われていますけれども、現在の増税が将来的な減税というふうに等価的に判断される場合においては、経済に与える効果はネットでゼロであると。あるいは逆に、現在の財政赤字というものが、将来の負担増にかわる、というふうに理解されるのであれば、現在、財政赤字を流しながら財政を拡張することは、将来の引き締めにつながるから、これもプラ・マイ・ゼロというような中立命題がありました。この点から、現在の増税が必ずしも経済に悪影響とはならないのではないかという論点が1つと、もう1つは、非ケインズ効果と言われているものですけれども、むしろ、財政健全化を行うことが、将来の安心感を生み、それによって現在の民間消費や投資を刺激して、現在から景気をよくする効果すらあるのではないかという、非ケインズ的な効果に関する論評もこれあり、こういった論点から景気に対する影響がマイナスとばかりは言えないのではないかという議論でありました。

〔幹事〕特に景気にマイナスではないのではないかということについての反対意見みたいなものは、特にありませんでしたか。

〔大串大臣政務官〕議論の中で、もちろん厳密に見ていくと、現在、税を上げることによる所得効果、あるいは代替効果、これ厳密に見ていかなければならないところはあります。ですから、例えば議論の中で、非常に所得が現在低くて、資産が少なくて、すべての所得を今消費してしまわなければならないような世帯に対して何らかの手当てが必要ではないかという声とか、あるいは、住宅投資などには比較的大きな影響を与える可能性はあるのではないかというような声は一部ありました。

〔幹事〕あと、次回以降のテーマと、次回のスケジュールみたいなものがわかれば教えていただきたいと思いますが。

〔大串大臣政務官〕次回以降の日程は、またこれから検討して、決定しようと思っていますが、前回と今回と総論的なことを2回議論させていただきました。大変、意義ある、勉強になる会だったと思っています。ですので、こういう総論的なものをもう少し、どの程度掘り下げる必要があるのか。例えば、よく今議論として行われているのは、日本の国債市場、あるいは日本の財政状況というのは、例えばギリシャとは違うのだと。何となれば、国内債で国債が吸収されているから、かなり違うんだという論点とか、あるいは、将来的に税を引き上げる余地があるから、まだまだ大丈夫なんだとか、こういうふうな国内的な、いわゆる国債、あるいは赤字財政の吸収余力に関する論議が出てきております。こういうことも、ひょっとしたら総論的なものとして、もう少し議論を深めた方がいいかなという思いもありますので、この辺もちょっとまたよく考えながら、さらには、より各論でいうと、先般もご紹介しましたけれども、将来的には地方財政のあり方、財政制度のあり方とか、あるいはセーフティネットのあり方とか、各論はその後詰めていかなければなりませんけれども、今申し上げたような総論みたいなことももう少しやる余地はあるのかなという感じもしてはいます。

〔質問〕今回のこの分析なんですが、自分なりに一言で分析しますと、要は前回の消費税を3%から5%に上げたときは、景気に対しては中立であったと、こういう認識でまずいいのかということが1点と。

で、前回と今では財政状況が極めて異なっているので、今回はむしろ消費税を上げた方が、将来不安というものがなくなって、むしろ景気を浮揚する効果があると、こういうふうに今回は分析したと、こういう理解でよろしいんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕前者の点に関しては、きょう、財審の先生方の議論をいただいたわけですけれども、井堀先生からの提起された論点及びご意見、交わされたご意見も、総体として見てみると、前回9年のときに引き上げた消費税の引上げが、主要な景気後退の要素ではなかったのではないか。むしろ、金融危機の影響、あるいはアジア危機の影響等々の方が消費を抑え、景気の足を引っ張った要因としては大きかったのではないか、こういうふうな大体の流れはあったと思います。

それと同時に、後半で理論的な流れとして、健全化を行う、あるいは税を引き上げるということが景気に対してマイナスとだけのいろいろな議論、論理、あるいは理論があるわけではなくて、景気に対してプラス面の要素もあるんだということの紹介、それともう1つ、そのような副作用面の分析とともに、今おっしゃったように、現在は財政健全化のニーズ、緊要性が極めて高まっているということもあわせて考えなければならないという話があったということです。

