国債「EU買い上げ」→これは日銀がいうところの禁じ手ではない? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

国債「EU買い上げ」→これは日銀がいうところの禁じ手ではない?

秘書です。
今朝の読売新聞に

「国債「EU買い上げ」案 ギリシャ支援 首脳協議会議 市場の動揺続く」

との記事。

おや?「国債「EU買い上げ」案、日銀がいうところの禁じ手じゃないのですか?

これならばいい、流通市場への介入ならいいのでしょうか?



ギリシャ:財政危機 ユーロ圏首脳、支援合意へ 返済期間延長で調整
毎日新聞 2011年7月22日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/world/news/20110722ddm001030068000c.html
・・・また、欧州金融安定化基金(EFSF)の機能を拡充し、ギリシャ国債を市場から買い上げる案や、民間金融機関が何らかの形で支援に参加する方式を含めて最終調整している。・・・


→そして、ロイターが伝えるところによると、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)は、発行および流通市場への介入が可能になったそうです。


ECBが必要とした場合、EFSFは市場への介入が可能に=仏大統領
2011年 07月 22日 05:39 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22313520110721
[パリ 21日 ロイター] フランスのサルコジ大統領は21日、欧州中央銀行(ECB)が必要だと認めた場合、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)は、発行および流通市場への介入が可能になると明らかにした。
 大統領はテレビ中継された記者会見で「市場が不完全な状態にあるとECBが判断した場合、EFSFは流入市場へ介入することも可能になる」と述べた。 

 その上で「発行市場だけでなく、流通市場にも介入することが可能になる」と加えた。


→たしか、日銀総裁は、「欧米や新興国を含め世界の多くの国で、中央銀行による国債引き受けは認められていない」っていってましたね。

日銀総裁:国債引き受けなら通貨の信認毀損-金融市場不安定化も(2)
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aw9He3PVmtoE
5月28日(ブルームバーグ):日本銀行の白川方明総裁は28日午後、都内で開かれた日本金融学会2011年度春季大会で講演し、日本銀行の国債引き受けについて、「日本銀行による国債引き受けが行われると、通貨への信認自体を毀損(きそん)することになる。こうした通貨への信認の毀損は、長期金利の上昇や金融市場の不安定化を招き、現在は円滑に行われている国債発行が困難になる恐れもある」と述べた。

  このため今後の国債発行に関して、「今回の東日本大震災の後も国債の入札発行は順調に行われているが、わが国の財政状況は厳しいだけに、現在の安定的な国債発行環境を維持していくことが大事だ」と語った。

  白川総裁は、「欧米や新興国を含め世界の多くの国で、中央銀行による国債引き受けは認められていないわが国でも財政法5条が本則で日本銀行による国債引き受けを禁じている」と言及。「いったん中央銀行による国債引き受けを始めると、やがて通貨の増発に歯止めがきかなくなり、激しいインフレを招き、国民生活や経済活動に大きな打撃を与えたという歴史の教訓を踏まえたものだ」と説明した。

  格付け会社フィッチ・レーティングスは27日、日本のソブリン債格付け見通しについて、「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」への引き下げを発表している。

 財政赤字「無限に継続できない」

  白川総裁は、日本の財政状況について、「財政バランスの悪化は非常に深刻だ」と言明。日本では「長期国債の金利も低位で安定的に推移しているため、財政悪化に伴う危険に警鐘を鳴らす議論は時として『おおかみ少年』のような扱いを受けることもあるが、どの国も無限に財政赤字を続けることはできるわけではない」と語り、財政再建の重要性を強調。同時に「財政バランスの改善には歳出、歳入の見直し自体が必要だ。それと並んで実質成長率の引き上げが重要だ」とも力説した。

  さらに「単に物価が上昇するだけでは財政バランスは改善しない」と指摘。「何よりも必要なことは、実質成長率の引き上げに向けた地道な努力だ。景気が良くなり、実質成長率が上昇するときにはその結果として物価も上昇する」と語った。

  白川総裁は、「政府の信認が低下すると、当然、保有国債の価値の下落、担保価値の下落に伴う資金調達能力の低下をはじめ、さまざまなルートを通じて、民間金融機関の信認にも影響する」と言及。「その結果、調達金利が上昇したり、流動性調達が困難化することによって、実体経済に悪影響が及ぶ」と語った。

  併せて、「そうなると税収が落ち込み、政府の支払い能力に対する信認が低下する。言い換えると、ソブリン・リスク、金融システム、実体経済の間に負の相乗メカニズムが作用することになる」と述べた。

  フィッチのアジア太平洋地域ソブリンチーム責任者、アンドリュー・カフーン氏は発表文で、「人口高齢化という構造的な悪化基調に対して公共財政の維持可能性を守るためには、より強力は財政健全化戦略が必要だ」と論じた。フィッチは日本の自国通貨建て長期格付けを「AA-(ダブルAマイナス)」、外貨建て長期格付けを「AA」としている。


→市場介入と日銀引き受けとは違う、というでしょうか?そうであれば、日銀も市場での買いオペは拡大してもいい、ということでしょうか?

