本格的な電力の自由化でないと、全量買取制度がうまくワークしないおそれがある(高橋洋一さん) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

本格的な電力の自由化でないと、全量買取制度がうまくワークしないおそれがある(高橋洋一さん)

秘書です。

電力買取法案は、「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」があるときは、設備を送電網に接続することを拒絶できることになっている(法案5条1項2号)。

この部分、新規参入の障壁になっていると高橋洋一さんは指摘していますが、菅総理はどういう哲学で3月11日に閣議決定したのでしょうか?(ほんとに、真剣にこの法案のことを考えていましたか?)

さあ、法案を修正しますか、修正しませんか?

で、修法案5条1項2号の修正を拒否するために国会を解散するのですか?

(修正が必要なら、なんで3月11日の段階で気がつかなかったのか?やはり本気ではなかったということになりますね)


一体、誰の利益を守るための衆院解散論?



菅首相 自然エネルギーへのご執心は延命のため
注目の「電力買取法案」にも経産省の思惑
【第16回】 2011年6月23日 高橋洋一 [嘉悦大学教授]
http://diamond.jp/articles/-/12837

ある閉じた系の中のエネルギーの総量は変化しない。これは物理学でのエネルギー保存則だ。経済でのエネルギー問題も突き詰めれば、ここに行き着く。

 力学的エネルギー(位置エネルギー・運動エネルギー)、熱エネルギー、光エネルギーなどを、いかに電気エネルギーに置き換えるかの問題だ。もっとも100%変換できない。太陽光発電システムでは変換効率はおよそ20%程度で、残り80%は光として反射されたりする。

「電力買取法案」へのご執心は単なる延命のため

 こんな科学少年の時の夢をくすぐられたのだろうか。急に菅直人首相が、自然エネルギーへの転換を言い出した。不信任案騒動の後、官邸のブログに5回も載せている。それ以前にはまったくなかったのに

 菅首相が、退陣を示唆してから、驚異的な粘りだ。総理は内閣不信任か総選挙でしか代えられない。ズルしても不信任をくぐり抜ければ総理の勝ちだ。もし民主党執行部が辞めさせたいなら、参議院で野党が問責を決議して、慣例によって衆議院の与党から信任案を出して採決すればいい

 ここまでしないと、驚異の粘り腰をみせる菅総理は諦めないかもしれない。彼の政治人生はいつも瀬戸際なので、この程度の逆境は何でもなく、総理という権力への執着のほうがはるかに大きいからだ。

 それにしても、急に政権の最優先課題として浮上したのが「電力買取法案」だ。

 これは政治的にいえば、単なる延命である。

 本当に総理がやりたい課題は、就任直後の所信表明で行う。昨年6月の所信表明には「原子力産業を含むエネルギー部門」への期待はあるが、自然エネルギーは出てこない。10月の所信表明では、役所からの要請であろうが、政策羅列の中に「再生可能エネルギー」、「全量買取制度」がかろうじてでてくる

この法案は、今回の原発対応で出てきたわけではない。麻生政権時代に「余剰電力買取制度」が導入されて、その延長線上ででてきたものだ。そして、3月11日の震災当日、まさに震災の直前に閣議決定されていたものだ。

 震災の影響があったのだろうが、4月5日に衆議院が議案受理している。しかし、問題なのはその後まったく動きがないことだ。もし菅総理に強い思い入れがあるならば、趣旨説明をしていいはずだ。また、菅政権・与党で国会を延長せずに閉じるという話があったが、その時もこの法案はまったく審議されていない。国会関係者であれば、この法案はまったく話題に上がっていなかったことは誰でも知っている。

 だから、菅首相の延命策だといわれるのだ。

法案にこめられた経産省の思惑

 さらに、法案自体にも、本格的な電力の自由化を避けてきた経産省の思惑も入っている。例えば、電力会社は、「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」があるときは、設備を送電網に接続することを拒絶できることになっている(法案5条1項2号)。これは、表向き、不安定な自然エネルギーの発電設備を接続することによる支障を防ぐ規定だが、電力会社はこれまでこれを隠れ蓑として新規参入などを阻み続けてきた。

