福島原発の戦略的本質:撤退(=米軍協力依頼)の決断と不決断・廃炉の決断と不決断 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

福島原発の戦略的本質:撤退(=米軍協力依頼)の決断と不決断・廃炉の決断と不決断

(1)撤退(=米軍協力依頼)の決断と不決断

放射能汚染水の処理、必要なら自衛隊も…防衛相

(2011年3月29日10時43分 読売新聞)

 北沢防衛相は29日午前の閣議後の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所で見つかった高濃度の放射性物質を含む水の処理について、「一義的に東電中心にやると思うが、自衛隊の力が必要になる合理的な理由があれば積極的に対応していく」と述べ、自衛隊の活用もあり得るとの考えを示した。

 また、政府が住民の自主避難を促している同原発から20~30キロ・メートル圏内の屋内退避区域について、「避難がどうしても必要だという時のことも考え、態勢だけはしっかり組んでおく」と述べ、自衛隊の輸送態勢を整えておく方針を明らかにした。


→もはや、「東電中心」などといっている場合ではないのでは?

→国家的危機であり、国際的危機になりつつある。一民間企業の、1日2食のみなさんに任せる問題なのか?

→下記の、14日の東電の提案を提案を拒否した菅総理の戦略判断ミスが尾をひいているのではないか。


東日本大震災:福島第1原発事故 東電、全面退去打診 水素爆発2日後、首相が拒否

毎日新聞 2011年3月18日

 東京電力福島第1原発事故で、東電側が12日の1号機の水素爆発から2日後の14日夜、同原発の職員全員を退去させる方針を政府に打診していたことが分かった。現地での作業継続は困難と判断したとみられ、自衛隊と米軍に対応を委ねる構えだったという。菅直人首相は打診を拒否したが、東電は高濃度の放射線被ばくが避けられない原子力災害に発展する可能性を認識していたことになる。

 複数の政府関係者によると、東電側が14日夜、「全員退去したい」との意向を枝野幸男官房長官と海江田万里経済産業相に電話で申し入れた。両氏は認めず、首相に報告。首相は15日午前4時過ぎ、清水正孝・東電社長を官邸に呼び、「撤退はあり得ない。合同で対策本部をつくる」と通告。その後、東京・内幸町の東電本店を訪れ、「東電がつぶれるということではなく、日本がどうなるかという問題だ」と迫ったという。政府当局者は14日夜の東電側の打診について「全員を撤退させたいということだった」と明言した。

 一方、東電側も首相への不満がくすぶる。東電によると、同原発では協力会社と合わせ計4000~5000人が働いているが、現在、現地に残っているのは約300人。発電所の制御や復旧などの作業にあたっている。

 東電関係者は「『撤退は許さない』というのは『被ばくして死ぬまでやれ』と言っているようなもの」と漏らした。【三沢耕平、小山由宇】


→菅総理が「撤退はありえない」といったから、自衛隊、米軍、フランス・・・の関与が遅れているのではないか?

(2)廃炉の決断と不決断

首相、福島原発「廃炉の可能性高い」
産経新聞 3月29日(火)12時35分配信
 菅直人首相は29日の参院予算委員会で、放射能漏洩(ろうえい)事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所の廃炉について、「最終的には一定の安定状況になった後に専門家の意見を聴いて決めることになるが、その可能性は高い」と述べた。

→菅総理の「廃炉」の決断の遅れが事態を深刻化させていないか。

「燃料破損し溶け出た」=高濃度汚染水で海江田経産相
時事通信 3月29日(火)11時0分配信

 海江田万里経済産業相は29日午前の参院予算委員会で、福島第1原発のタービン建屋外の水から高濃度の放射性物質が検出されたことについて「特に2号機の使用済み燃料プールからあふれたことは否定できないが、(原子)炉の中の燃料が破損してそこから水に溶けて流れ出したと考えている」との見方を明らかにした。自民党の礒崎陽輔氏への答弁。
 海江田氏は「炉がかなり傷んでいることは確かだ」とも述べた。その上で、現状について「私どもは原子炉と戦っている。戦いが成立している。まだ抑制が可能だ。最悪の事態は抑制ができないことだ」と説明した。 


