子供の学校放射線量基準20ミリシーベルト問題:なぜ、「放射能管理区域」よりも高い被ばくを許容? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

子供の学校放射線量基準20ミリシーベルト問題:なぜ、「放射能管理区域」よりも高い被ばくを許容?

秘書です。
薬害エイズ事件で有名になった菅総理、この子供の放射線量の被ばく基準20ミリシーベルトになぜ沈黙を保つのか?
外部被ばくだけの基準でいいのか?呼吸・食料などによる内部被曝の合計値は?



学校放射線量 見直し求める 日弁連
2011年4月27日 東京新聞夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011042702000183.html

 福島第一原発事故で日本弁護士連合会は、福島県の学校や幼稚園での屋外活動を制限する文部科学省の放射線量の目安が、法令で定める放射線管理区域の基準より甘く安全性に問題があるとして、見直しを求める声明を発表した。

 宇都宮健児会長は二十二日付の声明で「放射線管理区域をはるかに超える被ばくを許容することを意味する」と批判した。(※1)

 文科省は十九日、小中学校や幼稚園で観測される放射線量が屋外で毎時三・八マイクロシーベルト以上の場合は屋外活動を制限するよう福島県に通知。それ未満の場合は平常通り活動できるとした。

 年間の積算被ばく放射線量が二〇ミリシーベルトになるかどうかを目安とした。

 法令では、放射線作業をする施設では三カ月の積算で一・三ミリシーベルトを超える恐れがある範囲を放射線管理区域と設定。年間換算では五・二ミリシーベルトで、文科省が目安とした値はこの四倍近い。(※2)

 声明では、屋外活動制限を受ける学校は教育環境として適切ではないとして、より低い基準値を定め、土壌の除去なども進めるよう求めた。



(※1)会長声明集 Subject:2011-4-22
「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」に関する会長声明

http://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryinsertinput.do

4月19日、政府は「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」を発表し、これを踏まえて、文部科学省は、福島県教育委員会等に同名の通知を発出した。これによると「児童生徒等が学校等に通える地域においては、非常事態収束後の参考レベルの1~20mSv/年を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安と」するとされており、従前の一般公衆の被ばく基準量(年間1mSv)を最大20倍まで許容するというものとなっている。その根拠について、文部科学省は「安全と学業継続という社会的便益の両立を考えて判断した」と説明している。

しかしながら、この考え方には以下に述べるような問題点がある。

第1に、低線量被ばくであっても将来病気を発症する可能性があることから、放射線被ばくはできるだけ避けるべきであることは当然のことである。とりわけ、政府が根拠とする国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)は成人から子どもまでを含んだ被ばく線量を前提としているが、多くの研究者により成人よりも子どもの方が放射線の影響を受けやすいとの報告がなされていることや放射線の長期的(確率的)影響をより大きく受けるのが子どもであることにかんがみると、子どもが被ばくすることはできる限り避けるべきである

第2に、文部科学省は、電離放射線障害防止規則3条1項1号において、「外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3 ミリシーベルトを超えるおそれのある区域」を管理区域とし、同条4項で必要のある者以外の者の管理区域への立ち入りを禁じている3月あたり1.3mSvは1年当たり5.2mSv であり、今回の基準は、これをはるかに超える被ばくを許容することを意味する。しかも、同規則が前提にしているのは事業において放射線を利用する場合であって、ある程度の被ばく管理が可能な場面を想定しているところ、現在のような災害時においては天候条件等によって予期しない被ばくの可能性があることを十分に考慮しなければならない。

第3に、そもそも、従前の基準(公衆については年間1mSv)は、様々な社会的・経済的要因を勘案して、まさに「安全」と「社会的便益の両立を考えて判断」されていたものである。他の場所で教育を受けることが可能であるのに「汚染された学校で教育を受ける便益」と被ばくの危険を衡量することは適切ではない。この基準が、事故時にあたって、このように緩められることは、基準の策定の趣旨に照らして国民の安全を軽視するものであると言わざるを得ない。

