米景気の一時低迷→量的緩和継続→円高? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

米景気の一時低迷→量的緩和継続→円高?

秘書です。

震災後、貿易赤字でなんで円高?

今後はどうなる?


米景気の一時低迷を受けて量的緩和継続の公算高まる 円高招き日本経済に痛手も
2011.06.10
連載:2011「日本」の解き方
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110610/plt1106101450001-n1.htm

 3日に公表された5月の米国雇用統計はちょっとショッキングだった。非農業部門の雇用者数の伸びは前月比5万4000人増加と予想の16万人増を下回り、失業率も4月の9・0%から8・9%に低下するとの予想に反して9・1%へと上昇した。

 これは一言でいえば、「ソフトパッチ」だ。2004年頃に、グリーンスパン前FRB(米連邦準備制度理事会)議長が使った言葉で、景気が一時的に低迷する状況をいう。今流行っている原発関係の言葉で、周囲より放射能汚染値が高い地点が所々にある地点をホットスポットということになぞらえて、ソフトスポットという人もいる。

 2年前から始まった米国経済の回復基調はそのペースが鈍く、08-09年の景気後退前の水準に戻っていない。

 たしかに、5月の雇用統計は、東日本大震災によるサプライチェーン混乱と米中西部の竜巻が影響したのは間違いなく、雇用者数が8万人程度減少した可能性がある。しかし、それらを差し引いても、景気回復が順調でないと多くの人は思っている。もっとも、今年の年末には、緩やかながら徐々に回復していくという見方が有力だ。

 FRBは雇用の確保を法的に義務付けられており、今度どのような金融政策をするかが注目されている。FRBは12年末の失業率を約7・8%と予想しており、今後1年半で1・3ポイント低下させるかどうかだ。今月までとされているQE2(量的緩和第2弾)はどうなるのだろうか。

 FRBは雇用の確保とともに物価安定の責務を負っている。そこで、市場情報から算出される物価上昇率の予想値を見ていると、FRBの政策がかなり読める。

 リーマンショック以後のQE1によって、予想物価上昇率(5年ベース)は一時はマイナスになっていたのが2%近くまで持ち直していた。ところがその後下がりだし、10年9月頃は1・2%程度になった。そこで10年11月からQE2が打ち出された。その後2・4%程度まで上がったが、今では2%程度だ。

 ということは、景気の踊り場を受けて、新たなQE3が出てくるかといえば、今のところその可能性は低い。かといって、QE2をすぐにやめるのでなく、償還資金を再投資してベースマネーの残高維持をより長期に継続する可能性が高い。

 一方、日本において震災以降の日銀はベースマネーを一時高めたが4月に入ると低下させている。そうした日米の状況を考えると、方向としては円高になるだろう。米国の景気回復が遅れることとともに、日本経済には痛い話だ
。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

→日銀は何をしようとしているのか?

日銀 融資促進で新制度検討へ
6月11日 6時50分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110611/k10013459101000.html
日銀は、来週開く金融政策決定会合で、東日本大震災の復旧復興や経済成長を後押しするため、担保となるような不動産がなく融資を受けにくい企業にも資金が行き渡るような新たな制度の導入を検討する方針です。

日銀は、今月13日から2日間、金融政策決定会合を開き、震災の復旧復興を進め、経済を回復軌道に乗せていくため、金融面からの支援策について意見を交わします。この中では、去年から実施している環境や福祉、エネルギーといった成長分野に極めて低い金利で資金を貸し出す取り組みを拡充する方向で議論することにしています。具体的には、担保となるような不動産がなく、融資を受けにくい中小企業などにも資金が十分に行き渡るよう企業の手元にある商品の在庫などを担保に、金融機関が貸し出しをするように促す新たな制度の導入を検討します。一方で日銀は、震災からおよそ3か月がたって部品の供給網などの復旧は徐々に進んでいるものの景気には下押しの圧力が残っているとして、ゼロ金利政策などの今の金融緩和策を維持する方針です。

→景気の下押し圧力、日銀の影響は?比較して、FRBは何をしてきたのか? 

FRBによる米国債保有高が急増、保有額第2位に
2011年 06月 10日 15:07 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21644020110610
 [ニューヨーク 9日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が9日発表したデータで、FRBが外国人に次いで、第2位の米国債保有者となったことが明らかになった。量的緩和第2弾(QE2)に基づく国債買い入れが保有額を押し上げた。
 それによると、第1・四半期は家計部門(ヘッジファンドを含む)の米国債売買が1550億ドルの売り越しとなり、保有額は9594億ドルに減少した。これは2010年第1・四半期以来の低水準。

 一方、FRBの保有額は2010年第4・四半期の7766億ドルから1兆3400億ドルに急増した。

 米国債を保有する最大の投資家は外国人で、保有額は第4・四半期に比べ676億ドル増加し、4兆4450億ドルに達した。

 米国債の発行残高は9兆6210億ドルで、第4・四半期の9兆3620億ドルから増加し、過去最高に達した。

→米国では中央銀行が量的緩和のために国債買い入れ。国債買い入れがそんなにいけないことなら、誰かバーナンキさんに「友人として忠告する、やめなさい」という人がいないのは、なぜ?日本でしか通用しないからでは?