 だから、本格的な電力の自由化でないと、全量買取制度がうまくワークしないおそれがある


 これまで経産省は電力会社の都合のいいように本格的な電力の自由化をせず、「なんちゃって自由化」ばかりを行ってきた。そういう官僚しか経産省では出世しないのだ。

 本格的な電力の自由化は、北欧4ヵ国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク)の成功例に見られる。


北欧諸国における電力の自由化は、1991年ノルウェーでエネルギー法、1996年スウェーデンで新電気法、同時にノルウェーとスウェーデンで電力市場統合、共同の電力スポット市場(Nord Pool)開設、1998年フィンランド、1997年デンマーク西部地域、2000年にデンマーク東部地域がNord Poolに加入という経緯で進んできた。

 北欧諸国の電力産業構造は、①多数の発電事業者、②送電会社の設立、③多数の地方公営配電事業者に特徴がある。つまり、発送電分離と電力料金自由化だ。その結果、電力本体料金は需給を反映する自由価格、送配電料金は規制価格となって、電力本体料金と送配電料金(それに税金)の合計を電力消費者が支払っている。

発送電を分離して送電網を開放し発電分野で新規参入を促進せよ

 経済学の教科書では、電力は自然独占の代表例になっていた。というのは、電力事業では巨額の投資が必要、しかも規模が大きいほど平均費用が低くなる(規模の経済性)ので、市場メカニズムでは最初に電力事業を始めた企業しか生き残れず自然独占になるからである。

 この教科書の説明は、最近の技術革新を考えると修正すべきだ。電力事業を発電部門と送電部門に分けて考えると、発電部門での規模の経済性は技術進歩でなくなりつつある。各家庭で太陽光パネルを設置し、家庭によっては自家消費以上に発電して、近隣家庭に余剰電力を供給したり、地域で小規模発電して「地産地消」するのも、今の技術では可能だ。しかし、送電部門ではまだ規模の経済性が残っている。

 そこで、自家発電を増強して発電を事業化するのは容易になっても、送電は既存の電力会社の送電線を借用せねばならなくなる。となると、既存の電力会社について、発電と送電を分離し、同時に送電網を開放して、発電分野で新規参入を促し競争するのが、国民にとって望ましい。これは電話について、電話回線網を開放して、いろいろな電話会社を参入させたことと同じ理屈だ、

これまで、電力の自由化は発電業者の新規参入という形で段階的に行われてきたが、送電網の開放が十分に行われなかった。だから、「なんちゃって自由化」なのだ。その結果、発電の新規参入業者も価格決定力がなく、自由化の恩恵は大規模な工場など極めて限定的な地域にとどまっている。

 こうした電力の自由化に対して、東京電力はじめ十電力会社は電力の品質などを理由として反対してきた。実は、電力会社が、発送電一体体制で、巨大な原発・火力発電を作り、地域独占で膨大な独占利潤を得る仕組みだったからだ。このため、日本の電力料金は国際的にみても高い。

 なお、余談であるが、電力会社の反競争行為はしばしば見られる。今回の震災で計画停電になったが、本来であれば、そうした緊急時には日本卸電力取引所が機能しなければいけない。この取引所は特定規模電気事業者(PPS)が電気を取引するところで、東電はそこから電力を買わずに、計画停電をしてしまったのだ。

全くちぐはぐな菅政権の政策

 本来であれば、本格的な電力の自由化をしながら、全量買取制度をつくるべきだ。しかし、菅政権の政策はまったくちぐはぐだ

 例えば、東電の賠償スキームの法案も今国会にでている。しかし、それは賠償のために東電を温存するので、送電網は賠償期間中は事実上売却できず、政策として発送電分離はできない。というのは、資産側の送電網は5兆円と大きいので、同時に負債側の株主・債権者の整理も行う必要があるが、株主や債権者を温存するので、東電のバランスシートから切り離すのが難しいのだ。