→じゃあ、「増税なき復興増税」の提案でもいいですね。日銀は復興債を全額買いオペをするという。これならいいということになりますね?


超党派議員:増税に反対、日銀は復興債の全額買いオペを-211人署名
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=aCZqhH4DbBME
 6月16日(ブルームバーグ):民主、自民、公明、みんな、社民、国民新の6党の有志議員は16日、記者会見し、東日本大震災からの復興財源は増税によらず、復興債を日銀が原則として全額買い切りオペレーションで購入することによって賄うよう求める声明文を発表した。

  会見には自民党の安倍晋三元首相、民主党の松原仁衆院議員(デフレ脱却議連会長)、みんなの党の渡辺喜美代表、国民新党の亀井亜紀子政調会長らが出席。自民党の山本幸三衆院議員によると、6党の211人が賛同署名しているという。

  声明文は復興財源を増税で賄うことについて「国民1人当たり数十万円にも上る大増税になる可能性があり、これでは10年以上もデフレが続いている日本経済へのダメージは計り知れない」と反対を表明。その上で、当面の対応について「政府と日銀の間で政策協定(アコード)を締結し、必要な財源調達として政府が発行する震災国債を日銀が原則全額買い切りオペするよう求める」と提唱している。

  有識者で構成する東日本再震災構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学学長)は11日に発表した提言骨子案で、復興財源について「将来世代に負担を先送りすることなく今を生きている世代で確保」と指摘。国債の償還財源については「既存歳出の見直しが必要。基幹税を中心に、政府において多角的な検討」と明記しており、増税の検討を事実上促している。

  10日に衆院を通過した復興基本法案は復興債発行について「他の公債と区分して管理するとともに、別に法律で定める措置その他の措置を講ずることにより、あらかじめ、その償還の道筋を明らかにする」との考え方を示している。


→最後に、もう一度、先の大戦に関する日銀の歴史認識をおさらい。

警鐘はオオカミ少年でない、国債引き受けは通貨の信認低下=日銀総裁
2011年 05月 29日 08:35 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21412920110528

 [東京 28日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は28日、都内で開かれた日本金融学会で講演し、財政悪化に警鐘を鳴らすと「オオカミ少年」のように受け取られるが、政府の支払い能力に対する信認は突如低下し長期金利が急騰する可能性がある、と強調した。
 日銀による国債の直接引き受けや、無原則な国債買い入れは、微妙なバランスに立つ通貨や金融システムの信認を低下させ、経済に計り知れない悪影響を与えるとの懸念を表明した。

 総裁は「財政状況が悪化すると、政府の支払い能力に対する信認が低下する」とし、「民間金融機関の信認は政府の信認にも大きく左右される」と指摘。「非常時における政府の各種の積極的施策が成功するかどうかは、中長期的な財政バランスの維持に関して政府への信認が維持されているかどうかにかかっている」と述べた。そして、政府への信認の実体は「財政バランスを維持していく国民の意思」であるとして、「国民の意思と無関係に、政府が『打ち出の小づち』のように財政政策を無限に展開できるわけでない」と述べた。

 現在の日本の財政の状況は「非常に深刻」だが、「長年、財政状況が悪いにもかかわらず、国債は円滑に消化され、長期国債の金利も低位で安定的に推移しているため、財政悪化に伴う危険に警鐘を鳴らす議論は、時として『オオカミ少年』のような扱いを受けることがある。しかし、どの国も無限に財政赤字を続けることが出来る訳ではない。政府の支払い能力に対する信認は非連続的に変化しうる」と述べた。

 また、「財政赤字の拡大や日銀の独立性が尊重されていないと感じられる出来事が起こると、最終的に激しいインフレが生じるだろうと考える傾向が生まれる」、「はっきりしていることは、予想は非連続的に変化するということ」と指摘。「欧州周辺国のソブリン・リスク問題にみられるように、財政の維持可能性に対する信認が低下すると、財政と金融システム、実体経済の三者の間で負の相乗作用が生じ、経済活動にも悪影響が及ぶ」と述べた。