〔質問〕そうしますと、むしろ今、財政健全化ということで目標を設定していかなければいけないという状況においては、景気に対しては、むしろ、先ほど私が言ったように、将来不安がなくなるということで、浮揚させる効果というものが出てくるというふうに、今意見があった、あるいはきょうの審議会の中で、そういった方向感ができた、このようなイメージなんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕審議会でいろいろ議論していただいているので、方向感を出す出さない、結論を出す出さないという場ではございませんでしたけれども、概ね皆さんの意見は、財政健全化を行っていく、そのために歳入面でも何がしかの取組みをしていくということが、現在においてマイナス面ばかりがあるのではないのではないか、経済に対するプラス面ももちろんあるのではないか。それは、先ほどおっしゃった安心感を高めるとか、こういった面での効果もあるのではないかという議論は、大体においてあったと思います。

〔質問〕97年当時の分析ということなんですけれども、当時は消費税引上げだけではなくて、社会保険の増だとか、特別減税の打ち切りとか、そういうこともあわせて言われていたかと思うんですけれども、消費税の増収分以上のものがあったとされている中で、本当にアジア危機の方がメインだったと言っていいのかということと、それを今、お話の中で諸外国と比べ、事例を見るとそうだというところなんですけれども、ストレートにそう言っていいのかというところが、ちょっとぴんとこないところがあるんですけれども、それはいかがでしょうか。

〔大串大臣政務官〕例えば、そういうことに関しても議論が少しありました。当時の株価の動きなんかも見ても、消費関連といいますか、消費関連のところの企業の株価が値崩れしていたのか、むしろ、例えば金融株の落ち方が明らかに大きかったとか、そのような統計を見ても、消費税関連が大きな影響ではなかったのではないかという声はありました。

確かにおっしゃるように、いろいろな社保関係の負担の引上げもあったわけですし、他方、いろいろな先行減税という逆向きの動きもありました。それらを加えて複合的に見ていかなければならないのではありますけれども、今申し上げたような統計というか数字を見ても、これだけが大きな影響ではなかったのではないかという議論でした。

〔吉川分科会長〕私からもその点について補足させていただきますと、要するに97年のときの議論については、井堀先生の4ページにもありますが、当時の経済白書の下の方に「参考」で、当時、いわゆる「9兆円の負担増」と言われたわけですが、これがやはりネガティブな影響を与えたのではないか、ただし、その言い方なんですが、これが主役だったというのではないけれども、これ自体としては、やはり若干ネガティブな影響を与えたというようなことをおっしゃった出席者の方はあったと思います。ただし、その方も含めて、終わってみれば、98年のマイナス成長まで含めて、いわゆる消費税の増税よりは、不良債権の問題、金融危機、それから、覚えていらっしゃると思いますが、当時、アジアの通貨危機という、タイから始まったアジアの通貨危機による輸出の大幅な落ち込みというようなこともあったわけですが、そうしたものの影響の方が大きかったというのが、私の記憶している限り、出席者の方のほとんどの方のご意見だった。そういうことだろうと思います。

〔質問〕最近、大臣が増税しても使い道を間違えなければマイナスではないという趣旨のことをおっしゃっているかと思いますが、増税して、財政赤字の削減に充てる場合と、歳出増に充てる場合と、そういった使い道の効果の違いみたいな議論はあったんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕それは、井堀先生からの指摘の中にも、13ページにありますけれども、増税の経済効果、ケース1、ケース2とありますけれども、増税して歳出が無駄な歳出に使われるのであればマイナス影響の方が大きいでしょう。有益な歳出増につながるということであれば、ケース2にあるように、需要面と、あと供給面、両方からの分析は必要ですけれども、プラス影響もあり得るでしょう。こういうふうな理論的な分析はありました。もちろん、ケース3、ケース4にあるように、増税と減税とを組み合わせる場合、あるいは増税と財政赤字の削減と組み合わせる場合というような分析もありましたけれども、歳出の中身に関する議論は、そういうものは確かにありました。

〔質問〕すいません、1つ教えていただきたいんですが、増税はプラスの効果、景気浮揚の効果もあるといった議論が出たという話があったかと思うんですけれども、それは何らかのタイムスパン、つまり、足元が今わりと大事だと言われる議論、回復基調に向かっている中で、足元の景気に対する認識というのも非常に重要になってくるかと思うんですけれども、景気の浮揚の効果と、あと時間の経過みたいな議論、つまり、足元一たん引っ込むけれども、増税で、10年先は伸びるんだみたいな、そういう時間の流れに沿った形での何か議論というのはあったんでしょうか。それとも、ここに出ているような、いわゆるケース、こういうケースがあり得るんだというようなケースの分類で終わったんでしょうか。そこら辺、深掘りした議論はあったんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕そうですね、きょうは1時間の議論だったので、恐らくかなり詰めていくと時間軸の議論も出てくるんだと思いますけれども。