すでに述べたような本格的な電力の自由化は、発電方式の間のフェアな競争をもたらし、自然エネルギーさえもその対象となる。こうした競争の中で、地球環境にも配慮がなされて、地域の特色ある電源別電力構成が形成されるだろう。そのことは、当然原子力発電にも影響する。

 今回の原発事故の前から、自由化された市場では、海外でも原子力新増設は敬遠されてきた。本当は原子力の発電コストはかなり高いからだ。それに今回の原発事故で賠償費用もでてきたので、新増設は経済的に限りなく不可能になるだろう。米英でも採算性の劣る旧式炉や欠陥炉の廃止が進み、採算性の優れた原発会社だけに集中特化が見られる。

 もっともそうした経済問題以外でも、地域住民は気が気でないだろう。そこで住民参加の方法はないだろうか。原発について、現行では電力会社との協定により県知事の同意が必要とされている。これを住民投票とすることはできないだろうか。原発の是非については、住民の直接参加を基本とすべきだろう。


→小泉首相の8.8解散の真似??法案審議をすれば、法案の問題点が明らかになってくるでしょう。それでも解散する?それだけの信念がありますか?形だけ真似しても・・・

小泉内閣総理大臣記者会見
[衆議院解散を受けて]

平成17年8月8日
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2005/08/08kaiken.html

【小泉総理冒頭発言】

 本日、衆議院を解散いたしました。それは、私が改革の本丸と位置づけてきました、郵政民営化法案が参議院で否決されました。言わば、国会は郵政民営化は必要ないという判断を下したわけであります。

 私は、今年の通常国会冒頭におきましても、施政方針演説で郵政民営化の必要性を説いてまいりました。そして、今国会でこの郵政民営化法案を成立させると言ってまいりました。しかし、残念ながらこの法案は否決され廃案となりました。国会の結論が、郵政民営化は必要ないという判断を下された。私は本当に国民の皆さんが、この郵政民営化は必要ないのか、国民の皆さんに聞いてみたいと思います。言わば、今回の解散は郵政解散であります。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、これをはっきりと国民の皆様に問いたいと思います。

 私は、4年前の自民党総裁選挙において、自民党を変える、変わらなければぶっ壊すと言ったんです。その変えるという趣旨は、今まで全政党が郵政民営化に反対してまいりました。なぜ民間にできることは民間にと言いながら、この郵政三事業だけは民営化してはならないと、私はこれが不思議でなりませんでした。郵便局の仕事は本当に公務員でなければできないのか、役人でなければできないのか、私はそうは思いませんでした。郵便局の仕事は、民間の経営者に任せても十分できると。むしろ民間人によってこの郵便局のサービスを展開していただければ、今よりももっと多様なサービスが展開できる。国民の利便を向上させる。国民の必要とする商品なりサービスを展開してくれると思っております。いまだにその主張、考え方に変わりはありません。

 だれでも民間にできることは民間にと主張していながら、なぜこの郵政三事業だけは公務員でなければだめだと、大事な仕事だから公務員でなければだめだというんでしょうか。私は改革を推進しようという民主党は、民営化の対案ぐらいは出してくれるのかと思っていました。残念ながら民主党までが民営化反対、民営化の対案も出してくれない。そして自民党の郵政民営化反対、抵抗勢力と一緒になってこの法案を廃案にした。本当にこのままで行政改革できるのか、財政改革できるのか、理解に苦しんでおります。

 私は、この郵政民営化よりももっと大事なことがあると言う人がたくさんいるのも知っています。しかし、この郵政事業を民営化できないでどんな大改革ができるんですか。役人でなければできない、公務員でなければ公共的な大事なサービスは維持できない、それこそまさに官尊民卑の思想です。私は民間人に失礼だと思います。民間の企業、民間の経営者は国がこうやりなさい、こういう商品を出しなさい、こういうサービスをやりなさいと義務づけなくても、国民に必要な商品やサービスを展開してくれております。なぜ今までの自民党も含めて、野党の皆さんも含めて、この郵政三事業だけは国家公務員でなければだめだというんでしょうか。これは率直に言って、選挙のときに確かに自民党も民主党も、この郵政三事業に携わる国家公務員の支援を受けている、大事な選挙支援者だと、応援してくれる人の言うことを聞かなければいけないという気持ちはわかります。しかし、これは一部の特定団体の言うことを聞くのも大事でありますけれども、国民全体のことを考えれば、民間にできることは民間に、官業は民間の補完であると。役所の仕事は民間にできないことをやるべきだということから、今は公共的な仕事でも民間人にできるものは民間人に任せなさいという時代ではないでしょうか。民間人は公共的な仕事はできない。大事な仕事は公務員がやるんだと、そういう考えはもう古いと思います。

