事故調査・検証委員会についての資料をまとめておきましょう | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

事故調査・検証委員会についての資料をまとめておきましょう

秘書です。

事故調査・検証委員会についての資料をまとめておきましょう。


東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の開催について
(仙谷由人内閣官房副長官)
平成23年5月24日(火)午前
http://www.kantei.go.jp.cache.yimg.jp/jp/tyoukanpress/201105/24_a.html
 そこで、事故調査・検討委員会の開催について申し上げますが、本日の閣議で、「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の開催について」閣議決定がされました。ご報告をいたします。東京電力福島原子力発電所の事故につきましては、国民の目線に立って開かれた中立的な立場から徹底的に検証を行ない、その結果を国内外に明らかにしていく必要があります。また、この事故の検証結果を教訓として、被害の拡大防止のために今後どのような対策が必要であるのか、また、再発防止のためにどのような対策を講じていくのかについて、ご提言をいただくことが必要だと考えております。このため、菅総理大臣が示された3つの基本的な考え方、すなわち、①従来の原子力行政からの「独立性」、②国民、国際社会に対する「公開性」、③技術的な問題のみならず制度的な問題まで含めた検討を行う「包括性」に基づきまして、「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」を開催することとなりました。この検証委員会では、事業者である東京電力を始め、関係行政機関や、総理大臣も含めた閣僚の行動も聖域なく対象にして、幅広く検証を行なっていただき、しっかりとした報告をまとめていただきたいと考えております。また、この検証委員会の委員長には、事故調査・検証という任務につき、十分な識見の持ち主であること、今回の原発事故の当事者との利害関係がないこと等を重視をいたしまして、東京大学名誉教授、工学院大学教授の畑村洋太郎氏にお願いをしたいと考えております。畑村教授は、「失敗に学び、同じ愚を繰り返さないようにするにはどうすればよいか」を考える「失敗学」の先駆者・第一人者としても知られるとともに、これまで数多くの事故調査等に携われた豊富な経験を有する方でありまして、この検証委員会の委員長として最も適任であると考えております。その他の委員につきましては、今後、畑村委員長と相談しながら鋭意人選を進めて、日程調整の上、第1回会合を速やかに開催する予定であります。なお、事務局も必要なわけでございますが、事務局長は、検察官の然るべき人をお願いをしたいと考えております

→「包括性」原則により、首相をはじめとする個人の責任が免責させることがありませんように。

→事務局長は、首相をはじめとする官邸の政策判断ミスにどこまで切り込むことができるかに注目です。


東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の開催について
平成23年5月24日 閣議決定
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2011/24jikochousa_kenshou.pdf

1 趣旨
東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における事故の原因及び当該事故による被害の原因を究明するための調査・検証を、国民の目線に立って開かれた中立的な立場から多角的に行い、もって当該事故による被害の拡大防止及び同種事故の再発防止等に関する政策提言を行うことを目的として、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(以下「検証委員会」という。)を開催する。

2 構成
(1)検証委員会の構成員は、学識経験者等の中から内閣総理大臣が指名する。
(2)内閣総理大臣は、構成員の中から、検証委員会の委員長を指名する。
(3)検証委員会に対し専門的、技術的事項について助言を得るため、委員長の指名により技術顧問を置くことができる。
(4)検証委員会は、必要に応じ、内閣総理大臣を始めとする関係大臣、関係行政機関の職員、関係事業者の役職員、原子力に関する国際機関の職員その他の関係者の出席を求めることができる。

3 関係大臣等の責務
(1)関係大臣及び関係行政機関の職員は、検証委員会の運営に最大限協力するものとし、正当な理由がない限り、検証委員会からの資料提出及び説明聴取等の要請を拒むことはできないものとする。
(2)関係大臣は、検証委員会から関係事業者を対象とする実地調査の受入れ、資料提出及び説明聴取等の要請があった場合には、法令に定められた権限に基づき、これに応じるよう事業者に対し指示を行うものとする。

4 その他
検証委員会の庶務は、関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する

→庶務権限を掌握する事務局長以下がどのような構成になるのかを注視しましょう。

畑村洋太郎(はたむらようたろう) 工学博士(1973年2 月15日,東京大学)
http://www.sozogaku.com/hatamura/info/static,profile.html

現職 工学院大学 教授 ・東京大学 名誉教授
1941年1月8日 東京生まれ
1966年 東京大学大学院修士課程修了.(株)日立製作所入社.
1968年 東京大学工学部助手.
1969年 同講師.
1973年 同助教授.
1983年 同教授.
2001年4月 工学院大学教授,畑村創造工学研究所開設.
2001年5月 東京大学名誉教授.
2001年8月~
  2011年3月 科学技術振興機構失敗知識データベース整備事業統括
2004年6月~
  2005年5月 ドアプロジェクト実施
2005年8月~12月 株式会社日本航空 安全アドバイザリーグループ委員
2007年4月~ 危険学プロジェクト実施
2007年9月~
  2010年3月 JR西日本安全有識者会議委員
現在の活動
ナノ・マイクロ加工,生産加工学,医学支援工学,失敗学,危険学,創造学.また,実際の設計研究会を主宰し,創造設計原理の研究を行っている.また,失敗学会を開設し,理事長として失敗学の普及を行っている.