政治主導空回り…「危機の連鎖」に対応し切れず

(2011年3月18日23時27分 読売新聞)

 菅政権が東日本巨大地震と津波、原子力発電所の事故、被災者支援など「危機の連鎖」に対応し切れていない。

 自らが直接、課題に取り組もうとする菅首相の下で役割分担は進まず、記者会見を繰り返す枝野官房長官も原発事故のデータなどの説明に追われ、被災者や国際社会の信頼を得られずにいる。態勢の抜本的な立て直しが求められている。

 「日本を改めて作るんだという覚悟で、一緒に立ち向かっていこう」

 18日夜、防災服にスニーカー姿で首相官邸での記者会見に臨んだ首相は、時おり目を潤ませながら、復旧・復興の決意を語った。

 首相は11日の地震発生以降、5回にわたって「国民向けメッセージ」を発表した。この日の記者会見を含めて2回はごく短時間、質問を受けたが、基本は一方的な発信だ。

 計画停電の実施や原発事故に伴う避難地域の拡大など実務的な情報とともに、「決死の覚悟」「命がけで取り組む」という言葉が飛び交う。首相に近い関係者は「国民を励ましたいという気持ちが強い」と説明するが、18日の記者会見でも原発事故の収拾時期について「そう遠くない時期」とあいまいに語るなど、国民の不安の払拭につながる場とは言い難い。

 首相にかわって広報を担当する枝野氏も地震発生以降、18日夕までに計30回の記者会見を行ったが、原発事故を巡る専門的な質問に答えることなどで手いっぱいの状態だ。

 政府内には「政治主導はいいが、結局、官邸は何も決められない」と嘆く声も出ている。

 18日朝。東京電力福島第一原子力発電所(福島県)への地上からの放水方法を巡り、首相は北沢防衛相、枝野氏らと首相官邸で協議した。しかし、1時間たっても結論が出ないことにしびれを切らした首相は、「そんなのはもういい」と議論を打ち切った。

 議論の中心は「高濃度の放射性物質が漏れ出す危険性の高い3号機だけに放水するか、1号機にも放水するか」だったが、結局は「現場に任せる」という当たり障りのない結論に落ち着いた。

 この日の協議では、前夜から始まっていた放水の指揮を、自衛隊に一元化することもようやく確認した。最初は警視庁、次に自衛隊、さらに17日夜になって東京消防庁に出動を要請するという「逐次投入」の結果、一斉放水が物理的に難しい狭い現場に各部隊がひしめき合い、混乱する事態が懸念されたためだ。

 理系の東京工業大出身で「原子力には強い」と自負する首相は、原発対応には何より積極的で、首相官邸での陣頭指揮にこだわっている。18日夜には地震発生後初めて首相公邸に帰ったが、それまでは官邸で寝泊まりを続けていた。しかし、首相や周辺が今回の事故の被害の大きさや事態の緊急度を見誤り、それが初動の遅れにつながった、と言う声は消えない。

 米国が申し出た支援を断ったことが、その後の事態の深刻化を招いたという見方も出ている。

 米国のクリントン国務長官は地震発生直後、ホワイトハウスでの会合で原発事故に触れ、「日本の技術水準は高いが冷却材が不足している」と懸念を示した。

 民主党幹部は「米側はその後、原発事故への支援を申し出たが、日本側は辞退した」と語る。首相周辺は「支援の話は首相や官房長官には届いていない」としているが、「東電が原子炉を廃炉にせず、自力で収拾できると考えていたことが政府の判断に影響を与えた」(政府筋)という声もある。核分裂の反応を抑える効果から原子炉の冷却に使われるホウ酸と海水を注入すれば、運転再開は難しくなる。これを東電が嫌がり、政府も追認したというわけだ。

