「再生エネルギーの買取では、発送電の分離を組み込むことが必要になる」(高橋洋一氏) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「再生エネルギーの買取では、発送電の分離を組み込むことが必要になる」(高橋洋一氏)

秘書です。

菅財務相時代、中川秀直は独立行政法人の不要資産を売却して財政再建にあてよ、独立行政法人の不要資産を本省への埋め戻しをさせるな、と衆議院内閣委員会で進言し、菅さんも埋蔵金の塩漬けなどといわれないようにする意欲をみせていたはずなのですが、塩漬けを容認しましたね。


消費税増税の前に、歳入庁を設立し、「消えた社会保険料12兆円」を取り戻せ
国有資産を売却し、天下り先の民営化もせよ

2011年07月04日(月) 高橋 洋一
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/10955


国会が延長になったが、菅総理の居座りや自民党から一本釣りもあって先週は実質審議は行われず、凪のような状態だった。

今国会での懸案は、第二次補正予算、特例公債法、再生エネルギー特措法である。これらが菅総理の退陣の「メド」だからだ。

第二次補正予算は予算規模も少額で、与野党間で大きな争点もない。本来であれば、大型補正を組むべきであったが、結局菅総理の延命の道具になってしまった。

例えば、被災者その他で30万人として、1ヵ月ひとり100万円を3ヵ月間支給するという政策があってもいい。9000億円でできる施策だが、今の与野党でそうした声は聞こえない。

リーマンショックの時に効果がないといわれていた定額給付金12000円をばらまいたが、今回は被災者に限って行うので定額給付金よりましだろう。また、これは、今の状態が事実上生活保護になるとみなして支給すれば、立派なベーシックインカムになるので、政策論としても筋の悪いモノでない。

特例公債法は、自民党が民主党マニフェストの子ども手当見直しを言っており、ちょっと微妙だ。これが民主党政権運営のアキレス腱になっているので、自民党もそう簡単に手放そうとしない。

 特例公債法が成立しないと、当初は直ちに予算執行ができなくなるといわれていたが、実際にはそうでない。つなぎ資金の政府短期証券は20兆円発行でき、そのほかにも国債整理基金で10兆円ほど余裕資金がある。それだけで、11月くらいまでには資金繰りがつく。この際、ぎりぎりまで特例公債法の成立を伸ばして、国庫内余裕資金を発掘するというのも国民には悪くない手だ。

北欧4カ国の電力自由化に見習え

再生エネルギー特措法について再生エネルギーの方向はいい。しかし、この法案は大震災前に用意されたものだ。もっといえば麻生政権の時に議論され、一部は余剰電力買い上げということで制度化された。

これまで、経産省はなんちゃって「電力の自由化」しかやってこなかった。電力の地域独占を直して本当の電力の自由化をしないと、再生エネルギーの買取では電力料金だけが高くなる

 これは経済学のイロハであるが、それを知らなくても北欧4カ国の電力自由化の実例さえ知っていれば、政策を考えることができる。


北欧4カ国の電力自由化における電力の自由化は、1991年ノルウェーでエネルギー法、1996年スウェーデンで新電気法、同時にノルウェーとスウェーデンで電力市場統合、共同の電力スポット市場(Nord Pool)開設、1998年 フィンランド、1997年デンマーク西部地域、2000年にデンマーク東部地域がNord Pool に加入という経緯だ。

 北欧4カ国の電力産業構造は、①多数の発電事業者、②送電会社の設立、③多数の地方公営配電事業者に特徴がある。つまり、発送電分離と電力料金自由化だ。その結果、電力本体料金は需給を反映する自由価格、送配電料金は規制価格となって、電力本体料金と送配電料金(それに税金)の合計を電力消費者が支払っている。

 ここでポイントは、発送電分離だ。だから、再生エネルギーの買取では、発送電の分離を組み込むことが必要になる。ここで、東電問題がピンチをチャンスに変える。しかし、今の賠償法案では、賠償のために東電を温存するので、5兆円の送電網は賠償期間中は事実上売却できない。となると、当分の間送発電分離はできなくなってしまう。