〔吉川分科会長〕あと、多分、ご質問の趣旨から少しずれるかもしれませんが、今のご質問の趣旨はタイムスパン、あくまでも景気ということで、景気に与える増税の影響ということだろうと思うんですが、ちょっと切り口は違うんですが、経済政策、あるべき経済政策、やるべきことということで考えると、安定的な順調な経済成長を実現するというのは当然1つ大きいんですが、実はそれとも関係するのが、財政がひどい状況になる。それは先ほど、一番初めにも出たようなギリシャのような、ああいうことが起きたら絶対いけないということが、やはり経済政策の目標としてあるわけですね。それは成長、あるいは循環、あらゆる意味でマイナスということでしょうから、やはりそういうことも1つ大きな経済政策の目標であって、それを避けなくてはいけないというのは、出席された方々の、ほとんどすべての方の問題意識で、実際そういう議論も少しあったということです。

〔質問〕きょうのこの議論の中で、あまり、平成9年のときには主たる景気後退の要因ではなかったということですが、これは例えば、消費税率が3%から5%、つまり2ポイントの引上げであればさほどの主因ではないけれども、例えばこれが引上げ幅によっては、どういう影響が出てくるとか、そういった議論があったのかどうかということが1点と、引き上げた時点でのマクロ経済環境がどういったときに引上げると、さほど影響が出てこない。例えば、経済成長が安定的に伸びていく場合には大丈夫だとか、そういった引上げの時期の議論というのはあったんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕引上げ幅の議論に関してはありませんでした。それから、時期に関しての議論は、明示的にはありませんでしたが、井堀先生のこの紙の中にも、19ページですけれども、代替効果のところですけれども、インフレ期ではインフレの加速要因になりますよ、しかし、デフレ期ではデフレマインドの相殺になります。こういった分析は井堀先生の方にはありました。

〔吉川分科会長〕あともう1つ補足させていただければ、井堀先生の紙の1ページですか。97年の4月前後、左の方を見ていただくと、97年の5月が景気の山なんですね。これは事実として、97年のときには、こういうタイミングだったというような指摘も出席者の中で少しあったということです。

〔質問〕たびたびですいません。もう1点だけお伺いしたいんですが、97年に消費税を引き上げたときには、これだけの負担増もあったんですが、一方で、そこにいくまでに先行して減税が行われてきた、こういった要素もあるんですが、では今度、税率を引き上げる際に、先行減税みたいなものは必要になるというような意見、あるいはそういった議論というのはなかったんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕そのような議論はありませんでした。

〔質問〕今、先行減税については、どう思われますか。

〔大串大臣政務官〕そこまでの議論はまだしていません。

〔質問〕最近、菅大臣がおっしゃっている、増税しても景気浮揚効果があり得ると。きょうの報告も、それと一致しているんですけれども、きょうの報告を受けて、きょうは大臣、出席はされていたんですよね。これを受けて何か大臣から、この報告について何か言及はございましたか。

〔大串大臣政務官〕きょう、大臣、かなり短い時間の参加だったものですから、特段の発言はありませんでした。今回、こういうスタディを経て、またいろいろな議論をしていきたいと思います。

〔質問〕すいません、もう1点。最後のページのところに、今後引き上げる場合にネットで増税というのは、井堀先生のご意見なんだと思うんですけれども、これについては、こういう必要性だよというご議論はあったんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕これは井堀先生の指摘でございます。ただ、議論の中では、現在の97年当時と比べても財政状況は極めて厳しいということを前提とすると、いわゆる歳入の増加による果実が、いわゆる財政の健全化の方にも当たっていくような形になるというのは、ある程度のみんなの議論ではなかったかというふうに思います。

〔質問〕審議会として、大臣に対して、いつ、どういう形で提言するのか、そこは何か決まっていますか。

〔大串大臣政務官〕次回以降の会、総論を2回やったわけですけれども、今後、総論も含めてどうするか。各論にいつ、どういうふうに入っていくかということは、これからもう少し議論していきたいと思います。