 だから、私は前々から言っているんです。郵政三事業の民営化に反対するということは、手足を縛って泳げというようなものだと。本当に行政改革、財政改革をやるんだったらば、この民営化に賛成するべきだと言っていたんですけれども、これは暴論と言われておりました。しかし、私は4年前の自民党の総裁選挙に出たときからこの民営化の主張を展開して、自民党の嫌がる、野党の嫌がるこの民営化の必要性を訴えて自民党の総裁になり、総理大臣になり、総理大臣になってからも郵政民営化が嫌だったらば私を替えてくれと言っていながら、なおかつ自由民主党は私を総裁選で総裁に選出したんです。

 総理になって、衆議院選挙においても、参議院選挙においても、この郵政民営化は自民党の公約だと言って闘ったんです。にもかかわらず、いまだにそもそも民営化に反対だと。民間にできることは民間にと言った民主党までが公社のままがいいと言い出した。公務員じゃなければ、この大事な公共的な仕事はできないと言い出した。おかしいじゃないですか。

 私は、そういう意味において、本当に行財政改革をやるんだったらば、公務員を減らしなさいということはみんな賛成でしょう。郵政事業に携わる国家公務員、約二十六万人、短時間の公務員を入れると約十二万人、併せて約三十八万人が郵政事業に携わっている。郵便局の仕事に携わっている。これは本当に公務員じゃなければできないんでしょうか。私は民間人に開放するべきだと思って民営化を主張してまいりました。なぜ、三十八万人の公務員じゃなければ、この郵便局のサービスは展開できないんでしょうか。私は郵便局は国民の資産だと思っている、過疎地でもなくなりませんよと、今の三事業のサービスは過疎地においても、地方においても維持されつつ、民間人に任せても十分できますよということを言っているんです。 そういうことから、今回、私は本当に国民に聞いてみたいと思います。本当に郵政民営化は必要ないのかと。公務員の方が民間人よりも公共的な大事な仕事をするのかと。私はそうじゃないと思います。民間人でもどんどん公共的な仕事をできるものならやってもらいたいと思っております。

 今、確かに残念ながら、参議院で今日この法案が否決され、廃案になりました。言わば国会は郵政民営化は必要はないという結論を下したわけですが、私はいまだに郵政民営化は、本当に行財政改革をするんだったらば、将来、簡素で効率的な、余り政府が関与しない、役所の仕事を民間に開放しようという主張を展開するならば、この郵政民営化はしなければならないものだと思っております。

 約四百年前、ガリレオ・ガリレイは、天動説の中で地球は動くという地動説を発表して有罪判決を受けました。そのときガリレオは、それでも地球は動くと言ったそうです。

 私は、今、国会で、郵政民営化は必要ないという結論を出されましたけれども、もう一度国民に聞いてみたいと思います。本当に郵便局の仕事は国家公務員でなければできないのかと。民間人ではやってはいけないのか。これができないで、どんな公務員削減ができるんでしょうか。どういう行政改革ができるんでしょうか。

 これができなくて、もっと大事なこと、最も大事なこと、公務員の特権を守ろうとしているんじゃないですか、国家公務員の身分を守ろうとしているんじゃないですか、反対勢力は。そういう既得権を守る、現状維持がいい、そういう勢力と闘って、本当に改革政党になる、自民党はなったんだということから、この選挙で国民に聞いてみたいと思います。自由民主党は郵政民営化に賛成する候補者しか公認しません。