 2000年の独禁法改正で、すでに電力の自然独占に関する独禁法適用除外規定は削除されている。今東電を解体すれば、賠償の国民負担が減るだけでなく、電力自由化も進めるチャンスだ。

 せっかく延長された国会なので、熟議を尽し法案を修正すれば、災い転じて福となすこともできる。

なぜ歳入庁をつくらないのか

 国会外に目を転じると、先週、民主党内で税と社会保障一体改革がもめた。滑った転んだの末、政府・与党は6月30日、社会保障と税の一体改革を協議する政府・与党社会保障改革検討本部(本部長・菅直人首相)で「2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げる」ことを決定した。ただし、この案は閣議決定されずに7月1日の閣議報告だ。

 民主党内でデフレ下での消費税引き上げに反対する「常識的な」意見が多く、とりまとめにかなり難航した上での結論だった。

 菅政権の郵政課題はコロコロ変わるが、増税路線だけはしっかりしている。消費税引き上げで与野党協議が行われようとしているが、自民党も内容としては消費税増税なので、本来はウェルカムのはずだ。

 社会保障のための消費税増税というと、多くが納得するようであるが、セオリーは違う。

人口規模が大きく地方分権が必要な先進国では、消費税は地方の基幹税だ。社会保障の目的税になっている国はまずな。社会保障は、所得再分配を行うので消費税をその財源にするのは適当でなく、所得比例保険料が普通だ。その上、給付と負担を明確化するために、社会保障では社会保険方式のほうが望ましい(少なくとも、わざわざ社会保険方式から税方式に移行しない)。これらの点から、そもそも論としては消費税を社会保障財源とするのはセオリーとして出てこない。

 こうした理論上の話以外にも、増税の前にやるべきことがある。浅尾慶一郎衆院議員(みんなの党)が2月28日衆議院予算委員会で指摘した法人の情報把握不備のために社会保険料の未徴収、いわば「消えた保険料」が12兆円もあることだ。

 社会保障の国庫負担は、社会保険料で足りないところを補うものだ。もし12兆円も消えた保険料があるならば、これは消費税5%分に相当し、消費税率を5%から10%へ引き上げなくてもいいことになる。

 社会保険の徴収がかなり杜撰であるのは、消えた年金で既にわかっている。この消えた保険料のための最善策は、国税庁と年金機構(旧社保庁)の徴収部門の合体、いわゆる歳入庁構想だ。ところが、政府の検討では、「歳入庁の創設の検討」が脚注に一回だけ登場するにとどまり、まったく及び腰だ。

 世界のほとんど国で、社会保険料は税金と同じ扱いで、social security taxと呼ばれる。もちろん社会保険料の徴収と税の徴収は同じ機関だ。1998年に同じ機関になった英国の場合、二つの機関の統合で人員の整理合理化になるとともに、社会保険番号を納税番号として利用できるのも大きなメリットになっている。

 日本の場合、比較的やりやすく実効性の高い、このような納税環境の整備を後回しにして、消費税増税に前のめりなのは理解できない。こうした増税の前にやるべきことがあり、それなしでは必要な増税額も計算できず、増税に説得力がでてこない。

ギリシャ並の国有資産売却と民営化なら210兆円以上

 増税の前にやるべきことといえば、世界で定番メニューは、資産売却・民営化だ。
6月29日の米国版ウォールストリートジャーナル1面で「ギリシャが迫られる壮大な民営化」という記事があった。

 同国の財政再建計画では民営化や国有資産売却が盛り込まれているという。2015年までに債務残高の15%になる500億ユーロの売却だ。その中には、国営郵便局、水道会社、電力とガスの民営化・株式売却もあり、使われていない空港、古いオリンピック会場、ギリシャが誇る美しい海沿いの土地など国有資産の売却もある。

ギリシャでの国有資産の売却規模は、日本で考えると150兆円の売却に相当する。天下り先になっている特殊法人などを全廃、民営化すると210兆円以上になる。日本が財政危機であるというなら、そのくらいのことを増税の前に行うべきであろう。

