成長がすべて(日本の政策コミュニティ以外では) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

成長がすべて(日本の政策コミュニティ以外では)

秘書です。

「成長がすべて」

ただし、日本以外の政策コミュニティの常識では。



「経済成長で財政破綻する」財務省理論のトリックを暴くOECDも目的の最上位に
2011.04.29ZAKZAK 高橋洋一
連載:2011「日本」の解き方
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110429/plt1104291435001-n1.htm

 21日、OECD(経済協力開発機構)対日審査報告書の発表会見で、「経済成長すると破綻するのではないか」というフロアからの質問があった。それに対して、グリアOECD事務総長は、「その質問は罠か」と冗談を交えながら、「金利が上がって財政が大変になるからといって成長を諦めるわけにはいかない。成長がすべて」と言い切った。

 OECDは、先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて、(1)経済成長(2)貿易自由化(3)途上国支援に貢献することを目的としている(OECDの三大目的)。成長を否定できるはずない。

 質問のロジックは、成長すると金利上昇によって利払いが増大して財政が破綻するというものだ。もちろん、成長すれば税収も上がる。しかし、財政破綻論者は税収より利払いが大きいと主張する。財務省内にもそうした論者がいる。

 彼らは財務省の資料を根拠としている。毎年予算の参考にと、国会に提出されている「後年度歳出・歳入への影響試算」である。

 今年1月に出された2011年度版によれば、名目成長率が1%上昇した場合、12、13、14年度の税収増はそれぞれ0・5、0・9、1・4兆円である。一方、金利が1%上昇した場合、国債費の増加はそれぞれ1・0、2・5、4・2兆円としている。

 これをもって、税収増より国債費増が大きいので名目成長を上げるのを否定する人はかなり多い。私が知っている首相秘書官経験者は、名目成長が上がると財政破綻すると信じ込んでいた。そのためか、その首相は本来成長論者であったにもかかわらず、在任中は成長をあまり主張しなかった。

 この数字にはトリックがある。国債残高は600兆円だ。もしすべて1年債であったなら、金利が1%とすると次の年に6兆円増加して、その後は増えない。実際には1年より長期の国債もあるので、徐々に上がり数年経って6兆円まで上がるが、その後は増えない。

 ところが、名目成長が1%アップすると、時間が経過すればするほど税収は大きくなる。数年経つと6兆円以上増える。財務省の資料は、3年までしか計算せずに利払費が税収より大きいところだけしか見せないのだ。

 ある国会議員が3年より先まで計算するように要求したが、財務省が頑として計算しなかった。しかし、単純な計算だから表計算ソフトでも確認できる。

 もし経済成長して財政破綻するなら、名目成長率は日本はOECDでビリであるので、日本以外の国はとっくに財政破綻しているはずだ。ところがそうなっていない。成長は財政再建を含めて多くの問題を解決できるからこそ、OECDが目的のトップに掲げている。 

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

→「成長がすべて」VS「増税がすべて」