 言わば、はっきりと改革政党になった自民党が、民営化に反対の民主党と闘って、国民はどういう審判を下すか聞いてみたいと思います。だから解散をしました。

 そして、この郵政民営化に賛成する、自由民主党、公明党が国民の支持を得て、過半数の勢力を得ることができれば、再度、選挙終了後国会を開いて、これを成立させるよう努力していきたいと思います。

 以上であります。

【質疑応答】

【質問】 今回、郵政法案が参院で17票差という大差で否決廃案されたことの総理の率直な感想等をお聞かせください。

 それと、法案が参院で否決されたことを受けて、衆院を解散することに対して、与党内からも筋が通らないという批判が出ているようですけれども、総理はどう説明されるか併せてお聞かせください。

【小泉総理】 昨日まで、この郵政民営化が参議院で可決されるという状況は厳しいということは多くの方々から、その状況を聞いて承知しておりました。

 しかし、まだ可能性はあるということで、今日あの参議院での採決をかたずをのんで見守っていましたけれども、残念ながら否決されました。

 衆議院で通過して、参議院で否決されて解散するのはおかしいのではないかというお尋ねだと思いますけれども、私は前から申し上げていますとおり、これは小泉内閣が発足してから、構造改革の本丸と位置づけていたんです。私にとっては、郵政民営化は当たり前だと思っているんです。なぜこれだけ反対するのか理解できないんです。民間にできることは民間にと言いながら、この郵便局の仕事は国家公務員でなければできないという理由がわからないんです。

 そういうことから、この郵政民営化法案の否決は、小泉不信任である、小泉内閣の進めていた構造改革に対する不信任だと受け止めるということをはっきり申し上げておりました。

 せっかく今まで賛否両論ある中、特に反対論が強い中、改革を進めて、ようやく芽が出てきていました。その矢先にこれからできるだけ役所の仕事の無駄を省いて、行政改革へも財政改革へも寄与する民営化の法案が否決されたということは、小泉内閣の構造改革、それを否定されたものと受け止めております。

 言わば、国会がそう判断されたわけです。しかし、いまだに信じられません。本当に私の進めてきた、小泉内閣の進めてきた今までの改革路線。国民はノーと言うのかイエスと言うのか。これを聞いてみたいと思いまして、衆議院を解散いたしました。

【質問】 総理は衆議院の本会議で、反対した議員については公認をしないというお考えですけれども、実際それで自民党は本当に選挙になるんだろうかという疑問があります。そして、その場合、自民党は分裂選挙と事実上なると思うんですけれども、その結果によっては小泉政権だけではなくて、郵政民営化も含めて、あるいは自民党そのものが政権を失うという可能性もあると思うんですけれども、総理は選挙を打って出て勝つ自信がおありなんでしょうか。

【小泉総理】 それは多くの自民党の皆さんから、よく言われたことであります。自民党が分裂して選挙に勝てるわけがないじゃないかと。だから、否決されても解散するなと。そこでもう一回継続審議にして臨時国会を開いて成立させればいいじゃないかという話も伺っておりました。

 しかし、私は今国会で成立させると。衆議院に100時間、参議院で80時間、しかも整然と委員会で可決され、本会議で上程されて、円滑に審議が行われてきたんです。でも、結果は廃案になりましたけれども、これで自民党が分裂して選挙に勝てるかどうか。それは勝てないと思っている方もいるでしょう。私も率直に言って、選挙はやってみなければわからないと思います。

 しかし、この選挙を、私は郵政民営化賛成の勢力と協力していかなければならないと思っています。郵政民営化反対の勢力と協力することはありません。だからこそ、この郵政民営化に賛成の自民党と公明党が衆議院の議席で過半数を得ることができるように全力を尽くします。

 自民党、公明党、両議席を併せても過半数を取ることができなかった、と言って、郵政民営化に反対の勢力と協力することはありません。自民党と公明党が国民の審判によって過半数の議席を獲得することができなったら、私は退陣します。