 こうした資産売却、民営化は、財政再建のためというより資源を民間に委ねるので長期的に日本経済のためになる。

 ところが、民主党政権は、郵政民営化や政策金融機関の民営化の揺り戻しがある。資産はもうないから増税をお願いするのであればわかるが、天下り先を温存しながらの増税は国民の理解を得られない



■仕分けの舞台も「不要資産」、国に現物納付へ
2009年12月31日 読売新聞

行政刷新会議による「事業仕分け」の舞台となった独立行政法人・国立印刷局職員用体育館が、来年春にも「不要資産」として国へ「現物納付」されることになった。
 敷地面積は約1万5000平方メートルで、土地の簿価は97億円。政府は跡地を公共施設として活用する方針だが、建物を取り壊すかどうかも含め、使い道は決まっていない。
 印刷局を所管する財務省は、当初、独立行政法人の整理合理化の一環として売却し、収入を国庫に納付させて、政府予算の財源に充てることを検討していた。
 しかし、内閣衛星情報センターや防衛省に隣接していることから、「民間に売却してマンションなどが建つと情報管理上も好ましくない」(政府筋)として、現状のまま国へ納付させることにした。



■独法に2兆円の国庫返納求める 行政刷新会議が決定
2010年11月27日5時36分朝日新聞
 政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は26日、独立行政法人(独法)の抜本見直しに向けた「独法の事務・事業の見直しの基本方針」を正式に決めた。今年度以降、独法の不要資産として少なくとも約2兆円の国庫返納を求めることを決定。返納された資産は来年度予算の財源としても活用される見通しだ。
 基本方針は同日、首相官邸で開かれた同会議で決めた。過去の「事業仕分け」の対象を含むすべての独法(104法人)の無駄な事務・事業や不要資産を洗い出し、事務・事業の廃止や予算縮減など、見直し措置は855項目に上る。すでに独法の所管省庁と折衝を終えているため、実現する方向だ。
 国庫返納として最大なのは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(国土交通省所管)の特例業務勘定剰余金の約1兆円。今年4月の事業仕分けで国庫返納を求める判定となったほか、会計検査院も9月に「1.2兆円が余分」と国交省に返納の仕組み作りを要求していた。基本方針でも来年度から返納させることを明記した。

→現物納付=本省への塩漬けです。

■平成22年3月10日衆議院内閣委員会

○中川(秀)委員 ・・・次を申します。事業仕分けのことについて少しお話ししたいと思います。

 菅財務大臣と、枝野行政刷新担当大臣、事業仕分け担当大臣に関連する質問であります。

 まず、事業仕分け第一弾で取り上げた、独立行政法人国立印刷局について伺いたいと思います。

 独立行政法人の不要資産は売却、売却金は国庫返納、これはもうそういう原則で最近の政策はやってきたわけです。これからもそれはしっかりと貫徹していかなきゃいけないと私は思いますね、この財政ですから。

 事業仕分けでも、独立行政法人印刷局については、十一月二十七日の議論の結果、皆さんが選ばれた二十七人の評価者のコメントのうち、廃止というのがお一人、現行独法のまま不要な保有資産の売却をさらに進めるが六人、全体の見直しの中で国へのさらなる財政貢献のあり方を検討する、これがやや一に近い部分もあると思いますが、それが十名となっています。

 しかし、見直し結果はこの二十七名中多数意見の十七名の評価者意向に必ずしも沿っているとは私は少し思えないのでございます。

 印刷局と造幣局、合わせて一千億円の不要資産については、民間売却した上での現金の返納ではなくて、現物給付での、現物です、国への返納で、まあ霞が関の埋蔵金の埋め戻し、塩漬けみたいな、そんなことをして、その上で、枝野大臣が御担当だったんだと思いますが、国立印刷局自体を国の機関化、すなわち財政貢献はゼロで財務省本体の肥大化をする、そんな結論になってしまったんではないでしょうか。

 きょうも御出席ですが、野田財務副大臣は、昨年十二月十日の記者会見で、印刷局と造幣局の事業仕分けの結果としての不要資産売却による国庫納付の上積み三十六億円。国庫納付ですね。三十六億円。不要資産の現物給付が簿価合計で一千億円近く、こう言っておられます。