第4に、この基準によれば、学校の校庭で体育など屋外活動をしたり、砂場で遊んだりすることも禁止されたり大きく制限されたりすることになる。しかしながら、そのような制限を受ける学校における教育は、そもそも、子どもたちの教育環境として適切なものといえるか根本的な疑問がある。

以上にかんがみ、当連合会は、文部科学省に対し、以下の対策を求める。

1 かかる通知を速やかに撤回し、福島県内の教育現場において速やかに複数の専門的機関による適切なモニタリング及び速やかな結果の開示を行うこと。

2 子どもについてはより低い基準値を定め、基準値を超える放射線量が検知された学校について、汚染された土壌の除去、除染、客土などを早期に行うこと、あるいは速やかに基準値以下の地域の学校における教育を受けられるようにすること。

3 基準値を超える放射線量が検知された学校の子どもたちが他地域において教育を受けざるを得なくなった際には、可能な限り親やコミュニティと切り離されないように配慮し、近隣の学校への受け入れ、スクールバス等による通学手段の確保、仮設校舎の建設などの対策を講じること。

4 やむを得ず親やコミュニティと離れて暮らさざるを得ない子どもについては、受け入れ場所の確保はもちろんのこと、被災によるショックと親元を離れて暮らす不安等を受けとめるだけの体制や人材の確保を行うこと。

5 他の地域で子どもたちがいわれなき差別を受けず、適切な教育を受けることができる体制を整備すること。


2011年(平成23年)4月22日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児


(※2)放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則第24条に規定する帳簿の記載等に関するガイドラインQ&A
平成22年1月7日
放射線規制室

Q18.「3月間使用数量及び年間使用数量は、当該期間内に使用した正味の数量で計算をする。」とあるが、正味の数量とはどういうことか。【26関係】
密封されていない放射性同位元素の各使用数量は、それぞれ以下を管理することを目的として法令で設定されているものであり、これらを考慮して計算することとなります。

•1日最大使用数量:
◦人が常時立ち入る場所における線量(1.0 mSv/週)(外部被ばく) 

◦人が常時立ち入る場所の空気中濃度(1週間平均濃度)(内部被ばく)
•3月間使用数量:
◦管理区域境界における線量(1.3 mSv/3月間) 
◦事業所境界等における線量(250μSv/3月間)
◦排気口での排気中濃度(3月間平均濃度)※
◦排水口での排水中濃度(3月間平均濃度)※
•年間使用数量:
◦施設検査対象であるかの判断根拠(年間使用数量が下限数量に10万を乗じて得た数量以上となる使用施設の増設は、施設検査を要する変更であるため、対象となる。)
このため、3月間使用数量及び年間使用数量は、当該期間に使用した正味の数量で計算をする必要があります。1日最大使用数量の3月間又は年間に相当する日数分の単純な合計とするのではなく、実際に使用した数量(正味の数量)を求め、これを元に許可証に記載された使用数量との比較判断をして下さい。


放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則

第一条  この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  管理区域 外部放射線に係る線量が文部科学大臣が定める線量を超え、空気中の放射性同位元素の濃度が文部科学大臣が定める濃度を超え、又は放射性同位元素によつて汚染される物の表面の放射性同位元素の密度が文部科学大臣が定める密度を超えるおそれのある場所

電離放射線障害防止規則

第三条  放射線業務を行う事業の事業者(第六十二条を除き、以下「事業者」という。)は、次の各号のいずれかに該当する区域(以下「管理区域」という。)を標識によつて明示しなければならない。
一  外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が三月間につき一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域
二  放射性物質の表面密度が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えるおそれのある区域


別表第三 表面汚染に関する限度(Bq/cm2)
アルファ線を放出する放射性同位元素 4
アルファ線を放出しない放射性同位元素 40