【質問】 総理、衆議院を解散されて、仮に政権を維持したとしても、参議院の構成あるいは顔ぶれというのは変わらないわけです。そうした中で郵政民営化法案を出し直して、どうやって参議院を通すおつもりなんですか。

【小泉総理】 その話も、たびたび自民党の多くの議員からお話を伺いましたけれども、これは国民の皆さんが郵政民営化は必要だという、この私の主張に支持を与えてくれれば、今、反対なり棄権した参議院の方々も必ず応えてくれると思います。協力してくれると思います。

 国民は、郵政民営化を支持していないと思っている方が、今、反対しているわけです。そこが私と全く違います。郵便局をつぶすと、反対派は言っています。私はつぶさない、郵便局は国民の資産だ、このネットワークを守っていく、今の郵便局の仕事は、国家公務員が経営するよりも民間人に任せた方がよりよいサービスが国民に提供できるということを言っているんです。しかし、反対論者と私の考え方は変わらなかった。どっちが正しいのか。だから、国民に聞いてみる。国民の皆さんが、やはり郵政民営化は必要だと。自民党、公明党、両勢力に過半数の議席を与えてくれれば、参議院の皆さん、気を変えて、考え方を変えて協力してくれると確信しております。

【質問】 民主党の中にも、本来であれば郵政民営化に賛成する勢力があったはずですが、選挙後、そういった勢力と連携する可能性はありますでしょうか。

【小泉総理】 私は選挙後、自由民主党、公明党が過半数の議席を得ることができれば、どの政党であれ、郵政民営化に賛成である勢力とは喜んで協力していきたいと思っております。

【質問】 総理、郵政を争点にされたいというのはわかったんですが、もう一つ靖国神社についてお伺いしたいんですけれども、今回8月15日もめぐってまいりますし、投票日までの間に参拝をされるお考えがあるかということと、靖国の参拝問題を争点とされるお考えはあるかどうか。この点についてお尋ねします。

【小泉総理】 まず靖国参拝を争点にする気は全くありません。

 これは本来、私がかねがね申し上げていますように、戦没者に追悼の念を持って、敬意と感謝の誠をささげる。今の日本の平和と繁栄というのは、現在生きている人だけで成り立っているものではないんだと。心ならずも、戦場に行って、家族や多くの愛する人たちと別れなくてはならなかった。命を落さなければならなかった。そういう人たちの尊い犠牲の上に、今日の平和と繁栄があるんだと。そういう方々に対して、心からなる敬意と感謝をささげたいという気持ちで参拝しております。

 そういうことから、これは人間の自然な感情だと思っております。よく中国との関係がありますが、私は日中友好論者です。今、いまだかつてなく、経済においても、文化においても、スポーツにおいても交流は深まっております。中国の観光ビザも全国に広げました。草の根の交流は、かつてないほど高まっております。

 そういう意味において、私は一靖国の問題が日本と中国との全体の関係であるとは思っておりません。これからも日中、日韓友好関係を維持、発展させることは、極めて重要だと認識しております。

 靖国参拝を争点にする気は全くありません。

【質問】 選挙はやってみないとわからないと今おっしゃいましたけれども、内外に多くの懸案を抱える中で、言わば一か八かで政治的空白をつくるということに対する批判には、どのようにお答えするのでしょうか。

【小泉総理】 これは、私は空白をつくるかどうか。政治に小休止なしです。休み中でも国務大臣として、総理大臣として、やるべき仕事は山積しております。内政外交。それに遅滞なく全力を投球してやっていかなければならない。

 今、多くの方々は夏休みをとっておられると思います。解散がなければ政治家の皆さんも夏休みだったでしょう。記者の皆さんも夏休みだったと思います。しかしながら、この夏休み期間中、候補者にとっては大変な重労働ですけれども、できるだけ早く、選挙を9月11日に終えて、混乱のないような政局を収拾していかなければならないと思っております。

【質問】 欠席された議員の方は、公認されないんですか。

【小泉総理】 欠席の方、棄権の方はよく聞いて、郵政民営化に賛成すると言えば、公認も考えられます。