 財務大臣である菅大臣、今、財政は本当に危機的状況ですね。鳩山政権では不要資産は即売却とすべきでしょう。菅大臣、この簿価一千億円の資産というのは時価総額幾らでしょうか。そして、現物給付というのは、簿価一千億円の資産を、売却しないで、政府本体に塩漬けするということです。これでは国への財政貢献にはつながりませんね。現物給付された簿価一千億円の不要資産は売却すると私はここで明言すべきだと思いますが、売却するなら、いつ売却なさいますか。

○菅国務大臣 まず、簿価九百八十七億円ということで、これは平成十五年に独法化のときに時価を踏まえて評価がえされたということでありまして、平成十五年から七年ぐらいたってはおりますが、そう大きくこの間にこの実勢価格は動いてはいないのではないかと思っております。

 その上で、このものについては、先ほどお話がありましたように、売れたものについては現金で、来年度中の二十二年度に金銭納付がされるもの、これは予算計上では二百八十九億円になっております。先ほどの九百八十七億円のものについては現物で納付をされることになっております。

 なぜ、すぐ売れないのか。それぞれ事情があるようでありますけれども、例えば、防衛省の近隣の土地とか、あるいは再開発中の周辺でのいろいろな事業があるとか、あるいは自治体が活用を望んでいるとか、そういう理由ですぐに売れないので現物納付をするということでありますので、現物納付されたものをそのまま塩漬けで持っておくということではなくて、もう一度、地域の関係者などと協議をして、いい形で利用ができるという展望の中で、売れるものは売っていく。また、最近私は財務省に成長戦略をつくれと言っているんですが、つまりは、あいた土地があって、そこで、場合によったら売るよりも何かをつくって貸した方がよければ、そういう考え方だってあるじゃないかと思っております

 そういう意味で、少なくとも塩漬けにするために現物納付をされたと言われないように、しっかりとした売却なり活用を考えていきたいと思っております


→菅さんの最後の言葉、「売却なり活用」の活用とは霞が関埋め戻しだったんですね(活用といっても、国の資産で持ち続けるわけですから、塩漬けでしょう。ぺんぺん草がはえているだけが塩漬けではありません。民間にしたほうが有効活用できるか、国がもっていたほうが有効活用できるか、国のほうが有効活用できるというのは社会主義者の発想ですね)。さらに、詳細について、そして、国立印刷局の国の機関化については、同委員会の下記のやりとりもご参照ください。財務省所管の独立行政法人でこれですから、今回の決定はもうこの段階からみえていた、ということですね。民主党支援団体の労組・全印刷もありますし?


○中川(秀)委員 ・・・さらに、具体的に聞きます。

 独立行政法人国立印刷局の持つ資産についてもう一回伺うんですが、先ほど菅大臣も、売却するものは売却するということですが、保有するという理由は僕はないと思うんですけれども、具体的に少し聞きたいんです。

 まず、市ケ谷センターなんです。事業仕分けをやったところですね。十一月二十七日の行政刷新会議ワーキンググループ配付資料では、平成二十二年に廃止して、博物館機能の移転後処分予定とございます。

 枝野大臣、市ケ谷センターは売却しますね。売却はいつでしょうか。売却しないとすると、その理由は何でしょうか。

 先ほど菅大臣がちょっと触れたけれども、一部新聞報道では、市ケ谷センターについて、内閣衛星情報センターや防衛省に隣接しているところだから「「民間に売却してマンションなどが建つと情報管理上も好ましくない」(政府筋)」として、現状のまま国へ納付させることにしたと報じています。

 前政権時代、こんなことは聞いたことありませんよ。ちなみに言うと、付近に高層マンション、ありませんか。既に、ザ・センター東京という、二〇〇七年にできた三十八階建ての高層マンションがあるじゃありませんか。これは実際は国立印刷局売却話に連動した再開発マンションなんですよ。もしも情報管理上のことを鳩山政権が言い張るなら、徹底的に議論して検証しなければなりませんね。いかがですか。