電力債の起債再開は道険し、日銀社債買入緩和に期待も
2011年 06月 10日 19:41 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21648820110610?sp=true

[東京 10日 ロイター] 関西電力(9503.T: 株価, ニュース, レポート)が検討していた国内普通社債(SB)の発行延期を決めるなど原子力発電所を抱える電力会社の起債環境に厳しさが増している。

 電力会社に対する金融機関の与信枠に慎重な動きが出始める中、長期資金の調達コスト増は不可避との見方が浮上。電力のクレジットコスト低減に向けて、日銀による社債買入枠拡大や制限緩和に期待する声も出ている。

 <関西電が6月起債を延期、沖縄電は100億円調達>

 関西電は9日、期間10年で発行を準備していた国内SBについて6月中の起債を見送ることを決めた。 関電では「ボラティリティが高く、投資家にとって適切な投資判断が困難な環境になった」(経理室関係者)と説明し、市場の落ち着きを待って起債時期を探る意向を示した。

 一方、原子力発電所を保有しない沖縄電力(9511.T: 株価, ニュース, レポート)は10日、期間10年を選択して国内SBの発行に踏み切った。東日本大震災後の電力債起債は初めて。発行額は100億円、利率1.332%、発行価格100円。国債に対する上乗せ幅(スプレッド)が18ベーシスポイント(bp)。原発の有無で明暗を分けた格好だ。

 <不透明な原発の賠償支援策の行方、投資家はリスク取れず>

 厳しさを増す資金調達環境を踏まえると、高いコストを払ってまでも起債を強行した方が良かったのではないか──。月内の発行延期を決めた関西電の判断に対して、大手機関投資家の債券運用担当者は異を唱える。発行困難というネガティブなイメージが市場に浸透して、信用力に少なからず悪影響を与えることを懸念したためだ。「原発の不透明要因が払しょくされない間は、原発を持つ電力の起債は難しいのではないか」(同)との声もささやかれる。

 逆風が強まり始めたのは週明けの6日。朝日新聞が4日付朝刊で、東京証券取引所の斉藤惇社長が同社のウェブマガジン「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」のインタビューで、ダイエーやカネボウの再生を手がけた経験から「東電でも(会社更生法で再建中の)日本航空と同様の処理が望ましい」として法的整理による東電再建に言及。政府が5月13日に支援策枠組みを発表してから約1カ月が経過しようとしているにもかかわらず「政局流動化で支援策の法制化への道筋が見えないことから、法的整理による東電再建という最悪のシナリオを市場が描き始めた」(市場筋)という。
 定期検査に入った原発は、安全性に対する地元自治体の理解を得られなければ再稼働が難しくなるとの観測が台頭。電力株が急落するとともに、社債にもまとまった売りが出て、スプレッドは急激にワイド化。電力債は「買い手が極端に少ない中で売りに出そうとすると、30bp台のスプレッドでは証券会社に引き取ってもらえない。実勢レートは50bp挟み」(投資顧問)といい、スプレッドが10bpを割り込んで、社債の中でも別格扱いをされてきた震災前の面影はいまや消え失せつつある。

 大手機関投資家の債券運用担当者は「3年後、5年後、10年後の電力事業リスクを加味すると、期間10年の電力債は買いにくい。関電と投資家、それぞれが希望したスプレッドにかなりのギャップがあったようだ」と発行延期に至ったいきさつを話す。

 <資金調達コスト増への懸念、日銀サポートに期待>

 社債発行は電力会社にとって長期資金の重要な調達手段。関西電では「当面の資金繰りに問題はない」と強調するが、金融機関が電力セクターに対する与信枠に慎重になる中、賠償支援策の行方や原発事業先行きといった不透明要因が存在する限り「電力会社の資金調達コストが徐々に上がってくるのは必至」(市場筋)として財務負担増を懸念する声が出ている。

 日銀が資産買入等の基金を通じて実施している社債等買入オペ。3日に実施したオペでは、応札額は3792億円とこれまでの最高だった5月11日実施の前回(3356億円)を上回った。落札額は1500億円。オペ回数を重ねるごとに膨らむ応札需要の背景に、電力債のエクスポージャーを落とす動きがあるとの見方がある。社債等買入オペでは、発行体別の買入枠が1000億円に規定されており、すでに東電債は上限に達したとみられている。

 ある先出の債券運用担当者は「今後の震災復興による電力需要などを踏まえると、電力会社の資金調達コストの低減を狙って買入枠などの制限をもっと緩和してもいいのではないか。電力のクレジットコストが上昇するようでは、先行きの復興もおぼつかない。最終的にコストをだれが払うのかが焦点だ」と指摘する。約60兆円ある社債発行残高の約4分の1を占める電力債。電力債の混乱が長期化すれば、全体の直接金融市場にも悪影響を与えかねない。

 バークレイズ・キャピタル証券・チーフ公的セクター・クレジット・アナリストの江夏あかね氏は、リスク資産の買入で損失を計上した場合に中央銀行の財務基盤や信認に影響するため、日銀は慎重な姿勢を示すだろうが「電力債の混乱が長期化した場合には、社債買入緩和に踏み切る可能性も否定できない」とみている。

 なお、日銀の白川方明総裁は4月7日の金融政策決定会合後の記者会見で、社債買入の発行体別買入枠拡大について「見直す必要があるとは考えていない」と述べている。

  (ロイターニュース 編集:伊賀大記)

→「日銀に期待も」のあとに何が続くのかか?