〔質問〕増税が必ずしも景気にとってマイナスではないということについては一致を見たと思うんですけれども、井堀先生がおっしゃっているように、有益な使い道によっては、むしろメリットが大きいということについては、皆さん、それについても大体意見は一致したんでしょうか。

〔大串大臣政務官〕歳出面の構成も大事だという意見は皆さん同じ考え方だったと思います。

〔質問〕くどくて申しわけないんですけれども、景気循環の中で景気がどういうポジションにいるときが増税する上でふさわしいのかという踏み込んだ議論というのはあったんでしょうか。つまり、増税の目安となる景気の状態について、意見交換なり何なりあったら教えてください。

〔大串大臣政務官〕そこまでの議論は、きょうはなかったです。

〔吉川分科会長〕ただ、しっかりした景気判断は政府としてやっていくのは大切なことだという議論は、たしか出てきておりました。

〔質問〕すいません、重ねての質問になってしまうんですが、19ページの、つまり、消費税引上げのタイミング、デフレ時期であればデフレマインドの相殺であるとか、今、可処分所得の減少になるけどみたいな話というのは、逆に言うと、今の時期にやればよいということにも読み取れなくもないんですが、この19ページのことに関しては何か意見というのはあったでしょうか。

〔大串大臣政務官〕19ページ固有に、かなり突っ込んだ議論があったわけではないです。ただ、こういうふうな考え方もありますということの紹介があったということです。先ほど吉川会長からも話があったように、もちろんタイミングに関しては景気も含めてきちんと見ていかなければならないという意見も、もちろんありました。

〔質問〕すいません、景気のタイミングについて、吉川先生はどういう局面での引上げというのが、タイミングとしては望ましい、あるいは影響が小さいというふうにお考えかというところを聞かせていただけませんでしょうか。

〔吉川分科会長〕消費税を上げるとして、今ここで私がその引上げのタイミングなんかについて申し上げる立場に全然ないと思っていますが、要するに、景気判断、それはやはり1つ、税について考える1つのポイントになるわけですから。したがって、政府として正確な景気判断を心がけて、客観的に景気を見ていく、これは大変大切なことだと、出席者の方からそういう意見です。それについては私は完全に同感ということです。

それともう1つ、井堀先生のプレゼン資料にもありましたけれども、97年の場合には、4月に上げたんですが、5月が山だったという、そういう事実はあったということですね。

〔幹事〕よろしいですか。では、ありがとうございました。


このときの配布資料
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia220518/01.pdf

→「増税派史観」と「日銀史観」の化学反応が国民生活を窮乏化させる!

増税は税収を減らす 
2011/05/08 09:52
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/2275037/

【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 阪神大震災後からの教訓

2011.5.8  産経新聞朝刊から
 東日本大震災の復旧に向け、国会論議の焦点は本格的な復興策を盛り込む第2次補正予算に移る。政府は当面の復興財源の確保と中長期的な財政健全化の両立のためには増税が不可欠との構えだ。だが、待てよ。

 ◆悪代官の手法と同じ
 増税して税収を増やすというのは、農民の年貢を引き上げる江戸時代の悪代官の手法と基本的に変わらないではないか。それでも増税が税収を増やし、財政均衡をもたらすならまだよい。阪神大震災(1995年1月17日)の後を例にとると、増税はむしろ税収を減らす恐れがある。
 95年度に政府は3度の補正予算で計3兆3800億円の財政資金を投入した。震災により資産は10兆円規模で破壊されたが、国民全体の努力により、わずか2年間で21兆4150億円も経済規模を拡大するのに成功し、増税なしで95、96年度と税収はわずかながら増えていった。
 96年度に首相となった橋本龍太郎氏は財務官僚の勧めに従い、財政収支均衡をめざし97年度に消費税率を3%から5%に引き上げた。一般会計の所得税、法人税、消費税の収入合計は、同年度に42兆円と前年度の39・6兆円から増え、その後落ち込んだ。橋本氏を継いだ小渕恵三首相は積極財政に転じ、税収は2000年度にいったん回復したが、翌年度は息切れした。結局、2%の消費税率アップで、03年度一般会計の消費税収は、96年度に比べ3・6兆円増えたが、所得税と法人税収は合計で9・5兆円も減った