○枝野国務大臣 直接的な所管は財務大臣でありますが、事業仕分けからの流れでございますので、私の認識からお話をさせていただこうと思います。

 一部の報道でそのような見解も流れていることは存じておりますし、そうした視点を全く考えなくていいのかどうかということはあるかと思いますが、今回、売却の上現金で納付という形にせずに、現物で納付という方向で、事業仕分けの結果を踏まえて対応をということにいたしましたのは、国立印刷局という独立行政法人が、その独立行政法人の判断と責任で売却をしていただくよりも、国の資産をしっかりと国民の視点から有効に売却する、あるいは活用していくという観点で、一括して対応した方がより効果的であるというふうに考えましたので、勝手に売らないで、むしろ、より高く、あるいはより有効に使える方法を、私ども行政刷新の立場も含めて、政府として対応するので現物で返せという方向で取りまとめたということでございます。

 報道は間違いとは申しませんけれども、決して、そういった理由で民間に売却をしなかったという理由ではございません。

○中川(秀)委員 ならば、その方向でしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、同じ印刷局のその他三カ所の不要資産についてまとめて聞きます。

 大手町敷地、膨大なものですね。虎の門工場、久我山運動場、それぞれ売却はいつですか。売却しないとすると、その理由は何でしょうか。

 久我山については、先ほど菅大臣もちょっと言われたが、もう会計検査院から、「譲渡を含む適切な処分に向けた調整を積極的に進めて、調整がつかない場合には国庫へ返納すること」、そういう処分計画を作成してという改善が決算検査報告で出ておりますけれども、行われたものとされています。

 ともかく、この五年間の維持費が七千二百十万円、利用料金が六百五十三万円、一割にも満たない。印刷局の負担は六千五百五十七万円と多額であります。

 印刷局は、二十一年九月に、不要資産とされたこの久我山運動場について、杉並区への適正な対価による譲渡を含む調整を積極的に進める、調整がつかない場合は、国庫返納のための法的整備が整い次第速やかに返納するという処分計画を作成することにしたそうですが、これも踏まえてお伺いをいたします。

 いずれにしても、先ほど御答弁もありましたが、こういう不要資産を一刻も早く処分して、この財政難の中で財政に寄与させる、これはもう大方針でなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。

○菅国務大臣 先ほども申し上げましたが、今御指摘の三カ所については、国へ現物で納付の予定がされておりまして、その後どうやってそれを売却ないしは活用するかということで、今も中川委員が言われましたが、久我山運動場については、杉並区、東京都から公園施設としての利用要望も出されておりまして、また、周辺の地域を含めた都市計画公園区域に指定されているということもありまして、そういう中でどのように、例えば都なり区に売却ができるのか、どうできるのか、そういうことを検討していると聞いております。

 また、大手町の方も、すぐそばにいろいろと、NTT、NHK、日本郵政株式会社等々が近くにありまして、再開発計画を策定中と聞いております。そういう再開発の中で、これも、売却になるのか、あるいは一緒にそういう事業をやることになるのか、そういう形で進めておりまして、決して、何かそのまま持っておこうということではありません。

 市ケ谷についても御指摘がありましたが、確かに一部に大きなマンションが建っておりますが、これはいろいろな議論があるところだと思います。すぐ隣接して機動隊の本部等々もあって、そういう民間的な活用が望ましいのか。ある場合には、逆に民間的なものが望ましいところがほかにあれば、そういうものと振りかえてそういった利用がいいのか。ここは、一つの活用のあり方としては、大いに透明な形で議論する必要があるかなと思っております

○中川(秀)委員 あえてもう一回言います。この会計検査院の決算検査報告にも出ているんですけれども、二十年の四月二十五日に独法通則法改正案が国会に提出されたんですが、もうあえて経緯は言いませんが、結果的にこれは廃案になってしまったわけです。したがって、資産を国庫に返納する仕組みというのは法的に整備されないままになっているんですよ。

