非常事態に「増税」策を取る「愚策」(中川秀直) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

非常事態に「増税」策を取る「愚策」(中川秀直)


今朝の産経新聞の「日曜経済講座」で、田村秀男・編集委員が「このままでは『第3次災害』」「非常事態に増税の愚」を書いている。

田村編集委員が指摘している「東日本大震は1次的には自然災害で、2次的には無能リーダーによる人的災害なのだが、第3次も起きかけている。政策災害である。起因は福島原発対応と同じく、『非常事態』という認識の欠如である」は、正論である。

第3次災害とは、非常事態に「増税」策を取る「愚策」のことである。東日本大震災の事態収拾のメドが立たず、先行きの不安から、国民全体に自粛ムードが広がり、GDPの6割を占める個人消費が急速に落ち込んでいる。日本経済が収縮の負のスパイラルにはまりつつある。現下の「復興増税」とは、まさに「政策災害」である。

個人消費を冷やし、日本経済収縮を加速させ、デフレを悪化させることになる。日本復興ではなく日本沈没である。非常時の今、政府が取るべき政策は、増税ではなく大規模な財政出動なのである。米ゴールドマン・サックス調査部は、阪神大震災や米ハリケーン・カトリーナなど「世界5大災害」後の復興を分析した結果、政府支出の拡大が早期の経済回復をもたらすと結論づけている。

財政出動の規模は、政府試算の最大被害額25兆円に、原発被害を加算すれば30兆円を超えるから、最低でも30兆円の財政出動が必須となるのである。然るに、政府は「財源の制約」を盾に、1次から3次までの補正で10兆円規模の財政出動しか考えていないと伝えられる。

大連立あるとすれば、今までの路線の大転換のためである。原発危機対応、東北復興、関東の電力対応のための30兆円規模の財政出動の意志を旗幟鮮明にすべきである。

政策災害である「復興増税」のためなら、大連立は必要ない。
(4月3日記)中川秀直