 ◆主因はデフレにあり
 税収減の主因は97年度に始まったデフレである。同年度から物価下落の幅以上に家計の可処分所得が減り始めた。
 グラフは家計の消費意欲や所得の変動による消費の動きを正確にみるために、内閣府エコノミストが持ち家の想定家賃(「帰属家賃」と呼ばれる)を除外計算した家計最終消費支出と一般会計税収の推移である。国内総生産(GDP)の半分を占める帰属家賃抜きの家計消費は景気を左右し、景気動向を反映する所得税や法人税収入と連動することが読みとれる。
 消費と税収は、円安誘導政策をとった小泉純一郎政権時代の輸出主導型景気回復で04年度から少し持ち直したが、08年9月のリーマン・ショック後のデフレ加速のあおりで激減し、現在に至る。
 01年から03年まで内閣府経済社会総合研究所長を勤めた浜田宏一米エール大学教授は4月27日付の日経新聞経済教室で、デフレ経済下では増税が税収を減らす逆U字の「ラッファー曲線」に陥る可能性を警告し、橋本増税の失敗を教訓にすべきだと説いた。残念ながら財務官僚や日銀官僚からの影響を受けやすい国内在住の経済学者からは滅多(めった)に聞かれない正論である。

 ◆遠のく財政健全化
 こうした批判に動揺した与野党の一部では消費税には手を付けず所得税や法人税の税率アップで復興国債の償還財源に充当する案まで飛び出す。だが、消費者の財布の中身を薄くし、企業から利益を奪えば、消費も投資も減る。民間活力を高められるはずはない。税収はさらに減り、財政健全化はさらに遠のく。
 増税=財政均衡化論はなぜこうも執拗(しつよう)に、しかも非常時に指導層から飛び出すのだろうか。思えば、日本は明治維新後から戦後復興時まで、第一次大戦の戦争特需に沸いたほんの一時期を除き、一貫して債務国だった。債務国というのは貯蓄不足のために国債の国内消化がままならず、非常時の財源を外債発行に依存せざるを得ない。日露戦争時、関東大震災後の復興も外債発行で乗り切るしか方法がなかった。1929年10月の大恐慌勃発直後の金本位制復帰は、強い円により、有利な条件で外債を発行することが最大の狙いだった。ロンドンやニューヨークで起債するためには、国内を犠牲にして緊縮財政や増税を強いるしかなかった。戦後はしばらくの間、1ドル=360円の固定レートを定着させるしかなかった。
 しかし、今の日本は世界最大の債権国である。政府総債務はGDPの約2倍に及ぶが、その95%は国内貯蓄でまかなわれている。しかも国内投資に回らず海外で運用されている貯蓄は2010年末時点で250兆円に上る。海外の投資家はそんな日本の金融面のゆとりをみて、世界最大の債務国米国のドル資産を売り円や日本国債に投資する。政府は債権国としての発想に頭を切り替え、脱デフレと大復興を目指して復興国債発行に踏み切り、国民が貯(た)めたおカネの一部を復興投資に回せばよいのだ。


伊藤達也さんは福田政権のもとでは首相補佐官として、社会保障国民会議を仕切っていました。福田元首相も、現在の民主党政権の政策も、この社会保障国民会議の結論から一歩もでていないとおっしゃっていましたね。では、そのときの教訓を。
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/tax%20and%20social%20security_no.6.pdf