 だから、今度の通則法も、ちゃんとそれを入れてやらないと、また売らない。今言った意欲はわかるけれども、手続がないじゃないかみたいな話になってくる。だから、一刻も早く、検査院のこういう検査もあるわけですから、処分を具体的にする、関係者の話し合いもする、それで本当にことしじゅうに現金納付をさせる、そういう強い決意で政治的主導をやらなければならぬ話だと思います。これは、私の意見として申し上げておきます。

 さて、その次に、報道によると、枝野大臣、二月二十日の長野県の講演で、財務省所管の国立印刷局について、高い給料をもらっている旧大蔵省OBが四人くらいいる、財務省の一部局で昔は十分回っていたのだから、その方が安上がりだ、こうおっしゃったと。そして、四月に行う事業仕分け第二弾で独立行政法人国立印刷局の再国有化の考え方を明らかにされた、こういうことですが、この報道は本当でしょうか。

 あなたは、天下りポストを減らすという名目で、結局、財務省に印刷局長というポストを復活させて局長ポストを一つふやす、そんなねらいでおっしゃっているとは思わないんですけれども、印刷局の再国有化というのは、すなわち霞が関の肥大化になると私は思いますよ。後ほどもう少し言いますが。

 例えば、国立印刷局の国の機関化は、幹部公務員も一般職として身分保障を続ける終身雇用制をとることになる、そして定年も延長する、事務次官が局長に降格してくる、局長ポストが足らない、だから財務省印刷局長という局長ポストを一つ復活させる、そんなことを目的でおっしゃったとは私は思いませんけれども、そういうシナリオに受け取られてしまう。それがまず一つ。

 それから、もう一つのねらいを指摘しなければならないのは、独立行政法人化に対して最も強硬に抵抗したのが、印刷局の労働組合全印刷の組合員四千六百人、これをもう一回国家公務員に戻すということですね、再国有化ということは。国家公務員に戻りますよ。後ほどこの人件費のことを伺いますが、そういうことになりますよ。かなりの違いになりますよ。

 つまり、あなたがやろうとしている事業仕分け第二弾は、幹部公務員にはポストを与える、官公労には国家公務員の身分と高い給与を与えるものではないのですか。歳出削減や収入確保の観点はどこへ消えたんでしょうか。

 国立印刷局の人件費総額は四百四十五億円です。印刷局を国の機関化して、わずか数人の天下りポスト、先ほど言った四人です、これがなくなることの見返りに、四千人を超えるすべての職員が国家公務員になります。

 国立印刷局の「監事監査の状況」という二十一年七月の資料を読みましたが、国立印刷局の民間事業者との年齢ラスパイレス指数一〇〇・八、ほぼ同じですね。国家公務員との給与比較、国家公務員に戻るんですよ。給与比較ではどうなっていますか、八八・三です。つまり、国家公務員よりかなり低いんですね。しかし、それが民間とはほぼ拮抗している。

 だから、枝野大臣、二つ聞きますよ。

 独立行政法人国立印刷局を国の機関化、再国有化したら、わずか数名の天下り、裏下りはなくなるかもしれないが、四千六百人の全職員は国家公務員になる、給与水準が一二%も上がる。独立行政法人国立印刷局の国の機関化で一体幾ら総人件費がふえますか。総人件費を二割削減するというのがあなた方の公約ではないですか。逆行ではありませんか。

 第二に、あなたは、四つの無駄な天下りポストができたから独法化は間違いだと言っている。天下りポストが無駄と言うなら、事業仕分けなんか待たずに、四月一日からその四つのポストを廃止したらいいではないですか。簡単なことです。無駄なポストだから、廃止しても全く事業に支障はないと思いますが、いかがですか。

○枝野国務大臣 まず、再国有化ということを申し上げておりません。検討の対象になり得るというふうには思っています。

 しかも、御指摘いただきましたとおり、普通の形、従来のもとの形に戻せば、局長ポストが一つ復活をして、そして、独法化によって、ここの職員、現在でも公務員型でございます、公務員型でございますが、独法の公務員ということで、その給与体系、給与水準については、一般の公務員と違う形で削減ができています。そういったプラスの面のところをしっかりと残しながら、しかしながら一方では、独立行政法人になったということで、そのガバナンスの部分のところに大変重たい機構が必要になって、実は、私四人だと思っておりましたら、今五人、大蔵省の天下りが、理事としてOBがいらっしゃるという構造にあります。