 日銀が国債の買い入れを行う際、銀行券の発行残高を上限とする、いわゆる日銀券ルールについて、「時として、そうしたルールを設けることに対する批判が聞かれるが、仮に、これだけ多額の国債を買い入れている中央銀行が、その買い入れに当たっての基本原則も明らかにせずに行動すると、不確実性が増大し、リスクプレミアムが発生することから、その分長期国債金利が上昇する」と説明。 例えば「ギリシャやアイルランドの中央銀行が突然国債買いオペを大規模にはじめると状況は更に悪化する」と述べた。

 戦前に国債の直接引き受けを実施し、景気浮揚に成功したとされる『高橋財政』について触れ、「高橋是清蔵相は軍部の予算膨張に歯止めをかけようとして凶弾に倒れ、結局はインフレを招いたが、たまたま軍部の予算膨張をおさえられなかったのではなく、市場によるチェックを受けない引き受けという行為自体が最終的な予算膨張という帰結をもたらした面もあったのではないか」と指摘。「引き受けという『入口』が予算膨張の抑制失敗という『出口』をもたした」と総括した。また、「今日の目でみて興味深いのは、高橋財政期の日銀による国債引き受けがあくまで『一時の便法』として始まっている事実」、「その後の歴史はこれが一時的なものではなかったことを示している」と述べ、政府関係者内の一部にある直接引き受け論をけん制した

 そして、「通貨や金融システムの信認は相互依存の関係にある。信認は空気のような存在で平時は誰もその存在を疑わないが、信認を守る努力を払わなければ、非連続的に変化し得る。そして、一旦、信認が崩れると、経済に与える影響は計り知れない」と述べた。

(ロイターニュース 竹本能文;編集 長谷部正敬)

→欧州金融安定ファシリティー(EFSF)が発行および流通市場への介入が可能にするというのは、戦争にはつながらない?つまり、中央銀行の買いオペ介入ならいいと。では、日銀もそうすればいいのでは?買いオペ介入でも戦争につながるというなら、友人として欧州の中央銀行総裁に忠告してはいかが?

→高橋是清に戦争突入への責任を押し付けて、馬場鍈一の責任には沈黙する理由は何か。このような歴史観では、馬場財政が免罪符を得ることになる。それでは後世に正しい歴史認識がつたわらないのではないか?

→「信認を守る努力を払わなければ、非連続的に変化し得る。そして、一旦、信認が崩れると、経済に与える影響は計り知れない」

そうですね、デフレが20年近くも続くようでは、国民の価値観に与える影響も計り知れませんね。

努力は報われない、ものは買わない、草食系男子・・・

インフレ時代から急激にデフレ時代に突入して、日本人の価値観が変わりましたね。

潜在成長率0%、物価はマイナス基調の国の営業マンが、インフレ時代の成功体験が忘れられない上司から右肩上がりの売上ノルマを課されれたらどうなりますか?

こんなサラリーマン生活は持続不可能です。

日銀は「物価安定の理解」をいうだけで、目標達成の責任を負ったことがないから、わからないかもしれませんね。

社長のみなさん!潜在成長率0.03%、物価上昇率0%まであがると政策転換という日銀の政策を支持しておいて、社員に右肩りのノルマを課すのは、日露戦争で203高地のロシア軍の機関銃に向かって突撃せよといっているのとほぼ同じではないですか?社員を白襷隊にしていいのでしょうか?

なぜ、増税なき復興財源の確保で日本復興を急げ、との声をあげないのか?増税なき復興財源確保は、日露戦争でいえば203高地への艦砲射撃のようなもの。

それを戦の禁じ手とかいっている場合でしょうか?白襷隊の犠牲者をいつまで出し続けるのか?

そして、日銀と日銀のシンパは、日本の閉塞の原因は、日本経済の生産性が低いからです、という。

社長さん、こんな屈辱的なことをいわれて、そして円高を放置されて、それで黙って生産拠点の海外展開を検討するのですか?

では、日本がそんなに生産性が低いのに、なぜ円高なのか。

企業が国内で雇用を維持できないような、行きすぎた円高が、日銀に対する行きすぎた信認なのでしょうか?

いやむしろ、日銀が何もしないという政策判断ミスへの失望か、日銀が何もできないという能力の限界への失望なのではないでしょうか。