そして、この社会保障国民会議の提言には、1つの前提がありました。それは、マクロ
経済運営との整合性をつけるということであります。どういうことかというと、当時、「骨
太2006」構造改革の基本的な方針の中で、今後5年間にわたって基礎的財政収支を黒
字化していくために、歳出については、11兆円から14兆円の歳出改革を行う。経済に
ついては、当時実質成長率2%の回復軌道に入ってまいりましたけれども、これを安定的
な軌道に乗せて、そしてデフレから脱却をして、名目で3%以上の成長を実現していく。
そうした前提の中で、この社会保障の改革というものを整合的に議論をしたわけでありま
す。
したがって、基礎的財政収支については、この議論をさせていただいている当時でも、
もう6兆円台まで財政赤字は縮減をいたしました。今、基礎的財政収支の赤字は28兆円
ございます。小泉政権のスタートのときも、28兆円ございました。この28兆円の財政
赤字を6兆円台まで縮減することができたのは、増税をしたからではありません。歳出改
革のプログラムをしっかりつくり、そして、経済をマイナス成長からプラス成長に転じて、
税収を上げることによって基礎的財政収支の回復という、財政再建の重要な一里塚という
ものを実現していく、それを前提にして、社会保障の改革もセットをしたということであ
ります。
何を言いたいかというと、社会保障分野についても歳出改革の聖域にはせず、これはい
ろいろな方からご批判がございましたが、5年間においても、国ベースで1.1兆円の歳出
の抑制の努力をしていくという目標を設定した中で、改革を続けていくという姿勢を明確
に示して、その上で、今後の社会保障の将来像を描くということを前提としてさせていた
だいたわけであります。
そうした中で、会議の成果でありますけれども、お手元に「社会保障国民会議最終報告」
という資料、ちょっと分厚い資料を用意させていただいております。これの1ページ目を
見ていただければと思いますが、冒頭、この会議のミッションについてお話をさせていた
だきましたけれども、2025年の時点での社会保障の全体的な姿を描いているわけであ
ります。
年金につきましては、基礎年金の問題については、これはやはりなかなか意見の収れん
をすることはできませんでした。修正社会保険方式の考え方、そして税方式の考え方、そ
れぞれにやはり意見があり、この議論の中で1つ大きな問題だったのは、移行期の混乱を
どう混乱なく移行することができるのか、そこにほんとうに知恵が出せるかどうかという
点、それから、やっぱりコストの問題、この2つを中心に、なかなかやっぱり収れんする
ことができなかった。したがって、複数案、当時提案されているさまざまな案を前提に、
試算というものをさせていただきました。税方式をとった場合には、2025年の時点で、
必要額が公費ベースで15兆円~31兆円、消費税換算に直すと3.5%~8%必要になる。
修正社会保険方式を前提とした場合でも、低年金あるいは無年金の方々に対する対策とい
うものを強化する、これに必要な財源が、2025年時点で約3兆円弱、消費税換算で1%
弱という形での試算の結果になったわけであります。
医療・介護については、これは効率化の努力をやるという前提の中で試算を描いており
ます。その1つの前提が、今松山さんからお話がありました、IHNの取り組みに近い形
で、地域医療のあり方というものを変えていく、こうした努力の中で社会保障の機能強化
を図っていくということであります。
少しページが飛びますけれども、この医療・介護の問題については、22ページをあけ
ていただきたいと思いますが、患者の方のたらい回しというものを解消していく、地域の
医療の医師不足というものを解消していく、介護難民というものをなくしていくというの
は、当然の前提であります。そうした中で、救急医療につきましては、22ページに記載
させていただいているように、現在の救急体制というのは、年約500万人の救急搬送患
者を受け入れるという体制になっております。救急救命センターは、ER型を含めて21
0カ所でありますが、これを2025年の段階で650万人、そして400カ所まで機能
を強化するということを前提にいたしております。
さらに、24ページ目を見ていただきたいと思いますが、地域医療や介護サービスの充
実のイメージでありますが、人口5万人の生活圏を前提とした場合に、地域医療において
も、あるいは、グループホーム、有料老人ホーム、施設、こうしたものを2倍から3倍投
入量を上げて、スウェーデンと同じレベルまで充実させていくということを前提にいたし
ているわけであります。
それで、大変恐縮でございますけれども、また1ページに戻っていただいて、このため
に必要な財源がどれぐらいかというと、医療・介護については、約14兆円、消費税に直
しますと4%弱ということであります。
そして、子育て支援のおくれている部分に対する手当てをする。これについては、約1.
6兆円~2.5兆円、消費税に直して0.5%前後ということでございます。
したがって、税方式を前提にした場合には、合計で約31兆円~48兆円、消費税換算
