菅総理の「脱原発の原発推進なのだ」的政策を、文書によりその真意を確認しておきましょう | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

菅総理の「脱原発の原発推進なのだ」的政策を、文書によりその真意を確認しておきましょう

秘書です。

菅総理の「脱原発」について、その真意はどこにあるのか、学習してみましょう。

まずは、菅総理はOECDで何といったのか?


OECD50周年記念行事における菅総理スピーチ
2011年5月25日 パリ
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201105/25oecd.html

5.エネルギー政策

 議長、
 日本はこれから、エネルギー基本計画を基本的に見直し、新たな挑戦を開始します。
 我が国は、これまでの「原子力エネルギー」と「化石エネルギー」という「二つの柱」に加え、「自然エネルギー」と「省エネルギー」という「新たな二つの柱」を育てていかなければならないと考えています。そのために、日本は、国家の総力をあげた「四つの挑戦」を行っていきます。

 まず第一は、原子力エネルギーの「安全性」への挑戦です。今回の事故を教訓に、我々は「最高度の原子力安全」を実現していきます。そのために、まず事故調査・検証委員会を立ち上げました。単なる技術的検討だけでなく、人材、組織、制度、そして安全文化の在り方まで包括的に見直していきます。

 第二が、化石エネルギーの「環境性」への挑戦です。
 最先端の技術を用いて、化石燃料の徹底した効率的利用を進め、二酸化炭素の排出削減を極限にまで図っていくことは、大きな意義ある挑戦であると考えています。

 第三は、自然エネルギーの「実用性」への挑戦です。
 技術面やコスト面などの大きな「実用化の壁」を打ち破り、自然エネルギーを社会の「基幹エネルギー」にまで高めていくことに、我が国は、総力をあげて挑戦したいと考えています。発電電力量に占める自然エネルギーの割合を2020年代のできるだけ早い時期に少なくとも20%を超える水準となるよう大胆な技術革新に取り組みます。その第一歩として、太陽電池の発電コストを2020年には現在の3分の1、2030年には6分の1にまで引き下げることを目指します。そして、日本の設置可能な1000万戸の屋根のすべてに太陽光パネルの設置を目指します。


→原発は、エネルギー政策の「柱」のままですね。そして、挑戦するのは「脱原発」ではなく、安全性を高めること。これは菅政権は安全性の高い原発を推進するということですね。やはり、「原発の推進」なのだ!

→菅総理出席のもとの第1回エネルギー・環境会議(平成23年6月22日(水)15:15~15:55 官邸2階小ホール)がこの具体策を検討する場ですね。


第1回エネルギー・環境会議(平成23年6月22日(水)15:15~15:55 官邸2階小ホール)

議題
1.エネルギー・環境会議運営要領、幹事会の開催について
2.当面の検討方針について
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive01_01.html

当面の検討方針(案)
平成2 3 年6 月2 2 日
エネルギー・環境会議決定案
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20110622/siryou6.pdf

3.「革新的エネルギー・環境戦略」策定に向けた論点を整理する

(1)省エネルギーと再生可能エネルギーという新たな二つの柱を基幹的な柱とし、これまでの原子力エネルギー、化石エネルギーという二つの柱に加える。こうした基本的な考え方に基づき、論点を整理し、年央までに「中間的な整理」としてとりまとめる。分散型の新システムを目指す。

→原発推進は「革新的エネルギー・環境戦略」の4つの基幹的な柱の1つですね。やはり、「原発の推進」なのだ! 

課題、論点及び検討のスケジュール
(第9回新成長戦略実現会議配付資料より抜粋)
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20110622/siryou5.pdf

(2ページ)

●踏まえるべき基本方針(ミッション・優先課題)は何か
日本再生の基本戦略として成長、経済を支え、イノベーションをリードするエネルギー・環境戦略
をどのように構築すべきか。

重要論点4 原子力 安全性への挑戦

・原子力事故・安全の徹底検証
・最高度の原子力安全の実現

→最高度の原子力安全の実現の意味するところは、「脱原発」ではありませんね。

→では、原発を「革新的エネルギー・環境戦略」の4つの基幹的な柱にすることで、原発の比重はどうなるのか。自然エネルギーが2020年に20%になると、安全性を高めた原発の比重はどうなるのか。

第9回 新成長戦略実現会議 議事要旨
日時: 平成23 年6月7日(火)17:30~19:00
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20110622/sankou1.pdf

(平野内閣府副大臣)
総理の御発言は、発電電力量ベースです。これは現計画では2030年に再生可能エネルギー約20%となっていますけれども、これを前倒しするということで、その1つの手段として、設置可能な1,000万戸の屋根のすべてに太陽光パネルの設置を目指すということで発言されています。資料1の7ページでは、現計画はこのようになっているということで、2020年に10%というのは、一次エネルギー供給ペースについては前からあるということです。

→では、その資料1に何と書いてあるか。むしろ8ページのほうが分かりやすい。この資料1の8ページをみると、菅総理が前倒しする前の現行計画の2030年の推計がでています。

→2030年には発電力量ベースで再生可能エネルギーが19%になっている。これを前倒しするということですね。しかし、ここでは原発が52%となっている。そして、菅総理のもとで、原発は4つの基幹的な柱の1つになっている。さて、2030年から10年前倒しして2020年に再生可能エネルギーの比率が20%になったとして、2020年に原発の比率は何%になるのでしょう?



資料1 革新的エネルギー・環境戦略について
平成23年6月7日 国家戦略室
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20110607/siryou1.pdf

→しかし、菅総理には、「1年で脱原発」の急進路線の選択肢があります。現在のまま、原発定期点検明けの再稼働ゼロを続ければいい。

第1回 エネルギー・環境会議への海江田経済産業大臣提出資料
当面のエネルギー需給対策について(原子力の安全対策の実施と再起動)
平成23年6月22日 経済産業大臣 海江田万里
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20110622/siryou7.pdf

(4ページ)

○現在、国内の原子力発電所50基(廃炉が決定した東京電力福島第一原子力発電所1~4号基を除く)のうち、停止中のものが31基、稼働中が19基。
○仮に今夏までに定期検査等を終了見込みの原子力発電所13基が再起動できない場合、西日本を含めた電力需給が
逼迫。(関西電力(予備率▲6.4%),九州電力(予備率1.6%)) ※予備力は通常8%以上、最低でも3%以上は必要とされる。
○仮に、再起動できない状態がこのまま続くと、今後、約1年で全ての原子力発電が停止。 

→当面、原発の定期点検明けの再稼働がないと、約1年で全ての原子力発電が停止して、「脱原発」になります。

菅総理は1年後の「脱原発」実現の覚悟があるのか?

それとも、地元住民を自ら説得して再稼働させる覚悟があるのか?

たぶん、菅総理にはそのどちらの覚悟もないようにみえます。


真の忠臣ならどうするか。脱原発と原発再稼働の矛盾が激化する前に「退陣」することを覚悟をもって進言すべきでしょう。

→そうすれば、総理退陣後も、菅さんはフランスなどの原発推進勢力には「私は原発再稼働を容認するといっていました」といい、市民集会では「私は脱原発をめざす」といって拍手喝さいをうける、そうした使い分けをしながら余生を送ることも可能です。