ベネフィットがコストより大きい公共投資、ドカンと投入すべきだ(高橋洋一氏) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ベネフィットがコストより大きい公共投資、ドカンと投入すべきだ(高橋洋一氏)

秘書です。
災害復旧の公共事業の費用対効果。とても高いのでは?
建設国債で堂々と大胆に公共事業をやったらいいのでは?
何をためらっているのでしょう?


災害復旧の現場を知らず財源論優先した補正予算 ドカンと公共投資せよ!!
2011.04.12 ZAKZAK 高橋洋一
 震災対策で財政面で支援するには補正予算が必要だ。1次補正について野田佳彦財務相は「国債発行に頼らず『自賄い』で対応したい」として、予算規模は4兆円程度となった。今後も、今国会中に2次補正、秋には3次補正も視野に入れているようだが、今回の1次補正の規模や手法はどうなのか。

 今回のように財源論から予算規模を決めていると、災害復旧では適切な対応ができない。

 私はかつて財務省の地方部局で災害復旧の予算実務をやったことがある。災害復旧では通常の予算積算はなく、現場で係官が実情に即して判断している。

 例えば洪水で堤防破損の場合は単純だ。現行制度の下で、復旧は原状に戻すことだ。しかし、破損する場所がいつも同じときには、もっと抜本的な川幅拡大などをしたほうがいいと思われるときもある。その場合、実際にはいろいろな工夫をして、なんとか被災者の実情に答えられるようにしている。その前に立ちはだかるのが、現行制度と予算制約だ。

 今回の震災のような場合、そうした現場の苦労を取り除くことが最優先だ。特に、財源をたっぷり用意すると、いろいろと復旧・復興がスムーズになる。

 その点、国債発行を封じてまで財源論にこだわった今回の補正予算は、災害復旧の現場を知らない予算だ。

 しかも、公共投資論からも問題がある。公共投資は、コスト(費用)とベネフィット(便益)を勘案してベネフィットがコストを上回る限り正当化される。しばしばある公共投資への批判は、すでに類似インフラがあるにも関わらず、地元利権のために行う公共投資だ。これは、公共投資をしてもそれほどベネフィットがないにも関わらず、コストがかかって、コストがベネフィットを上回るのに行われているといえる。

 ところが、被災地の公共投資は、何もないところにインフラを作るので、ベネフィットはかなり大きく、コストを上回ることが確実だ。その点から、災害復旧の公共投資は、ベネフィットが将来世代に及ぶので、国債を財源として行うことが正当化できる

 今回の補正は、こうした健全な公共投資論が欠けていて、単なる経理屋の発想で、国債発行を避けるという思想で作られている点で、不十分だ。

 これまで、財務省は不必要に財政危機を国内で煽ってきたので、それに引きずられている。国内では「グロス債務1000兆円」を強調し、海外では「(国の資産を差し引いた)ネット債務300兆円」というのはダブルスタンダードだ。

 ベネフィットがコストより大きい公共投資を行うのは、長期的には財政再建にもなるので、災害復旧は逐次投入でなく、ドカンと投入してゆくべきだ

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)