原発事故考(上)失敗学会理事長・畑村洋太郎
2011.4.20 03:47 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110420/dst11042003420004-n1.htm

津波の立場で考えなさい

 東日本大震災では「想定外」という言葉が何度も使われている。予想を超えた大津波は、三陸海岸の町や村、漁港を次々とのみ込み、福島県では原子力発電所を破壊し、放射能汚染をもたらした。この原発事故について「失敗学」という独自の学問を提唱する工学博士が考察する。(文 木村良一)

                ◇

 --失敗学とは何ですか

 畑村 人間が何かの活動をすれば、失敗は起こる。嫌でも起きてしまう。失敗は人間の活動について回る。失敗をしてはならないとか、悪いことのように決め打ちするのではなく、一番大事な結果だと考える。それが失敗学だ。

 --失敗には2つあると指摘されていますね

 畑村 はい。許される失敗と許されない失敗。手抜きやインチキ、欲得で自分が得しそうだと思う方向へ流された結果として生じる失敗は許されない。しかし世の中には許される失敗、許すべき失敗もある。

 --分かりやすく言うと

 畑村 新しいことにチャレンジして起こるのが、許される失敗。人間の成長を見ると、赤子、子供、青年とその成長過程でたくさんのことと新たに遭遇し、それに対応する形で物事が起きていく。結果はあらかた失敗なんだ。だって分からないんだもの。人間は失敗を通じていろんなことを獲得していく。

 --でも失敗はしたくないです

 畑村 失敗するのが嫌ならば何も行動しなければいいんだ。じっとしていればいい。そうすれば何も起こらない。しかし、それではしようがない。失敗を積極的に見ることが必要だ。それに気付いて失敗学を言い出した。とくに学生に設計を教える過程において失敗学は絶対に必要だ。


--確か、機械工学の専門書にこの失敗について書いたのですね

 畑村 『続々・実際の設計-失敗に学ぶ』(平成8年、日刊工業新聞社)という本。この本を東大の私の授業でマスコミ論を講義してくれていた評論家の立花隆さんに送ると、彼が週刊文春に書評を書いてくれ、その中で「失敗学」と命名してくれた。そのおかげで専門書なのによく売れた。

 --本では失敗についてどのように触れているのですか

 畑村 失敗が後世にどんなふうに伝えられ、消えていくのかを書き留めた。その中で三陸海岸の津波を取り上げた。

 --そうすると、東北の三陸海岸の津波は失敗学の原点ですね

 畑村 そう。その本に東日本大震災で起きた大津波の被害と同じ被害が書いてあるからみな驚く。明治三陸地震(1896年)、昭和三陸地震(1933年)、東日本大震災(2011年)…と、大勢の人が亡くなる三陸の大津波は繰り返し起きてきた。被害に遭った人は石碑でそれを伝えようとした。

 --石碑?

 畑村 石碑は津波が押し寄せてきた高さの場所に建てられ、「ここより下に家を建てるな」と警告が記されている。しかし漁村では海に近くないと生活しにくいので石碑のすぐ下に家を建ててしまう。後世の人は石碑の教訓に従わない。どうしてなのか。何十年に一度とか、百年に一度起きるようなことは自分の周りでは起きないと考えてしまうからだ。

--どうすれば教訓は生かされるのですか

 畑村 大事なのは起こってから考えるのではなく、起こる前に考えることだ。想像力を働かせることが重要だ。失敗学では起こらないと証明できるならば起きないだろうが、証明できないならばそれは起こる。

 --失敗学で東日本大震災を考えると

 畑村 海岸沿いにある福島第1原子力発電所は、津波で損傷すると考えない方がおかしいことになる。次にどのへんまで考えるかだが、ここで大事なことがある。見たくないものは見えない。聞きたくないことは聞こえない。自分たちが困ることは考えないための理由をたくさん並べて結局、考えない。「原発の津波被害を考えるべきだ」とだれかが言ってもだれも注目しない。東京電力は起こりもしないことを取り上げるのはおかしいと考えたのだろう

  《1号機から6号機まである福島第1原発は昭和46年から順次運転を開始した。建設当時、35年のチリ地震の津波を考慮して3・1メートルの津波を想定、国から設置許可を得た。その後、平成14年の土木学会の指針に基づき、想定する津波を最大5・7メートルに切り替えた》

