津波で家族を失った避難者は全体の2割、自宅が流失、倒壊した避難者は68.5%(河北新報より) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

津波で家族を失った避難者は全体の2割、自宅が流失、倒壊した避難者は68.5%(河北新報より)

秘書です。
東日本大震災から1カ月です。
河北新報社の宮城県沿岸部の避難者に実施したアンケートより。



「思い願い誓い重く 宮城沿岸避難者本社アンケート」
2011年04月11日
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110411t13027.htm
「元の場所で生活「不安」7割 宮城沿岸避難者アンケート」
2011年04月11日
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110411t13026.htm


●津波で家族を失った避難者は全体の2割に迫り、避難所での心のケアなどの支援が待たれる。自宅が流失、倒壊した避難者は68.5%。浸水や一部破損などの被害も25.9%に達した。

<複雑 自宅あった場所再び住みたいか>

●「自宅のあった場所に再び住みたいか」との質問には、「住みたくない」が48.0%で最も多く、「迷っている」が22.8%で続いた。「分からない」は7.1%。「住みたい」は22.1%にとどまった。

●回答した394人のうち、半数近い189人が「住みたくない」を選んだ。

-石巻市の末永光平さん(65)は「地盤沈下で、自宅近くまで海水が流れ込んでいる」と明かす。亘理町の男性(69)は「堤防が切れ、自宅があった場所から海が見える。台風が来たら不安だ」という。
-石巻市の吉田恵美さん(36)は「子どものころから見慣れた海が、思い出も友人も奪い去ったことが、一生、心から消えないだろう」とつづる。

●津波の恐怖を体験しても、なお「住みたい」と訴える住民は87人。

-山元町のイチゴ農家渡辺庚午郎さん(81)は「農地がある。先祖の墓も守りたい」と一日も早い農地の整備を望む。
-多賀城市の半沢孝史さん(38)は「先祖代々受け継がれてきた家なので守っていきたい」とする。

●現時点で「決めかねている」住民は90人。「分からない」とした28人と共に、悩みは深い。

-山元町の女性(20)は「地域の方々もいい人で住みやすかったけど、また津波が来たらと思うと怖い」と答え、
-南三陸町の男性は「自分は町が好きだが、この先どうなるのか」と将来の不安を記した。

<教訓 避難場所・行動自治体の対策>

●アンケートからは住民の避難行動と同時に、避難場所の問題点が浮かんできた。今回の大津波で濁流に迫られたり、のみ込まれたりした避難場所も少なくなく、指定避難場所の選定を含めた自治体の防災の在り方に、避難者は厳しい見方をしている。

<不安 要望>

●避難所生活が続く被災者にとって、安定した暮らしの場の確保は切実な願いだ。

-東松島市の女性(18)は「早く避難所から出て暮らしたい。仮設住宅、アパートなど入れる所を知りたい」と望む。
-女川町の木村佳代子さん(62)は「高齢者、年金生活者が多いので、町営のアパートを建ててほしい」と求めた。
-仙台市の女性(36)は「家が流された上、夫は仕事も失った。残ったのは18年もある住宅ローンだけ。3人子どもがいる。どうしたらよいか分からない」と窮状を訴える。
-家や車のローンを抱えながら子育てをする多賀城市の小幡利津子さん(39)は「先が見えず不安だらけ。助けて」と切実な声を寄せた。
-国は住宅全壊1世帯に35万円などの義援金配分を決めたが、生活費などの支援は喫緊の課題だ。
-南三陸町の男性(57)は「一時金がないとどうしようもない。次の生活が考えられない」、
-東松島市の女性(42)も「ある程度の家財をそろえるための支援を」と訴える。

●行政の対応や情報不足への不満の声も相次いだ。

-「市の情報をもっと多く、早く出してほしい」(石巻市の男性)
-「町の情報発信がなく、ここは被害がないと思っている友人もいる」(山元町の男性)
-「仙台市は対応が非常に遅い。被災者は震災当日から時が止まったままだ。一歩外に出ると普段通りの生活にみんな戻っていて、焦りを感じる」(仙台市の女性)

●行政に対しては、まちづくり計画や将来像の早期の作成、提示を求める声も目立った。



[調査の方法]6~9日に気仙沼、石巻、東松島、多賀城、仙台、名取、岩沼の7市と、宮城県南三陸、女川、亘理、山元の4町の避難者を対象に実施。アンケート用紙500部を配布し、396人から回答を得た。男女比は男性57.7%、女性42.3%。年齢層は10代6.9%、20代4.0%、30代11.7%、40代13.0%、50代19.1%、60代27.9%、70代13.6%、80歳以上3.7%。質問への回答は選択式のほか、回答の理由や要望などについて自由記述欄も設けた。