5月17日に閣議決定した「政策推進指針」を再確認しましょう。 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

5月17日に閣議決定した「政策推進指針」を再確認しましょう。

秘書です。
17日に閣議決定した「政策推進指針」を再確認しましょう。

後世からふるかえると、復興増税と社会保障増税の二正面作戦の基本的方向性を閣議決定した、というところでしょうか。

このことを日本政治史に前例をみるならば、昭和16年(1941年)7月2日に第2次近衛内閣時に決定した『情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱』のようなものでしょうか、海軍が主張する南方進出と、陸軍が主張する対ソ戦準備の二正面での作戦展開を定めたところの。


被災者救済より優先させる政府の「増税ロードマップ」 経済成長にも悪影響及ぼす
2011.05.23zakzak 高橋洋一
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110523/plt1105231548002-n1.htm

連載:2011「日本」の解き方
 政府は17日、東日本大震災発生後の重要経済政策の優先度や工程などを定める「政策推進指針」を閣議決定した。その中身は、社会保障と税の一体改革が強調されている一方、TPPについては判断を先送りした。

 なぜ、この時期に政府は「政策推進指針」を決めたのか。

 それは、与謝野馨経済財政担当相の閣議後会見でわかる。与謝野大臣は、(1)復興財源の確保(2)社会保障・税一体改革(3)財政健全化戦略-を一体的に検討していくことが必要である旨が合意されたものだと説明した

 これら三点セットは、実は6月の政治スケジュールに関係する。菅政権にとっては国会は鬼門だ。国会を開いていると、内閣不信任案や問責決議が出てきて政権がひっくり返る可能性がある。国会審議でも連日さえない菅首相の顔が全国に中継されてまずい。

 そのため、被災地の意向を無視して、第2次補正予算を今国会に出さずに6月22日に国会を閉めたい。そして、内閣の懸案をやっているとアピールしたい。国会さえ閉めれば野党の追及を交わせるし、マスコミは内閣の動きだけを報じるので、政権支持率も浮揚するかもしれないからだ。

 そこで、6月のスケジュールをみると、5月13日の本コラムで書いたように、「復興構想会議の中間報告」「社会保障と税の一体改革案」「3年間の中期財政フレーム」とくしくも与謝野大臣の三点セットと完全に符合する。これらは互いに連携して増税を打ち出してくる。要するに、「政策推進指針」は増税へのロードマップである。

 もちろん「政策推進指針」は財政再建とともに経済成長を掲げていて、財政再建だけではないというだろう。「政策推進指針」では、「震災復興」と併せて「財政・社会保障の持続可能性確保」、「新たな成長へ向けた国家戦略の再設計・再強化」を日本再生の二本柱と位置付けている。しかし、この二本柱というのが怪しいのだ。

 目標を掲げるときには、それらが独立していることが重要だ。実のところ、経済成長と財政再建は独立していない。経済成長が達成できると財政再建は達成できる。逆に財政再建を急いで増税するとかえって経済成長が阻害される。この意味では、貿易自由化は特定産業では打撃だが国全体の所得を伸ばすので、経済成長と貿易自由化は目標として両立する。

 ちなみに、先進国クラブのOECD(経済協力開発機構)では、経済成長、貿易自由化、途上国援助を三大目的としている。この観点から見ると、経済成長の他に、財政再建を掲げてTPPを見送る今回の「政策推進指針」は増税という政府の本音が透けている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

→文中にある与謝野大臣の会見は以下のとおりです。

与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(平成23年5月17日(火) 9:00~9:38  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)
http://www.cao.go.jp/minister/1101_k_yosano/kaiken/2011/0517kaiken.html
本日の閣議で、政策推進指針を決定いただきました。この政策推進指針は、玄葉大臣と私が共同して取りまとめたものでございます。私の考えているポイントを3点申し上げたいと思います。
 第1に、今回の閣議決定により、復興財源の確保と社会保障・税一体改革と財政健全化戦略を一体的に検討していくことが必要である旨、合意されたと考えております。
 第2に、震災にかかわらず、成長を実現するために必要な改革は加速する旨が合意をされたと考えております。この合意に沿って、玄葉大臣が担当する新成長戦略実現会議においても、各種戦略の再設計、再強化が行われると理解をしております。
 第3に、それぞれの分野における検討結果を取りまとめる形で、本年半ば頃には、経済財政の展望と、点検を有するため中長期試算を行うこととなりました。
 以上でございます。

(下記はこのときの質疑応答の一部です。)


(問)大臣、最初に仰った社会保障と税の一体改革と復興財源の確保というのを一体的にやっていくんだというのは、これはどこに書いてあるんですか。この3ページの経済財政の中長期の展望、ここについて言っていらっしゃるんですかね。
(答)「従前からの大きな課題であった財政・社会保障の持続性の確保、信認維持の必要性は、大震災によって更に高まっており、着実な推進、取組を進める。」と、こういうことでございます。


(問)一つ、最後に「本指針に従って、今後、云々かんぬんで、年央に、政策推進の全体像を取りまとめ、公表する。」というふうになっていますけれども、これは今年の6月ぐらいに各分野で結論を出すと、そういう意味で考えていいんですか。
(答)そのとおりです。


(問)もう5月の半ばに来ているわけですけれども、僅か1カ月ちょっとで大きな宿題を急に出せと、書けと言われても本当に出来るのかという、拙速に過ぎないかという気もするんですが、もう少し時間が普通はかかるものではないんですか。
(答)拙速というのは、頭を使わないで急いでやるという話で、これは頭を使って急いでやるという話ですから、また従来からも勉強してきた分野ですから、拙速には当たらないと私は思っています。