 私は、いわゆる従来の、省庁と独立行政法人という、通則法もあって、一つの枠、型にはめられている二分論で物を考える必要は全然ないと。

 どういうやり方をすれば一番少ないコストでやらなければならない仕事が行えるのかということを考えたときに、例えば国立印刷局について言えば、少なくとも、財務省印刷局であった時代には、ガバナンスをしているのは当時の局長一人でありました。これが独立行政法人という形になったことで、ガバナンスの部分のところに大変たくさんの人数が必要になっている。

 それから、先ほど来出ております資産の話も、独立行政法人として独立した形でバランスシートをバランスさせなければならないという見地から、前政権時代に、実は、独立行政法人国立印刷局には過大な資産をバランスシート上のっけないとバランスができないということで、そういった資産がつけられたというふうに聞いております。しかし、印刷局のやっている仕事の趣旨から考えれば、バランスシートをバランスさせなければならないといえば、それは逆に言えば、国そのものだってしなきゃいけないということになってしまいますので、そういった意味では、現在の独立行政法人制度の枠組みの中だけで考える必要はない。

 ガバナンスするのは、あえて言えば、責任者一人ぐらいいて、なおかつ、現場の部分のところについては、従来独法化によってプラスの効果があった部分をしっかりと残しながら、さらにコストを下げるということは私は十分あり得ると思っていますので、二分論ではなくて、例えば独法とは違う形の、よりコストを削減できる、例えば天下り等のポストをつくらないで済むような、あるいは、過大な資産をバランスシートにのっけないとバランスができないというような変なことを考えなくても済むような形のものにすれば、行政改革、行政刷新の効果がよりあるのではないか、そういう問題意識から発言をしたということでございます。

○中川(秀)委員 それでは、長野県で言われたという新聞報道は違うということですね。

 私は、もし本当にこれが再国有化、そういうふうに、つまり、昔は財務省の一部局であって十分回ったんだから、その方が安上がりだ、そんな認識でいて今の御答弁の方向でやるといったら、実際は私はそんな改革はできないと思いますよ。

 だから、この報道は間違っていたということですね。

 少なくとも、少なくとも国家公務員にするという、つまり、簡単に言えば、選挙で世話になっているそういう労働組合を持つ独法を特別扱いする、そんなことをこの事業仕分けの前に宣言してしまうなんということがあったら、だれも信用しなくなるだろう。

 また、公務員改革を先送りすることで、財務省と手を握ったんじゃないか、そんなことをちまたでは言う人たちもいるわけでございます。菅大臣、直接の担当大臣なんですが、ちょうどいなくなりましたので、これは財務省のマターとして、この事業仕分けを通じて行われる印刷局の再国有化、完全にもとに戻す、国家公務員まで戻す、全印刷労組の要望にこたえるだけのそんなことだけする、そういうことはしないということをお約束いただきたいと思いましたが、いなくなりましたので、私は、そういうことはすべきでないということを枝野大臣に申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

○枝野国務大臣 報道が完全に間違っていると言うつもりはありませんが、あえて言えば、舌足らずであった、あるいは報道の部分が、一部分、ガバナンスの部分については独法化によって大きくなっている、その部分のところは、ガバナンスをやる人間の数はもうちょっと少なくできるという意味で、かつての方がそこは小さかった、そういうところの問題意識を持った上で、御指摘のとおり、逆に、改革をすることによって、従来の悪い部分が戻るようなことには絶対しない、むしろ、より改革の効果が上がる方向で進めていく、このことはお約束申し上げます。

○中川(秀)委員 つまり、二割人件費を削減しようというマニフェストを掲げておられるわけですから、また国家公務員に戻して、一二%も給料が四千七百人も上がる、そんなことはしない、そういう意味だと今の御答弁は伺いました。それでよろしいですね。

○枝野国務大臣 趣旨としては全くそのとおりでございます。


→菅財務相の「売却ないしは活用」は、その真意はこの時点から「売却はしない活用」だったですね。