電力事業のような公益事業に金融機関の貸手責任はない?→モラルハザードおきません? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

電力事業のような公益事業に金融機関の貸手責任はない?→モラルハザードおきません?

秘書です。


「電力事業のような公益事業に必要なお金を貸すことに、金融機関の貸手責任が発生することは、理論上あり得ない」(与謝野大臣)

とはどのような理論なのでしょう?

公益事業は、鉄道、電信電話、水道、ガス、電気などが一般的には考えられるでしょう。これらを扱う株式会社に対しては金融機関は貸手責任はないということでしょうか?(とすると、理論上、株主責任はどうなるのでしょう?)

電気事業のような公益事業にはどんどん融資しても(また、どんどん株を買っても?)責任を問われない。ということは経営に対しても白紙委任ですね。そして、責任は国(=納税者)がとる、という経済。直観的にとんでもないモラルハザードがおきるのでは?

公益性とは何でしょうか?地域における自然独占性のことでしょうか?だとすると、


自然独占性を脅かす電力自由化につながるような送発電分離はみとめない
=独占を維持する
=公益性を維持する
=貸手責任は存在しない状況を維持する
=東電賠償は国の責任(=国民負担)でやる

ということでしょうか?何があっても、国民負担にすればいい、と。与謝野大臣いわく、日本の製造業もサービス業も、欧米で当たり前の金融政策を日銀ができないほど、実力が落ちているのでしょう。どうしてそんな負担ができるのでしょう?

どんな理論なのか、よく学習しましょう。


東電への債権放棄案、与謝野氏が批判 枝野氏と意見応酬
2011年5月20日22時39分
http://www.asahi.com/business/update/0520/TKY201105200594.html

 与謝野馨経済財政相は20日の閣議後の記者会見で、枝野幸男官房長官が東京電力に融資する金融機関に債権放棄を促したことについて「電力事業のような公益事業に必要なお金を貸すことに、金融機関の貸手責任が発生することは、理論上あり得ない」と述べ、枝野長官の姿勢を批判した。

 与謝野氏は、2008年秋のリーマン・ショックの引き金となったサブプライムローンの例を挙げ、「貸手責任が発生するのは相手が返済能力がないと分かっているにもかかわらず、そこに貸し込んだ場合だ」と述べ、東京電力問題はこれに当たらないと指摘した。

 これに対し、枝野長官はこの日の会見で「私も貸手責任だとは思っていない。ただ、国から支援を受けずに(原発事故の)賠償をやってもらえるなら(東電と銀行の関係は)完全に民間同士だが、支援を受けるなら純粋に民間同士とは言えない」と反論した。

→官房長官が貸手責任だと思っていないから話がややこしくなるのでは?

「神様の仕業」予測し得たか 東電破綻回避で消えぬ免責論
2011.5.20 21:59 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110520/plc11052022010027-n1.htm
 東京電力福島第1原子力発電所事故の被害賠償を進める上で、前提になる原子力損害賠償法(原賠法)の解釈が不確定要素になっている。地震と津波の規模が「異常に巨大な天災地変」であれば東電は免責されるが、今回の震災の規模をどう評価するかは政府内でも意見が割れ、東電と政府の賠償負担をめぐる議論の行方が定まらない。
 原賠法は、原発事故を起こした事業者は上限のない賠償責任を負うと定めているが、「異常に巨大な天災地変」が原因ならば免責される。与謝野馨経済財政担当相は20日の閣議後会見で、福島第1原発事故に触れ、「想定を超える津波が発生したのは神様の仕業としか説明できない」との考えを示した。そうであれば、東電は免責される。
 これに対し、枝野幸男官房長官は以前から大規模な津波の可能性が指摘されていたとし、「今回の事故に免責条項が適用されるとは考えにくい」と主張する。

 免責される災害規模について、政府は「関東大震災の2倍ないし3倍を超えるような地震」と定義しているが、同原発で観測された加速度は550ガルで関東大震災のほぼ2倍。また、この地域では869年の貞観地震で8メートル以上の津波があったのに対し、今回の津波は14~15メートルに達した。

津波の高さを5.4~5.7メートルと想定していた東電の甘さは否定できない。しかし、原賠法は「原子力事業の健全な発達」のため、国が「必要な援助」を行うと規定している。

 東電は、自ら免責を言い出しにくい状況にある。東電の清水正孝社長は、国会の参考人招致などで、「(免責されるとの)理解があり得る」と慎重な言い回しに終始した。一方で、被災地の東電に対する視線は厳しさを増しており、賠償を急ぐためにも、早急な結論が求められている。

→大規模な津波が来ることの警鐘を無視した経緯と責任は明らかにしなければいけません。そうしないと、また、財政上の理由や何やらで、1000年に1度の津波は考えない、400年に1度でいい、という前提条件づくりでリスクを考える悪い癖が出てくるでしょう。ここで免責されたら、今後、あらゆるお金のかかることは想定外にしておいて免責されるのが合理的な経営判断になってしまうのでは?特に公益事業ではそれはまずいでしょう。

→短期的な収益拡大のために発生する長期的リスクは全部国(=国民負担)でやればいい、という発想で公益事業を考えるのはとても危険のように感じますが。

→債務を超過した民間企業はルールに従って粛々と手続をする。電力供給は確保する。そうしたシンプルな対応をしたほうが、新生東電の立ち上がりは早く、働くみなさんの利益になると思いますが。