で8%~12%程度、修正社会保険方式を前提とした場合に、約20兆円前後で、消費税
5%程度でございます。
ここには1つの前提があります。年金の基礎部分について、国庫負担を2分の1に引き
上げる。これには2.3兆円、2009年度段階で必要だということになっておりますが、
これは含まれておりません。当時の歳出改革のプログラムでは、「骨太2006」では、歳
出改革の努力によって、これものみ込んで基礎的財政収支を回復させるという、そういう
中期財政フレームになっておりましたので、それを前提としているために、これを外出し
にしているということであります。したがって、今はそれよりも悪い状況になっている。
もっとはっきり言ってしまうと、歳出改革プログラムがなくて、10年後に基礎的財政収
支を回復させる、ペイアズユーゴー原則だけはめている。これも今年度は守られておりま
せんので、そういう意味では、マクロの経済運営のフレームが、現在とこの社会保障国民
会議で議論したときとは、残念ながら違う状況にある。今のほうがより厳しい状況にある
ということを言わざるを得ないわけでございます。
この中で、つまり、消費税5%程度、これは修正社会保険方式の場合です。私も年金に
ついては税方式論者でありますけれども、コストの問題を考えた場合に、消費税5%程度
でどの程度まで社会保障の改革を実現できるかという問題がございますが、2025年の
ピークを乗り越える1つの選択肢は、年金については、十分な改革かどうかというご批判
はあろうかと思いますけれども、1つの選択肢はこの中で示しているわけであります。
そうした中で、現在の議論の中で、私自身が非常に心配をしている。政府・与党の方々
に努力をしていただきたいのは、やはり今の議論の透明性というものが十分にない。今の
政府を支えている事務方は、実は私のときの事務方の約7割の方々をスライドして持って
いってもらっているので、今は時間がなくて細かいことは全然お話しできておりませんけ
れども、具体的に何が問題で、どうしなければいけないかという選択肢をよく知っている
人間が、そのまま今政府・与党にスライドしているんです。ですから、政府側が、政治側
が具体的な指示を出せば、あらゆる選択肢はできますし、新しいシミュレーションを出す
こともできます。しかし、残念ながら、踏み込んだ議論がどうも見えてこないということ
が非常に残念であって、ぜひ社会保障についての国民的な議論をしていくために、党派の
利害を超えて、そうした透明性ということに対しても、最後になって数字を出していくの
ではなくて、やはりそこに至るまでどういう経緯の中でそういう数字が出てきたのかとい
うことがわかるような、そういう政府としての議論をぜひしていただくことができないか
というふうに思います。
特に厚生省が出した改革案の理念の中に、効率化・重点化でありますとか、あるいは世
代間の公平性という理念を打ち出しております。だとするならば、何が効率的に問題なの
かということをデータを出してほしい。世代間の公平性に問題があるのであれば、今の日
本の社会保障の本質的な問題は、賦課方式という財政方式をとっているところにあるわけ
ですから、それが、例えば世代間会計で見た場合に、どの程度の世代間の不公平感という
ものが広がっているのか、そうしたことがわかるようなデータをぜひ出していただくこと
ができないかなというふうに思います。
特に心配をしておりますのは、私どものが試算したときよりも、年金財政は傷んでいる
わけであります。2009年段階での財政の検証をいたしておりますけれども、これも2
004年段階で、私たちのものも大変甘いと、当時民主党の方々からおしかりをいただい
たわけでありますが、2009年、実はもっと甘くなっておりまして、運用率も2004
年段階よりも非常に高いものになっておりますし、賃金の上昇率も非常に高いものになっ
ておりますし、年金の未納についても20%まで改善するということが前提になっており
ますし、こうしたことではほんとうの意味での年金の地に足が着いた議論にはつながらな
いので、ぜひそうしたこともやっぱり積極的に開示をしていただいて、当時野党の立場で
あったとしても、やっぱり問題だと思ったことについて、しっかり試算をし、それを開示
をして、議論をしていただくことができればなというふうに思っております。
そして、もう一つの点は、マクロ経済財政運営との整合性をどうつけるのか、この点が
ないと、ただ足りないから増税をするということではやはりうまくいかないと思います。
私は、今の議論を見ていると、一番心配するのは、もう消費税の上げる幅というものは政
府の中で大体決まっていて、そのことによるパイの拡大をどうやってみんなで分捕るのか、
そのせめぎ合いをやっていて、その調整がついたらそれを開示しましょうというような段
取りでやっているとすると、それではやっぱり国民の方々の理解は得られないし、税と社
会保障の抜本改革という形にはつながらないのではないかな。ぜひとも2025年という
当面のピークを乗り越えていける、そういう政府・与党としての全体像を出していただい
て、それに必要な財源もあわせて提示をしていただくことができればなというふうに思い
ます。