 結局、12日になって福島第一原発1号機で水素爆発が発生し、東電は海水とホウ酸の注入に踏み切った


→上記の部分、こここそが、初動の判断ミスの核心部分ですね。

原発事故直後、日本政府が米の支援申し入れ断る
(2011年3月18日08時12分 読売新聞)
 東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、米政府が原子炉冷却に関する技術的な支援を申し入れたのに対し、日本政府が断っていたことを民主党幹部が17日明らかにした。

 この幹部によると、米政府の支援の打診は、11日に東日本巨大地震が発生し、福島第一原発の被害が判明した直後に行われた。米側の支援申し入れは、原子炉の廃炉を前提にしたものだったため、日本政府や東京電力は冷却機能の回復は可能で、「米側の提案は時期尚早」などとして、提案を受け入れなかったとみられる

 政府・与党内では、この段階で菅首相が米側の提案採用に踏み切っていれば、原発で爆発が発生し、高濃度の放射性物質が周辺に漏れるといった、現在の深刻な事態を回避できたとの指摘も出ている。

 福島第一原発の事故については、クリントン米国務長官が11日(米国時間)にホワイトハウスで開かれた会合で「日本の技術水準は高いが、冷却材が不足している。在日米空軍を使って冷却材を空輸した」と発言し、その後、国務省が否定した経緯がある。


政府筋「東電が米支援は不要と」…判断遅れ批判

(2011年3月18日15時11分 読売新聞)

 東京電力福島第一原子力発電所で起きた事故で、米政府が申し出た技術的な支援を日本政府が断った理由について、政府筋は18日、「当初は東電が『自分のところで出来る』と言っていた」と述べ、東電側が諸外国の協力は不要と判断していたことを明らかにした。


 政府関係者によると、米政府は11日の東日本巨大地震発生直後、米軍のヘリを提供することなどを申し入れたという。政府は、各国からの支援申し出は被災地での具体的な支援内容を調整したうえで受け入れており、「(断ったのではなく)いったん留め置いた」と釈明する声も出ている。

 枝野官房長官は18日午前の記者会見で「政府、首相官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定する一方、米政府からの原子炉冷却材提供の申し入れなどについて「詳細は把握していない。確認してみたい」と述べ、事実関係を調査する考えを示した。

 政府・与党内では、政府の初動対応について、「米側は早々に原子炉の廃炉はやむを得ないと判断し、日本に支援を申し入れたのだろう。最終的には廃炉覚悟で海水を注入したのに、菅首相が米国の支援を受け入れる決断をしなかったために対応が数日遅れた」(民主党幹部)と批判する声が出ている。

 高木文部科学相は18日午前の閣議後の記者会見で「事実関係は把握していない。しかし、姿勢としてはあらゆることを受け入れるのは当然だ。内外の声をしっかり聞くことは非常に重要だ」と語った。

 一方、自衛隊が17日午前に行った大型輸送ヘリによる海水投下の背景には、米側の強い要請があったことも新たに分かった。

 日米関係筋によると、自衛隊の大型輸送ヘリによる海水投下に先立ち、今回の事故を「最大級の危機」ととらえる米側は、「まず日本側がやるべきことをやるべきだ」などとして、再三にわたり日本側の行動を強く要請していた。17日午前に予定されていた菅首相とオバマ米大統領の電話会談でも、大統領からの要請があると予想されたため、首相は防衛省・自衛隊に会談前の海水投下実施を求めたという。

 日本政府への懸念や不満は、米国以外からも出ている。

 今回の事故に関する情報収集や日本政府との意思疎通のため、急きょ来日した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、「(日本政府は)情報伝達を質量ともに改善して欲しい。改善の余地はある」と述べており、18日午後に行われる松本外相との会談などでも、こうした問題が取り上げられる可能性がある。

→廃炉の判断ミス。全て情報公開してください。総理の判断ミスなら、判断ミスと認めましょう。