 --3・1メートルの津波の想定で国が許可したにもかかわらず、東電は3倍以上の標高10メートルに原発を建設した。東電に問題はないと思いますが

 畑村 国が許可した以上のことをやったのだから俺たちは悪くないという考え方で、それはおかしい。だって事業主体は東電でしょう。


 《福島第1原発を襲った津波の高さは14~15メートル。標高約10メートルの原発の敷地から考えて4~5メートルの波が押し寄せたことになる。この津波で非常用発電機も故障し、冷却装置の電源がすべて失われた。その結果、炉心溶融や水素爆発が起き、放射能漏れにつながった。原子炉を停止してもウラン燃料は崩壊熱を出し続けるため、冷却装置は原発の生命線といわれる》

 --仮に原発を標高15メートルの敷地に建てて20メートルの津波が来たとしたらやはりアウトになる。そうなると想定とは一体何だろうと考えてしまいます

 畑村 東電が言う「想定外」は、自分たちには落ち度がないという言い訳でしかない。最低基準を満たしているからいいんだというのは言い訳だ。だから納得し難い。自分自身でこういうことが起こり得ると想定したらもっと違うことを考えたはずだ。原発を6基も同じ場所に並べなかったと思う。

 --しかし、人間は考えたくないことは考えようとしないのですね

 畑村 だから災害の対策を立てるときは守る側で考えるのではなく、攻める側に立って考えなくてはならない。どこをどう攻撃したら福島第1原発の機能を奪えるのか。自分が地震や津波、山火事になって考えなくてはならない。そうするとすきだらけなのがよく分かってくる。

--福島第1原発の1号機運転開始から40年。その間、よく災害に遭わなかったと思います

 畑村 40年間は執行猶予の時間だった。その間、東電内に「危ないから造り直すべきだ」という意見もあったと思うが、起こって困ることは考えないということが結論となってそのまま来てしまったのだろう。しかし、千年以上たっても貞観地震のような大津波は起きる。分からないことは分からないということを前提にした設計思想が必要なのだが、いまの日本にはそれがない

  《869(貞観11)年、三陸沖の巨大地震によって発生した大津波が陸奥国(東北地方)の多賀城まで押し寄せ、千人が亡くなった。これが貞観地震で東日本大震災との類似が指摘されている》

                   ◇

【プロフィル】畑村洋太郎

 はたむら・ようたろう 失敗学の提唱者で、失敗学会理事長。昭和16年1月18日、東京生まれ。70歳。東大大学院修了後、日立製作所に勤務。その後、東大工学部教授を経て平成13年から工学院大教授。同年に畑村創造工学研究所を設立して代表となる。JR福知山線の脱線事故や六本木ヒルズの自動回転ドア事故など多くの事故を調査してきた。専門は機械設計。


原発事故考(下)失敗学会理事長・畑村洋太郎
2011.4.21 03:11 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110421/dst11042103130002-n1.htm
 ■企業文化が生んだ組織災害
 --想定外を失敗学の視点から捉えるとどうなりますか
 畑村 (繰り返すけど)起こると困ることは考えようとしない。(考えないから)それが想定外になる。
 --そうすると、災害対策における重要なことは
 畑村 (1)自分の目で見る(2)自分で考える(3)自分で決める(4)自分で行動する。この4つが重要で、第三者が決めたことに従って失敗すると、「自分は悪くない」と言い訳をする。
 --それを東日本大震災の大津波のケースに当てはめると
 畑村 三陸海岸では小学校で津波に対する教育や訓練を日ごろから実施していた。しかし、あらかじめ町や村が決めた避難所に逃げたのに津波にのみ込まれてしまった惨事がある一方で、決められた避難所よりもっと高い場所に逃げないと危険だと自分たちで早く判断して逃げて助かった小学校もあった。
 --自分たちで判断するか、判断しないかが明暗を分けたわけですね
 畑村 はい。人間は想定だけでは生きられない。現実を見て判断することが大切だ。
  《ウラン燃料が発する崩壊熱を下げるため、原子炉圧力容器や燃料貯蔵プールへの注水作業は続けなければならない。だが、核分裂生成物がこの水に入り込んで放射能汚染が拡大する悪循環が起きている》
 --この悪循環を断ち切るには
 畑村 すでに悪循環を断ち切るための時間を失してしまった。東京電力にも政府にも時間のあるうちに考える人がいなかった。放射能汚染が広がる前に配管をつなげて新たな冷却システムを取り付ければよかったのだが、もう別のことを検討しなければならない。
 --どうして早くそれができなかったのですか
 畑村 東電が悪いというわけではないが、日本的企業の体質がそこにあると思う。国の基準を守っているから問題ないという東電の考え方は、緊急事態では機能しない。他者に下駄(げた)を預けるような企業文化がそうした考えを生む。今回の原発事故は起こるべくして起きた組織事故、いやもっと大きいから組織災害といった方がいいだろう
 --今後、日本は原発とどう付き合っていけばいいのですか
 畑村 人類は原発を知り尽くしていない。だからこれからも事故は起きるだろうが、事故を克服して原発を使っていくべきだ。(論説委員 木村良一)


→組織事故、組織災害ということで政府要人を含む個人が免責されることがありませんように。特に、首相指示の問題。

→指導者の責任を免責し、1億総懺悔ではだめです。